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Last-modified: 2007-11-09 (金) 23:30:45

お隣さんいらっしゃい

 
 

リン   「ねえ大変、大変よ!」
ヘクトル 「どうしたんだリン、そんなに慌てて」
リン   「マークが帰ってきたのよ!」
エリウッド「なんだって、マークが!?」
ヘクトル 「そりゃめでてえな!」
ロイ   「なに、どうしたの、皆して」
リン   「ああ、ロイ。わたしたちの友達が、久しぶりに紋章町に帰ってきたのよ」
ヘクトル 「世界中を旅する、とか言ってたからな……懐かしいぜ、ホント」
エリウッド「何年ぶりかな、マークと会うのは……」
リン   「しかも、わたしたちのお隣に引っ越してくるんですって!」
ヘクトル 「マジか!?」
ロイ   「……いろんな意味で度胸あるね、その人」
リン   「そりゃそうよ、わたしたちの戦友だもの」
ヘクトル 「あいつとこなした数々の冒険……懐かしいぜ」
エリウッド「大変だったけどね、本当に」
ロイ   「そうなんだ……会うのが楽しみだなあ。ところで、マークさんってどんな人なの?」
リン   「マーク? そうねえ」
ヘクトル 「どんな奴か、ってか」
エリウッド「一言で言うなら……」

 

リン   「とっても可愛い女の子よ」
ヘクトル 「アイク兄貴並のマッチョな親父だぜ」
エリウッド「眼鏡をかけた、線の細い若者って感じだな」

 

ロイ   「……え?」
リン   「……ちょっとヘクトル、何訳のわかんないこと言ってんの。
      あんなちっちゃい女の子が、どうやったらマッチョな親父に見えるのよ」
ヘクトル 「それ言ったらエリウッド……あのガチムチ親父のどこに細い部分があるってんだよ」
エリウッド「リンこそ。いくらマークが細いからって、可愛い女の子呼ばわりはひどいよ」
ロイ   「ちょ、ちょっと待って! 一体どういうことなの!?」
リン   「どういうことも何も……皆、誰か他の人と勘違いしてるんじゃないの?」
ヘクトル 「馬鹿言え、あんだけ世話になっといて忘れるかよ」
エリウッド「そうだよ。僕らの一番の友達じゃないか」
ロイ   「え、えーと……じゃ、じゃあさ、紋章町にいるときは、一体何をやってた人なのかな?」
リン   「マークの職業? そうねえ」
ヘクトル 「アドバイザー、と言うか……」
エリウッド「まあ、軍師っていうのが一番しっくりくるかな」
ロイ   「へえ。じゃあ、頭もいい人なんだろうね」

 

リン   「そうね。危ないところでも、怖がって泣きべそかきながら、それでも的確な指示を飛ばす神軍師だったわ」
ヘクトル 「とんでもねえ。俺の方がまだマシなぐらいの、超絶的な脳筋軍師だったぜ」
エリウッド「それほど突出してたわけでもないかな。二人で一緒に策を練ることが多かったよ」

 

三人   「……」
ロイ   「ど、どうなってるの……?」

 
 

エフラム 「ただいま」
エイリーク「ただいま戻りました」
ロイ   「あ、二人とも、ちょうどいいところに。あのさ、二人は、マークって人……」
エフラム 「ああ、帰ってくる途中で会ったぞ」
エイリーク「お隣に引っ越してくる、とかで、ご丁寧に挨拶していただきました」
ロイ   「ど、どんな人だった?」
エフラム 「研ぎ澄まされた眼光を持つ、孤高の侍といった風貌の男だったな」
エイリーク「口ひげが立派な、上品な紳士でした」
二人   「……」
エフラム 「エイリーク、確かに礼儀正しくはあったが、あれは紳士というよりは武士だろう」
エイリーク「あんな紳士的な人を武士というのは、さすがに表現が乱暴ではないかと……」
エリンシア「ただいま戻りましたわ。お隣に越してくるマークさん、とてもお年を召された方ね。
      皆で助けて差し上げましょうね」
ミカヤ  「ただいまー! お隣のマークさん、なかなかの美形さんよね。これから毎日楽しくなりそうだわ」
アイク  「あのマークという女、どうも苦手だな。雰囲気が道具屋のララベルに似てるんだ……」
セリス  「え、マークさんって、あの優しそうなお婆さんでしょ?」
マルス  「おやおやセリス、あんな太った商人をお婆さんだなんて、どういう勘違いだいそれは?」
シグルド 「……マークという男、アルヴィス課長に似て、どうも冷徹な感じの人だな。
       やれやれ、ご近所付き合いも大変だよこれでは」
セリカ  「なによアルムったら、いくら年の近くて可愛い女の子だからって、わたしの目の前であんなにデレデレしちゃって!」
アルム  「何言ってるんだセリカ、マークはどう見たってグレイやロビンみたいな村人さんだったじゃないか」
リーフ  「イヤッホォォォォォ! マークさんって、男みたいな名前の割にはすっごい綺麗なおねいさんだね!
      神様、僕らの隣にあんなおねいさんを遣わしてくださったこと、感謝いたします!」

 

ロイ   「……どうなってんの、これ」
リーフ  「あ、そうそう。マークさんから、お近づきの印にって、こんな宝箱もらっちゃったんだ!」
リン   「へえ。相変わらず礼儀正しいわね、あの子」
ヘクトル 「あんな親父をあの子呼ばわりするなよな」
エリウッド「いや、だから彼は立派な若者で」
リーフ  「……? まあいいや、とにかく開けてみるよ。さーて、何が入ってるのかなー(パカッ)」

 

戦闘竜  「GYAOOOOOOOOO!」

 

リーフ  「ギャーッ! な、何故宝箱から戦闘竜が!?」
ロイ   「なんかどっかで見たトラップだなあこれ!?」
アイク  「クソッ、マークめ、やはり性悪な女だったか!」
セリス  「えぇ!? そ、そんな悪いお婆さんには見えなかったのに……」
マルス  「いやいや、商人というのは得てして狡猾なものだよ、セリス」
エイリーク「……紳士なりの茶目ッ気、というものなのでしょうか……」
エフラム 「あの侍がか? そんな冗談を解すタイプとも思えなかったがな……」
シグルド 「だからあんなワカメ頭は信用できんというのだ!」
ミカヤ  「冗談も分かるなんて、やっぱり素敵な人ね、マークさんったら」
エリンシア「まあまあ皆さん、マークさんもお爺さんだから、きっと寂しいのよ。怒らないであげましょうね」
セリカ  「ほーら見なさい、やっぱり悪い子だったのよ、あのマークって!」
アルム  「あんな朴訥とした男の子が? うーん、そうは見えなかったけどなあ」
ヘクトル 「あの親父、きっと俺らに『竜を捕まえたぞ!』って自慢したかっただけに違いねえ!」
リン   「違うわよ、間違って捕まえちゃって、どうしていいか分からなくてわたし達に相談したかったのよ!
      結構ドジっ娘だったもんね、あの子」
エリウッド「彼がこんな悪趣味な悪戯をするとはとても思えないんだけどなあ」

 

ロイ   (一体何者なんだ、マークさん……)