東野圭吾 『名探偵の掟』 講談社文庫
推理小説とは何か。名探偵とは何か。
語り手の大河原番三は、推理小説の天下一大五郎シリーズの中の脇役。
まるでドラマの出演者が、そのドラマを批評するような作品でした。
全十二章からなる、密室やダイイングメッセージといった推理小説のジャンルを痛快に皮肉っています。
その皮肉は読者へも向けられているので、うかうかしていられません。
推理小説をよく知っている人は、なるほどそうだ、と頷けるかもしれません。
よく知らない人は、そういう小説があるのか、と推理小説全体を知る教科書のように思えることでしょう。
かくいう私は後者で、思い当たるのは『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』でした。
とにかく、推理小説を読んでいる人に読ませたい一冊です。
担当者 - 空箱