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Last-modified: 2013-11-07 (木) 00:54:11

299 :幼女の旗の下に:2010/12/21(火) 19:39:55 ID:+mPNy47U

307

3 マンフロイに声をかける おじいさまは私がお嫁にいったら寂しい?……なんて聞いてみよ

サラ   (……おじいさまでもからかおっか……)
何故そんなことを思い立ったのかは自分でもよくわからないが…
シグルドとディアドラの幸福な姿を見て思うところがあったのかもしれない。
そうと思い立ったらさっそく行動である。

マンフロイは給仕役のダークマージ達にあれこれ指示を出していた。
さっそくリワープでいきなり背後に回る。
サラ  「お・じ・い・さ・ま」
マンフロイ「ぬおおっ!?」
脅かし成功。
サラは人を驚かしたり戸惑わせたりするのを好む悪癖がある。
マンフロイ「な…なんじゃ心臓に悪い…おどろいた拍子にポックリ逝ったらどうするんじゃ」
サラ   「本人がそう言ってる元気があるうちは逝かないでしょ。それよりもね…今日の式を見てて思ったんだけど」
マンフロイ「うむ…ロプト式で結婚式をするのは実に20年振りくらいじゃからのう…ワシも感慨深いわい…
      お前も思うところがあったんじゃな。それでこそロプト教徒」
サラ   「いやそうじゃなくてね。おじいさま…私がさ…お嫁に行っちゃったらどう思う?寂しい?」
マンフロイ「肩の荷が下り…ああいや寂しいぞ!!!寂しいに決まっておる!!!おじいちゃんショックで寝込むかもしれんのう!!!」
サラ   「ふぅーーーん…おじいさまの本音はよぉーーーーくわかったわ…クスクス」
マンフロイ「ひぃっ!?」
思わずビビッたマンフロイではあるが…いつもならこのまま逃げてしまうところだが今日は違った。
軽く頭を振って呼吸を整えるとそこには落ち着いた祖父の顔があった。
マンフロイ「ううむ…そりゃお前は悪戯者で悪さばっかしてワシを困らせまくるし、ロプト教団はかき回すわ
      ワシの政党を勝手に解散するわ孫にワシほど泣かされたジジイはおらんじゃろう」
サラ   「あら正直なのね?」
マンフロイ「どうせワシが叱っても聞かんくせに…お前が嫁に行ったら相手の苦労が偲ばれるわい。
      じゃがの…お前のような規格外の娘を受け入れてくれる懐の深い相手がおればいいとは思っておる。
      老い先短いワシの介護なぞ気にせずその時は嫁にいけばええ。ワシは元気じゃし気にすることはないんじゃぞ?」
サラ   「……初めから気にしてないわ」
マンフロイ「暗黒ジジイがたまにいい事言ってみたんじゃから気にしてくれてもええのに…」
サラ   「ふふふ……私がそんな殊勝な孫だったかしら?」
いじけてみせるマンフロイをクスクス笑って突っついてみせる。
この時マンフロイは間違いなく幸福だった。
クトゥーゾフやアルファンやベルド…自分と歳の近い部下たちはロプト教徒ということで世間から疎まれてこの歳まで独身のまま…
彼らからすればこうして孫と遊べる自分はどれだけ恵まれているだろうか。
マンフロイ(とんでもない孫に振り回されて大変じゃ大変じゃと思うておったが贅沢な悩みだったかもしれんのう…
      じゃが…今日の結婚式で欲が出てしまったわい…)
孫娘のウェディング姿に目じりを下げる新婦の祖父アズムールの穏やかな表情を見て思ったものだ。うらやましいと。
マンフロイ「サラのウェディング姿を見るまではお迎えには待ってもらわんとな…ふぉふぉふぉ」
サラ   「おじいさま…いま何か言った?」
マンフロイ「ああなんでもないぞー」

300 :幼女の旗の下に:2010/12/21(火) 19:40:42 ID:+mPNy47U

308

こうして披露宴もつつがなく終了し晴れてシグルドとディアドラは家族、友人達の祝福のもとで夫婦となった。
それからしばらくはまだ引越しやらなにやらで忙しい日々が続いた…そんなある日の事。
マルス  「やれやれ…ガランとしちゃいましたねぇ」
長兄の部屋に歩み行ったマルスは呟く。
シグルドがディアドラの家に婿に行ったのは3日前の事になる。
大きな家具等はそのままだが必要な荷物はすべて持っていったために主を失った部屋はどこか空虚な気配を漂わせていた。
マルス  「…で、君はそこで何をしてるのかなセリカ?」
セリカ  「ちょっとね。笑えるものを見つけたものだから…ふふっ」

先客のセリカがクスクスと笑っている。
その手には一冊のノートがあった。
セリカ  「シグルド兄さんったらそそっかしくて抜けてるんだから。忘れていったのね」
マルス  「ふぅん…で? そのノートにはなんと?」
セリカ  「日記…というよりKINSINN阻止ノートよ。その日阻止したKINSINNの記録が付けてあるの。大半が私とアルムのページね」
マルス  「兄さん…そんなもん付けてたんだ…」
セリカ  「読めば読むほど私たちの事がたくさん…まったくよくチェックしてるもんだわ。KINSINNセンサー恐るべしね」

だがそれを読み進めているセリカの顔は穏やかなものだった。
セリカ  「もう、ドジな兄さん。これからもKINSINNを阻止しまくるんだろうからノートの書き込みは増えていくでしょうに。
      届けてあげないと」
マルス  「いや、それはそれでいいと思うよ。もし本当にドジ踏んだんだったらウチに帰ってきたときに持っていくさ」
セリカ  「ふぅん…どうしてそう思うの?」
マルス  「別に…なんとなくね」

おそらくシグルドはセリカのために思い出を置いていったのだろう。
シグルドの新しい思い出は新しいノートに新しい家族…ディアドラとともにつけるものだろうから。
セリカ達との思い出はシグルドの胸の中に刻まれているから。

そう思うマルスだが口には決して出さない。
口に出すにはあまりにもクサくてこっ恥ずかしいセリフすぎる。

301 :幼女の旗の下に:2010/12/21(火) 19:41:27 ID:+mPNy47U

309

その日の夕食。
テーブルの上には15人分の食事が並んでいた。
ミカヤ  「もう…エリンシアも案外ドジね」
エリンシア「つ…ついつい…14人分っていうのは頭ではわかってるんですけど気が付いたら作っちゃうんですよね」
アイク  「心配いらん。俺が食ってやろう」
ヘクトル 「ずるいぞ兄貴!俺も食ってやる!」
エフラム 「それ以上肥えてどうするピザが」
ヘクトル 「んだとコラァ!」
エリンシア「はいはい、それ以上喚くとぶっとばしますわ」
ヘクトル 「ケッ!」
エフラム 「フン…」

ここのところこういう光景が繰り広げられている。
しばらくすれば慣れるだろうが…
マルス  「その時は食器をもう一組用意しておかないといけませんね」
セリス  「え、どうして?」
マルス  「落ち着いたらシグルド兄さんも時々帰ってくるでしょ。ディアドラ…義姉さんと一緒にね」
セリス  「そっか…そうだね」
リーフ  「僕におねいさんが…ハァハァ…」
セリカ  「そりゃ!」
遠慮なくライナロックを叩きこむ。
リーフ  「コノヒトデナシー!…ってなんでセリカが僕にお仕置きするのさっ!?」
セリカ  「シグルド兄さんの代理よっ!いちいちシグルド兄さんがティル…銀の剣をリーフに投げつけてたら新婚アツアツの邪魔になるでしょ!
      だからリーフがディアドラさんにハァハァしたら私が代わりにやっつけることにしたの」
リーフ  「ちょっとくらいいいじゃないかー!兄嫁に萌えてなにがいけないんだー!」
セリカ  「いけないわボケッ!ただでさえ兄さん寝取られ男なのに弟に取られるとかどこの昼ドラよっ!」
リーフ  「いくらボクでも取らないよっただちょっと脳内でドリーム見てるだけじゃんか!この気持ちは全世界の思春期男子にはわかってもらえるはずさ」
ロイ   「思春期だけどわかりません」
マルス  「同じく」
セリス  「ぼ…ボクもちょっとわからないよ…」
アルム  「ぼくも…さすがにどうかと思う」
リーフ  「…君ら…思春期の青少年としてなにかおかしくない?この家で正常な男子は僕だけなのか…」
リン   「あんたのエロも大概だけどね…」

賑やかな夕食は裏を返せばいくばくかの寂しさだろう。
無論嬉しさや祝福する気持ちの方が大きいが…それにもやがて慣れていくのだろうか。

302 :幼女の旗の下に:2010/12/21(火) 19:42:12 ID:+mPNy47U

310

新たな環境のもとで次第に日常が帰ってくる。
エフラムは政治活動に修行に学校に忙しい日々を過ごしていた。
そんなある日の事。
議会選挙を一ヶ月後に控えた事務所でオグマが何気なく言った一言が発端となった…

オグマ  「そういえばエフラム、お前ちゃんと進路考えてるのか?」
エフラム 「む?俺の進路は次の選挙に受かる事だが?」
オグマ  「いやそうじゃなくてだな。お前そろそろ学校卒業だろ。就職か進学かってことだよ」
エフラム 「だから俺は議員になると言ってるだろうが」
カナス  「あ…あのぅ党首…オグマさんは本業をどうするのかと言っているんですよ」
エフラム 「本業は政治家だが?」
カナス  「いえ…そうではなくてですね…議員ってのは皆さん本業を持ってる人たちが政治に携わってるんです。
      企業家や貴族が多いですけれど…こう言ってはなんですが必ず選挙に受かるってものではありません。
      落ちたらプーになってしまいますし、何よりも選挙は党首の卒業式の後になります」
エフラム 「たしかにそうだが…」
カナス  「つまり党首が就職か進学をしませんと候補者プロフィールの本業欄に無職と書かざるをえなくなります。
      正直支持者にも受けが悪いですし…」
オグマ  「お前さんの人生にもよくないと思うしな」
ターナ  「あ…呆れた…ひょっとしてまったく考えてなかったわけ?」
エフラム 「…選挙と槍の事で頭が一杯だった…」
ライナス 「それ以前にちゃんと卒業できるのか?」
エフラム 「し…失敬な! すれすれだが単位はギリギリ足りているはずだ!」
ターナ  「ならいいけど…」
エフラム 「うむむ…そういえばヘクトルの奴はガテン系の会社が決まったとか言っていたな…エリウッドは奨学金とって医大に行くとか…」
ターナ  「私とエイリークとラーチェルはルネス女学院大学部がもう決まってるわ」
オグマ  「エフラム…お前…この時期になんも考えてないのはヤバいだろ」
エフラム 「選挙に全力投球してたからな。俺は一度にいくつもの事をこなせるほど器用じゃない」
ターナ  「でも考えた方がいいわよ。いや、考えてる暇すらないわよ」

303 :幼女の旗の下に:2010/12/21(火) 19:43:06 ID:+mPNy47U

311

正直今まで重視していなかったが…回りからこれほど言われるとなんかヤバい気がしてきた。
ターナ  「も…もしなんだったら…お父様にお願いしてフレリアコーポレーションで採用してもらおうか?」
エフラム 「それはコネじゃないのか?実力で採用試験に望む連中がいるだろうにそんなマネはできん」
ターナ  「エフラムは潔癖すぎよ。入ってから頑張って役に立てばいいじゃない」
オグマ  「そうだぞ。今の就職難のご時勢にゃ有り難い話だ」
カナス  「もし進学をお考えならエレブ大学の二次募集があります。私も助教授をしてますので」
エフラム 「だから裏口入学など卑劣な真似はできん。大体大学行く金などあるか」
カナス  「いえ私は大学でも権力のある方じゃありません。裏口の面倒なんて見れませんよ。
      今からでも私が勉強を教えると続けるつもりだったのです。学費の方はバイトなり手段はあるでしょう。
      そうやって苦学して頑張ってる学生さんもいますよ?」
エフラム 「むむ…そうか…」
ダーレン 「なんならワシのエレブグランドホテルで働いて見ますかな?
      ベルボーイを募集中でしてな」
エフラム 「接客業か…俺のような愛想の無い男に勤まるか?」
ダーレン 「もちろんその辺りは研修で徹底的に叩き込みますがな」
シャナン 「流星軒の店員でもいいぞ。アイラに頼んでやろう」
エフラム 「…俺はラーメンなど作れないぞ」
シャナン 「だからレジ打ちとか注文聞きだな。ただバイト代は期待するな」
ライナス 「黒い牙に来るか? お前のように肝っ玉のある奴なら歓迎するぜ」
ターナ  「ちょっと!エフラムをヤクザに誘わないでよ!」
ライナス 「いや…ヤクザはヤクザだが…興行とかテキ屋とか平和なジャンルの事もするんだってば」
そこにサラがリワープで飛んでくる。
サラ   「いっそロプト教に入信する?教団が大きくなれば信者のお布施で生きていけるよ」
エフラム 「俺に聖職者になれというのか…」
オグマ  「死ぬほど似合わんな」
サラ   「…ま、そうなんだけどね。それにぶっちゃけうちの教団マイナーだから」
ディーク 「俺がギルドに口聞いてやろーか?エフラムの腕前なら傭兵だってやってけるぜ」
オグマ  「そりゃそうだが今は平和なご時勢だ。傭兵の仕事の少なさは俺もお前もわかってるだろが」
ディーク 「だからよ。俺の傭兵団に就職しねえかってこった。俺のとこはリグレ家と専属契約してるから食いっぱぐれはねぇぜ」
エフラム 「うーむ。それなら俺の槍を活かす事もできるか」
オグマ  「ま、まぁなんにしろ…時間は無いが大事な事だ。2、3日よく考えて…」
エフラム 「いや、迷ってる時間が惜しい。果断即決こそ武人らしさだ。今決めてしまおう」

きっぱりした口調に党の面々はある者は呆れ、ある者は感嘆するのだった。

続く

1 ターナ案を採用する  フレリアコーポレーションに入社するか、縁故採用というのが引っかかるが…
2 カナス案を採用する  エレブ大入試を目指して勉強するか、正直自信はまったくないが気合を入れないとな
3 ダーレン案を採用する ホテルのベルボーイか…俺に似合うだろうか?
4 シャナン案を採用する 流星軒でバイトするか。しかしあそこの連中は猛者ばかりだ。いい稽古相手になってくれそうだ
5 ライナス案を採用する 黒い牙に入ろう。しかし興行だのよくわからなさそうな業界だな
6 サラ案を採用する   ロプト教の聖職者になるか……まて…俺は人生の重大な過ちを犯そうとしてないか?
7 ディーク案を採用する 傭兵になるか。リグレ家ってどんな職場だろうな?
8 誰の世話にもならん  うぅむ…皆…心配してくれるのは嬉しいが自分の人生は自分でなんとかするさ!…具体的にはこれから考えるがな!

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