英語のお勉強/キクタンリーディング批判

Last-modified: 2008-10-05 (日) 21:35:13

キクタンリーディング偏向コラム批判

英語の参考書としては良い

あらかじめ言っておくと、英語参考書としては、この中年オヤジにとって、デキのよいものだったと言える。明るいページで見ていてたのしいし、とくにBasicはこれのおかげで英語の勉強を本気でやり直そうと思わせてくれた。やり遂げるのも苦痛ではなかった。
しかし、コラムその他で間違った事を堂々と話している部分では完全に辟易した。

Basic

おおむね、このBasicの思想はAdvancedの偏向とも共通している。つまり著者が一緒なので偏向具合も同じなのだろう。

Day 35 - Alternative Medicine

代替医療はなぜ「代替」なのかをよく考えるべきである。効果が認められないから「代替」なのである。効果が認められれば、それは代替などではなく純粋な医療となる。代替医療はおおむね「トンデモ」ばかりである。「唯一の危険は病院で見てもらうべき病状を代替医療に頼ってしまうことだ」などということでは決してない。代替医療はカルトへつながる思想だから危険なのだ。

この代替医療のコラムをはじめに見つけたときには本当にヤレヤレ感だけが残った。西洋の考えはすべからく正しいと信仰する日本人を増やしてどうする。代替医療批判は「人はなぜエセ科学に騙されるのか」(カールセーガン著、新潮文庫)に詳しい。

Day 42 - Genetic Engineering

遺伝子操作により作物を安価に作れるようになったが、「安全に懸念を示されているという事実」があるのだそうな。これも、西洋かぶれの考え方で、遺伝子操作=危険という考え方そのものが安直にすぎる。たとえば野生のバナナは種ばかりで実も小さく、とても食べられないが、品種改良により、今の形となった。品種改良と遺伝子操作と、本質的な差は何もない。

安全性に懸念を示しているという人種がどういう人種なのか、調べてみるべきであろう。そっちのほうが、遥かに面白い結果となる。

Day 44 - Computer VS Humans in Chess

有名なカスパロフ vs スーパーコンピューターディープブルーの対戦について。「高度な機械の知能が人間の知能を超えた瞬間だったかもしれない。」だそうですが、んなわけあるか。機械の方がどんな人間よりも優れた働きをすることはごくごく普通の事だ。それが歴史と人気のあるチェスという舞台だったから大きなニュースになっただけ。

Day 50 - Environmental Pollution

汚染は「企業や政府が」取り組まなくてはならない問題なのだそうです。そして、「我々は未来をあきらめる必要は全くない」なのだそうです。そもそもなんともない未来を、あきらめさせるような思想を広めているのはいったい誰なのでしょうか。ここまであからさまなマッチポンプは初めて見ました。

西洋にはキリスト教のカタストロフィー思想が根強いという、単純な構造を知っておくことは有益でしょう。

Day 51 - Nuclear Energy Policy

産業界やマスコミ、そしてこのキクタンリーディングには「石油はいずれ枯渇する。CO2も多く排出する。これに代わるエネルギーを見つけなければならない」という思想を広めようと躍起になっている。

この問題は実は原子力発電により既に解決済みであるという単純な事実があるが、このコラムのように「やむなく原子力発電を受け入れざるをえなくなっている」との思想も、同時に広めようとしているからうんざりである。

原子力こそ、実用的かつ安価。それに全く知られていないが安全なエネルギーなのである。「人は放射線になぜ弱いか―少しの放射線は心配無用」(近藤宗平著、講談社ブルーバックス)に詳しい。本書で、私は放射線よりも、無知が人を殺すと知った。

Day 53 - Doctors Without Borders

国境なき医師団の活躍。国境なき医師団はすばらしい働きをしている事に全く異論はない。だけれども国境なき医師団がNPO、NGOだったからといって、NPO、NGOがすばらしい働きをするものだという事には全くならない。アルクのNPO、NGO賛美はAdvancedの方が顕著。

Day 55 Immigration Policy

労働力不足の解消するため、移民を受け入れろという考えを示している。なんて非現実的な思想だ。ただでさえ、アレでアレな国がアレだというのに。

Advanced

Day 14 - Feminism Today

ここでは、「読解のストラテジー」の項にある、「PC」(Political Correctnesss)について突っ込む。PCとは何かといわれれば簡単。「なんとかman」となっている英語をぜんぶ「なんとかperson」にしちゃおうという、アメリカ限定の運動のこと。アルクがいうように、「たとえば英語では」といっているが、そんな広く行われている運動ではない。アメリカのマスコミだけが好んで使っているようだ。(ちなみに、英国のThe Economist誌では未婚既婚の女性いっしょにあらわす「Ms.」さえ使っていない。)

これに触発された馬鹿日本マスコミが(たとえば、「日経何とか」いう雑誌)『ビジネスパーソン』という新日本語を使ったりしていて、とても滑稽。サラリーパーソンとは言い換えないんですかね。

Day 15 - What is an NPO?

アルクはNPO、NGO賛歌である。これほどばかばかしいレッテル貼りはやめてもらいたいものだ。NPO、NGO団体の活動はすべて良いものだ、なんてことは一切ない。手段が目的化したり、外部からの監視が行き届かなかったりで、暴走してしまうかもしれないのだ。このあたりは、山形浩生氏が以前から警笛をならしている。http://cruel.org/econ/idiotngo.html とか。

Day 28 - Aroma Therapy

アルクは代替医療賛美である。カルトにさえつながる疑似科学を広めるのはやめてもらいたい。この英文のコラムはむしろ代替医療の危険性を説くものであるのに、解説の「読解のストラテジー」では、「代替医療を取りいえる医療機関も増えてきているので、注目しよう」なんだそうです。やれやれである。

Day 29 - H5N1 Flu Virus

鳥インフルエンザの感染が確認された鳥が一匹でも見つかるとその養鶏場すべての鳥が抹殺されるそうな。それを取り上げて、「その脅威の大きさがわかる」んだそうです。

鳥インフルエンザが見つかると、そこの全部の鳥を処分するのは単なる人間の責任逃れでしかない話であって、脅威を証明するものではないと思うが。

Day 30 - The Terminal Illness

BSEは大変危険な病気だ。という恐怖をあおってます。世界で163人しか死んでいない病気で、かなりレアケースであるということも知っておくべきでしょう。このオーダーの確率を怖がるくらいなら、隕石に当たって死ぬことを怖がるほうがはるかに合理的。

Day 37 - Genetic Engineering

だから、遺伝子操作は分子構造が安全なものである限り、それは安全な食品である。そして、安全性に懸念を示す人はどういう人なのか。だいたい、遺伝子改良食物は、食糧不足を解消する一手段でもあり、のちにふれる食糧不足問題に対する有力な回答だと思うのだが。

Day 38 - Natural Selection in Human Evolution

「人間とチンパンジーは見た目はぜんぜん違うものの、DNAの99%は一緒である」だそうです。見た目、ぜんぜん違いますかね。かなり似てますが。「ぜんぜん違う」とは「楓の木と人間」「トンボと人間」ならわかりますが。

「人間とチンパンジーはぜんぜん違う。われわれはサルじゃない」と思いたがるのはキリスト教原理主義者が考えがちで、欧米では根強い考え(らしい。) 日本人なら、「人間とチンパンジーは似てる」と臆することなく言おう。

Week 8 Review - Chimps Using Tools

またキリスト教的誤解です。チンパンジーは道具を使ったりしません。棒(道具)を使ってえさをとったり検査をしているように見えますが、そもそも「道具」の定義が違います。「ある目的を持ってあらかじめ作られてあるもの」が道具で、紙を切るためにハサミはあり、食品を切るために包丁はあるのです。そのへんの棒は特定の目的でつくられたものではないので、道具を使っているとはとてもいえないのですな。

この辺は生物学的には常識で、議論を続けている研究者がいることになっているが、かなり変わった研究者がいるということでしかない。

Day 42 - The Population Problem

発展途上国に「食料が不足するから人口減らせ」と訴えることが必要なんだそうな。ここまでのエゴには吐き気さえ催します。なぜこんな文をマトモに載せるかね。

途上国には「食料足んなくなるから人口減らせ」というくせに、「遺伝子組み換え食料には安全性に懸念が示されている」と根拠のない宗教を振りかざすのはいったいどういうことか。

Day 44 - No oil? No Surprise.

石油が枯渇するって?枯渇しないから安心してくれ
このほか、「環境問題をあおってはいけない」など。