http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp304.html
毒のリスト
体重1kgあたり何マイクログラムで死に至るか
毒の名称 | 致死量(µg/kg) | |
ボツリヌストキシン | 0.0003 | 生き物が作り出している |
テタヌストキシン | 0.002 | 生き物が作り出している |
マイトトキシン | 0.05 | 生き物が作り出している |
リシン | 0.1 | 生き物が作り出している |
シガトキシン | 0.4 | 生き物が作り出している |
パリトキシン | 0.5 | 生き物が作り出している |
バトラコトキシン | 2 | 生き物が作り出している |
サキシトキシン | 3 | 生き物が作り出している |
テトロドトキシン | 10 | 生き物が作り出している |
VX | 15 | 人工 |
ダイオキシン | 22 | 人工 |
青酸カリ | 10000 |
- 生理活性物質
- 生物に対してある特定の作用を持った物質の総称。毒もこれに含まれる。
テトロドトキシン
フグの肝臓に大量に含まれる。フグ毒は外因性、餌生物からくる。
- まず、ビブリオ菌の一種「ビブリオ・アルギノリティカス」が毒をつくる。
- そのビブリオ菌をヒトデのトゲモミジガイやボウシュウボラという大型の貝が食べて、体の中に毒を蓄える。
- そして、そのヒトデや貝をフグが食べる。こうして毒はフグの体の中で濃縮・蓄積される。
テトロドトキシンが含まれる餌をやらないことで毒のないフグを育成することに成功。
- フグのフグ毒に対する耐性(の一例)
- 血液中にはテトロドトキシンと結合するタンパク質があり、毒性をマスクしている。
通常、魚は致死量に達しない毒は排泄してしまうが、フグはテトロドトキシンを溜め込む。
どうやら、フグはテトロドトキシンが含まれる餌を好むようだ。
- テトロドトキシンを含む餌を取ると抗原抗体反応を起こしやすくなる。
- テトロドトキシンを含む餌を取ることで免疫力が高まっていた。
フグ毒はフグの行動に影響を与えているかもしれない。
- 天然のフグ→水槽の底を泳ぐ
- 人工飼育のフグ→水槽の上部を泳ぐ(フグ毒を与えると底の方を泳ぐようになる)
シガトキシン
- シガテラ中毒
- 熱帯地域で発生する食中毒。ガンビエールディスカス・トキシカスという微生物が作り出す毒「シガトキシン」が原因。この微生物を食べ、毒を蓄積した魚を人が食べることで発症。
これまで、日本では南西諸島を中心に報告。しかし、近年は本州でも報告が相次いでいる(イシガキダイなど)。
気候変動でシガテラ中毒が北に広がる可能性。厚生労働省:自然毒のリスクプロファイル:魚類:シガテラ毒
- シガトキシンを作り出す微生物は海藻に付着していたりする。(気候変動で、この微生物は入れ替わったりする)
- それを草食性の魚が食べる。
- そして、生物濃縮が起こり、ピラミッドの頂点付近にいるイシガキダイなどに蓄積される。
フグにおけるテトロドトキシンと違い、シガトキシンは極少量しか蓄積されていない。しかし、人間にとっては、シガトキシンは非常に強力な毒なので、少量でも命取りになる。
ボツリヌストキシン
ボツリヌス菌という細菌が作り出す毒。
シワ取り(美容)でボツリヌストキシンの注射が行われている。
- 眉間にシワが出来るのは筋肉が収縮し額の皮膚を寄せるため。
- 筋肉が収縮するときには、筋肉につながる神経からアセチルコリンという物質が分泌される。
ボツリヌストキシンはその分泌を阻害、その結果、筋肉は収縮しなくなりシワは出来なくなる。
日本では2009年に厚生労働省により、眉間での使用に限り認可された。使われているのは10億分の1ミリグラム。
コノトキシン
イモガイが捕食するときに使う毒。神経に作用し、全身を麻痺させる。
- 痛みの刺激は、末梢神経から中枢神経にグルタミン酸を介して伝わる。
- 刺激を伝えるとき、末梢神経にはカルシウムイオンが取り込まれ、グルタミン酸を放出する。
コノトキシンは、このカルシウムイオンの取り込みを阻害する。そのため、グルタミン酸が放出されずに痛みの刺激が伝わらない。
コノトキシンの鎮痛作用はモルヒネの1000倍以上といわれている。