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Last-modified: 2013-11-06 (水) 21:05:47

79 :幼女の旗の下に:2010/11/01(月) 18:30:43 ID:lxm5ExOG

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2 紋章町BBSを閲覧する      ええと…こ…こういう時の心構えがどこかに書いてないでしょうか…

ディアドラ 「そ…そうですっ現代は情報化社会。ネットで調べればどんなことでもモーマンタイ!」

思い立ったら部屋のPCの電源を入れる。
起動音が鳴り初期設定のままの壁紙がモニターを飾る。
あまりPCには詳しくないのだが紋章町BBSは好きでたまに目を通していた。

ディアドラ 「どのスレを見ればいいかしら…こう…体験談とか…書いてあるような…」

呟きながらスレタイに目を通していく。

496.囲まれたら助けを呼ぼう 1エイリーク(3)

ディアドラ 「はっ…なぜか無意識の内に削除依頼を出してしまいました…」

3.愛しの彼がフラグクラッシャーPart6946(707)

ディアドラ 「シグルド様はフラグ折るよりも寝取られて折られる側ですし…参考になりませんね。
       この場合アルヴィス様が(他人の)フラクラって事になるのかしら?」

56.サラの所為でロリコンになった香具師の数2898+ (482)

ディアドラ 「…………」

正直なところ役立つ情報はなかなか得られなかった。
婚約者を親に紹介する…その実体験について書かれていそうなスレはなかなか見当たらない。

ディアドラ 「いっそ…総合スレで質問してみましょうか」

1. 紋章町総合スレ19452 (560)

561 名無しさんの人でなしー 投稿日: 1010/10/27(水) 09:34:29 ID:SR/1Ones

会話を切ってしまってすみません。
ちょっとお伺いしたんですが…
皆さんは結婚の折、なんと言って彼を親御さんに紹介しましたでしょうか…
私の家は貴族でして…彼は平民…父がよい顔をしないのです…

どうかアドバイスをお願いします。

ディアドラ 「…あまり期待はできませんが…ダメでもともとですし…」

書き込みを終えて少し間を取るとスレをリロードしてみる。
どんなレスがついただろうか。

80 :幼女の旗の下に:2010/11/01(月) 18:31:27 ID:lxm5ExOG

271

562 名無しさんの人でなしー 投稿日: 1010/10/27(水) 09:35:12 ID:88yabureta

561
もうすぐ新妻ハァハァ…なんてエロい響きなんだ…若いツバメに立候補します…

563:助けて!名無しさん! 投稿日: 1010/10/27(水) 09:36:01 ID:eroBROtHer

561
結婚式は是非エミリーヌ教会でどうぞ。
新婦のみ夫婦の愛についてこの私が手取り足取りご教授しますとも。

564:助けて!名無しさん! 投稿日: 1010/10/27(水) 09:38:09 ID:misakitate

561
一生独身と思ってた上司がゴールイン間近…
俺も結婚したいお…(´;ω;`)
ちくしょー幸せになっちまえー

すまん…質問の答えになってないな。
回答してあげたいんだが年齢=彼女いない暦の俺には返事のしようがないんだ…

565 名無しさんの人でなしー 投稿日: 1010/10/27(水) 09:40:42 ID:88yabureta

564
僕だってそうだよ…嫌な事思い出させないでよ…家族はモテるのに一人モテないのって結構辛いんだよ…orz
どうして僕はおねいさんにモテないんだよ…

566:助けて!名無しさん! 投稿日: 1010/10/27(水) 09:44:21 ID:eroBROtHer
おっとこの流れはこの辺にしときましょう。
また大賢者が出てきて荒らしかねませんし。

ディアドラ 「…………なんの参考にもなりませんでした…」
とりあえずエミリーヌ教で式を挙げるのはやめておこうと思いつつ一言御礼の書き込みをしてPCを落とす。

シグルドが館の門をくぐったのはその5分後だった。

81 :幼女の旗の下に:2010/11/01(月) 18:32:17 ID:lxm5ExOG

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応接室はピリピリした緊張感に包まれている…
空気がまるで電気を帯びたかのようにすら感じられる。
シグルドは緊張に胃が痛むのを感じた。
既婚の上司や先輩らは「どんな取引先との大仕事よりもあの時の方が緊張したよ」などと言っていたがまさにそれを身を持って体験している。
シグルド (お…落ち着け…落ち着くんだ私…)
しかも…相手は自分の会社の社長…下っ端社員のシグルドはプレッシャーに潰されそうになりながらもかろうじて自分を保っていた。

クルト  「かけたまえ」
シグルド 「し…失礼をします…」
椅子に腰を下ろす…すぐに従者がコーヒーを用意した。
芳醇な香りと深い色が庶民のシグルドにもそれが最高の豆と技術で淹れられた事を悟らせる。
一杯のコーヒーにもディアドラとの身分の差を改めて感じさせられた。

クルト  「…それで…いや、遠まわしに言っても仕方ないな。君は娘と結婚したいそうだが…」
シグルド 「はい、私はディアドラを愛しています!どうか…どうか結婚のお許しを願います!」
クルト  「……」
ディアドラ「お父様、どうか…私からもお願いします…」

父は眉を寄せてしばらくの間無言だった…
重苦しい沈黙が部屋を支配する…
この所の会社の経営状況の悪化…政党の凋落…あらゆる苦難にクルトは痩せていた。
加えてこの一件…傍からみてもクルトの表情にはネガティブな感情が浮かんで見える。
おそらく自身の理性を総動員したのだろう。
クルトが次に発した言葉は表情に似合わぬ深く落ち着いたものだった。

クルト  「私は身分を絶対のものだとは思わないが…だがそれでも君と娘とでは生きてきた環境が違いすぎる。
      付き合う事と共に暮らす事はまた違うのだ…若さと愛情に任せて勢いで結婚して失敗した人もいる。
      君は娘と上手くやっていけると思うのかね…」
シグルド 「もちろんです!私は必ずディアドラを幸せにします!」
一言の淀みもない返事だ。
先ほどまで社長の前で緊張していた下っ端社員とは思えない。
ディアドラ「シグルド様…」
胸が熱くなる…この人を選んでよかったと思う。
数十年後…共に人生を過ごす事を選んでよかったと思えるように…
そういう深い愛情を育んでいきたいとディアドラは心から思った。

82 :幼女の旗の下に:2010/11/01(月) 18:33:22 ID:lxm5ExOG

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クルト  「では…言い方を変えよう。娘は一人娘だ。バーハラ家を絶やさないためにも嫁に出すことは出来ない。
      結婚となると当然婿を取る事になる…そうなれば君は貴族社会で生きる事になるわけだが…
      一般社会とは慣習や環境…何もかも違う。君を平民出と蔑む人もいるだろう。そういう世の中でやっていけるのか?」
シグルド 「傍らにディアドラが居てくれれば私は心を強く持てます。
      知らない事はこれから学んでいきます。彼女と共に生きるために」
クルト  「君は会社に置いてもまだ20代後半で課長になっている。能力において君を認めるに私もやぶさかでないが…
      貴族社会は難しいものだ。時にそこで生きてきた者も少しの隙を見せればたちまち政敵に食いつかれる。
      バーハラ家の名誉を汚す事は許されない」
シグルド 「肝に銘じます」
クルト  「………君の実家の方はどうなのか…長男と聞いているが…」

色々とクルトは言を左右にしている。厳しい事を言っているのはそれが事実でもあるからだが…
単に娘をわたしたくない親心もあるのだろう。
これがアルヴィスだったらクルトも喜んで賛成しただろうが…

シグルド 「私も実家の事については色々と悩みました…家は裕福とは言えませんし家族も多い。
      ですが…」

逞しく育った次男の姿が瞳に浮かぶ。
立派に一人前に工務店で働いてその稼ぎはシグルドより多い。
食費も多いが…

シグルド 「私がいなくても家族はきちんとやっていけると確信してます。
      いつまでも手のかかる子供ではありません。立派に育ってくれました。
      それと…これからディアドラとも相談するつもりですが…
      ディアドラが賛成してくれるなら私の給与を少し仕送りするつもりです。
      幸い課長に任じていただいたお陰で給料も上がってますし…」
ディアドラ「シグルド様、私はかまいませんよ?」
クルト  「ディアドラ、そういう大事な事は即答せずよく相談してから決めなさい。
      ましてまだ結婚と決まったわけではないのだから」

父の表情からは簡単に許すつもりがないのがよくわかる。
ディアドラ「お父様はそう言われますが…私はもう心を決めています」
クルト  「愛情は盲目ともいう…シグルド君が悪いとは言わないがそう性急に決めないでもう少し考えてみたらどうか…
      せめて貴族から選ぶべきと私は思うのだが…」

その時である。
応接室の扉が開いて一人の老人が姿を現した。
杖を付き従者に身体を支えられている。

83 :幼女の旗の下に:2010/11/01(月) 18:34:04 ID:lxm5ExOG

274

クルト  「父上!?」
アズムール「いい加減にせぬかクルトよ。お主の言ってることも間違ってはおらんが本心を語っておらぬ」
ディアドラ「おじい様…」
アズムール「ようは可愛い一人娘を簡単にやりたくないのじゃろう?」
クルト  「む……ひ、否定はしませんが…しかし私はバーハラの家の事を考えてですね…」

図星を指されて額に汗が滲む。
だが老人はよろけながらもクルトの側を通り過ぎシグルドの椅子に歩み寄った。
シグルドは慌てて立ち上がりアズムールに挨拶をする。
シグルド 「か…会長、本日は孫娘の…」
アズムール「ああうむ、みなまで言わんでよろしい。それよりも…覚えておらぬかの?」
シグルド 「なにをでしょうか?」
アズムール「わからぬかの? ふぉふぉふぉ…無理もないのう。屋上の花壇で会っておるのじゃがのう」
シグルド 「ま…まさか…あの時の用務員の…かか会長とは知らずご無礼を!?」

どうしても下っ端サラリーマン根性が出てしまい平伏するシグルドを手振りで制するとアズムールはディアドラに笑いかけた。
アズムール「彼が気持ちの優しい男であることはよぉくわかっておる。ワシが許そう。幸せになりなさい」
ディアドラ「お…おじい様…ありがとうございます!」
敬愛する祖父に抱擁をして……気付かないうちに涙が毀れた……

クルト  「父上!?勝手に決めていただいては困ります!このような大事を…」
アズムール「ほほぅ?自分の事を棚に上げてよう言うわい。ワシに一言の相談もせんかったくせに」
クルト  「ぐ……」
それを言われると弱い。
かつてクルトがとある婦人と道ならぬ恋をした事を突いているのだ。

84 :幼女の旗の下に:2010/11/01(月) 18:35:37 ID:lxm5ExOG

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クルト  「や…やむをえない…わかった。許そう。しかし!婿としてバーハラ家に入る!
      先ほども言ったがこれが条件だ」
シグルド 「はい!それでは…義父上と呼ばせていただきます!」
クルト  「まだだ…結婚までそれは待ちたまえ…気の早い…」
アズムール「まぁ善は急げと言うしのぅ。吉事は早いに越したことはない。
      ワシもいつお迎えが来るかわからんし生きてるうちに孫のウェディングが見たいものじゃ。
      早々に段取りに入ってくれんかの?」
クルト  「む…そ…それは先方のご家族とも相談しまして…」
シグルド 「私の家族はもちろん賛成しております。早速日程と式場の段取りを…ああ…生きててよかった…
      31スレ…原作の電撃結婚とくらべて…31スレかかったが…ついにこの日がきたか…ううううう」
ディアドラ「し…シグルド様…泣かないでくださいね。私がアルヴィス様と迷いまくって遅くなったのですし…」
クルト  「もう少し歯に衣着せなさい。さすがに気の毒だ」
シグルド 「ああ…ああ…ああああ……」

感無量…この時の心境はこの一言に尽きた…

ディアドラ「あの…それでは…どういった形式の式にしましょうかシグルド様?」
シグルド 「はははは♪ そうだねぇ…いろいろあるしねぇ」

思えば紋章町にも色んな教会がある。
どこがいいだろうか?
シグルドはいくつかの教会を思い浮かべた。
彼の心にはあらゆる神々も自分達を祝福しているように感じられた。

続く

1 ミラ教にしよう!          セリカに私達の式を取り持ってもらおう…セリカ…お前に祝福を授けてほしい…
2 ドーマ教はどうだろう?      なんかビグルだらけの結婚式になりそうだな…
3 エッダ教がいいんじゃないか? クロード神父は知り合いだし私達もユグドラルの宗教なら馴染みがあるしな
4 ロプト教の結婚式か…      ど…どんなだろう? エフラムを通してサラに頼めばやってくれそうな気はするが…
5 エミリーヌ教を選ぶか…     最近サウルとかいう神父がブライダルがどうとか宣伝してたっけ
6 アスタルテに頼もう        ミカヤ姉さんに頼んで話をつけてもらうか…神様に立ち会ってもらうなんて凄いことじゃないか?
7 ユンヌに頼もう           ………………待て…考え直したほうが………………… 

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