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Last-modified: 2007-10-10 (水) 21:08:52

超天才リオンの大発明! ~フラグ編~

 
 

リーフ  「うーん、でも不思議だなあ」
セリス  「何が?」
リーフ  「いやさ、オスティア密偵隊の人たち、フラグなんて形のないもの、どうやってチェックしてるんだろうね?」
マルス  「そりゃ、ロイが女の人と話したその場の空気とかを読むんじゃないの?」
リーフ  「それにしたって限界がありそうなもんだけどなあ。
      ほら、女の人って感情隠すのうまいしさ。ときめいてる振りして内心冷めてたりとか、ありそうじゃない?」
セリス  「そう、かなあ……?」
リーフ  「いやあ、不思議だなあ。一体どうやって……」
リオン  「その疑問には僕がお答えしよう!」
リーフ  「あ、あなたは」
セリス  「エイリーク姉さんの友達の……」
リオン  「そう、誰が呼んだか紋章町の超天才、グラド大学のリオンとは僕のことさ!」
ノール  「アシスタントのノールです」
リーフ  (なんかヤケにテンション高いねリオンさん)
マルス  (また魔王でも憑いてるんじゃないの? いつものことだしスルーしようよ)
セリス  「それで、リオンさんはオスティアの人たちがフラグ成立を察知できる理由、知ってるんですか?」
リオン  「もちろん。彼らにフラグ察知の手段を与えたのは、何を隠そうこの僕だからね!」
リーフ  「え? なになに、実はリオンさん人の心の裏を読むのがスゲー上手いとか?」
リオン  「違うよ。僕はこの画期的な装置を開発したのさ! ノール、あれを皆さんに」
ノール  「はい、リオンさま」

 

 と、ノールがうやうやしく取り出したのは、アンテナのついた細長い装置だった。
 手の平サイズのそれを、兄弟三人が不思議そうに眺める。

 

セリス  「なんですかこれ?」
マルス  「リモコンみたいですけど」
リオン  「違う違う。これの名前はね、フラグチェッカーって言うんだよ」
リーフ  「フラグチェッカー?」
リオン  「そう。たとえば……ああ、あそこにいるアイクさんに、アンテナ向けてみて」
リーフ  「こうですか?」

 

 アンテナをアイクの方に向けると同時に、お馴染みの猫娘が彼の前に立ちはだかった。

 

レテ   「おお、アイクじゃないか!」
アイク  「ん。レテか。こんなところで会うとは奇遇だな」

 

リーフ  「いや明らかに狙ってたでしょ」
マルス  「まあまあ、その辺は突っ込まずに……」

 

 ピロッ♪

 

リーフ  「あ、なんか鳴った」
リオン  「今のがフラグ成立までの第一段階を報せるアラームだよ」
マルス  「なるほど、こうやってフラグ成立を察知できる訳ですね」
リオン  「そういうこと」
セリス  (どういう仕組みなんだろう……?)

 

レテ   「あー、ところでアイク。今度の日曜日は、その……暇だろうか?」
アイク  「日曜か? ああ、仕事も休みだし、特に用事もないが……」
レテ   「本当か? セネリオとどこかへ行くとか、そういうことはないか?」
アイク  「あいつなら家族で出かけるぞ。最初は嫌がっていたが、
      『たまには一家団欒して仲良くするべきだ』と言ったら『アイクがそう言うなら』と渋々従ってくれた。
      そんな訳で、今度の日曜日に俺とセネリオが会うことはないはずだ」
レテ   「そ、そうなのか!」

 

 ピロリロン♪

 

リーフ  「なるほど、条件が一つよくなってフラグ成立までのステップが一つ消化された訳だ」
リオン  「これは第二段階だね」

 

レテ   「あー、そ、それじゃあ、アイク」
アイク  「なんだ?」
レテ   「その……今度の日曜日、わたしと一緒にピクニック……い、いや、修行に出かけないか?」

 

 ピロリロリロリロリン♪

 

リーフ  「うお、凄い音!」
リオン  「第三段階。リーチがかかったよ」

 

アイク  「修行か……いいな、それじゃあ一緒に行くとしようか」
レテ   「!!」

 

 パーパパパパー!

 

リーフ  「あ、聖戦のレベルアップ時のファンファーレだ」
リオン  「これでめでたくフラグ成立って訳さ」
マルス  「立った立った、フラグが立った!」
セリス  「良かった、これでアイク兄さんにも恋人さんが……ん?」

 

レテ   「そ、それで、場所なんだが……」
アイク  「それなら俺に当てがあるぞ」
レテ   「……なに?」
アイク  「フレイムバレルで火竜殲滅、氷竜神殿で氷竜滅却、闇の樹海で魔物千人抜き……
      時間があるときに試してみたかったことばかりだ。お前もいてくれるなら心強い」
レテ   「……」

 

 バキバキメキメキガガガガゴシカァン!

 

リーフ  「うわ、なんスかこのひどい音!?」
リオン  「あー、それはね、フラグが折れた音」
セリス  「なんで折れたときだけ一際音が大きいんですか!?」
リオン  「ほら、やっぱりこういうのはインパクトが大事だし」
ノール  「さすがリオンさま、素晴らしいアイディアです」
マルス  「ああ、活き活きしたアイク兄さんの顔と比べて、レテさんの顔の陰惨なこと……!」
リオン  「……という訳で、このフラグチェッカーをオスティアの人たちに売りつけたのさ」
ノール  「おかげで研究費が随分と潤いました」
リーフ  「いい商売ですね」
マルス  「うーん、でも確かに、ロイの動向を探るにはなかなかいいアイテムかもね」
セリス  「それ以外には使い道が思い浮かばないけど……」
リーフ  「いや、そうでもないよ。リオンさん。これ、フラグが立ちそうなときにはすぐ反応するんですか?」
リオン  「そうだよ」
リーフ  「と、いうことは、僕とおねいさんのフラグ成立の確率アップに利用できるかも……!」

 

 ピロッ♪

 

リーフ  「お、鳴った!?」
セリス  「え、ということは、リーフにフラグが立ちかけてるの?」
リオン  「そうなるね」

 

 ピロリロン♪

 

リーフ  「ああ、何もしてないのに段階が進みましたよ!?」
リオン  「うん、たまにはそんなこともあると思うよ」
リーフ  「と、いうことは、かなり脈ありのフラグということに……!?」

 

 ピロリロリロリロリン♪

 

リーフ  「うわ、リーチかかったよ! どうしよう、ねえどうしたらいいのかな!?」
マルス  「落ち着きなよリーフ。例の三人娘とのフラグって可能性もあるんだしさ」
セリス  「……でも、近くにはいないみたいだよ、三人とも」

 

 パーパパパパー!

 

リーフ  「うわー、成立した、フラグが成立したよ!」
セリス  「早すぎない!?」
マルス  「なんか、あまりいい予感がしないんだけどね」
リーフ  「くぅーっ、どこだ、どこから来るんだ、僕の運命のおねいさ」

 

 ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……

 

リーフ  「……ん? なんか頭上から音が」

 

 ズゴォォォォォォォッ!

 

リーフ  「ギャァァァァァァァァァッ!」
セリス  「なんてこった、リーフがメティオに押し潰されちゃった!」
マルス  「この人でなしーっ!」
リーフ  「げふっ、ぐふぅ……ど、どうなってるんだ!?
      ありえないよ、おねいさんならともかく隕石が降ってくるなんて……!」
マルス  「いや、おねいさんが降ってくる方がもっとあり得ないから」
リオン  「ごめんごめん、言い忘れてたよ」
リーフ  「え?」
リオン  「そのフラグチェッカーね、ありとあらゆるフラグを察知するんだよ」
セリス  「……ということは」
マルス  「……今回の場合は、さしずめ『死亡フラグ』を察知したってところかな」
リーフ  「ひ、ひでぇ……ぐふっ」
セリス  「うわーっ! クロードさーん! バルキリー、バルキリー!」
マルス  「エリス先生にオームの杖も頼んでおかないと……」

 

 ~後日~

 

リオン  「……という訳で、この装置を僕の愛の証にしてほしいな、エイリーク」

 

 ピロッ♪

 

エイリーク「……ごめんなさい、リオンの愛は正直わたしにはよく理解できないのですが……」

 

 バキバキメキメキガガガガゴシカァン!

 

 終われ。