◆DtLCqFED02/理ンデレな先輩

Last-modified: 2005-11-08 (火) 17:39:59

理ンデレな先輩
『あなたこんなことも知らないで合成やろうとしてるの?』
「そんなこといってもですねこれかなり難しい論文ですよ、しかも、英語で書かれてて・・・」
『言い訳はいいからこの論文の内容を明日の午前中までに私に報告しなさい、わかった?』
「ちょっと午前中までって無理ですよ、せめて2日時間をください」
『そう、そういうこというなら、これからの実験は一人でやることね、まあ出来ないでしょうけど』
「ちょ、ちょっと先輩!!!・・・行ってしまったよ、仕方ない徹夜でやるか」
・・・・
「(カリカリカリ)・・・・あーもうだめだ('A`)こんな難しい論文を英語の成績がCの俺に訳させるのって間違ってるな」
「とは、いっても・・・やるしかないんだよな」
『あら、まだ残ってたの』
「先輩が明日までに報告しろって言ったんじゃないですか!」
『そんなこといったかしら?』
「とぼけないでくださいよ、たしかにいった・・・・!!!な、なにするんですか、いきなりキスなんて!!!」
『ごめんなさい、昼間あんなこといって・・・あれはうそ、なの』
「え?」
『二人っきりになるチャンスが欲しかったの』
「それなら、ふつうに呼び出してもれえれば、すぐに行きますけど・・・」
『そ、そんな恥ずかしいことできないし、どういう理由で呼び出していいのかもわからないから・・』
「じゃあ先輩俺のことが・・・」
『す、好きとかそんなことじゃなくてその』
「やっぱり嫌いなんですか、じゃあなんでキスなんてしたんですか!俺をからかってるんですか!」
『ち、ちがうの、今まで勉強一筋で恋とかしたことなかったから、ちょっと恥ずかしくて・・・』
「俺は先輩のこと好きですよ、この研究室に入ってから・・・もちろん一人の女性としてです」
『ちょ、ちょっといきなり何を・・・わ、私もあなたのことがす、す、す、・・・』
「ストロンチウムがどうかしたんですか?」
『もう、からかわないで!私もあなたのことがす、好き(///)』
「俺先輩にそういうこと言われてすごくうれしいです」
『・・・あ、ありがとう』
数日後
『まだ、これの合成が出来てない!!今日徹夜でしなさい、わかった?』
「徹夜で実験なんて無理ですよ」
『言い訳はいいから、しなさい』
「はい、わかりました」
男A「おまえ、先輩にいじめられてるんじゃないのか、なんなら、教授に話しても・・・・」
「あ、い、いえ、大丈夫ですよ、ははは」
その夜
「ちょっと先輩、もうちょっとやさしく言ってくださいよ、おかげで俺が先輩からいじめを受けてるって噂が立っちゃいますよ」
『あら、そう、いいじゃない、実際はいじめなんてないんだし』
「そうですけど・・・」
『今度の休みに買い物にでも行きましょう』
「え、っとこれってデートですか?」
『ちょっとこれは買い物であんたは荷物もちをしてもらうだけなんだからね』
「それでもいいですよ、先輩と買い物にいけるなら」
『そうね、まず、映画を見てそのあと駅前のモールに行って・・・』
「そんなに一日で回れますかね・・・」
『回るの』
「はいはい、わかりましたよ、先輩のデート楽しみにしてますよ」
『だから、ただの買い物で、あんたは・・・』
「荷物もちでしょ、わかってますよ」
『(///)』
午前9時半とある駅前
「先輩のことだから30分前には来てると思ったのにな」
『(ハアハア)ご、ごめんなさい洋服選ぶのに時間がかかっちゃったの、ど、どうかな?』
そこには、いつもの白衣姿の先輩とは違った先輩がいた、いかにも今日はデート!といわんばかりの格好であった
「似合ってると思いますよ、先輩もそういう服着るんですね」
『(///)し、失礼ね、私だって一応女性なんですからね、は、早くしないと映画が始まっちゃうよ』
顔を紅くしてすたすたと歩いていった
「ま、まってくださいよ先輩!」
「(先輩のことだからSF物とか見たいんだろうな)」
『ねえ、これ見たいんだけど・・・』
そこには俺の想像とは違った映画の題名があった
「これって、恋愛物・・・ですよね」
『な、なによどうせSFものとかしか見ないと思ったんでしょ、わ、私だってこういう映画を見たいのよ!』
「わかりましたよ、ちょっと券買って来るんで待っててください」
・・・
「はいどうぞ」
『ありがとう、早くはいろ』
「ちょっとせんぱい」
とっさのこととはいえ先輩が俺の手を握ってきた、逆にこっちが恥ずかしくなった
・・・映画終了
「すごくいい映画でしたね」
『もう、あんたってばクライマックスのほうなんてずっと泣いていたわね、目が赤いよ』
「それ言わないでくださいよ」
『ふふふ、さて次は買い物ね、早速モールに行きましょう』
「そうですね行きましょう、それに昼食の時間だし」
『あら本当、先にお昼済ませましょ』
そう言って俺と先輩はモールへと向かった
『ここなんだけど』
そこはイタリアンレストランだった
「先輩もこういう店に来るんですか?」
『まあ、まあね・・・(とても昨日の夜、雑誌で見つけたなんていえない』
「とりあえず店に入りましょう」
・・・・
「結構おいしかったですね、それに値段も手頃だし」
『そ、そうでしょ、』
「先輩は何を買いたいんですか?」
『よ、洋服とか・・・靴とか・・・』
「モールならいろいろ店もありますし、ゆっくり見ていきましょう」
『そうね、まだ1時過ぎだし、見て回りましょ』
「先輩ここなんてどうですか?」
『そ、そうね見ていきましょう』
「これなんて先輩に似合うと思うんですけど」
『そ、そうかな、私には派手だと思うけど、こっちなんかどうかな?』
「さすがに地味すぎますよ」
『そ、そう・・・男の子ってこういう服のほうがいいのかな?』
「そうですね、着る人によりますけど・・・先輩の場合はもう少しおしゃれしてもいいと思いますよ、きれいなんだし」
『ちょ、ちょっとはずかしいからそんなこと言わないでよ、もう、次の店にいこう』
「ま、待ってくださいよ」

『ここに入りましょ』
「でもここって男物の店ですよ」
『だからよ、早く』
「ちょっと、引っ張らないでください」
『このジャケットなんてどう?』
「まあ、かっこいいと思いますけど、今日は俺買いませんよ」
『私がプレゼントするの、今度の火曜あんた誕生日でしょ』
「先輩知ってたんですか!?」
『ご、誤解しないでねあくまで私の買い物ついでにプレゼントしてあげるんだからね』
「どっちみちこんな高いのを受け取れませんよ」
『いいから、サイズは・・・うん大丈夫みたいね、すみませんこれください』
「先輩・・・・」
『はい、プレゼント』
「あ、ありがとうございます、本当にいいんですかこんな高いもの」
『いいって言ってるでしょ、あんた変なところで遠慮深いのね』
「本当にありがとうございます、じゃあ買い物のつづきをしましょう」
『そうね、行きましょ』
しかし先輩は文具ショップで方対数グラフ用紙と大学ノートを買っただけだった
『さて、買い物も済んだし早く帰りましょ』
「先輩も服とか買いたかったんじゃないんですか」
『いいのよまた今度で(あんたにプレゼント買いたかっただけなんだから)』
「せっかくだから外で夕飯食べていきませんか?」
『ねえ、うちのアパートに来ない?』
「え、それって・・・」
『へ、変な誤解しないでね、夕飯作ってあげようと思っただけなんだからね』
「先輩って料理できるんですか?」
そういった瞬間先輩が俺のほっぺをつねってきた
『生意気な口を叩いたのはこれかな?』
「へんぱいいふぁいです(先輩痛いです)」
『まったく・・・これでも自炊してるんですからね』
「でも先輩昼はカロリーメイトじゃないですか」
『弁当だと食べながらキーボードが打てないでしょ、とにかくスーパーによってから行くよ』
「は、はい(先輩のアパートって行ったことないけどどんなところだろ)」
『ちょっと寒いからなべにしましょう、白菜とねぎとあそうだ鶏肉も』
「本当にいいんですか、俺なんかが行って」
『別にかしこまらなくても良いわよ、さて買い物も済んだし行こうか』
スーパーから歩いて10分位のところに先輩のアパートがあった
『ここよ、さあ、あがって』
「おじゃまします(あれ意外と・・・)」
ベットの上にはぬいぐるみがあり、たんすの上にはネコやイヌの写真が置いてあった
『あ、あんまりじろじろ見ないでよ』
「先輩って意外とかわいい趣味なんですね」
『意外って何よ、いいでしょ別に(///)』
でも、机の上には英語で書かれた論文もあり先輩らしいところもあった
「(題からして今度のゼミで発表する論文かな?難しいな、ぜんぜんわからん)」
机の上にあった高分子学の本を読んでる間に先輩がなべを持ってきた
『ちょ、ちょっと何読んでるのよ』
「いえ、ちょっと退屈だったもので、この本って結構難しいんですね」
『まあ、でもそのぶん細かいとこまでわかるから字引としても使えるわよ』
「へ~~」
『そんなことよりお鍋できたから食べましょ』
「いただきます、先輩って関西出身ですか?」
『ちがうよどうして?』
「いえなんとなく味付けが薄いから・・・」
『あーそうね、私福岡出身なの、だからかな味が薄いのは、もっと濃くしたほうがいいかな』
「別にこれでもいいですよ、先輩の料理なんですから」
『そお?それならいいんだけど、それはそうとおいしいかな、まあ、おなべにおいしいノ何もないんだけど』
「だしとかも先輩がとってるんですよね、おいしいですよ」
『あ、ありがとう、そうだビールとか飲む?』
「いいんですか?そこまでしなくても・・・」
『べつにいいよ、今もって来るから』
そういって缶ビールを持ってきた
「ありがとうございます」
『じゃあ、かんぱーい、(ゴクゴクゴク)ぷはーおいしいいな』
「先輩オヤジみたいですよ」
『う、うるさいよそこ、いいでしょまったく』
「(俺も飲むか)(ゴクゴク)」
『おーいい飲みっぷりだね、ハハハ』
「なんか先輩ってお酒飲むとテンションが高くなりますね」
『(ゴクゴク)そ、そうかな変わらないと思うけど、それにしてもなんだか暑くなってきたわね(パタパタ)』
そういって先輩はTシャツを掴んで胸元をパタパタしだした
「せ、先輩ちょっと俺の前でそんな事しないでくださいよ、み、見えますよ」
『なにがかな?もしかして胸がかな?ハハハ、顔真っ赤にしてかわいいな』
「もう先輩からかわないでくださいよ」
こんな会話をしながら楽しい夕食の時間をすごした
カチャカチャ
『んーん、あ寝ちゃったんだ、あれテーブルの上が片付いている・・』
「先輩起きたんですか?食器とか洗っておきましたから」
『あ、そんなことしなくてもよかったのに』
「いいえ、夕食をご馳走になったせめてものお礼ですよ」
『本当にありがとう、・・・・ねえ、今日うちに泊まっていかない?』
「え、えっと、そ、それってあのその」
『ぷ、ハハハ冗談に決まってるじゃない、本当にからかいがいがあるなあんたは』
「そ、そうですよねハハハ(って何期待してるんだ俺は)」
『(もう本当に素直に言えなんだから私)』
「それじゃあ、俺帰りますね、それじゃ・・・」
『待って、本当に泊まっていかない?』
「え?」
「(あーあやっぱり人間期待しちゃいけないよな・・・)」
『ちょっと聞いてるの?はやく文書を読んで誤字脱字チェックしてよ』
俺がやらされてるのは、今度のゼミで先輩が発表する論文の日本語訳のチェック
「ここの表現はこれでいいんですか?ここと矛盾する感じがしますけど・・・」
『どれどれ、ちゃんとNOTEを読みなさいよ、条件を変えてあるでしょ』
「あ、ぜんぜん気づきませんでした、しかしすごいデータですね、俺なんかでは出せませんよ」
『それは、米国化学会の投稿論文ですもの、載るだけでも大変なんだから』
「先輩は学会にも出るんですよね?」
『今度の高分子学会ね、まだ、支部大会だからね、そんなにたいしたことないわよ』
「でも、すごいじゃないですか、今度の研究データでいいのが出れば来年の化学会の春季大会に出るんでしょ?」
『ま、まあね、そんなことより早く済ませましょ』
「そうですね(なんか様子がおかしいな」
午前3時
『ちょっと、ここなんだけど、ねえ、ってあら寝ちゃった、無理させちゃったかな』
毛布をそっとかけそして
CHU-☆
『ごめんね無理させちゃって、実はあまり研究のほうはかんばしくないの、このまま研究を続けるのがいいのか・・・』
『あきらめて、別の方法に切り替えたほうがいいのか悩んでるの・・・』
『ねえ、あんたならどっちがいいと思う?、寝てるのに答えてくれるわけないよね、それじゃあお休み・・・』
隣の寝室に消えていく理ンデレ
「(ごめんなさい先輩全部聞かせてもらいました。先輩が研究のことで悩んでいたなんて、それにしても先輩が頬にキスするなんて)」

『あれ、あいつがいない・・・ん、メモ?』
「先輩おはようございます
 俺は一旦家に帰ってから大学に行きます
 勝手に台所使わせていただきました
 朝食を作っておいたので食べてください
 あと、弁当も作っておいたのでよかったらどうぞ」
『まったくあいつは・・・でもそういうところが・・・』

「おはようございます」
『あーおはよう、朝食ありがとうね』
「あいいえ、昨日のお礼も兼ねてですよ、それより先輩ちょっといいですか?」
『ここじゃだめなの』
「ええ、まあ・・・」
屋上
「単刀直入に言います、先輩、研究が進んでいないって本当ですか?」
『ゴホゴホ、ちょ、ちょっといきなり何言い出すのよ』
「ごめんなさい、寝てるときに先輩キスしましたよね、それで目が覚めて・・・」
『すべて聞いちゃったわけね、ええ、確かに研究はうまく行ってないわね、でもあなたには関係ないこと』
「関係ないって、相談相手くらいには・・・」
『じゃあなに新しい合成法でも見つけてくれるの?、論文を探してくれるの?』
「そ、それは・・・」
『出来もしないのにそんな事簡単に言わないでよ!』
「あーそうですね俺は先輩と違って頭がそんなによくないですからね、俺だって先輩にはいつも厳しく時にはやさしくいて欲しいのに」
『ちょっと、今言ったことは・・・』
「高校時代から先輩のこと見てましたけど、今の先輩は、先輩らしくないです、俺もう先輩のことなんて知りません!」
『ねえ、まってよ』
たったの一言で俺と先輩の間には大きな溝が出来てしまった・・・
それからというもの先輩とは口を聞かなくなってしまった、というより俺が完全に先輩を避けてる感じだった
「あ、(男A)先輩ここはどうすれば・・・」
男A「あーここはな、こことの反応が・・・こうすればいいんじゃないか?」
「そうですね、わかりました、ありがとうございます」
男A「それより、先輩とは何かあったのか」
「え?いえべつに・・・」
ある日の夜
「あーあー今日も徹夜で実験か・・・一人でやるのは本当はいけないんだけど・・・」
キーカチャ
「誰だろうこんな時間に」
『いけない忘れもm・・・』
「先輩・・・」
『こんな時間に実験、だめじゃない一人だけでやったら!万が一のことがあったら』
「そんなこと先輩に関係ないでしょ」
『ちょっと、あぶないわよ』
「い、いったあああ」
TLCの用紙を切っているときに弾みで自分の指を切ってしまった
『まったく、しょうがないわね(ハム、チュウーーー)』
「先輩、指くわえないでくださいよ」
『ちょっと待ってえっと絆創膏と確かエタノールが・・・』
「それって試薬のエタノールですよ」
『ごちゃごちゃ言わない!!!水で少し薄めて・・・キムワイプで・・・あとは・・・はい、これでいいわよ』
「あ、ありがとうございます」
『まったく、あなたは一人でむちゃしすぎるから』
「それは先輩だって・・・」
『う、うるさい!』
「でも、先輩に手当てしてもらってると高校のときの事思い出しますよ」
『そうね、あのときのこと・・・』


俺が先輩に初めてあったのは高校に入学した4月のことだった
中学生の時から帰宅部だった俺は特に入りたい部活があったわけでもなく、高校も帰宅部で通すつもりだった
しかし、そこで先輩にあったのがそもそもの始まりだった
『ねえきみ、部活とか入ってるの?』
「何ですか、部活の勧誘ならまにあってますよ」
『私が勧誘しているのは生徒会役いn・・・ちょっと逃げないの』(グイッ)
「いたたた、生徒会ならなおさらお断りです、めんどくさい」
『あなた、青春の三年間を無駄に過ごすの?もったいないから入りなさい』
「絶対いやですからね」
『まあまあ、1ヶ月間だけ仮に入るってのはどう?』
「本当に仮ですか?」
『うんうん(ニヤニヤ)』
「わかりました」
『じゃあこれにクラスと名前書いて・・・、はいこれでいいよ』
「あのニヤニヤが怪しいな・・・」
そして、1ヵ月後・・・
「あの先輩やっぱ俺この仕事に向いてないのでやめたいんですけど」
『あら、何のことかしら?』
「とぼけないでくださいよ、1ヶ月仮に入るって約束ですよ」
『じゃあ、聞くけどこれのどこに仮なんて書いてあるのかしら?』
「だってここに・・・・・あーーーー!!!!」
『<生徒会役員契約書>って書いてあるだけで仮なんて書いてないんだけど』
「ちょっとだましましたね」
『だましたなんて人聞きの悪い、とにかくやめることは出来ませんからね』
「・・・・・」
あとで聞いた話だと先輩は一部の文字が消える特殊な印刷技術でこの契約書を作り俺を生徒会に入れたとのことである
つまりはじめから俺を入れる気満々だったのである
結局やめることが出来なかったが、不思議なもので慣れてくるときつい反面、先輩と一緒にいることが楽しくなってきた
そして季節はすぎ、高校に入って初めての文化祭の時期になった
「先輩まだ残ってたんですか!?」
『うん、準備が終わらなくて・・・』
「なんなら手伝いますよ」
『あなたも疲れてるんだからいいよ別に』
「何このくらい、ってあれなんか・・・」
その瞬間めまいがして倒れてしまった・・・
『ちょっと、ねえ大丈夫?しっかりしなさい』
・・・
「あ、あれここは・・・そっか倒れて・・・」
『あ、気づいたみたいね、もういきなり倒れるからびっくりしたわよ』
「迷惑かけてすみません」
『本当よ、何で無理なんてしたのよ!』
「俺は無理なんてしてませんよ、先輩のほうが俺の何倍も忙しいはずなのに」
『私はあなたより多く生徒会やってるのよ、効率のよいやり方だって知ってるんだから』
「・・・・」
『だからあなたが無理して私と同じだけの仕事をする必要なんてないの、わかった?』
「はい・・・」
『明日は生徒会に来なくていいわ、その代わり家に帰ってゆっくり休むといいわ』
「わかりました」
『その代わり、文化祭前日は何倍も働いてもらいますからね』
「はい、俺がんばります」
文化祭は何事もなく終了し大成功を収めた
「あのあとも生徒会では先輩にはお世話になりっぱなしでしたねw」
『そうね、まったく手のかかる子だったわ』
「そんなこと言わないでくださいよ、せっかくの思い出を・・・」
『あははは、でもあの時あなたを生徒会に入れた私の目に狂いはなかったわ』
「よくいいますよ、だまして入れたくせに・・・」(ムギュッ)
『誰がだましたって?え?』
「ふひまひぇん、ふぉふがはふぃまっていまふぃた(すみません、ぼくがまちがっていました)」
『まったく(本当はあなたに一目ぼれしたのよ、あのとき)』
「お世話になりっぱなしだったから、だから少しでもお返しがしたくて・・・」
『だからあの時あんなことを言ったのね・・・ごめんなさい』
「え?」
『あのときひどい言い方をして、ちょっとイライラしてたの』
「俺もすみませんでした、生意気なこと言って・・・」
『ううん、あなたは優しいからそんなことを言ったんだって、わかったから』
「俺ずっと考えてたんです、どうやったら先輩を助けられるかなって」
『・・・』
「やっと結論がでました」
『え?』
「俺、やっぱり先輩の手伝いをします」
『ちょ、ちょっと自分の研究はどうするのよ?』
「幸い俺の研究は順調に進んでます、空いた時間なら手伝うことだって出来ますよ」
『そんなこといったって、かなり見込みのない実験に付き合わせるわけには』
「俺は先輩なら出来ると信じています、だから、手伝わせてください!お願いします!!」
『・・・わかったわ、ただし条件がある』
「なんでしょうか?」
『何の知識のないまま手伝わせるわけには行かないから、私の家で一週間、理論の勉強をしてもらいます』
「わかりました」

こうして、先輩の手伝いをすることになった・・・

それから一週間朝になるまで必死に勉強した
「よく考えたら、研究室か図書館で勉強してもよかったのでは?」
『う、うるさいわね、このほうが効率がいいの(ほんとは誰にも邪魔されたくなかったの)』
「でも・・・」
『文句言わない、この論文の意味わかった!?』
「あえっと、グリニヤール試薬とNi触媒による求電子置換反応を起こし、分子量約1000の重合を行なう」
『まあ大体そんな感じね、あなたもわかってると思うけど、ここでは水が大敵なの、理由言える?』
「あ、えっと、水とグリニヤール試薬が反応し失活する、また、Ni触媒とも反応するから、ですよね?」
『まあ、ここは基本ね、じゃあ次の資料を読んでて、私ちょっと買い物に行くから・・・』
「こんな時間にですか、危ないですよ」
『近くのコンビニだし、大丈夫よ』
「まあ先輩なら大丈夫だと思いますけど・・・・」
『ちょっとそれってどういう意味かしら』
「いいえ何でもありません」
『まあ、何か飲み物も買ってくるわ、ちゃんと読んでおくのよ、いい?』
「はい」
(キーバタン)
「まったく、こんな論文読めないよ・・・あれ確か前来たときはあんな写真なかった・・・あ!」
そこには先輩とのツーショット写真があった
「先輩・・・さてもう一がんばりだ!」
『ただいま、ちゃんと論文読んだ?』
「あーばっちりですよ、なんとか」
『そう、ってなににやにやしてるの、まさか変なことしてないでしょうね?』
「な、何にもしてませんよ」
『ふーん、そう・・・(あの写真に気づかなかったのかな)』
「(なんとかごまかせたかな?)」
一週間後・・・
『んーと・・・』
「・・・」
『まあいいでしょ、2番目のところが少し違ってたけど、合格!』
「やったー苦労した甲斐がありましたよ」
『あー待って、まだ喜ぶのは早いよ』
「え、どういうことですか、このテストでよかったら手伝いしてもいいって・・・」
『そうだけど、一回実技テストをしましょう、理論がわかっていても、実際やってみると難しいから・・・』
「それって、どういうテストですか?」
『そのまま、論文のことをやってみるのよ、まあ、この論文みたいに難しいのは一日じゃ出来ないから、私が明日処方箋を作るわ』
「わかりました、それで日時は?」
『あさっての午前九時から』
「って、処方箋を見る時間がそんなにないんじゃないですか!?」
『論文の内容が入っていれば簡単なこと、それとも君はそんなことも出来ないで私の手伝いをしようといってきたのかしら?』
「・・・」
『そんなことじゃ、いくら手伝うって言ってきてもさせるわけにはいかないわ』
「・・・わかりました」
『ふむ、それでいい、じゃあ、明日の昼までには処方箋渡すからね、今日は遅いから泊まっていく?』
「え、・・・いいえ、か、帰ります、そ、それじゃ」
『照れちゃって・・・はぁ、あいつ、あのときの約束忘れたのかな、写真にも気づかないみたいだし・・・』
・・・・
「おはようございます、あれ、先輩が来てないな」
『おはよう』
「あ、先輩おはようございます、今日はどうしたんですか?遅く来るなんて・・・」
『うーん、ちょっと、ね・・・(あんたのことで眠れなかったってとてもじゃないけど言えない・・・)』
「・・・、あ、俺、廃液用のポリタンク貰ってきますね」
『ん、う、うんわかったわ』
「大丈夫ですか先輩?さっきからぼーっとして」
『大丈夫よ、それより、今日、試薬注文忘れないようにね』
「わかってますよ、じゃあ行ってきます」
『さて私も準備しないと・・・』
・・・
『試薬はあるから、あとは、器具の確認と・・・』
「貰ってきましたよ、それにしても何でこんなにいるんだろう」
『あ、ありがとう、処方箋もう少しで出来るから』
「え、は、はい、そうだ試薬の注文しないと」
『こんなものかしら・・・あいつならこのくらい出来ないと、いや、出来るはず』
「先輩、試薬注文しておきましたけど」
『ありがとう、はい、これが明日の実技テスト用の処方箋、準備しておいてね』
「わかりました、さてと、・・・これかなり高度な操作が要求されますね・・・」
『それでも簡単なほうだ、大変だったんだぞ代わりの実験方法さがすの』
「そうなんですか・・・それにしても、先輩はすごいですね短時間でこんなもの書くことが出来るんだから」
『その、人に手伝いを申し出たのは誰かしら?このくらいできて当たり前なんですからね』
「このくらいやってやりますよ」
『うむ、まあ、研究室を吹き飛ばさないことを祈ってるよ』
「あははは・・・」
『(私はあなたを信じているんだからね、ぜったい出来るはずなんだから)』
・・・翌日
「先輩、準備できました」
『よし、それでは今から開始だ、私は一切手出ししないからな』
「わかりました、よし、まずは窒素を流して器具の乾燥だ」
『・・・』
「この間に試薬を量りとって・・・、たしか・・・、よし、あってる、」
・・・・
「ここまでは順調だ、いよいよ、ここからが危険な操作だな、慎重に行こう、まず、シリンジでTHFを入れて・・」
『(あーそこは!?だめだめいっちゃだめよ、これはテストなんだから)』
「ん、おっと危なかった、オイルバス切っておかないと、よし、これでRTまで温度を下げて」(RT:室温、通常は20℃(293.16 K)をさす)
『(ほっ)』
「よし、コンスタントに還流してるな、あとはオイルバスの温度が約90度で4時間還流しながら撹拌するんだったな、よし、今の間にお昼食べよう、先輩一緒に食べませんか?」
『あ、そうねいいわよ』
「それで、俺の操作を今まで見ててどうですか?」
『まだ試験中!そんなこと答えれるわけないでしょ』
「そう、ですよね」
『(ごめんね、これはあなたのためでもあるの)』
・・・四時間後
「よし、あとはアルコールで加水分解させて、乾燥剤を入れて一晩おいたあとに1H-NMRを見る、っと」
『(なんとかうまくいったわね)』
「・・・よし、先輩おわりました」
『よし、今日の操作は終了、あとは器具の片づけをしたら帰っていいわよ』
「わかりました、先輩一緒に帰りませんか?」
『あ、ごめんなさい、今日、教授と約束があるから』
「そう、ですか、」
・・・・
教「ところで例の件はどうだね?」
『まだ、決心がつきません、私なんかが行って大丈夫なのかどうか・・・』
教「先方の研究所の設備はこことは比べ物にならん位すばらしい、研究費用もこことは桁違いだ」
『しかし、それを動かす人が私みたいなので・・・』
教「君の理論はすばらしいと研究所所長も褒めていたし、実際にあいたいって言ってるんだが?」
『え?』
教「来週の水曜日に日本化学会の特別講演のついでにうちの大学に来てもらえることになった、そのときにあってくれないか?」
『・・・わかりました』
教「うむ、たのんだよ」
『(そんな、急に言われても、せっかく、あいつが・・・)』

・・・翌日
「おはようございます」
『あら、おはよう』
「NMR測定の準備してきますので待っててください」
『・・・』
「あの~先輩?どうかしたんですか?」
『う?あっ、ごめんなさいちょっとボーってしてた、うん、わかった準備できたら呼びに来て』
「わかりました(やっぱりここ最近の先輩は変だ)」
『(いけない、また、やってしまった・・・、あいつに心配されないようにしないと)』
・・・・
「先輩、準備できましたけど、先輩?」
『あーごめんなさい、じゃあ行くわよ』
「はい・・・」
・・・・機器センター室
「えっと、時計と財布はここにおいて、って先輩腕時計はずさないと」
『わ、わかってるわよ、あなたに言われなくても、まったく』
「セットして、コマンド入力して(カタカタカタ)あとは、AGキーを押してっと」
パソコンのモニターには測定中のNMRの波形が出てきた
「さっきから先輩どうしたんですか?」
『な、なんでもないって言ってるでしょ』
「いつもの先輩らしくないですよ」
『私にだってこういう日があります、ほら測定が終わったわよ、早く解析する』
「わかりました」
そういうと男はNMR解析用のソフトを立ち上げ操作していった
「TMSの割れはないな、よし、これなら少なくてもデータとして使える、こことここのピークは・・・」
『・・・』
「ここのピークを取って、あとは積算すれば・・・先輩どうですか?」
『ん、終わった?じゃあ、私のデータと比較してみるわね』
(ピッ)

716 名前:4-2 ◆DtLCqFED02 投稿日:2005/10/29(土) 20:42:43 LdETtBSi0

『んーと、こことここのピークは何かわかるわね?』
「えーっと、これは末端炭素のメチル基ですね」
『そうね、じゃあこっちは
「こっちのピークもメチル基ですけどカルボニル基のO(酸素)に電子的に引っ張られて少しシフトしてますね」
『はい正解、いいわ合格よ』
「よ、よかったこれで不合格って言われたらどうしようかと」
『まあ、テストをしなくても合格にするつもりだったけどね』
「え、じゃあなんでテストを?」
『あなたが実験する姿をじっくり見たかったから・・・』
「も、もしかして俺の姿がかっこいい・・・」(バシッ)
『何言ってるのよ、失敗する姿を見たかっただけよ、はあ、まさか一度も失敗しなかったとわね』
「いててて、ひどいですよ、人の失敗する姿を見たいなんて」
『まあ、うまくいったんだからいいじゃない別に(本当はあなたの実験してる姿がかっこいいからよ)』
「ひどい先輩だな」
『さあ、研究室に戻りましょ・・・』(バタッ)
「先輩、大丈夫ですか?先輩!」
・・・・・・・・
「あ、先輩気づきましたか?」
『あれここは・・・』
「医務室ですよ、先輩がいきなり倒れるからびっくりしましたよ」
『あっそうかNMR測定してそれで、って寝てる間に何もしてないでしょうね』
「し、しませんよ、したら硫酸だけじゃすみそうにないですから」
『そうね、硫酸かけたあとに水をぶっかけるわね』
「・・・と、とにかく過労ってことなので、寝ててください、俺が帰るときは家まで送りますから」
『そうね、最近睡眠時間が短かったせいかもね』
「すみません、俺のせいで・・・」
『ほんとうよ、まったくあんたにはいつもいつも』
「じゃあ、研究室に戻りますね」
『ちょ、ちょっと・・・ふう、まあいいか、でもさっきの夢の男の子あいつに似てたような・・・まあ気のせいね、さて寝るか』
・・・夕方
「先輩、大丈夫ですか?」
『うん大丈夫よ、さて、研究室に戻って荷物取りに行かないと』
「そうですね」
・・・・
『おまたせ、じゃあ帰ろうか』
「はい」
『ねえ、一つ聞いていい?』
「何ですか先輩?」
『もし、もしよ、私が海外の研究所に行くことになったらどうする?』
「え、先輩がですか!?」
『だから、もしもっていってるでしょ!』
「俺ならあえて意見は言いませんよ、先輩の意思に任せますけどね」
『そう、あなたがそういうこというなんてね』
「俺がそんなこというのおかしいですか?」
『そうね、あなたなら、「全力で行くのを止める」とかいいそう』
「先輩は俺に止めて欲しいんですか?」
『な、何言ってるのよ、もうあなたの面倒みなくてよくなってせいせいするかもね』
「そうですよね、(結局俺と先輩の仲って・・・・)」
『(そうよ、全力で止めて欲しいのよ、あなたに全力で!)』
「着きましたよ先輩」
『あ、わざわざありがとう、じゃあまた来週ね』
「ゆっくり休んでくださいよ、久々の休みなんでしょ」
『そのくらい、言われなくてもわかってるわよ』
「さようなら先輩」
『うん』
いよいよ先輩の手伝いをすることになった
『とりあえず、今日はこれから使うTHFの脱水を行ないます』
「そうですね、じゃあNaと搾り器とってきますよ」
『あ、おねがいね』
500のナスフラにTHFを注ぎ込み搾り器で絞った細い針金状の金属Naを入れていった
『水分がついてないか気をつけなさいよ、下手すると研究室が吹っ飛ぶからね』
「わかってますよ」
『んーと、よしそれでいいわ』
「あとは還流冷却管に取り付けて、オイルバスを90℃にセット、あとは還流してるかを確認」
『じゃあ確認したら、あなたは今日は自分の研究にもどっていいわ』
「わかりました、先輩はどうしますか?」
『私はやることがあるから』
「そう、ですか」
・・・・
「よし、還流してること確認、さてとデータの整理でもするかな」
『んーやっぱりこの人はすごいわね』
「先輩何やってるんですか?」
『ひゃう!ちょっとびっくりさせないでよ・・・な、なんでもないわよ』
「何か読んでたみたいですけど」
『う、うるさいわね、あんたに言っても理解できないものよ』
「ひどいですよ」
『とにかく、あなたは自分の研究をしてなさい』
「はーい」
『ふう(あいつに見られたらまずいものでもないのにちょっと言い方がきつかったかな、でもあいつは変なところで勘がいいから)』
教「どうだね、先方の所長の論文は?」
『すごい論文だってのはわかるんですけど、理解するにはかなり時間が』
教「ははは、まあ、アウトラインだけでも理解してればそれでいいと思うがね」
『はぁ』
教「じゃあ、あさってのことよろしく頼むよ」
『あと二日か・・・』
・・・二日後
「あれ、先輩は?」
A「ああなんかアメリカから偉い先生が見えてるらしくてあってるよ、何でも彼女を引き抜こうとしてるみたい」
「え、先輩が」
・・・・・
『私なんかがそちらの研究所なんかに行って大丈夫なのでしょうか?』
所「それはどういうことかね?」
『いえ、私なんかがいって皆さんの邪魔にならないか心配なんです』
所「ははは、実に君は謙虚だな、ますます気に入ったよ、ぜひ、うちの研究室に入って欲しい」
『え、でも、私の研究なんてたいしたことしてないですし(ちがう、私はあいつから離れたくないの)』
所「いや、君の教授からデータを見させてもらったが、実にいい結果が出ている、もう少し研究すればこれは成功すると思うがね」
『は、はい』
所「まあ、よい返事を期待してるよ」
『わかりました、今日はお忙しいなかわたくしにあっていただきありがとうございました』
所「うむ、次に会うのは向こう(研究所)であることを祈っているよ」
『・・・・』
教「どうだね、彼と会ってみた感想は?」
『すばらしい方だと思います、ただ・・・』
教「やっぱりだめかね」
『はい、まだ、向こうでもうまくやっていく自信が(ちがう、あいつのそばから・・・)』
教「まあ、ゆっくり考えたまえ」
『・・・はい』
・・・・
「(先輩がアメリカに行く?、そんな・・・、でも先輩のことだから・・・)」
『ちょっと何やってるの?はやくしなさい!』
「す、すみません」
『本当にあんたはとろいんだから、手伝う気あるの?』
「すみません、すぐに確認に行きますから」
『まったく(でも彼が手伝ってくれるおかげで少しは助かってるけどね)』
「(あーこう忙しいとあのことを聞く時間もないな)」
『ふう、やっと合成できるわね』
「そうですね、手順は今までと同じですか?」
『そうね、この前、別の論文に変わった方法が載ってたからそれをやってみようと思うの』
「そうですか、じゃあ、手伝うことがあったら言って下さい」
『まあ、あんたの手伝いなんかに期待してないけどね』
「ひどいですよ先輩」
『ほら、今日はいいから、さっさと自分の研究をする、学内発表まで時間ないんだからね』
「はい、それでは(また聞けなかったよ、アメリカ行きのこと)」
『(あいつまさか気づいているのかしら、今までどおりあいつの前では毅然とした態度でいないと)』
・・・・・
「先輩お昼ご飯食べませんか?」
『そうね、私もちょうど作業が済んだところだから、いいわよ、学食行く?』
「いえ、今日はこれを」
そこには、弁当が二つあった
『これってあんたがが作ったの?』
「そうですよ、さあ、中庭に行きましょう」
『ちょっと引っ張らないでよ』
・・・中庭
「先輩アメリカに行くって本当ですか?」
『(ブーーーー)』
「先輩、いきなり何するんですか?」
『あんたがいきなりそんなこと言うからでしょ!だいたいどこでそんなことを』
「はぐらかさないでください、本当なんですか?」
『本当だったらどうするつもりよ?』
「もちろん、先輩を応援しますよ」
『私が行ったら2~3年は会えないのよそれでもいいの?』
「それは寂しいですけど・・・俺は先輩のことが好きだから、だからこそ先輩には向こうでがんばって欲しいです」
『そ、そう(何よせっかく止めてくれると思ったのに)』
「(先輩にはいつもそばにいて欲しい、でも、先輩には先輩の・・・)』
『さあ、研究室に戻りましょ、お昼ありがとね』
「あ、はい、お粗末さまでした」
しかしそのあとの先輩はアメリカ行きの話を一切せず黙々と研究をしていた
・・・・1ヵ月後
「やっぱりこれだけのデータではここを説明するには不十分かな、もう一回合成したいけど精製する時間ないし」
『どうしたの?めずらしく真剣な顔をして』
「あ、先輩、いえ、今度の発表に使うデータがちょっと」
『ちょっと見せて・・・んー、こことここが・・・そうね・・・』
「やっぱりだめですか?」
『そうね、もう一回合成してみたら?』
「俺もそれ考えたんですけど、今からだと試料精製と分析をする時間がないんです」
『それなら私が手伝ってあげるわ』
「え、でも、先輩だって忙しいんじゃ」
『あんたの発表のほうが先でしょ、全くほんと手のかかる後輩を持つと大変だわ』
「先輩ひどいですよ・・・でも、ありがとうございます、一応、これが今までしてきた、合成の処方箋です」
『えーっと、ここね、まず、ここの手順を少し変えて、それから、完全に水分と酸素を取り除くんならアルゴン使ってみたら?』
「そうですね、それでやってみましょう」
『まず、ここね、ここの段階で水分をしっかり抜いておかないと・・・』
「じゃあ、とりあえず、真空乾燥させておきますか?」
『そうね、ただしあんまり温度は上げられないから、真空にするだけにしておいて』
「あとは、原料のほうもエーテル入れてボウ硝入れておきます、これで一晩置けば」
『あと、蒸留すればいいわねこれで水分は抜けるはずだから』
「わかりました」
『試薬はあるわね?』
「はい」
『じゃあ、明日朝早くからやりましょ』
「じゃあいっそのこと研究室に泊まりませんか?」
『え、でもそんなことできるわけないでしょ』
「そうですよね、(あーアメリカ行きの話がもう一度聞けると思ったのに)」
『まあ、せっかくだし泊まっていこうかしら』
「え?」
『何驚いてるのよ、あんたが言い出したんでしょ』
「まさか本当にOKするとは・・・」
『この方が通学する時間を合成に回せるからいいと思っただけよ!』
「は、はいじゃあ、コンビニに夕飯でも買いに行きますか?」
『そうね、行きましょうか』
・・・・
「先輩コーヒーどうぞ」
『ありがとう、んー、あんたが淹れたにしてはまあまあね』
「先輩らしい褒め言葉ありがとうございます」
『あー別に褒めてないから』
「('A`)」
『冗談よ、そんな顔しなくても・・・おいしいわよ』
「・・・先輩、アメリカの研究所に行く件についてなんですが・・・」
『またその話、だからそれは』
「先輩は、先輩は本当は行きたくないんじゃ・・・」
『どうしてよ、行きたいに決まってるじゃない、ど、どうして私がうそなんて・・・』
「先輩は気づいてないかもしれませんがうそをつくとき特徴がもろに出ますね」
『え、うそど、どこよ』
「言ったら意味ないじゃないですか」(ムギュウウ)
『い・い・な・さ・い』
「いでででで、こればかりはいえませんよ、それよりうそなんですね、行きたいって言う話しは」
『ええ、うそよ』
「何でですか?先輩にとっていい話じゃないですか!」
『確かに設備は世界最高水準、研究費もこことは桁違い、だけど、だけど、あなたがいないじゃない!』
そういうと先輩は突然泣き出した
「え?先輩?」
『あなたがいないところでどうやっていけばいいのよ』
「先輩は俺の面倒見なくてよくなるから清々するって・・・」
『そんなのうそに決まってるじゃない!愛情の裏返しよ!男の子が照れ隠しに女の子をいじめるのと同じよ!』
「先輩・・・?」
『もう知らない』(バン!)
「待ってくださいよ、先輩!」
まだ、飲みかけのコーヒーを置いて先輩は走り去ってしまった
『(今までの不安が全部出てしまった、これであいつに嫌われたかな)』
「またここに居たんですね、この前もここでしたね」
『・・・さっきはごめんなさい突然泣き出したり怒ったりして』
「俺のほうこそすみません、またわかったようなこといって」
『ううんこれは完全に私が悪いの、私なんかが向こうの研究室に行って足を引っ張ったりしないのかとか、いじめられたりしないのかとか』
「先輩・・・」
『もしそういうときに、あなたみたいな、相談できる人がいればって』
俺は黙って先輩を前から抱きしめた
『ちょ、ちょっと』
「俺も今度の発表がんばりますから先輩も向こうでがんばってください」
『でも・・・やっぱり・・・』
「不安ですか・・・じゃあ」
そういって口付けをした
『ん、んんん』
「これでどうですか?」
『いきなりキスなんてしないでよ、これがはじめてのキスなんだから(///)』
「俺もですよ」
『でも少し気持ちが楽になったわ、ありがとう、さあ、戻りましょ、風邪引いちゃうわ』
「先輩待ってくださいよ」
・・・二日後、機器センター室
『ど、どうなの』
「あせらせないでください・・・今出ますから」(ピッ)
パソコンの画面にはきれいなNMRチャート図がでていた
『これでいいの?』
「待ってください予測データと照合しますから」
『・・・・』
プログラムによって計算されたチャート図とほとんど一致した
「やりました成功ですよ、少なくともあの件についてはこれで説明できます」
『やったじゃない』
「これも先輩のおかげです、ありがとうございました」
『これは、あなたが今まで一生懸命やった成果だよ』
「珍しく先輩が褒めてくれましたね」
『何言ってるのよ、正直な気持ちを言っただけよ』
「でも、ほんとありがとうございました」
『さあ、データもそろったんだから、あとはきみがまとめる番よ!』
「はい!」
それから俺はデータをまとめ発表資料を作った・・・
・・・・・・・そして3週間後
「以上で私が行なってきた研究発表を終わらせていただきます、最後までご清聴ありがとうございました」
『やっと、発表が終わったわね』
「これで、あとは勉強するだけです」
『勉強って何の?』
「あ、いえ、自己啓発の勉強ですよ、ははは」
『さて、今日は教授が研究室のみんなにご馳走してくれるって言うから行くわよ』
「せ、先輩待ってくださいよ・・・」
・・・・・それから三ヵ月後、某国際空港
「先輩がんばってくださいよ」
『あなたに言われなくても、がんばれるわよ』
「もし何かあったら今はE-mailもありますから、送ってくださいよ」
『わかってるわよ、じゃあ、ね』(CHU-☆)
「!!!」
キスをするやいなや先輩は180度振り向き出発口へ向かっていった、そのとき俺は見てしまった
先輩の目からこぼれる涙を・・・

エピローグ
研究員A「ねえ、これから、食事に行かない?」
『うんいいわね』
研究員B『そういえば彼からのメールは来てるの?』
『ちょっと何言うのよ、あいつは彼とかそんなんじゃ・・・最近来てないのよね』
研B『別に彼女でも出来たんじゃない?』
『そ、そんなあいつがもてるわけ・・・』
研B『あんまり油断しないほうがいいよ一度日本に帰ったら、休みとって』
『そうねえ』
所長「あーいたいた、ちょっといいかな?」
『あーはい、ごめんまた今度誘って』
研A「わかっよまた今度ね」
・・・・
『それで所長お話というのは・・・』
所「うむ、実はあたらしい日本人研究員を入れることになった、それで君に指導の補助をしてほしいんだ」
『それで、どんな人なんですか?』
所「ちょっと待ってなさい、(ピッ)あー私だ彼を連れてきてくれないか」
トントン
秘書「所長、つれてまいりました」
「失礼します」
『え、うそ、まさか、これって夢じゃないよね』
「お久しぶりです先輩」
『どうしてあんたがここに』
「ここの研究員採用試験受けたんだよ、教授には無理だろうって言われたけどね」
『うそ、あんたがここの採用試験受けてたなんて、メールとかで言ってくれればいいじゃない』
「落ちたら恥ずかしいし、先輩に余計な心配をかけたくなかったから」
『ばかびっくりさせないでよ』
所「ゴホン」
『しょ、所長す、すみません』
所「しかし、同じ大学出身だったからまさかとは思ったが、そうかそういう関係だったのか、ははは」

812 名前:エピローグ ◆DtLCqFED02 投稿日:2005/10/30(日) 18:07:56 V1QGc5Uv0

『別に私たちはそういう関係じゃ(///)』
所「まあ、若いってのはいいことだ、君も長旅で疲れただろうから今日はゆっくり休むといい、詳しいことは明日にでも話そう」
「はい、では失礼します」
『失礼します』
(バシッ)
「いったあああい、何するんですか先輩!」
『もう、まったくあなたっていう人はメール送っても返事がないから心配したじゃない』
「俺は体は丈夫なほうですから」
『そういうことじゃなくて、ほかに、彼女が出来たとか』
「先輩何言ってるかよく聞こえない・・・って叩かないでくださいよ」
『ふん、たいして心配なんてしてないんだからね、それより・・・』
「え?」
『研究所へようこそ!』
「先輩・・・」
『さて今日は、お祝いね、私の宿舎に今から行こうか手料理でもてなしてあげる』
「先輩の手料理なんて久しぶりだな」
『その代わり買い物の付き合ってもらいますから、よかった、ちょうど食材が切れてて大変だったから』
「荷物もちですか?」
『あ、当たり前でしょ、さあ行こう』
「待ってくださいよ」
俺は少し不安だったが先輩の笑顔を見るとちょっとだけ飛んで行った気がする
大変だろうけど、この先、先輩がいればきっと楽しい日々が待っているだろう・・・

END