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Last-modified: 2013-11-06 (水) 23:59:43

27 :兄弟家、常識の壁:2010/11/27(土) 16:43:03 ID:KuBpmY4X

 ~オスティア家~

ウーゼル「やあロイ君、来たか
ロイ  「こんばんは、ウーゼルさん。本日はお招き預かりまして……」
ウーゼル「ははは、慣れない敬語など使わなくてもいいぞ、ロイ君。
      君にはいつもリリーナが世話になっているからな。自分の家だと思ってくつろいでくれるといい」
ロイ  「……そうですか? すみません、どうもこういうのって慣れなくて……」
ウーゼル「そうそう。そのぐらいの方がかえって中学生らしくていい。さあ来てくれたまえ。オスティア家は君を歓迎するぞ」

レイラ  「……来たわね」
マシュー 「ああ。リリーナ様のご支度は?」
ウェンディ「バッチリです! 大変美しいドレス姿でいらっしゃいますよ」
バース  「うむ。オスティア家の総力を挙げて準備したからな」
アストール「んなことやっていられる辺り、うちも暇だよな……」
マシュー 「愚痴らない愚痴らない。実際問題ライバル多いッスからね。こうでもしてちょっとは優位に立っておかないと」
バース  「そうだな。では全員配置につけ! お食事中もおかしなことが起こらないように全力でサポートするぞ!」

 ~オスティア家、食堂~

リリーナ (ありがとう、みんな……!)
ロイ   「……」
リリーナ 「……? ロイ、どうしたの?」
ロイ   「え? あ、いや、その……リ、リリーナ」
リリーナ 「なに?」
ロイ   「そ、そのドレス……似合ってる、よ」
リリーナ 「え……あ、えっと……ありがとう……」
ロイ   「……う、うん」
リリーナ 「……」
ロイ   「……」
リリーナ 「……ふふ」
ロイ   「はは。なんか、照れるね、こういうのって」
リリーナ 「本当よ。どうしたの、急に」
ロイ   「いや、なんだ……しょ、正直な気持ちだよ」
リリーナ 「フフ……そんなに照れてるんだし、きっとエリンシアさんやミカヤさんのアドバイスでしょ?」
ロイ   「えっ。な、なんでわかっ……あ」
リリーナ 「やっぱりね」
ロイ   「い、いや、確かにアドバイスももらったけど! でも似合ってると思ったのは本当で」
リリーナ 「分かってるわ。ありがとう、ロイ」
ロイ   「……うん!」

ウーゼル (フム……リリーナもこういった状況には慣れていないしどうなるものかと思ったが、案外大丈夫そうだな)
オズイン 「ウーゼル様。そろそろ……」
ウーゼル 「そうだな。では、今日は楽しい食事にしよう。ロイ君、遠慮はいらんぞ。我がオスティア家のシェフが腕によりをかけた料理、存分に味わってくれ」
ロイ   「はい、ありがとうございます! いただきます!」

28 :兄弟家、常識の壁:2010/11/27(土) 16:44:15 ID:KuBpmY4X

リリーナ 「……」

オズイン (……緊張していらっしゃるようですな)
ウーゼル (うむ。あの中に一品、リリーナの手料理が混ざっているからな……ロイ君の口に合えばいいが)
ロイ   「どれから食べようかな……よし、まずはこれだ!」
ウーゼル (! 最初からリリーナの料理を選ぶとは……!)
オズイン (さすがフラグメイカーと一部で有名なロイ殿……! 反応はいかに!?)
リリーナ (神様……!)
ロイ   「ふー、おいしかった」
リリーナ 「って、あ、あれ!?」
ロイ   「ん、どうしたの、リリーナ」
リリーナ 「え。えっと、ロイ。さっき、その皿に乗ってた……」
ロイ   「ああ。おいしかったよ」
リリーナ 「……」
ウーゼル (……オズイン。今、見たか)
オズイン (はい。見間違えでなければ……料理が消えた、ように見えましたが)
ウーゼル (どういうことだ、一体……!)
ロイ   「んー、次はどれにしようかな。よし、これ……うん、これもおいしい! じゃ、次は……これかな」
ウーゼル (な、なんだ!? ロイ君が手を振るうたびに次々と料理が消失……!?)
オズイン (これはまさか……!)
リリーナ (は、早食い!? そんな、ロイが早食いだなんて一度も……!)
ロイ   「ん、どうしたの、リリーナ?」
リリーナ 「え。えっと……ろ、ロイ、なんだか食事のペースが早いような……」
ロイ   「え、そうかな? いつも通りだよ? それに僕、兄弟の中では一番食事が遅いって言われてるんだけど……」
リリーナ 「そ、そうなの……」

 ~別室~

レイラ  「……マシュー。状況、分かる」
マシュー 「んー……これは、あれだな」
バース  「慣れ、だろうな」
ウェンディ「な、慣れ?」
バース  「うむ。ロイ殿の家は大家族……しかも中にはアイク殿、ヘクトル殿、エフラム殿、リーフ殿等大食い早食いの人材が揃っている。
      そんな中で自分の取り分を確保しようとすれば……ああもなろう」
ウェンディ「な、なるほど……」
アストール「あちゃあ……こりゃ想定外だな。今度は食事風景まできっちり観察しとかんと」
マシュー 「リリーナ様もウーゼル様も唖然としてるぜ……こりゃ失敗かねえ」
レイラ  「完全にペースを崩されているものね。ここからロマンチックな雰囲気に持って行くのは厳しい気がするわ」
バース  「いや。まだ諦めるのは早い。各員速やかにプランSに移行。スターライトで神秘的な雰囲気を演出するのを忘れずに……」
マシュー 「って、ゲッ! 隊長、あれ!」
バース  「なに……!?」
30 :兄弟家、常識の壁:2010/11/27(土) 16:46:25 ID:KuBpmY4X

ウーゼル 「まあ、それはそれとして……そんなに気に入ったのなら、これから毎週でもお招きしようか」

リリーナ 「!!」
ロイ   「え、それは……ありがたいですけど、ご迷惑では」
ウーゼル 「いやいや。私としても楽しい時間だったのでな。……いろんな意味で。それに君が来てくれればリリーナも喜ぶ。
       ピアノなんかも最近は随分と上達してきたしな。食事の後は是非とも聞いてやってくれ」
リリーナ 「お、お兄様……!」
ウーゼル 「どうかな、ロイ君」
ロイ   「はい。僕で良ければ……」
ウーゼル 「では決まりだな。今後ともよろしく頼もう、ロイ君」
ロイ   「はい、こちらこそよろしくお願いします! リリーナも、よろしく!」
リリーナ 「え、ええ! こちらこそ!」

マシュー 「ヒューッ。さすがウーゼル様、きっちり締めたぜ」
レイラ  「これは……他の子たちに一歩リード、かしら?」
バース  「うむ……だがまだ油断はできん。今回のように兄弟家常識の壁に悩まされることも多々あるだろう。
      各員、今後とも気を引き締めてかかれ!」
全員   「応!」
アストール(……本当に平和だよな、ここ……)

 ~食堂~

リリーナ 「……」
ロイ   「いやー、すみませんウーゼルさん。タッパー用意してもらっちゃって」
ウーゼル 「……いや、構わんよ。遠慮なく持って帰ってくれ」
ロイ   「はい。あんまりおいしいものだから、兄弟みんなに食べてもらいたくて……」
ウーゼル 「ロイ君は家族想いだな。結構なことだ……はぁ」

バース  「……」
マシュー 「……タッパー持って星空デートはねえやな、さすがに」
レイラ  「……彼も『あの』アイク殿の弟だってことを失念していたわね」
ウェンディ「なんともはや……」

31 :兄弟家、常識の壁:2010/11/27(土) 16:47:38 ID:KuBpmY4X

 ~食堂~

リリーナ 「……」
ロイ   「いやー、すみませんウーゼルさん。タッパー用意してもらっちゃって」
ウーゼル 「……いや、構わんよ。遠慮なく持って帰ってくれ」
ロイ   「はい。あんまりおいしいものだから、兄弟みんなに食べてもらいたくて……」
ウーゼル 「ロイ君は家族想いだな。結構なことだ……はぁ」

バース  「……」
マシュー 「……タッパー持って星空デートはねえやな、さすがに」
レイラ  「……彼も『あの』アイク殿の弟だってことを失念していたわね」
ウェンディ「なんともはや……」

ウーゼル 「まあ、それはそれとして……そんなに気に入ったのなら、これから毎週でもお招きしようか」
リリーナ 「!!」
ロイ   「え、それは……ありがたいですけど、ご迷惑では」
ウーゼル 「いやいや。私としても楽しい時間だったのでな。……いろんな意味で。それに君が来てくれればリリーナも喜ぶ。
       ピアノなんかも最近は随分と上達してきたしな。食事の後は是非とも聞いてやってくれ」
リリーナ 「お、お兄様……!」
ウーゼル 「どうかな、ロイ君」
ロイ   「はい。僕で良ければ……」
ウーゼル 「では決まりだな。今後ともよろしく頼もう、ロイ君」
ロイ   「はい、こちらこそよろしくお願いします! リリーナも、よろしく!」
リリーナ 「え、ええ! こちらこそ!」

マシュー 「ヒューッ。さすがウーゼル様、きっちり締めたぜ」
レイラ  「これは……他の子たちに一歩リード、かしら?」
バース  「うむ……だがまだ油断はできん。今回のように兄弟家常識の壁に悩まされることも多々あるだろう。
      各員、今後とも気を引き締めてかかれ!」
全員   「応!」
アストール(……本当に平和だよな、ここ……)