グラスホッパー

Last-modified: 2009-10-14 (水) 15:28:16
 

伊坂幸太郎 『グラスホッパー』 角川書店

 

妻を殺した犯人に復讐するべくとある殺し屋会社に潜入していた元教師・鈴木、
自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの殺し屋・蝉。
それぞれに事情を抱えた3人が、「押し屋」という一つのキーワードのもと、3人の思いが交錯するとき物語は動き出す!

 

殺し屋小説って帯には書いてあったけど、まさにその通りだと思う。これは殺し屋小説。
3人の視点で、個々の思いで代わる代わる話が描かれ、進んでいく。
またその行き着く先が結局は「押し屋」だから、視点がころころ変わったとしても一貫性があって読みやすい。

 

たくさんの殺し屋のプロたちが蔓延るこの小説の中で、唯一と言って良いほど殺しに関してど素人一般人が
「鈴木」になるわけだが、彼のおかげで鯨と蝉のキャラがすごい立つ。また逆もしかり。

 

目が回るほどの疾走感溢れる話だから、気づいたら読み終わってた。
話の中で、次への期待と考察を巡らしつつ、予想外を突く展開に驚いたり、
3人の人物の中でも自分の好みが出てきて、今度はその視点を中心に読んだり、と、一冊で何度もおいしい話。

 

担当者 - び