人狼城の恐怖

Last-modified: 2009-10-14 (水) 15:37:49
 

二階堂黎人 『人狼城の恐怖』 講談社ノベルス

 

『人狼城の恐怖』は二階堂黎人氏の蘭子シリーズの一つであり、作中の時系列的には一番新しい話にあたる。
「ドイツ編」「フランス編」「探偵編」「完結編」の四冊に分かれておりかなりのページ数になっている。
「ドイツ編」と「フランス編」はそれぞれ川(国境)を挟んだ城内での事件を描いている。
その事件の謎を解く為に二階堂蘭子が登場するのが「探偵編」「完結編」なのだが、
例によって謎解きは終盤に集中している。
あまりに提示される謎が多いので気を抜くと「こんな話あったっけ?」状態に陥ってしまう可能性があり、
気軽にミステリーの雰囲気を楽しもうという時には不向きな作品でもある。
とは言え、「ドイツ編」「フランス編」で起こる事件は、
オカルトやホラーの要素も含まれており単体でも作品として成り立っている。
また、名探偵二階堂蘭子の推理が本格的に始まらないと殺人が止まらない、二階堂テイストも顕著である。

 

今現在(2008年10月)二階堂黎人氏は、蘭子シリーズでは人狼城以前に起こった、
魔王ラビリンスと蘭子の戦いを描いている。
この戦いが終焉を迎えた後、人狼城以後の話が再開することを願ってやまない。

 

担当者 - 堀川