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Last-modified: 2008-01-16 (水) 20:32:37

 ~紋章町・某所~

リーフ 「ルーテさん例の物は?」
ルーテ 「ここです。どうぞ」

 そう言ってルーテは小包を開けた。中から出てきたのは小槌。

リーフ 「これが…!」
ルーテ 「はい、リオン教授お手製の、これで叩いた物が小さくなるという小槌です」
リーフ 「ツッコミたいところだらけだけど置いておいて…どうもありがとう」
ルーテ 「報酬は…」
リーフ 「わかってるよ。
     リオンさんにはこれを使っての成果と、エイリーク姉さんの隠し撮りプロマイド。
     ルーテさんには今度の原稿手伝い。これで良いんだよね?」
ルーテ 「はい。あとはリーフさんがどのように利用されようとこちらは干渉いたしません」
リーフ 「ひゃっほーーーいっ!これで素敵なおねいさんたちの着替え………
     いやいやもしかしちゃうと風呂をn(ブバァァァァァ!)」
ルーテ 「風呂覗きは小さいと湯気で見えないオチになりそうですが」
リーフ 「ふふふ、ふふふふふふふふ」
ルーテ 「鼻血垂れてるといっそう不気味ですね」
リーフ 「ひゃっはーーっはっはっはっはっはーー!」
ルーテ 「あ、一つ言い忘れてたことが」
リーフ 「小さいって素敵だぜーーっ!」

 そのままどこかへ駆けていくリーフ。その姿は直ぐ見えなくなった。

ルーテ 「…行ってしまいました。まぁ後で追い掛けましょう」

 ~兄弟家~

リーフ 「ふふ、笑いが込み上げてくるぜ」
ミカヤ 「あらリーフおかえり……ってニヤニヤしてどうしたの?」
リーフ 「ミカヤ姉さん。ふふふ、これが笑わずにいられると思うかい?」
ミカヤ 「何言ってるのよ。それにそれは何…?」
リーフ 「僕はこれを使って違う世界へ行くのさ。(その世界で)
      僕 は 神 に な る !
     邪魔しないでくれ、姉さん」

 リーフはそう言って部屋へと入っていった。一人ミカヤが残される。

ミカヤ 「……どうしましょう、リーフが違う世界へ行ってしまったわ…!!」

 ~リーフの部屋~

リーフ 「さて、鍵もかけて一人になった所で改めて考えてみると、これは使い方に気をつけないとな」

 小槌を見るリーフ。

リーフ 「おねいさんたちの裸を見る前に何かしら作戦やら対策やらを考えとかなきゃまずいよなぁ………
     だけどまずは試しに…」

 そしてその小槌で自分の頭を叩いた!瞬間目を閉じたリーフ。だが痛みはしない。
 そぉーっと目を開けると目の前には先ほどの小槌が落ちていた。そのサイズは、大きい。

リーフ 「よっしゃーー!成功!!ひゃっほーーー!
     さすが天才リオンさん!これじゃディアドラえもんも涙目だぜっ!!」

 リーフは叫びながら小槌を蹴る。勿論小槌はびくともしないが。すると…――

ミカヤ 『わたしどうしたらいいのマルス…!』
マルス 『まぁまぁ落ち着いてよミカヤ姉さん』
ロイ  『そうだよ、まだそうと決まったわけじゃないし…』

 ドア越しに声が聞こえてきた。

リーフ 「げっ!マルス兄さんは特にやばいぞぉ……けど鍵かけたし…」

ミカヤ 「あの子不気味なくらい笑ってて。しかも小槌で違う世界に行くとか神になるとか言い出して…!」
マルス 「神ねぇ」
ミカヤ 「色々思い悩んでいたのかしら?ドアの向こうで何を…
     はっ!まさか自害なんかでもしてるんじゃ!?」
ロイ  「(思い悩む原因はかなりあると思うけど)
     兄さんは小槌で自害するような人じゃないよ」
マルス 「そうそう、リーフに限ってそれはないですって」
ミカヤ 「だけど…」
マルス 「大丈夫。それは僕が保障します」
ミカヤ 「本当?けど違うにしても心配で……」
マルス 「それなら僕が見てきますから、ね?だから姉さんは落ち着いてて」
ミカヤ 「そ、そうよね。まずは落ち着かなきゃ…お願いねマルス」
マルス 「わかってます。さて、ロイもついてきてくれ」
ロイ  「う、うん。………けどやっぱりミカヤ姉さんは家族のことになると凄いね」
マルス 「ミカヤ姉さんは家族には極度なまでに心配性を発揮するからね。
     まぁそこが姉さんの良いところだけど。さて」
ロイ  「リーフ兄さんの部屋…」
マルス 「問題はこっちか」

ロイ  「リーフ兄さーん!いないのー?兄さん入ちゃうよー?」

 ドアを叩くが反応はない。なのでノブを回すがガチャリと音がした。

ロイ  「んー、やっぱり鍵かかってるよ」
マルス 「ま、中にいるってことになるけど」
ロイ  「どうする兄さん?
     一回戻って取り出すのは大変だけど臨時用に保存してある部屋の合鍵もらってきて…」
マルス 「よっと」

 マルスはどこからか鍵を取り出し鍵穴に入れた。

ロイ  「ちょ、それは臨時用のだよね?事前に兄さんが借りてきてたんだよね?
     勝手に作った合鍵とかじゃないよね!?僕の部屋のもないよねっ!?」
マルス 「ほらほら、ドアを開けるよ…」
ロイ  「う、うん…(深くは追求しないけど、日記とか見られてないよね?)」

 そしてマルスはドアを開けた。一方その頃リーフは…――

リーフ (な、何ー!?はっ!しまった臨時用のやつか!?ってそんな場合じゃない!急いで隠れないと…!)
ロイ  「兄さん入るよ?」
リーフ (やべぇーーっ!)
ロイ  「あれ?」

 部屋に足を踏み入れたロイだが、部屋には誰もいなかった。
 一部散らかりつつもリーフらしく綺麗に整頓された物々がある。

ロイ  「本当にいないの?――ってうわっ何あのポスター…」
リーフ (よしっ!ロイが気を取られてる今のうちに……ん?)

マルス 「………」

リーフ (ってめちゃめちゃこっち見てるぅー!?やばい!やば過ぎる!
     どうする僕!どうするよ僕!続くっ!!っじゃなくて…!)
ロイ  「さすがリーフ兄さんの部屋。ってマルス兄さん何を見て…何コレ?」

 ロイがマルスの視線を追うと不思議な物が目に入った。
 一つは不自然に落ちている小槌。これはおそらくミカヤが言っていた物だ。もう一つは…

ロイ  「リーフ兄さん…型のフィギュア?」

 小槌よりも更に小さいリーフの形をした物だった。その動きは不自然に止まっている。
 今にも駆け出そうとしていたように見られる。勿論これはリーフ本人だ。

リーフ (とにかく動かずにやり過ごさないと!
     マルス兄さんにこの小槌の正体が知れ渡ったらどうなるかわかったもんじゃない!)

ロイ  「何か凄く精巧だね。もしかしてリーフ兄さんこれ作ってたの?小槌はよくわからないけど」
マルス 「……そうだね」
ロイ  「神になるってフィギュアの世界でって意味なのかなぁ。もしそうならある意味ヤバイような…」
マルス 「……そうだね。そんなことになるとミカヤ姉さんが悲しむから…」
リーフ (や、嫌な予感…!)
マルス 「これはリーフがいない間に壊しておくか」

リーフ (やっぱりぃー!)

ロイ  「べ、別にわざわざ壊さなくてもいいんじゃないかなぁ?折角凄い物なんだし」
リーフ (そ、そうだ!頑張れロイ!)
マルス 「わかってないなぁ、ロイ。そんなこと言って取り上げたりするだけじゃリーフは懲りないよ。
     姉さんを心配させたんだ、やるなら思い切りいかないと」
ロイ  「けど…」
マルス 「僕だって残念には思うけど、今これを壊さないとリーフは一生僕らの世界に還ってこれなくなる」

リーフ (寧ろ還ってこれなくなるんですけどぉー!)

ロイ  「そうなのかな…」
マルス 「そうだよ。だからリーフには悪いけど…」
リーフ (!?)
マルス 「思い切りいく!」

 そうやってマルスは上げた足を思い切りリーフ目掛けて振り下ろした。

リーフ 「ギャァァァァァァ!」

ロイ  「え?今リーフ兄さんの悲鳴がしたような」
マルス 「気のせいだよ。しかし中々堅いフィギュアだなぁ」
リーフ (死ぬ、もう死ぬ。この大きさじゃマルス兄さんの足を支えられないっ!
     けど力を抜いたらやばい!バルキリーの杖があるからってやばい!)
ロイ  「ね、ねぇマルス兄さん…」
マルス 「何だいロイ?」
リーフ (もうわかった!バレても良いから元に戻ろう!つーかもうバレてるっぽいし!元に…――)
ロイ  「それってやっぱり…」
マルス 「やっぱり?」
リーフ (!? どうやって元に戻るのコレー!?
     ルーテさん戻り方言ってたっけ!? もう一回小槌!? どのみち無理だぁーっ!!)
ロイ  「それって…」
リーフ (誰かぁー!誰か助けてくれ!助けて下さいっ!部屋の中心で叫びますから!
     頼む!悪かった!僕が悪かった!馬鹿にして悪かった!もうしない!だから…)
マルス 「それって?」

リーフ 「助けてディアドラえもーーんっ!!」

ロイ  「や、やっぱりリーフ兄さんの声だよっ!」
マルス 「何言ってるんだいロイ。リーフが小さくなるわけがないだろう(棒読み)」
リーフ 「もう説明するから!説明するから許してマルス兄さんっ!誰かっ!誰かぁーっ!」

ルーテ 「優秀なルーテが助けに来ました。レスキュー!」
ロイ  「うわぁ!?ルーテさん!?いきなり後ろに現れないで下さいよ!
     っていうか自分で優秀言うんですね」
ルーテ 「私、優秀ですから」
リーフ 「助かった……ぐふっ」
マルス 「……ルーテさん、邪魔しないで下さいよ」
ルーテ 「普段ならそうしますが、今回はあとで訴えられても面倒でしたので」
ロイ  「どういうこと?」
ルーテ 「リーフさんが目覚めるまでに説明しましょう」

ロイ  「つまりリーフ兄さんは小さくなって色々やろうと思っていたと」
ルーテ 「はい」
ロイ  「そしてルーテさんはリーフ兄さんにまだ戻る方法がないことを伝えられなかったと」
ルーテ  「はい」
ロイ  「そういうことですか…」
ルーテ 「リーフさんにもう暫く待っていただくようリオンさんから言われていたんです」
リーフ 「だったら最初に言ってくださいよ…」
ルーテ 「言う前に行ってしまわれたので」
マルス 「自業自得だよリーフ」
リーフ 「マルス兄さんさっきのことといい、怒ってますよね?」
マルス 「勿論。君が僕に知られないようにしなくては、と考えていただろうから余計にね」
リーフ 「……そうですか」

ロイ 「うーん、小さいとどうも会話しにくいなぁ」
リーフ 「あのぉ、ルーテさん?」
ルーテ 「何でしょうか?」
リーフ 「コレいつ戻れるんですか」
ルーテ 「リオンさんが今急いで元に戻る小槌を開発しています。
     明日には完成したいとおっしゃってました」
リーフ 「それじゃあ今日は僕小さいまま!?」
ルーテ 「そうなります」
ロイ  「レストとかは?」
マルス 「リオンさん最近レスト対策してるらしいからね、無理じゃないかな」
リーフ 「そんなぁ…やっぱり僕はこうなる運命なのか」

ロイ  「けどミカヤ姉さんはどうしよう。
     凄く心配してたのに、小さくなりましたなんて言ったら…
     かといっていませんでした、も駄目だし」
マルス 「案外大丈夫だったりするかも知れないよ。逆に食費は浮くし」
リーフ 「ルーテさん何か手はないの?優秀なんだしさぁ…」
ルーテ 「そうですね、簡単なのは出掛けた、でしょうか。どこかにお泊りとかそういう理由で…」

サラ  「…リーフのピンチを受信……」
ロイ  「またいつの間にか後ろに!?」
ミランダ「ちゃんとミカヤさんに許可はいただきました」
ナンナ 「本当にリーフ様が小さい…」
ティニー「大丈夫ですかリーフ様?」
リーフ 「…何だろう。また嫌な予感」
マルス 「ちょうど良いじゃないかリーフ」
ルーテ 「そうですね、ピッタリかと」

ナンナ 「それではリーフ様は我が家で開かれたお泊り会に招待されたということで…」
リーフ 「う、うん…」
ティニー「お兄様に今日は泊まると連絡しなくちゃ」
リーフ 「な、何で連絡?うちに泊まるの?」
ミランダ「何言ってるの。ナンナの家に泊まるに決まってるでしょ」
リーフ 「何で!?そういう名目で僕はこのまま部屋にいる方が…」
サラ  「…小さいリーフ……弄らなくちゃ…」
リーフ 「やっぱりこうなるの!? ギャァァァー!やめろ!放せっ!放せぇぇ!」
四人  「お邪魔しましたー」

ロイ  「……行っちゃった」
ルーテ 「さて私も帰ります。明日また来ますので」
マルス 「この小槌はどうするんですか?」
ルーテ 「そうですね、色々問題が有りますからリオンさんの所へ持って行きます。では…」
ミカヤ 「あら、ルーテさんいつの間に?」
ルーテ 「お邪魔しました」
ミカヤ 「え?あ、さようなら。
     えーと二人とも、リーフはどうだったの?」
マルス 「あぁ、大丈夫ですよ」
ロイ  「まぁ大丈夫は大丈夫かな」

マルス 「リーフは今日ナンナの家で開かれるお泊り会に行ったよ。今日は帰らないって」
ミカヤ 「えぇ!?さっき四人と一緒に出て行ったのかしら?けどそんな急に…」
マルス 「どうやら急に決まったみたい。それに笑ってたのはそれが楽しみだったからみたい」
ミカヤ 「そうなの…けど小槌は?」
ロイ  「えっと、あれは小槌に見えたピコハンなんだよ!きっと遊びで使うんだよっ!」
ミカヤ 「よくわからないわね。結局神発言も何だったのか。
     けどそう。心配いらないのなら本当に良かったわ」

ロイ  「ねぇ、マルス兄さん。連れてかれたリーフ兄さんどうなったんだろう」
マルス 「そうだね、健全な想像でもしておくかい?」
ミカヤ 「二人共、今度は夕飯準備手伝ってー」
二人  「はーい」

 ~ナンナの部屋~

ナンナ 「さぁリーフ様、次はこの服を!」
リーフ 「もう何着目!?」
ミランダ「いいえ!次はこの服がいいわ」
リーフ 「いいわって女物じゃいか!」
ティニー「私何だか懐かしいです。こうやって人形を着せ替えするの」
リーフ 「僕は人形じゃないっ!」
サラ  「さぁ…着替えたら仲間入りよ…」
リーフ 「仲間入り…?」
ナンナ 「これです」

 そう言ってナンナが取り出したのは大きな家。ただしそれはリーフから見て。

リーフ 「それはまさか…」
ティニー「はい、シル○ニア○ァミリーセットです」
リーフ 「そんなのの仲間入りなんてお断りだよっ!!」
サラ  「リーフ…神になるんでしょ?」
リーフ 「ちょ、何でそれを」
ミランダ「特別にリーフを神ってことにしてあげるわ」

四人  「だから…さぁ!」

リーフ 「違うっ!僕が望んでたのはそんな世界でじゃない!ええい、今日一日分込めて叫んでやる!
      こ の 人 で な し ー っ ! ! 」

 おわってくれ