煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices

Last-modified: 2009-10-14 (水) 15:48:01
 

舞城王太郎 『煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices』 講談社ノベルス

 

本作は、舞城王太郎氏のデビュー作であり、第19回メフィスト賞受賞作で、
奈津川家という個性的(過ぎる?)でイカれてる(良くも悪くも)「家族」を描いた作品。
腕利きの緊急外科医・奈津川四郎に母が連続主婦殴打生き埋め事件の被害者になったという
凶報が届く事から話は始まります。

 

とにかく暴力と福井弁と暴力が盛り沢山なので、暴力表現が苦手な人は注意かもしれません。
また、殺人事件や謎解きがおまけに過ぎないと言えなくもないので、期待するのは禁物です。

 

そんな本作の魅力は、ストーリーもそうですが、文章ではないでしょうか。

 

独特の台詞まわしや、まるで息継ぎをして無いような文章は、とても癖が強く、
読む人によって好き嫌いがはっきりとわかれてしまうかもしれませんが、スピード感、テンポ、と揃っており、
グイグイと引き込まれる魅力があると思います。
個人的にオチが少し残念だったと感じられたりもしましたが、全体的にとても面白く、
勢いに飲まれて最後まで一気に読み進む事が出来ました。

 

本格派しか読まない、読めないと言う人には向かないかも知れませんが、人から聞くより読む事をお勧めする一作です。

 

担当者 - S.K.