オーディオ

Last-modified: 2021-05-31 (月) 21:58:53

2021-05-31

聞いたこともねえ会社が老人を騙して金を巻き上げる商売。それが高級オーディオの神髄と思っていたが、どうやらまちがいのようである。日本の有名メーカーでさえ、なぜかいつのまにやら爆笑機器を発売していた。ソニーのSDカード高音質モデル(音質向上効果を実現または実感できることを保証はしません)SR-64HXA 以来の衝撃製品である。

それが、パナソニック製!USBパワーコンディショナー!SH-UPX01 !

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これはあらゆるオーディオ機器のUSB-Aコネクタにぶっ刺すと音質向上される製品だそうです。当該製品紹介のWebサイトを見てもなにを何するのかさっぱりわかりません。Webサイトを制作した人も困っただろうことがうかがえますがとにかくすごい。SEコンデンサーというものを使っているらしく、「ヒマラヤ山脈産の高品質なルビーマイカフィルムを特殊な構造で積層し一体化」したんだそうです。ただのフィルムコンデンサーじゃなんです。ヒマラヤ山脈産のルビーマイカフィルムをつかっているので、その辺の日本の安物フィルムとは全然違うってわけです。って何が??

例によって、ご老人たちは大喜び。絶賛の嵐。違いが判らない貧乏人をバカにしつつ、俺たちは違いが判るんだぜ、との記事がたくさんあって非常に面白い。そういったウェブサイトのなかには、「これは音質向上のための電源ノイズ除去のための製品だ」という触れ込みで売っているにもかかわらず、プロジェクターのUSB端子にぶっ刺して「画質向上がみられた」と、誇らしげなおじいちゃん。お金が余っているんだなあ。すごいなあ。お疲れ様です。

2021-05-15

オカルトはこのインターネット時代を経てもなくならない。

https://www.youtube.com/watch?v=wa2_6dRm5TA

アナログな高級部品のことはよくわからないので、まあ良い音がするというのであればよい音がするのでしょう。ただし、ことデジタルの話になると話は全く別である。

謎仕様でよくわからないがたぶん単なる3TのDLNAサーバー(税抜65万円!)
https://www.dela-audio.com/product/n10/

ルーターとDACの間に挟むと音がよくなるという、たぶんただの中継器(税抜58万円)
https://sonore-audio.jp/Signature_Rendu_SE_optical.html

音が変わるはずのないものに対して音が良くなったと主張することで、その評論は誤った評論であることが確定してしまったわけです。デジタル時代はいやおうなく容赦なくこういうことをさらけだしてゆくもので、感覚だけでごまかせた時代を経たご老人にとっては残酷な時代であると感じざるを得ないです。

それはともかく、アーロンチェアに腰掛け、高価なオーディオ機器に囲まれているというだけで多幸感に包まれるご老人が存在するのだから、それはそれでご老人の道楽としては悪くないのかもしれないと思っているところ。お金が余って仕方がない、お金の使い方がわからない、こういうご老人は案外に多いのかもしれない。だとすると、もしこういう「高級オーディオ」が存在しなかったなら、これらに費やされるお金はきっとご老人の自宅内でタンス預金され、無駄金となって死蔵されていたであろう。「高級オーディオ」はこういうお金を社会に還流させるためのものだと考えればよいのではないか。と最近では考えが変わってきている。

追記

DLNAじゃなくてSMBで音楽を転送するのは「画期的な・革命的な」方法なんだそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=mlELe2YRA04

「5万円の機器も500万円の機器も、数値的なスペックはほとんど変わらない・全く一緒である。だから、実際に違いを聞いてもらわないとわからないのだ」だそうです。俺には転送方式の違いも聞き分けられる耳があるんだ、わからない奴はわからないんだ、という老人の欺瞞が見えてきて大変面白い動画だった。

はっきり言おう。この動画でメーカー側のお兄ちゃんは、確実にわかっててやっている。老人に間違ったことは一言も言っていないのだ。間違ったことをいっているのは老人だけである。

さて、この老人はわかっていて宣伝のためにこんないい加減なことを言っているのだろうか。それとも、本当にいい音だ、500万円の価値があるんだ、と思って言っているのだろうか。わからなくなってしまった。本当に、黒澤映画『羅生門』の突きつけた問いは深いものだと改めて思ったり思わなかったりしたのでありました。

2020-05-30

エフェクターのハンダを変えると音が変わると主張する人が出てきた。

https://www.youtube.com/watch?v=1VQp_0pbEyo

音の違いは正直わからないが、まあ変わっているというのであれば変わっているのでしょう。しかしたとえそうだとしても、それはハンダ熱による部品特性変更の影響である。(ハンダ成分の違いなど微々たるもの。基板上の部品とプリント基板線を結ぶほんのわずかな距離をつなぐハンダを変えたところで、電気的には何の影響もない。あったとしても精密な測定装置で検出できるかどうかの違いであろう。しかし熱による部品の特性変更はそれに比べてはるかに大きいのだ。半導体やコンデンサはそれが顕著)

デマというのものはこうやって、公正っぽいことを根拠にして広まるのだなあと感心。当該動画はいわゆる「高級エフェクター製作者(サウンドデザイナー)」が作ったものであるので、わかっていてやっているのかもしれない(ならばより悪質だが)。Youtubeは内容の正確さはともかく再生回数が命であり、再生回数は今日現在で7.4万回と表示されている。Youtube商売としては成功なのでしょう。おめでとうございます。

2019-08-17

ラジオを聴いていたら、「オーディオ評論家」なる人物が登場するという。

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自宅に3千万のLINNのオーディオセットを所持しているとのこと。

オーディオの未来についても語っていた。「オーディオ趣味は閉鎖的になりがち。もっと開かれたものにしたい。それにはまず業界がかわっていかなければ」とも。それが本心からのものであれば、まず非科学的な詐欺的商法に手を貸すのはやめるべきだろう。

https://response.jp/article/2017/01/16/288472.html

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USBケーブル変更で音が変わるとか笑わせる。

2017年4月

ずいぶん時間がたったが、とうとうHDTracksで音源を入手できたので手法。手法というほど御大層なものではない。

後述するTorブラウザを使ったアクセスはめちゃくちゃ重いので、あらかじめHDTracksへはユーザー登録しておこう。住所もちゃんと日本のものにして問題ない。わざわざアメリカの住所をでっちあげて虚偽報告する必要は全くない。

で、Tor Browserを入手し、HDtracksへ行く。運悪く経路が制限地域からのIPだと、当然制限がかかるのでタマネギマークをクリック、「New Circuit for this Site」をクリックし、制限のない地域のIPになるまで接続をやりなおす。1~2回繰り返せばで忌まわしい地域制限の表示はなされなくなるはず。経路によってはHDTracks.co.ukへ飛ばされたりもするけれど、これも「New Circuit for this Site」で経路を変え、必要に応じてブラウザを再起動させたりする。

で、忌々しい地域制限のない表示になれば、Torブラウザでカートに入れてクレジットカード払いを済ませる。わざわざPaypalにする必要もない。普通の海外ショッピングと同様、日本のクレジットカードで決済すればよい。決済が終わればもうTor Browserを使用する必要はない。HDTracksサイト専用のダウンローダー、HDtracks Downloaderから楽曲を入手すればよろしい。

『「Billing Address」も国外住所じゃなきゃダメ』だの『日本のクレジットカードは使えないからPaypal決済じゃないとダメ』だのという話が流布しているが、そんなことは一切ない。リージョンチェックはカートに入れる際のIPアドレスからのみ判断しているようだ。カートに入れて決済さえすれば、その他請求先住所がどこであろうが、使用クレジットカードが日本国内のものであろうが、そんなことはどうでもいいのだ。

IPアドレス偽装の方法はいろいろあるけれども、Torブラウザを使うのが一番簡単でラクちんだと思う。

※ちなみに、IPアドレス偽装については、何ら悪いことではない。音楽業界での勝手な取り決めでそうしているのであろう。なので、一般消費者として、正当な金を払って購入した正規のダウンロード楽曲であることは当然である。

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同一ビットレートで4200円と$17.98 という凄まじい内外価格差。もはや苦笑いレベル。

2015年5月

SonyがハイレゾマイクロSDカードとやらを発表。
http://www.sony.jp/rec-media/products/SR-HXA/

とたんに「ハイレゾ」が胡散臭いものになった。Sonyを擁護している人は(大人の事情として擁護している人はべつとして)、間違いなく馬鹿であるので、身近な人がこの件で擁護していたらちゃんと距離を取ろう。馬鹿には馬鹿とちゃんと言ってあげよう。ソニー製品はもう二度と買いたくねえなあ。

2014年5月

高音質なデジタル音源が気楽に手に入れられるようになった。世はいわゆる「ハイレゾ」で賑わっている。一方、日本国内では音源の入手にはちょいと困難を伴っている。機器ばっかり先走ってる感じかなあ。アメリカは先行している。HDtracksあたりは素晴らしい。こういうところはさすがアメリカでコトが決まると早いものだ。実はハイレゾにはそんなに興味はないがが、従来のCD音質のものは、日本で中古CDを漁るよりもこのHDTracksで音源ファイルを購入すればむしろ安い。探す面倒もない。というわけで、キースジャレットはこのHDtracksで揃えてしまおうと画策中。

しかし、IP制限がかけられていて、日本から購入するのは結構めんどくさい。VPNを使用してみたところ、うまく買えそうな感じだが、未実験。この手のVPNは常時接続不要なので、vpnvip.comあたりがいい感じではないかな。期間での契約でなくて容量での契約なところ、お手軽にiphoneから容量を購入できるところが気に入った。

2012年11月

楽器とオーディオはまた考え方が別なのは当然。半導体の性能が真空管の性能を内包しているという事実は、楽器である真空管アンプの価値を下げるものではない。アンプは楽器の一部であるのだから当然の事。半導体で真空管を再現したとしても、もともとある真空管アンプの価値が下がる訳ではない。ただし、プロでもない限り、半導体やデジタルでのコピー(しかもそのコピーはもはや完璧なクローンといえるレベル)で充分ではないかな、という個人的意見を持っているけれども。

一方、オーディオは録音時に録音されたものを如何に同様に再生できるかという技術の話である。だから、真空管が良いとか悪いとかそう言うレベルを超えて、真空管は単に無駄なのである。真空管の悪い音が良い音であるというなら、わざわざ真空管をつかわずに半導体でその悪い音を再現すりゃ良いだけの話。それは技術的に可能なこと。それをやっても真空管派はきっと「真空管と半導体は別」とか言い出すのだろう。ブラインドテストにも耐えられないくせに。

2012年10月

最近になってギター練習を再開し、機材類の充実っぷりに鼻血が出る思い…これについてはまた別ページで。さて、20年ぶりに楽器屋さんを巡るようになったり、各雑誌やネット上で機材類の話題に目を通すようになった。そこで驚愕。やはりオカルトがバリバリとまかり通っているではないか。これだけの情報化社会となっても、やはりオカルトは絶対に滅びないんだなあということを実感。人間の脳みそがもたらす部分、つまり音楽をどうやったら気持ちよく感じるようになるのか、ということとなると、下記のような「高級な機材を使っていることによるプラシーボ効果が音楽を気持ち良く脳みそに響かせる」という事実しかないわけだが。

オーディオ界と楽器(エレキギター界)の共通点がもうひとつ気がついた事が。デジタル化による低価格化、「業界として市場のパイの大きさを小さくしたくない」という部分がなによりも決定的なんだろうなあ、と思った。もともとパイが小さいのに、さらに小さくなってしまうのは業界の死活問題である。

これを食い止めるためにはどうしたら良いか。オーディオ界では既に行われている事をやればいいのである。アナログは音がよいとか、業界紙、業界ライターを使用して宣伝するわけである。ギターでいえば有名ギタリストにアナログな高級機材を使わせておけばよいだろう。単にこれだけの話なのだ。

とはいえ、バカ高級でまったく無意味な機材をオカルトでゴリ押し売りするということがオーディオ界では平気で行われているが、楽器界ではそれほどでもない。数万円のエフェクターなどを買わせているレベルにとどまっている。これは楽器界の主な顧客が若いからだろう。無意味に高価なオーディオを買う馬鹿はやはり中高年の金持ちなので、この点では、まだマシなのかもしれないと思う。

True Bypassってナンですか

内部的に電子回路を通さないのがTrue bypass というらしい。あまり意味が無い試みだなあと思う。そもそも一番抵抗値が大きいのは接点部分、つまりジャック部分であり、劣化するとすればココ。True bypass とやらにこだわるくらいなら、コンパクトエフェクターのセッティングが固まったら接点を排除して配線をハンダ付けするなどした方がはるかに有意義のような気がする。

ナウなヤングが「ひずみがデジタル臭い」

マルチエフェクターでの歪みを再現するデジタル回路を評してよく聞く言葉(この言い回しは、その手の音楽雑誌からの受け売りなのは間違いない。なぜなら、そもそもそんなものは無いからだ。デジタル臭って何なのか、ぜひ定義してほしいものだ)。年配のオッサンがCDを聴いて「やはりアナログレコードよりデジタル臭い」と言うのを聴いたら、ナウなヤングの君はどう思うのだろう?ピンと来ないだろうか。じゃあ、もっと年配のオッサンが普通のCD、いやアナログレコードを聴いて「うーん、やっぱりトランジスタは半導体臭い」というのの聴いたらどう思う?とにかく、新しい技術への移行期には、既得の市場を手放したくない勢力がかならずこういう事を言い出すものなのだ、ということは覚えていた方が何かと便利だと思う。その勢力の言い回しをマネする必要はまったくない。

2011年10月

  • DENON AVR-550 (AVアンプ)
  • BOSE 33WER 2本(スピーカー)

という構成に、ネットワーク機能満載のDENON DNP-720SEを加えた。操作性が笑えるほど中華ナイズで、イライラする。しかしまあ、許容範囲。ネットワークラジオ機能目当てで買ったのだが、これが素晴らしいジュークボックスとなってくれる。圧縮音声だから、そもそも音質に神経質にこだわるのもばからしいので、適当なところで妥協も出来る。音楽を純粋に楽しめるのでとても良い

さて、このネットワークプレーヤーDNP-720SEを導入してまだたったの3日だが、もの凄いポテンシャルを感じている。今後の主流になり得ると思う。万の単位で存在するネットラジオが聞けるというだけではない。CDをWAV形式でリッピングしてNASに入れ、そこから再生という事も可能なのだ。

とはいえ、USBケーブルや光ケーブルで音が変わると主張する変人が主役のこの世界、魑魅魍魎の非科学/似非科学が跋扈するオーディオ界が変わるとも思えない。

ま、似非科学オーディオは団塊の金持ちバカにまかせておくこととして、新世代のコンパクトな珠玉のシステム作りに一役買うのがネットワークプレーヤーだろうなあ。そんな予感をさせてくれる機器だと思う。


宗教にいちいちツッコミを入れるのは愚だけれども、

http://www.gizmodo.jp/2007/10/85_100_1.html

とか。

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人間の脳みそってのは本当に不思議で、プラシーボ効果をバカにする事は出来ない。偽薬で本当に体温や血圧が上下するし、病気が治ったりもしちゃう。白い車が暗い場所では青く見えたりもする。だから、「音が違って聞こえる」という人は、べつに嘘をついていたり聞き違えている訳ではなくて、脳みそでは本当に違って聞こえている、という点でこういう人を説得するのは本当に難しい。

しかし、あらゆる計器が等価であると判断し、この世のどんな計器をつかっても明確な違いを数値で出せず、かつ理論的に考えても等価なものに違いを感じるのはヘンだ、と理解した瞬間、あなたの耳(脳)にもまったく違いがわからなくなる瞬間が訪れるのです。

まあ、所詮ワタシは光ケーブルの違いやUSBケーブルの違いは一切わからないクソ耳ですから。こんなヤツの戯れ言など聞き流していただきたいものです。AVアンプで充分満足できる安い耳でよかった。

2009年12月

下記を記してから3年も経ってしまった。見直しているが、本筋で間違った事は書いていないと確信している。細かいミステイクはあるかもしれないが。
http://homepage1.nifty.com/iberia/column_audio.htm
というページを発見、やや自分の主張と似ていてほっとした。(2009/12/21)

究極の自己満足趣味

オーディオは所詮自己満足

 6畳間に住むオイラは、それなりのお金をかけ、6畳間での最高レベルの音を目指す。というとかっこいいけれども、オーディオっってやつは、まず予算があって、それに見合ったシステムを探すという事になる。で、ちょっとシステムを組もうと思ってWebサイトを巡っていたら、おお、素晴らしい世界。オカルトがこれだけ跋扈している世界はちょっと珍しいのではないか。

非科学的オカルトオーディオ

 聴覚というやつは最終解釈は脳みそでおこなうから、いろいろな先入観によって音が違って聞こえてくるという事があり得る。僕がオカルトと思っているものを挙げる

  • 電源の極性によって音が変わる
  • スピーカーケーブルを変えると音が変わる
  • CDプレイヤーによって音が違う
  • 電源ケーブルを変えると音が変わる
  • 光ケーブルを変えると音が変わる
  • CDのはじっこを削ってフエルトペンで周りを塗ると音が良くなる
  • スピーカーケーブルの向きはすべて揃える。そうすると音が良くなる
  • 半導体(トランジスタ等)よりも真空管の方が音が良い

 電源の極性、それとスピーカーケーブルは「信じられなかったけれど本当に音が変わった」という話を非常に良く耳にするので、オカルトと断定しているのではなく半信半疑の部分。それ以外はオカルトと思っている。真空管神話については完全にオカルトの領域なのです。残念ながら。光デジタル転送のケーブルを変えると音が変わるという話になると、これはもう分かりやすいオカルト。聞き分けられるという人は、プレス工場の違いも聞き分けられるに違いありません。

 「オーディオ入門」的な本の中に、ぶっとい電源ケーブルをウン万円もかけて購入した人の体験談が乗っていた。無意味に太い電源ケーブルを顔の横に持った写真がステキだった。コンセント~機器間の数メートルを良くしたところで、それがいったい何だというのでしょうか。たしかに、電源が悪いとハムやノイズが乗ることは理解できる。だが、なぜ電源ケーブルなんだ?ホントに二重盲検テストに耐えられるほどの違いなの?うーむ。

 Webページを巡っていると、やはり同じようなことを言う人は多い。電気的に等価なのに、「聞き比べると違いがある」とか堂々と言う人がとても多いのはなぜなんだろう。

なぜこんなにもオカルトが跋扈するのか?

 話は簡単、聴覚は脳で判断するから(聴覚だけじゃないけれど)だ。音を判断するときに脳がバイアスをかけるのである。だから、そのバイアスが効かないようにしてから、例えば2つの機器をくらべて判断しなくては本当の判断にならない。その手段として、科学の世界では二重盲検という手法が確立されている。にもかかわらず、オーディオにおいて二重盲検で判断されることはいままで全くなかった。

 オーディオは人間心理を考えるのに非常におもしろい教材になると思う。「その人が良い音とおもうようになればそれで良いのだから、べつにどうでもよいじゃん」という人が居るけれども、それは間違っている。代替療法や新興宗教などで、不治の病がなおったときに、「その人が直ったのだからそれでよいじゃん」と思う事と一緒である。全然良くないのだ。この場合は「なぜ直ったのか」という肝心のところが不明確なまま、代替療法や新興宗教に騙される人が多くなる。社会的に損失だし、オーディオの場合で言うと、本当に良い音を追求するというメーカーの態度が欠ける方向になる。如何に消費者をだまして高価なものを売りつけるか、という態度になる。これは非常にうざったい。

 もう一つはオーディオ評論家達の態度だろう。本当に耳に自信があるのならば、1万円のオーディオと100万円のオーディオを間違いなくブラインドテストで見分けられるはずである。でもそれは絶対に行わない。簡単なブラインドテストなら実例はあるけれど、二重盲検で行った例は知らない。しょせん、オーディオ評論家とは自分の耳にではなくて、詩的な音の評価文を作るのに才能があるだけなんだろう。

オーディオの選択方法

雑誌やWebのレビュー記事等は全く参考にならないので全く参考にしない事。

スピーカーの選択

 スピーカーの違いはそのまま音の違いになる。これはオーディオ店でスピーカーセレクターをかちゃかちゃやれば明らか。気に入ったスピーカーを予算の範囲内で選ぶ。スピーカー選びには慎重に慎重を期する事。試聴できるなら必ずする。ただし、部屋の違いで音が違ってくるので、試聴したそのままの音では自室ではならない事は覚悟する。試聴して、試聴して、そして一番自分が良いと思ったものを買う。試聴時も出来ればセルフブラインドで。(メーカー名など見ずにスピーカーセレクターをいじるのがよい。むずかしいけれど)

アンプなどの選択

 そしてアンプその他は欲しいものを買う。

セッティング

 自室でセッティングは徹底的に追い込む。これはオーディオ界ではどうすればいいかはある程度確定しているのでそれを参考にする。はい、これであなたのシステムは完璧になりました。

オカルトは無くならない

 マスコミからオカルト番組が無くならないのと同様、オーディオでもオカルトは消えないんだろうな、と思っている。オカルト好きの僕としては、ある意味面白い世界だと思っている。

 さて、小学生だか中学生だかのころ、オーディオ屋で1メートルウン万円もするスピーカーケーブルを買おうとしてたオッチャンがいた。「このケーブルは1.5メートルの長さの物しか在庫がないが、3メートルの物はないのか?」と店員に問い合わせていた。中学生の僕は頭の中にはてなマークが4つくらい浮かんだ。「????」そもそもそんな高価なケーブルが売られていること自体不思議だったし、それにそもそもこのオッチャンは何がしたいのか疑問であった。きっとその高価なケーブルは抵抗がとても低いことをウリにしているはず。そのケーブルも、長さを倍にしたら抵抗値はほぼ倍になるだろう。で、そのウン万円もするケーブルを何のために買っているんだろう?そんなケーブルを探す努力をするならもっと短いケーブルで取り回す努力をすべきだ。もしくは自分で太い電線を作っても良いだろう。このとき浮かんだ中学生である僕の疑問は、いまも解消されていない。

プラシーボ効果を逆手に使う

 究極の良い音がするアンプは、やっぱり自作アンプじゃないかと思っている。自分で設計し、製作したアンプから出る音は、何百万もするメーカー製アンプよりもいい音と脳が判断するであろう事は想像に難くない。自作、しかもアンプを設計できる人は本当に幸せなオーディオセットを持っているんだろうな、と思うとかなりうらやましいのだ。(キットから手始めにやってみようと画策中)→ やってみました。ヘッドフォンアンプ自作

いわゆる「ハイエンドオーディオ雑誌」を買ってみた

 まあ、こんな自分であるから、ハイエンドオーディオ雑誌は忌み嫌うものの一つである。しかし、1年に1冊はこういうハイエンドオーディオ雑誌を買うのである。わざわざ買う理由はいくつかあるが後述することにして、まず記事の引用。

(あるインシュレーターについての記事中)CDプレーヤーの脚部にこのインシュレーターを挿入すると、全体の音の品位が高まる。音色が明るくなる傾向がある。音量レベルも上がるような印象を受けた。

だそうである!大爆笑モノ。スピーカーの脚部に入れるとそういった効果があるのかもしれないが、ここでは「CDプレーヤーの脚部」にインシュレーターをいれているのだ!!!読者を馬鹿にするのもいい加減にしてほしいものだ。(ホントに音が変わるんだよ、なんて言う輩が居たら、二重盲検法で確かめてもらいたいものである。確信をもって言うが、有意差は出ないと断言できる。これはプレーヤーがどうやって音をアンプに伝えているか僕はちゃんと知っているからだ。CDプレーヤーの下のインシュレーターなど何の効果も及ぼさないことは自明)

こんなトンデモが記事になり、しかも編集部のチェック通り、さらには高い値段の雑誌となって消費者に届けられる。ハイエンドオーディオというヤツが、如何に怪しい物かを如実に表している。(僕は記念にこの記事をとっておくことにした)

ハイエンドオーディオ雑誌を買う理由の一つに、こういう馬鹿な記事を大真面目に書く記者と編集部を笑うため、ということがまずある。そしてもう一つの理由が、こういう雑誌に広告を載せている企業の製品を買わないようにするためである。このために、巻末の広告目次を切り取ってとっておく。海外有名ブランドの他にも、残念なことに、デノン、オンキヨー、マランツ、富士通、といった日本のメーカーも広告を打っている。非常に残念だ。残念だが購入の際にはまずリストから外すことにする。

ハイエンドオーディオにハマる世代は

 ある程度確信をもって言えるようになって来た。僕の大嫌いな世代、「団塊の世代」である。金持ちで馬鹿が多いからね。ここから金を搾り取るのは、企業として上手なやり方ではある。

マトモな雑誌は無いのか?

 マトモな雑誌でなければ消えてゆく運命である。団塊の世代をだましているうちは大手メーカーが広告を打ってくれるから生き延びていられるけれどもね。

  • きちんとしたブラインドテストを行う雑誌
  • オカルトを排した雑誌
  • 普通の音楽を聴くための機材選びのための雑誌

という雑誌を強く希望する。が、望みは薄い。