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Last-modified: 2008-01-16 (水) 20:41:42

旗立つ日は遠く

シグルド 「ああ……どうして振り向いてくれないんだ、ディアドラ……!」

リーフ  「……またやってるよ、シグルド兄さん」
ロイ   「その言い方はひどいよリーフ兄さん」
セリス  「でも、実際不思議だよねえ。お互い好き合ってると思うのに、どうして二人の仲は進展しないんだろう」
マルス  「それについては僕がお答えしよう!」
ロイ   「あ、マルス兄さん」
マルス  「そう、僕の名はマルス……! FEシリーズ初代主人公にして、紋章町の生き字引と名高い青髪紅顔の美少年……!
      ありとあらゆる謎を解き明かす紫色の脳細胞と、リメイクを重ねてどんどん変化していくヴィジュアルが売りの多彩なイケメンさ!
      そんな僕の今日のクラスは解説のお兄さん! さあなんでも聞いてくれたまえボーイたち!」
セリス  「わぁ、凄いなあ」
ロイ   (なんかヤケにテンション高いな……)
リーフ  (放っておこうよ、突っ込むのも面倒だし)
セリス  「それでお兄さん、どうしてシグルド兄さんとディアドラさんの仲は進展しないの?」
マルス  「いい質問だねセリス君! それに関してはまずこの映像をご覧頂こう!」

 ~数日前~

シグルド 「よし、では行ってくる!」
セリカ  「ディアドラさんとのデートなのね」
シグルド 「その通りだ! 今夜こそ、今夜こそは彼女の瞳に乾杯してみせる……!」
セリカ  「うん、頑張ってね兄さん! そして早く婿養子としてこの家から出て行って!」
シグルド 「ははは、あまり応援されている気がしないがありがとうセリカ! それでは行ってくるぞ!」

シグルド 「うむ、まだまだ時間には余裕があるな。二時間ぐらい。女性を待たせるのは失礼だからな!」
ヒブッティ「げへへへ、いいじゃねーかよー」
マーシャ 「近寄らないで、けだもの……!」
シグルド 「む……! 天馬騎士の少女が暴漢に襲われている! 待て貴様、その子を離せ!」
ヒブッティ「ぶひゃ!? なんだ貴様は!?」
シグルド 「うるさい、とっとと失せろ。わたしは貴様のような輩が一番嫌いだ」
ヒブッティ「ナメやがって! 野郎ども、やっちまえ!」
シグルド 「クッ、だが大丈夫、まだまだ時間はある……! 目の前で悪行が行われようとしているのを見過ごすわけにはいかん……!」

マーシャ 「ありがとうございました。あの、お名前を……」
シグルド 「ははは、なに、通りすがりのサラリーマンですよ。では失礼!」

シグルド 「ふう……なんとか退けることが出来たか。時間は……まだ一時間はあるな。大丈夫大丈夫……」
ターナ  「やめてっ、離してっ、けだものっ!」
ゲブ   「げへへへ、俺の足の臭いを嗅いでみろぉ」
シグルド 「む……! またも天馬騎士の少女が……! 目の前で悪行が行われようとしているのを(ry 待て貴様、その子を離せ!」
ゲブ   「ぶふぅ? なんだぁ、お前はぁ?」
シグルド 「うるさい、とっとと失せろ。わたしは貴様のような輩が(ry」
ゲブ   「ナメるなぁ! 野郎ども、やっちまえぃ!」
シグルド 「クッ、だが大丈夫、まだまだ時間は……!」

ターナ  「ありがとうございました、あの、お名前……」
シグルド 「ははは、なに、通りすがりのサラリーマン(ry」

シグルド 「ま、まずい、段々時間が……だがあと三十分はあるし」
エスト  「いやーっ、離してーっ!」
ギース(外伝)「いいじゃねえか、ちょっと俺と砂漠でランデブーしようぜぇ」
シグルド 「む……! ま、またも天馬騎士の少女が……! 目の前で悪行(ry 待て貴様、その子を(ry」
ギース(外伝)「なんだテメェは!?」
シグルド 「うるさい、ととっと(ry わたしは貴様の(ry」
ギース(外伝)「野郎ども、やっちまえ!」
シグルド 「クッ、早く片付けないと時間が……!」

エスト  「ありがとうございました、あの、お名前……」
シグルド 「ははは、なに、通りすがりの(ry」

シグルド 「ぐわぁっ、に、二時間も早く家を出たのに、もう約束の時間……! まずい、まずいぞ、すぐに急行……!」
ブラムセル「よいではないか、よいではないか」
リーン  「ちょっと、触んないでよ変態!」
シグルド 「今度は踊り子か! ええい、目の前(ry 待て貴様(ry」
ブラムセル「なんだ貴様は!?」
シグルド 「うるさい(ry わたしは(ry」
ブラムセル「ものども、やってしまえぃ!」
シグルド 「ええい、時間がないと言うのに!」

リーン  「ありがとおじさん、名前……」
シグルド 「ははは、なに、通り(ry」

とまあ、こんなことを繰り返すこと数回。シグルドが約束の場所にたどり着くころにはすっかり日も落ちて……

ディアドラ「……」
シグルド 「はぁ、はぁ、はぁ……でぃ、ディアドラ!」
ディアドラ「……シグルドさま。約束の時間は、確か5時間ほど前でしたよねえ……?」
シグルド 「す、すまない! 全てわたしが悪い! この埋め合わせは必ず……!」
ディアドラ「もういいです! 今日はこれで失礼させていただきます!」
シグルド 「ま、待ってくれディアドラァァァァァッ!」

マルス  「……とまあ、毎回こんな感じなわけだね!」
リーフ  「……僕とは違う意味でトラブル遭遇体質だもんなあ、シグルド兄さん……」
ロイ   「なんというか……」
セネリオ 「ひどい有様です」
ロイ   (……もうあえて突っ込まないぞ僕は……)
マルス  「これじゃあ仲が進展するはずもない! という訳で、この謎の解説はここまでなんだね!」
セリス  「うーん……遅れた言い訳しないのは凄く立派だと思うんだけどなあ……」
リーフ  「あの状況じゃ何言ったって同じだよ……でも不思議だね」
ロイ   「何が?」
リーフ  「いや、毎回これじゃ、仲が進展しないどころか普通に破局してると思うんだけど……」
ロイ   「そう言えばそうだね」
リーフ  「一体どういうことなんだろう?」

 ~某所~

アルヴィス「……という訳で、シグルドが遅れたのにはこういった理由があったのだよ」
ディアドラ「ちっとも知りませんでした……ああ、それなのにわたしったら……シグルドさまにお詫びをしなければ」
アルヴィス「必要ないさ。彼が約束の時間に遅れたのは事実だ。侘びなど入れてはかえって気を遣わせるだけだろうよ。
      あの男は、どんな事情があろうと全面的に自分が悪いと思っていることだろうからね」
ディアドラ「でも……」
アルヴィス「……君の気が済まないのなら、彼が侘びを入れてきたとき、すぐに許してあげたまえ。それでお互い気持ちにしこりは残らん」
ディアドラ「……そうですね。ありがとうございますアルヴィスさま、あなたが教えてくださらなければ……」
アルヴィス「なに、友人として当然のことをしたまでだ。それでは失礼する」

アイーダ 「……よろしかったのですか、アルヴィスさま?」
アルヴィス「なにがだ?」
アイーダ 「いえ……戦略的に考えて、ここは黙っているべきだったのでは……」
アルヴィス「ふん……トラバントではあるまいし、そんなハイエナのような真似は出来ん。
      シグルドとは、あくまでも正面からやり合って、その結果勝利せねば意味がないのだよ。
      幸運や相手の落ち度で勝ったと思われては、わたしの沽券に関わるのでな」
アイーダ 「はあ……」
アルヴィス「安心しろ、そんな汚い真似などしなくても、最終的にはこのアルヴィスが勝つよ!」
アイーダ (……甘いお方だ。これが命取りにならなければいいが……)