Jupiter・DRAMATIC STARS・Altessimo |
Beit・W・FRAME |
彩・High×Joker |
神速一魂・Cafe Parade |
もふもふえん・S.E.M・THE虎牙道 |
F-LAGS・Legenders |
彩
猫柳 キリオ
第1話 日常に笑いをお届け | |
---|---|
猫柳 キリオ | さぁ今日もやってまいりました、 『猫も歩けば街角とぉく』のこぉなぁ! |
このこぉなぁでは、ワガハイが待ちゆく皆々様にいんたびゅ~をして、 | |
抱腹絶倒間違いないしの、面白おかしいとぉくを繰り広げるぞなもし! | |
それでは今日の1人目は…そこで待ち合わせ中の男前! | |
よければお話を聞かせてほしいぞなもし!待ち人はどなたでにゃんしょ? | |
番組スタッフ | はい、オッケーです。猫柳さん休憩入られます! |
猫柳さん、今日も撮れ高バッチリですよ! | |
猫柳 キリオ | にゃはっ♪ありがとうでにゃんす! |
番組スタッフ | 猫柳さんの新コーナー評判いいんですよ~!番組の視聴率も爆上がりです! |
インタビューされたいって視聴者からの問い合わせもあるくらいで! | |
猫柳 キリオ | 嬉しい限りでにゃんすねぇ。 |
ワガハイもこのこぉなぁには感謝しているぞなもし。 | |
街角いんたびゅ~は老若男女を観察できるでにゃんすからなぁ♪ | |
それに、このこぉなぁの『日常に笑いを』というこんせぷとも | |
とっても気に入ってるでにゃんす!もっとみんなを笑わせたいぞなもし。 | |
次の撮影はもっと形態模写を取り入れて、小話のネタも… | |
撮影再開に向けて、もっと色々なネタを考えるでにゃんすよ~! | |
第2話 驚愕の遭遇 | |
猫柳 キリオ | おや?プロデューサークンはまだみたいでにゃんすねぇ。 |
しからば、待ち合わせの時間まで人間観察をば… | |
男子学生A | …あれ?猫柳じゃん!こんなとこで会うなんて思ってなかったわ~! |
猫柳 キリオ | にゃにゃ?…おお!よもやこんな場所で会おうとは!? |
男子学生B | ビクリしたー。高校の教室以外で会うなんて思ってもなかったわ。 |
猫柳 キリオ | いやはや、お休みの日にこうして鉢合わせるとは、驚きでにゃんすなぁ。 |
男子学生A | 俺らは遊びに来てたんだけどお前は…あ、もしかしてアイドルの仕事? |
猫柳 キリオ | そうでにゃんす。今は事務所の人と待ち合わせている最中でぞなもし。 |
男子学生B | 休みの日も仕事か~、アイドルって大変だな。 |
男子学生A | しごとってもしかして『猫も歩けば街角とぉく』?俺アレ好きなんだよな~! |
男子学生B | わかる!毎回面白いし、あのバラエティ番組のコーナーの中で1番好きかも。 |
猫柳 キリオ | ありがとうでにゃんす~!同級生に褒められると少し照れるぞなもし。 |
来週の放送も捧腹絶倒必至でにゃんすから、お楽しみにでにゃーんす♪ | |
男子学生A | マジ!?楽しみすぎる!今度はどこでインタビューしたの?ちょっとだけ教えて! |
猫柳 キリオ | にょほほ…それは本来であれば見てのお楽しみ~、でにゃんすが… |
てすとのヤマを教えてくれるならワガハイ、口がポロリと滑ってしまうやも…? | |
男子学生B | いやいや、猫柳は俺らより成績いいんだからヤマ張る必要ないじゃん! |
猫柳 キリオ | にゃははは!ないすなツッコミに感謝でにゃんす~。 |
男子学生A | 最初っから教える気はないってことか、まあそりゃそうだよなぁ。 |
猫柳 キリオ | にゃふふ。おんえあをお楽しみに、でにゃんす! |
第3話 仕事に全力! | |
キリオとの待ち合わせ場所に急いでいると、男子学生たちとすれ違った。 | |
男子学生A | いやー、しかし猫柳と街中で会うなんてなぁ。 |
男子学生B | ああ。話してみるとやっぱりッスゲー面白いやつだったな。 |
男子学生A | でもさ、ぶっちゃけ、学校だとちょっと話しかけづらくないか? |
男子学生B | あーわかる。なんというか、ちょっと浮いてる感じするんだよな。 |
男子学生A | そうそう!それにアイドルだし、別世界の人って感じがするのもあるし… |
猫柳 キリオ | ややっ!こっちでにゃんすよプロデューサークン!お疲れ様でにゃんす~。 |
待たせてしまったことを謝る | |
猫柳 キリオ | いやいや、そこまで待ってはいないでにゃんすよ?それに、 |
たまたま高校の同級生たちと遭遇したので、お喋りをしてたぞなもし。 | |
『猫も歩けば街角とぉく』も見ているとか。ありがたい話でにゃんす~。 | |
学校ではそこまで話す機会もないゆえ、余計に嬉しかったでにゃんす! | |
話す機会が少ないんですか? | |
猫柳 キリオ | 同級生に新作小噺や新ネタを披露することはあるでにゃんすが、 |
それ以外の時間は、新ネタやあいどるについて考えてる方が多いぞなもし。 | |
事実、ワガハイ今日の仕事も楽しみで楽しみで、ずっと考えてたでにゃんす。 | |
ささ、プロデューサークン!早速現場に向かうでにゃんすよー! | |
第4話 笑いのためならどこへでも | |
猫柳 キリオ | |
てれびの前の皆々様、猫柳キリオの登場でござーい! | |
今週は特番の枠に合わせて、ワガハイの『街角とぉく』も大増量版! | |
にゃにゃーんと!街角いんたびゅ~の他に、 | |
今日は、ろけ地であるこの遊園地でとぉくしょーを披露するでにゃんす! | |
猫柳 キリオ | いやー、いつものいんたびゅ~に加えてとぉくしょー… |
しかもあの大舞台を1人で回させてもらえるなんて | |
感謝感激雨あられ~でにゃんす!まさに猫柳キリオ一世一代の晴れ舞台! | |
ワガハイ、この大役を必ずや果たしてみせるぞなもし!にゃっははは~! | |
もちろん来園者へのいんたびゅーもばっちり決めるでにゃんすけど… | |
プロデューサークン!とぉくしょーの練習もしたいでにゃんす! | |
練習相手になってくれないでにゃんすか? | |
もちろんです | |
猫柳 キリオ | さすがはプロデューサークン!ありがとうでにゃんす~! |
しからば、撮影の時間まで色々試させてほしいでにゃんす。 | |
練習とはいえ、笑いすぎ注意でにゃんすよ♪ | |
第5話 すぺぇすひーろーでにゃんす | |
猫柳 キリオ | うーむ、いんたびゅーのネタもこの遊園地にちなんで… |
…この切り口ではてんぽが…ならばここで話題の転換を?しかし… | |
むむむ…行き詰った時はお散歩でにゃんす! | |
プロデューサークン、ワガハイ少しそのへんを歩いてくるぞなもし! | |
いってらっしゃい | |
猫柳 キリオ | 宇宙のぱわぁを…うーむ… |
男の子 | うっ…ぐすっ…パパ…ママ… |
猫柳 キリオ | おや?もしや親御さんとはぐれてしまったでにゃんすか? |
男の子 | うん…ボクがよそみしてたから…うっ… |
猫柳 キリオ | (ふむ…泣いている子供を置いては行けないでにゃんすねぇ) |
では、ワガハイと一緒に迷子せんたぁまで行くでにゃんす! | |
男の子 | にゃんす…? |
猫柳 キリオ | にゃにゃっ?迷子クンはワガハイたちの秘密の暗号がわかるでにゃんすか!? |
実はワガハイ、にゃんにゃん星という惑星から極秘みっしょんを受けて、 | |
この地球までやってきたでにゃんすが… | |
まさか、地球でにゃんにゃん星の暗号が通じる仲間に出会えるとは! | |
迷子クン、ワガハイと共に悪い宇宙人を笑いと歌で攻撃するでにゃんすよ! | |
男の子 | わぁ、そうなんだ!にゃんす!にゃんす! |
猫柳 キリオ | にゃはは、なかなか上手ぞなもし!にゃんすにゃんす~♪ |
(ふふ、即興のお話でにゃんしたが、笑ってくれてよかったぞなもし) | |
第6話 己が実力を省みて | |
猫柳 キリオ | …では、お次の街角いんたびゅ~に行くでにゃんす~! |
おやおや?あそこで写真を撮っている2人に声をかけて… | |
男の子の声 | …ママのバカ! |
番組スタッフ | っと…今の音声入っちゃったかな。すみません、いったんカメラ止めますね。 |
猫柳 キリオ | おや、あの子はさっきの迷子クン…と、その後両親でにゃんすかね? |
母親 | いい加減にしなさい、そんな噓を信じたりして… |
男の子 | 嘘じゃないもん!悪い宇宙人がやってくるから、ボク、笑いと歌で… |
父親 | はは。わかったわかった、今度は迷子にならないように気をつけろよ。 |
男の子 | パパも信じてない!ボク、にゃんにゃん星から来た宇宙人に会ったんだよ! |
パパもママも、なんで信じてくれないの!? | |
猫柳 キリオ | ……むむ… |
親子のやり取りをじっと見つめるキリオに、どうかしたのかと尋ねた。 | |
猫柳 キリオ | あの子の言ってる宇宙人の話は、ワガハイが聞かせた小噺なんでにゃんす。 |
冗談と分かるようにかなりおーばーに話したつもりでにゃんしたが、 | |
迷子クンは、ワガハイのホラ話を信じ切ってしまったようでにゃんすねぇ。 | |
うーむ…ワガハイもまだまだ力量不足だったようでにゃんす。 | |
第7話 家族に笑顔を | |
猫柳 キリオ | むむむ… |
キリオに、男の子のことが気になっているのかと尋ねた。 | |
猫柳 キリオ | プロデューサークン、ワガハイはあいどるである前にぷろの噺家でにゃんす! |
この後とぉくしょーで世界を爆笑の渦に巻き込まなければ… | |
…でも…気にならないと言えば噓になるでにゃんす。 | |
猫柳さんはどうしたいですか? | |
猫柳 キリオ | ワガハイ…あの子をとびっきりの笑顔にしたいでにゃんす。 |
ワガハイ、自分の家族のことが大好きでにゃんす。だからこそ… | |
ワガハイのホラ話がきっかけで、迷子クンが家族とケンカするのは悲しいぞなもし。 | |
だから、ワガハイの話をワガハイが塗り替えて、あの迷子クンのご両親も… | |
み~んなをとびっきりの笑顔にしたいでにゃんす! | |
でも、この後はとぉくしょーぞなもし。迷子クンを探しに行くわけには… | |
トークショーの舞台を使うのはどうでしょう | |
猫柳 キリオ | にゃ!?たしかにこの大舞台ならば迷子クンにも届くかも… |
しかし、ワガハイの独演で宇宙規模のホラ話を超えるネタとなると…うーむ… | |
ホラ話…ホラ…ならば、嘘を本当にすることができれば…? | |
きゅぴぴ~ん!ワガハイ、ひらめいたでにゃんす! | |
これがうまくいけば迷子クンだけじゃなく、遊園地中を… | |
いや、てれびを見ている日本中の人を笑わせることができるでにゃんす! | |
とはいえ、とぉくしょーの準備はすでにぬかりなく進行中… | |
今から予定を変更するのは…さすがに現実的ではないでにゃんすかね。 | |
思いついたアイデアを聞かせてほしいと伝えた。 | |
第8話 突飛なあいであ | |
猫柳 キリオ | とぉくしょーの冒頭に、ひーろーしょーのような演出をするでにゃんす。 |
ワガハイ、迷子クンに地球に悪い宇宙人が攻めてくると話したでにゃんす。 | |
それをそのまますてぇじで披露すればホラにならないでにゃんす! | |
番組スタッフ | ヒーローショー!面白そうですね!遊園地ならではの演出ですし。 |
遊園地スタッフ | それなら、ウチで普段使ってる怪人の着ぐるみを使ってください! |
猫柳さんのショーが盛り上がればウチとしても願ったり叶ったりですからね。 | |
番組スタッフ | じゃあ早速怪人役の手配を…手の空いてるスタッフがいれば… |
遊園地スタッフ | 私たちは園内の告知を急ごう!まずはアナウンスで… |
猫柳 キリオ | …プロデューサークン。 |
プロデューサークンがもし背中を押してくれなかったら、 | |
ワガハイ我慢してしまってたでにゃんす。ありがとうでにゃんす。 | |
絶対に、とぉくしょーを成功させてみせるでにゃんすよ! | |
遊園地スタッフ | 猫柳さーん!怪人との戦闘はどうしますか? |
猫柳 キリオ | この土壇場で激しい殺陣は難しいでにゃんすからね~… |
ならばワガハイのとぉくで繋ぐでにゃんす! | |
番組スタッフ | ええっ、トークで!? |
猫柳 キリオ | 1つ、あいであがあるでにゃんす。まずはワガハイの声を録音してもらい… |
第9話 決戦!猫柳キリオとぉくしょー | |
猫柳 キリオ | 皆々様、お待ちかね!猫柳キリオのとぉくしょー、始まり始まりでにゃんす! |
いよいよトークショーのステージがはじまった。 | |
猫柳 キリオ | まずはここで一席、ワガハイの新作小噺を… |
悪い宇宙人の声 | ワーッハッハッハッハ! |
猫柳 キリオ | にゃにゃ!?この声は…! |
悪い宇宙人 | この遊園地は我々がいただいた! |
ここから地球を侵略し、みんなの笑顔を奪ってやるのだ~! | |
猫柳 キリオ | そんなこと…ワガハイが許さないでにゃんす!! |
悪い宇宙人 | なんだ、おまえは? |
猫柳 キリオ | ある時は落語家…またある時はあいどる、しかしその正体は… |
歌と笑いで地球を守る正義のひーろー、猫柳キリオでにゃんす!! | |
(よし、録音したワガハイの声との掛け合いもおっけーでにゃんす) | |
(客席も大盛り上がり。これだけ集まってきていれば、迷子クンもきっと…) | |
悪い宇宙人 | ワーッハッハッハッハ!落語家などに何ができる!笑わせるな! |
猫柳 キリオ | 笑わせるな?ワガハイまだ何もしてないのに笑ってるでにゃんすか? |
悪い宇宙人 | うぐっ…!う、うまいこといいおって! |
猫柳 キリオ | (直前の提案にも対応してくれたすたっふクンたちに感謝でにゃんすね) |
(このお礼は…客席いっぱいの大爆笑でお返しするでにゃんす!) | |
最終話 好きなことを好きなだけ | |
遊園地でのトークショーから数日後… | |
猫柳 キリオ | にゃふふ~ん♪ |
清澄 九郎 | 猫柳さん、ずいぶんとご機嫌ですね。何か良いことでもあったのですか? |
猫柳 キリオ | よくぞ聞いてくれました、くろークン!ふっふっふ…じゃーん!! |
清澄 九郎 | クレヨンで描かれたファンレター…これは、猫柳さんの似顔絵ですか? |
華村 翔真 | ふふっ、よく特徴をとらえてるわね。 |
猫柳 キリオ | ワガハイ、笑わせたい人を笑わせることができたでにゃんすよ。 |
華村 翔真 | あら、いいじゃない。そのファンレターは笑いの勲章ってところね。 |
『笑わせる』ことに関して、ボーヤはいつも真剣で妥協がないからね。 | |
猫柳 キリオ | にゃふふ… |
今回はワガハイもしたいことを我慢するところだったでにゃんすが… | |
この子をまた笑顔にすることができて本当によかったでにゃんす! | |
それもこれも、プロデューサークンのおかげぞなもし! | |
ワガハイのひらめきを実現させてくれてありがとうでにゃんす~♪ | |
プロデューサークンがいれば、ワガハイはこれからも全力で、 | |
好きなことを好きなだけ突き詰めていけるでにゃんすよ! | |
そうしている猫柳さんが1番輝いています | |
猫柳 キリオ | にゃはっ♪これからもよろしくお願いするでにゃんすよ、プロデューサークン! |
華村 翔真
第1話 異色の顔合わせ | |
---|---|
とある刑事ドラマへの出演が決まった翔真。今日は顔合わせに来ていた。 | |
華村 翔真 | 刑事ドラマだなんてなんだかワクワクしちゃうわね。撮影が楽しみだわァ。 |
あら、監督へのあいさつはもういいのかい?プロデューサーちゃん。 | |
台本を渡す | |
華村 翔真 | おや、持ってきてくれたのか。ありがと♪えーっと、アタシの役は…と。 |
…あれまァ。主演の「株井田刑事」役…白鶴ちゃんじゃないか! | |
知り合い? | |
華村 翔真 | ああ。「市川白鶴」って言やァわかるかい?歌舞伎界の名門の跡取りさね。 |
アイツとは歌舞伎役者時代に、ちょいといろいろあってねぇ。 | |
最近じゃ、アイツは俳優としても映画なんかで活躍してたけど… | |
まさかアイドルになってから共演するなんて…これも縁なのかしらねェ。 | |
第2話 駄目出し合うはかつての友 | |
顔合わせ終了後、市川白鶴が翔真の元に現れた。 | |
市川 白鶴 | おうおうおう、派手な柳の木が生えてるのかと思ったらお前かい、華村。 |
やれUFOだの吸血鬼だの、最近トンチキな仕事ばかりやるようじゃねェか。 | |
アイドルだかプードルだか知らねえが、マトモな演技ができんのか俺ァ心配だねェ。 | |
華村 翔真 | あァら、そういうアンタは白鶴ちゃんじゃないの。ウドの大木かと思ったわ。 |
アタシはドラ声がなりたてりゃァ演技になると思ってるアンタの方が心配さね。 | |
先月の公演だって見てて冷や冷やしたよ。アンタに刑事の役が務まるのかねェ? | |
市川 白鶴 | けっ、それは撮影で証明してやるよ。お前は重要な役なんだ、とちるなよ。 |
華村 翔真 | はっ、アンタこそ作品の顔張るんだ。ヘマするんじゃあないよ! |
なんだかいい関係みたいですね | |
華村 翔真 | あは、今のがそう見えた?プロデューサーちゃんには敵わないわァ。でも、正解。 |
アイツと顔合わせる度に罵り合うのは、お約束のやり取りになってんのよ。 | |
アイツは名門で一流の役者だ。本来は後ろ盾もないアタシなんて相手にしない。 | |
でもアイツはアイツで、アタシの実力を買ってくれてたみたいでね。 | |
ああして罵り合って、お互いになにくそ精神で切磋琢磨してきたもんだ。 | |
アイドルになってからもなんだかんだ気にかけてくれてる、いい友人だよ。 | |
第3話 端役の意地 | |
株井田刑事 | 『俺ァ行かねェからな。捜査一課の片棒なんか、誰が担ぐかってんだ!』 |
華村 翔真 | (間近で稽古を見てりゃわかる…アイツ、さらに演技の腕を上げてきたね) |
(燃えてきたわ、ならアタシはその更に上を行ってやろうじゃないの!) | |
華村 翔真 | プロデューサーちゃん。確かこの日とこの日はオフだったわよね。 |
レッスンルーム、空いてたら予約入れてくれない?芝居の練習、しておきたくてね。 | |
既にレッスンの時間は確保してありますが… | |
華村 翔真 | いや、白鶴ちゃんにあんな芝居見せられちゃ、アタシも燃えてきちゃってサ。 |
翔真に、オーバーワークにならないように気をつけて欲しいと念を押した。 | |
華村 翔真 | あら、無理しそうに見えた?そうねェ、ちょっと熱くなりすぎてたかも。 |
頭に血がのぼってちゃ、プロの仕事はできないわね。 | |
冷静なアドバイス、ありがと。プロデューサーちゃん。 | |
第4話 思わぬきっかけ | |
華村 翔真 | アタシの役は料亭の曲者亭主、「小山 祐雅」…料亭の亭主ねぇ。 |
知識としてどういうものかは知ってるけど、さて、どう演じていこうか… | |
プロデューサーちゃんも、何か妙案があったら教えて頂戴ね。 | |
おばあさん | …あの、ちょっといいかしら。貴方、もしかして… |
華村 翔真 | あら、おばあちゃん。アタシに用かい?サインなら… |
おばあさん | 綾子でしょう。すぐにわかったわ。お前、帰ってくるなら一報入れて… |
華村 翔真 | あ、綾子?おばあちゃん、悪いけど人違いだよ。よく見てごらん。 |
おばあさん | えっ、あら本当…ごめんなさい。雰囲気が娘に似ていたものだから… |
華村 翔真 | 人違いなんてよくあることさ。アタシは気にしてないよ。それじゃあ… |
っと、ちょっと待った。おばあちゃんの、今の立ち振る舞い… | |
背筋も伸びて指の動きも綺麗…もしかして日本舞踊とかやっていた? | |
おばあちゃん | ああ、それなら職業柄ね。こう見えて昔、料亭の女将をやっていたのよ。 |
お店はもう畳んじゃったけど…習慣ってのは残るものねぇ。 | |
華村 翔真 | 料亭の…!?はは、こりゃすごい偶然があるもんだ。 |
あばあちゃん。よかったら料亭のこと、お話聞かせてくれないかしら? | |
第5話 板に着く熟練の技 | |
華村 翔真 | 色々話してくれてありがと!料亭の女将の心意気、伝わってきたわ。 |
アタシさ、アイドルなのよ。歌って踊って、写真も撮れば芝居もするのサ。 | |
実は今度、ドラマで料亭の亭主役ってのをやることになってね? | |
おばあちゃんの話を聞いてたら、芝居の筋道も見えてきた気がするわ。 | |
おばあさん | あら本当。私の話なんかが役に立てたんなら、嬉しいわ。 |
今もお店があったら、貴方にお見せすることができたんだけどねぇ… | |
跡取りもいなくなったし、私は年だし、そうするより仕方なかったの。 | |
華村 翔真 | 跡取りって…さっき話してた一人娘の…綾子さんのことかい? |
おばあさん | ええ。ある日あの子は「叶えたい夢ができたの!」って言い出してね… |
「そのために海外に行く、夢をつかみ取るのよ」って、それっきり。 | |
今も海外を転々としてるらしいわ。たまに連絡ぐらいくれればいいのに。 | |
華村 翔真 | (夢を追いかけて、実家から飛び出した…か。誰かさんを思い出すね) |
おばあちゃん、よくここに来る?よければまた相談に乗ってくれるかい? | |
おばあさん | ええ、もちろん。お店を畳んじゃって、暇を持て余してたところよ。 |
華村 翔真 | よかった!役作りのこと以外でも、またお話してくれると嬉しいわ。 |
第6話 想いを連ね | |
華村 翔真 | プロデューサーちゃんがおばあちゃんと会うのは初対面の時以来だったわね。 |
あれからね、おばあちゃんとはこの公園で時々会って話してたの。 | |
おばあちゃんのおかげで今度のドラマも、うまい具合に役が掴めそう。 | |
演技が引っ張られすぎないように気をつけてほしいと伝えた。 | |
華村 翔真 | あはは、かってるよ。おばあちゃんの話はあくまで演技の参考サ。 |
アタシがもらった役を表現するのも深めるのも、アタシ自身の仕事だからね。 | |
…でも、そういう気になったとこ、遠慮なく言ってくれてありがとね。 | |
世辞や同情をもらったって、いい芝居なんてできやしないもの。 | |
感じたことを率直に伝えてもらえれば、それは次に繋がるからね。 | |
ところで、あばあちゃん遅いわね。普段ならもう来てる時間なんだけど。 | |
おじいさん | おーい!そこのあんた、いつもここにいるばあさんの娘さんじゃないか。 |
ばああさんは元気なのかい?倒れて病院に運ばれたと聞いたから心配でね。 | |
華村 翔真 | …ちょっと待っておくれおじいちゃん。もう1回聞かせとくれ。 |
あのおばあちゃんが病院に運ばれたって、確かなのかい? | |
第7話 幕引きにはまだ早い | |
華村 翔真 | あばあちゃん、すぐに手術しにゃきゃいけないって本当なのかい? |
おばあちゃん | 嫌だって言ってるんだけどね…私はもう長生きしすぎてしまったよ。 |
店も畳んで、生き甲斐もなくなって…もう頃合いだとは思ってたわ。 | |
…そうだ、翔真さん。貴方は、綾子を演じることって、できるのかしら? | |
華村 翔真 | おばあちゃん…それは… |
おばあちゃん | …まだ綾子と連絡がつかなくてね。娘に看取ってはもらえないみたい。 |
この婆の最後のお願いよ。冥途の土産に、綾子に会わせておくれ… | |
華村 翔真 | …アタシは綾子さんにはなれない。でも、演じろというなら…やってやるわ。 |
『お母さん、弱気にならないで。生きることを諦めないでよ!』 | |
『生きてさえいれば、人生を変えるような新しい目標だって見つかる』 | |
『私が、新しい夢を抱くことができたみたいに、だから……元気でいて』 | |
…ごめんなさい、謝るよ。出過ぎた真似だったわね。 | |
おばあさん | ……いいえ…いいえ…!そんなこと、ないわ…!…綾子…っ… |
華村 翔真 | …夢を諦めずに飛び出すほどの熱い人なら、きっとこう言うと思ったの。 |
…おばあちゃん、華村翔真の口からも、言わせてもらうよ。 | |
もし生き甲斐がないってのなら、アタシの歌や演技を見ておくれ。 | |
もう頃合いだなんて思わなくなるくらい、魅了してあげるからさ…ね? | |
第8話 曲者の見せ場 | |
それからしばらくして、刑事ドラマの撮影本番の日… | |
おばあさんと連絡を取っている? | |
華村 翔真 | そうね、付き添ってくれたプロデューサーちゃんには報告しておかないと。 |
昨日、電話が来て…手術は成功したって。退院は2週間後よ。 | |
ドラマが面白くなかったら承知しないってどやされちゃったわ。 | |
料亭の曲者亭主役、きっちり演じ切らないと。さぁ出番だ、行ってくるよ! | |
株井田刑事 | 『なァ、頼むよ旦那。アンタだけなんだ、ホシの証拠に繋がってそうなのはよ!』 |
小山 祐雅 | 『おなじみさんの話をペラペラと他所で吹聴する料亭に客がつきますか』 |
『株井田さん、今の貴方に話せるようなことは何ひとつありません』 | |
株井田刑事 | 『その顔…俺に何かさせようってハラだな。噂通りの食えない野郎だ』 |
小山 祐雅 | 『さぁてどうでしょう。そういえば、少々困ったことがありまして…』 |
華村 翔真 | (もし半端な芝居でも見せてみろ。アタシがアンタの主役を食っちまうからね) |
市川 白鶴 | (華村、こいつ…!けっ!やれるもんならやってみろってんだ!) |
第9話 不変への褒め言葉 | |
その後も刑事ドラマの撮影は順調に進んでいき、クランクアップを迎えた。 | |
クランクアップおめでとうございます!" | |
華村 翔真 | ふふっ、ありがと♪プロデューサーちゃんにもいろいろ苦労かけたわね。 |
おや、なんだい白鶴ちゃん。何か言いたそうな顔してるじゃあないの。 | |
市川 白鶴 | …いや、恐れいったぜ。間近で見て分かった。お前、相当腕を上げたなァ。 |
華村 翔真 | な、なんだい。今日はやけに素直じゃないか。明日は槍でも降るのかねェ? |
市川 白鶴 | たまの誉め言葉くらい素直に受け取れってんだ。2度は言わねェからな! |
お前がアイドルに転身したって聞いて…正直、失望もしてたんだぜ。 | |
報われねェ、認められねェ辛さは…そりゃ、わかるなんて言えねェけどよ。 | |
だからって、逃げるこたァねェ。そんな軟弱な野郎だったのか…ってな。 | |
けどよ、お前は逃げてたわけじゃねェんだな。むしろ前に進んでやがった。 | |
華村 翔真 | …ははっ、今更何言ってんだい。そんなの当然だろう? |
アタシの根性は変わりも腐りもしちゃいない。環境は大きく変わったけど… | |
今も昔も、アタシは舞台のド真ん中で輝くために歩き続けてんのサ。 | |
市川 白鶴 | そうかい…お前と芝居ができて楽しかったぜ。次がありゃいいんだが。 |
華村 翔真 | あら、ならその時はアタシが主役かもしれないわね♪ |
いつになるかわからないけど、その時までお互い芸を磨いておきましょ! | |
最終話 花道を優雅に往こう | |
華村 翔真 | ふふふっ。あの刑事ドラマ、大好評らしいじゃない!ほら、この記事! |
『主役の市川白鶴と、彩の華村翔真の駆け引きのシーンは必見!』だってさ。 | |
もらったファンレターにも、早速ドラマのことが書いてあったりしてサ、 | |
こうしてあちこちで褒めそやされるってのは、嬉しいもんだねェ。 | |
いいニュースがあります | |
華村 翔真 | あら、このドラマの続編作るの?アタシの出演も内定かい!?そりゃめでたいね! |
ふふっ、シリーズ化やレギュラー化を目指して、次も気合入れていこうかね! | |
しかし、白鶴ちゃんとの共演に、あばあちゃんとの思いがけない出会い… | |
そして、プロデューサーちゃんがいつもアタシを支えてくれてること。 | |
どれかひとつ欠けてても、今回の仕事はうまくいかなかったでしょうね。 | |
世辞や同情もらっても、いい芝居はできないって前にも言ったけどサ、 | |
プロデューサーちゃんは、アタシの夢のために本気でぶつかり合ってくれるだろ。 | |
アタシにとって、それは本当に嬉しいことなんだ。いつも、感謝してるよ。 | |
必ず夢を叶えましょう | |
華村 翔真 | ああ、頼りにしてるよ!これからもアタシのこと、どうかご贔屓にってね♪ |
清澄 九郎
第1話 お茶会?の誘い | |
---|---|
清澄 九郎 | バラエティ番組の収録、お疲れさまでした。 |
普段お会いしないような方とお仕事をご一緒できるのは、新鮮でした。 | |
チャラい芸人 | ヘイ!九郎ちゃ~ん!この後打ち上げ、どう? |
清澄 九郎 | お誘いありがとうございます。ですが、本日は少々用事が… |
チャラい芸人 | なら別の日に遊ぼうよ?今度パーティやるからさ、そこにおいでよ! |
清澄 九郎 | パーティ…ええと、それはどういったお祝い事で…? |
チャラい芸人 | そういうんじゃなくてさ!九郎ちゃんを色んな人に紹介したいのよ! |
色んな人と話して…あっ、九郎ちゃんの好きなお茶会みたいなもんさ! | |
清澄 九郎 | お茶会のようなもの…ですか。ならば、参加させていただければ。 |
お招き、ありがとうございます。 | |
自分も同行する | |
清澄 九郎 | ついてきてくださるのですか?それでは、よろしくお願いいたします。 |
第2話 Party people | |
清澄 九郎 | パーティ会場に到着しましたが…これは…どうしたことでしょうか。 |
騒々しいと言いますか…自由に飲み食いしている方々ばかりで… | |
あの、私の思い描いていたお茶会とはあまりにも違う様子なのですが… | |
チャラい芸人 | 違ってもいいじゃない!フィーリングで!たまにはこんなのも楽しいでしょ? |
清澄 九郎 | (フィーリングと言われましても…なんといい加減な…) |
(せっかくお招きいただきましたが、もう帰りましょう…) | |
清澄 九郎 | プロデューサーさん、お付き合いいただいたというのに申し訳ありません。 |
…しかし、騒いでいる方々は皆、楽しそうにしていますね。 | |
若い方々がリラックスしてこの会を楽しまれているのは確かなようです。 | |
彼らを惹きつける理由が、この催しのどこかにあるのでしょうか…? | |
…あの、もう少しだけ、見て回ってもよろしいですか? | |
もちろん! | |
清澄 九郎 | ありがとうございます。それでは、今しばらくお付き合いください。 |
第3話 矢を放つ | |
清澄 九郎 | あの…少しお話を!…行ってしまわれました… |
お話を伺おうにも、騒がしく、大声で話さなければなりませんし… | |
会話の糸口がつかめません。やはり私にこの場は難しいようですね… | |
チャラい芸人 | 九郎ちゃん、楽しんでる~?こっちで一緒にダーツやろうよ~! |
清澄 九郎 | ダーツ…ですか?ええとこれは…投扇興のようなものでしょうか。 |
これを投げればよろしいのですか?…それっ。 | |
チャラい芸人 | わっ!?ど真ん中に的中!?しかも3本とも!!やっぱ九郎ちゃんイケてんね!! |
パリピ客A | あっちで和服のイカした兄ちゃんがダーツで目立ちまくってるってよ!! |
パリピ客B | へえ、おカタそうに見えて、話してみると結構気さくなんだな!兄ちゃん! |
清澄 九郎 | それはどうも…どうしたことか、大勢の方に囲まれてしまいました。 |
第4話 たおやかな時間 | |
清澄 九郎 | 結局、パーティの閉会まで残ってしまいましたね…お疲れ様でした。 |
どこかで休んでいこう | |
清澄 九郎 | ああ…抹茶と羊羹が美味しい。こんなところに甘味処があったのですね。 |
ふぅ…ようやく一息つけました。慣れないことをしすぎたようです。 | |
頑張ったね | |
清澄 九郎 | ありがとうございます。流石に疲れましたが…得たこともあります。 |
話しかけてくださる方の中には、彩をご存知の方もおりましたし、 | |
多くの若い方を相手に、茶道のお話をすることもできました。 | |
普段あまり接点のない方々とお話できる貴重な機会でした。 | |
ふふ、パーティにお招きいただいたあの方に、感謝しないといけませんね。 | |
…それにしても、ここでプロデューサーsなんと話していると落ち着きます。 | |
やはり私には,この甘味処のような穏やかな空間が合っているようです。 | |
第5話 新たなチャンス | |
清澄 九郎 | プロデューサーさん、おはようございます。私にお話とはなんでしょう? |
番組のオファーが来た! | |
清澄 九郎 | 先日のパーティに参加されていた方が私に興味を持ってくださった、と… |
あの催しには、テレビ業界の方も大勢招かれていたのですね。 | |
それで、番組の内容は…企画書を見せていただけますか? | |
子どもたちに職業や伝統芸能などの初体験をしてもらう番組、ですか。 | |
第一回目の企画は茶道で、講師役は私… | |
あの場で茶道の話をしたのを、聞いていただけていたのでしょうか。 | |
茶道のお仕事はまさに、今まで培ってきたものを活かすチャンスです。 | |
そのお仕事、是非お引き受けさせてください。 | |
第6話 伝えることの難しさ | |
清澄 九郎 | 新番組、いよいよ撮影開始です。 |
子どもたちに茶道の楽しさが伝わるよう…頑張らないといけませんね。 | |
清澄 九郎 | 茶道の基本は心配りです。席についたらまず… |
…ああ、走り回ってはいけません。お菓子を勝手に食べては…! | |
監督 | このままじゃ撮影続行できないよ。仕方ない、一度中断だ。休憩にしよう。 |
うーん…子どもたちの反応が想定より芳しくないんだよね。困ったなぁ。 | |
清澄 九郎 | 申し訳ありません…休憩時間で何か対策を考えてみます。 |
清澄 九郎 | 撮影が滞ってしまったのは、私の力不足によるもの… |
これ以上、ご迷惑をおかけするわけにはいきません。 | |
それに、茶道は格式ばったものとみなさんに思われる可能性もあります。 | |
ここで躓くわけにはいきません。なんとかしなくては…! | |
第7話 真っ白な茶碗 | |
清澄 九郎 | 子どもたちに茶道へ興味を持ってもらうには、どうすれば… |
九郎の小さい頃はどうだった? | |
清澄 九郎 | …え?私の小さい頃…ですか? |
私の場合は、清澄の家に生まれた時点で道は決まっていましたから… | |
ですが…ひとつ、強烈に印象に残っている出来事があるのです。 | |
あれはまだ私が茶の道に入る前の幼い頃… | |
父が大切にしていた真っ白な茶碗を誤って割ってしまったのです。 | |
大変なことをしてしまったと自責の念にかられ、すぐ謝りに行きました。 | |
すると父は、茶碗の欠片を拾い集めて、金継ぎをしてみせたのです。 | |
一度砕けた器を、漆を用いて元の形に戻す魔法のような技。そして… | |
元の茶碗にはなかった金の筋模様が白地に映え、大変趣深く感じました。 | |
割れたことで生まれた新たな美しさ、その味わいに、父の鮮やかな手際… | |
それら全てに驚き、いたく感動を覚えたと、今でも記憶に残っています。 | |
思えばあれが、私が茶道に心を奪われた最初の出来事でした。 | |
そうです…!子どもたちに必要なのも、驚きと感動なのかもしれません。 | |
そうとわかれば、きっと何かできることがあるはずです! | |
第8話 伝統の中に驚きを | |
清澄 九郎 | 茶道を通じて驚きや感動を与え、興味を持ってもらうには… |
猫柳さんや華村さんなら、どう表現するでしょう?それを考えながら… | |
清澄 九郎 | 畳みの縁を踏んではいけませんよ。床下に忍者がいるかもしれません。 |
男の子 | えっ…に、忍者!?どういうこと? |
清澄 九郎 | お屋敷に忍び込んだ忍者は、畳の隙間から攻撃するのです。 |
ですから、畳の縁を踏んではいけないのです。 | |
これは忍者の活躍した時代から続く、長い歴史あってのルールなんですよ。 | |
男の子 | へー、そうなんだ…!ねえ、お茶ってそんなに昔からあるの? |
清澄 九郎 | 人間がお茶を発見したのは、遡ること4000年以上前と言われていますよ。 |
女の子 | えぇーっ!?そんなに昔!?お、お茶ってすごい…! |
清澄 九郎 | (身振りや雑学を交えて…関心を持ってもらうことができたようです!) |
第9話 甘味と苦味 | |
清澄 九郎 | それでは今度は、あなたが亭主役です。お茶を点ててみましょうか。 |
男の子 | う、うん、わかった! |
清澄 九郎 | 緊張しなくて大丈夫ですよ。上手にお茶を点てることよりも… |
みなさんにおいしいお茶を喜んでもらうことを考えましょう。 | |
男の子 | 喜んでもらう、か…やってみるね! |
女の子 | おてまえちょうだいいたします! |
こくん…わぁ…!ちょっと苦いけど、さっぱりしてる! | |
いい香りで…甘くておいしい! | |
男の子 | おいしかった!?…ふふ、よかった!やったね、九郎お兄ちゃん! |
うまくいったね | |
清澄 九郎 | はい…!おもてなしの心が通じたのですね…! |
最終話 一期一会 | |
清澄 九郎 | 先日撮影した番組が、ようやく放映されましたね。 |
大好評だよ | |
清澄 九郎 | 反響も大きく、好評なようで…安心いたしました。 |
振り返れば、芸人さんのパーティに行ったことから始まったこの企画… | |
出会いがあり、お誘いを受けたからこそ、今回のお仕事がありました。 | |
思えば、芸能界に飛び込んだこともまた、縁に導かれたからでした。 | |
プロデューサーさんとの出会い、そして華村さん、猫柳さんとの不思議な縁… | |
こうした一期一会を大切にしてきたことで、 | |
またアイドルとしての一歩を進むことができました。 | |
これからも、いただいた縁を大切にしていかなくては… | |
これからも…よろしくお願いしますね、プロデューサーさん。 |
High×Joker
秋山 隼人
第1話 密着!High×Jokerのリーダー! | |
---|---|
秋山 隼人 | 俺個人に仕事の依頼?なんだろ…え!?ドキュメンタリー番組!? |
企画書を渡す | |
秋山 隼人 | えっと…『人気バンドのリーダーとしての日常や作曲に取り組む姿を取材』 |
『可能であれば番組に向けて新曲作成もお願いします』だって! | |
伊瀬谷 四季 | ハヤトっちがドキュメンタリー番組に!?なんか職人みたいでカッコイイっすね! |
秋山 隼人 | だな!プロデューサー、俺、この仕事引き受けるよ。もちろん新曲も作る! |
若里 春名 | それはいいけど、ハヤトひとりで大丈夫か~? |
秋山 隼人 | 大丈夫だって!今回の仕事は、俺1人が注目されるってことだよな。 |
それってつまり!うまくいえばものすごくモテるチャンスかもってことじゃん! | |
冬美 旬 | まったく…ハヤトはまた、そんな不純な動機で… |
秋山 隼人 | 前にも言ったけど、俺は純粋にモテたいの!だから、決して不順じゃないぞ! |
榊 夏来 | …ふふ、ハヤトは、相変わらず…いつも通り、だね。 |
第2話 純粋な気持ち | |
数日後、ドキュメンタリー番組の撮影がスタートした。 | |
番組スタッフ | では今から、オープニング用に事務所の内装を撮影させていただきますね。 |
じゃ、さっそくカメラまわしまー… | |
秋山 隼人 | お疲れ様でーす!あ、プロデューサーいたいた!ねえ、これ見てよ! |
隼人は、少し照れながら女性誌の最新刊をこちらに見せている… | |
秋山 隼人 | へへ…ドキュメンタリー番組の撮影に備えて、改めてモテテクニックを勉強したくて… |
1人で買うのは緊張したけどさ、この雑誌のモテ特集がすごいんだ! | |
大胆なことも書いてあって恥ずかしいんだけど、これで撮影もバッチリ… | |
バッチリ撮られてるけど… | |
秋山 隼人 | …撮られてるって、え…カメラ?え!?いつの間に!? |
もしかして、これってもう回ってる…!?なんで!? | |
番組スタッフ | 想定外の画だけど…男子高校生らしい初々しさがあって、いいね! |
秋山 隼人 | うわー!スタッフさん待って!ここカット!カットでお願いします! |
第3話 いつものノリ | |
数日後、心境についてメンバーと相談する様子が撮影されることになった。 | |
番組スタッフ | はーい。カメラ回ってますので、自由なタイミングでどうぞ! |
秋山 隼人 | コホン。本日は新曲のテーマについてメンバー諸君の意見をお伺いしたいと思う。 |
冬美 旬 | 撮影だからカッコつけたいのはわかりますが、言葉使いが間違っています。 |
伊瀬谷 四季 | 言葉使いはよくわかんないっすけど、キャラも全然違うっすね。 |
秋山 隼人 | そ…そんなことはない!えー、ゴホン!では諸君、新曲について意見を頼む! |
番組スタッフ | えーと…隼人くんって、いつもこんな感じなのかな? |
伊瀬谷 四季 | 全然違うっす。いつもは…「スッゲーイイ曲できた!やったー!」みたいな… |
秋山 隼人 | シーキー!!余計なこと言うなー! |
伊瀬谷 四季 | あはは!そう簡単には捕まらないっすよー! |
榊 夏来 | あの…スタッフさん。さっきの変な口調は…普段のハヤトと全然違う…けど。 |
若里 春名 | どんなことも全力で取り組む…そういうところは、いつものハヤトだよな。 |
第4話 焦る気持ち | |
伊瀬谷 四季 | 今日は撮影ないし、ハヤトっち、カッコつける必要なくてよかったっすね。 |
秋山 隼人 | うーん… |
榊 夏来 | …ハヤト、元気ない? |
秋山 隼人 | 新曲、いくつかフレーズは思いついてるんだけど、全然まとまらなくて。 |
若里 春名 | 撮影期間中に作らないといけないんだよな。 |
時期的に、そろそろたたき台ぐらいはないとマズくないか? | |
秋山 隼人 | だよな…悪い、ちょっと外の空気吸ってくる。 |
冬美 旬 | あれで根が真面目ですからね、変に思い詰めないといいんですが… |
秋山 隼人 | はぁ…時間がないのに、俺、何やってんだろ。 |
(俺の撮影なんだから、俺が頑張らないといけないのに…) | |
第5話 このままじゃダメだから | |
秋山 隼人 | ごめん、今戻った…あれ?みんなもう帰ったんだ。 |
みんな心配してたよ | |
秋山 隼人 | そっか…悪いことしちゃったな。プロデューサーも、心配かけてごめん。 |
(これ以上時間かけたら、みんなにも迷惑かけちゃうよな) | |
(でも、このまま俺だけで考えてても、どうしようもないし…) | |
…あのさ、プロデューサー。ちょっと相談したいことがあるんだけど! | |
その時、隼人のお腹の音が響いた。 | |
秋山 隼人 | あっ…!い、今のは、その…違くて…!! |
夜ご飯、食べに行く? | |
秋山 隼人 | あ、あはは…うん。気遣ってくれてありがとな。うう…恥ずかし… |
後で兄貴に『夜は外で食べてくる』って連絡しておかないと。 | |
第6話 強い責任感 | |
秋山 隼人 | ふー食べた食べた。ごちそうさまでした。それで、相談なんだけど… |
曲作りでさ…アイデアは出てくるけど、なんかこう…まとまらないんだ。 | |
せっかくHigh×Jokerのリーダーとして特集組まれたんだから… | |
もっとしっかりしないといけないのに、情けないよな。 | |
こんな気持ちのままじゃ、いい曲なんてできないのになあ。 | |
撮影の時もカッコつけてたけど…空回って、メンバーに迷惑かけちゃうし。 | |
もし俺が番組でカッコ悪い姿を見せちゃったら、他のメンバーの評判も… | |
はあ…ダメだこんなんじゃ…俺、リーダー失格だよ… | |
って俺、なに言ってるんだろ!はは、ごめん空気暗くして。今のなし… | |
隼人らしさも大事だよ | |
秋山 隼人 | 俺らしさ…でも、いいのかな。High×Jokerのリーダーとしての特集なのに? |
いつも通りの俺の姿でいい…本当に?…そっか。 | |
俺、いろいろ考えすぎてたかも。ありがとな、プロデューサー! | |
第7話 溢れ出るインスピレーション | |
秋山 隼人 | なんか今なら、いい曲が書けそうな気がしてきた! |
とにかく、思いつく限り書きまくってみる!手を動かすぞー! | |
秋山 隼人 | 前に書いたフレーズも使って…でもこの派手なフレーズも捨てがたいし… |
うーん、やっぱりこの4つ、全部使いたいな。でも、曲全体のまとまりが… | |
ちょっと気になったんだけど… | |
秋山 隼人 | プロデューサー?書いた楽譜を全部貸してって、うん、もちろんいいけど… |
今迷っているフレーズが、High×Jokerのメンバーのイメージに近いと伝えた。 | |
秋山 隼人 | え、この4つのフレーズが…メンバー?全然意識してなかったんだけど… |
…でも、本当だ。こっちはシキっぽいし、これはジュンっぽいかもだし… | |
あ!じゃあもしかして…ここに俺らしさを加えられれば…考えてみる! | |
秋山 隼人 | で、できたー!本当に完成しちゃった! |
細かいとこは修正しなきゃいけないかもだけど、大筋はバッチリ! | |
あんなに悩んでたのが嘘みたいだよ。これもプロデューサーのおかげだ! | |
この曲、早く完成させて通しで弾いてみたいな。よーし、頑張るぞー!! | |
第8話 この想い、聞いてほしい | |
後日、High×Jokerの5人は、ドキュメンタリー番組のオンエアを見ているようだ… | |
冬美 旬 | モテたいと騒いでいる姿まで撮られてますね…ハヤトらしさは出てますけど。 |
伊瀬谷 四季 | あ!オレが追いかけ回されてるシーンも流れたっすよ。わかってるっすね~。 |
榊 夏来 | やっぱり…カッコつけてる、より…楽しそうな顔の方が、ハヤトらしい…ね。 |
若里 春名 | ハヤトは恥ずかしいみたいだけどな。お、そろそろ新曲みたいだぞ。 |
司会者 | 新曲は隼人さんのギターソロだそうですね。演奏前に一言、お願いします。 |
秋山 隼人 | この曲を作る時、最初は1人で頑張ろうとして、うまくいきませんでした。 |
でも、気がついたらメンバーのことを考えながらフレーズを考えてました。 | |
背伸びして、カッコつけて、たまに失敗して…そんな俺だけど… | |
メンバーに支えられながらリーダーをできてるって、改めて実感しました! | |
新曲には、みんなの良いところや自分らしさを精一杯込めました。 | |
俺にはこんなサイコーの仲間がいるんだ。High×Jokerはすごいんだぞって! | |
この曲で、俺のこと…High×Jokerのことを知ってほしいって思うし… | |
知ってる人やファンには、この曲でもっと俺たちを好きになってほしい! | |
そんな気持ちがいっぱい詰まった曲に仕上がりました。聞いてください! | |
(♪) | |
第9話 自慢のリーダー | |
冬美 旬 | ハヤトの新曲、とてもよかったですよ。 |
榊 夏来 | …うん。ハヤトの気持ち…すごく、伝わってきた。 |
秋山 隼人 | ありがと…え!?次はメンバーのインタビュー?俺こんなの知らない。なにこれ? |
伊瀬谷 四季 | ふっふっふ、実はハヤトっちに内緒でこっそり撮ってたんっすよ。 |
若里 春名 | そういうこと。ほら、座って見てろって。 |
司会者 | みなさんにとって、リーダーである隼人さんはどんな存在ですか? |
若里 春名 | そうだな…ハヤトは泣き虫だけど、いつも一生懸命で、全力で… |
なんだかんだ言って、頼れるリーダーだな。そう思うぜ! | |
伊瀬谷 四季 | ギターのテク、マジリスペクト!たまに頑張りすぎて空回ってることもあるっすね。 |
オレも人のこと言えないっすけど…でも、全部含めてハヤトっちの魅力っす! | |
冬美 旬 | そうですね…正直、見ていて心配に思うことも多いですが… |
僕たちをまとめられるのは、ハヤトだからできることだと思ってますよ。 | |
榊 夏来 | …ハヤトは、いつもひたむきで…その頑張りが、俺たちにも伝わってくる… |
だから…俺たちも、もっと頑張れる…頑張ろう…って、思えるんだ。 | |
最終話 秋山 隼人 | |
秋山 隼人 | ………… |
若里 春名 | ハヤト、顔グシャグシャになってるぞ。そんな泣くほど感動してくれたのか? |
秋山 隼人 | まっ…まだ泣いてない! |
伊瀬谷 四季 | でも…正直オレも、ハヤトっちの新曲聞いて、なんていうか、グッと来たっす!! |
榊 夏来 | …気持ちがこもった、曲と、歌詞…ちょっと、泣きそうになった…よ。 |
秋山 隼人 | みんな…本当にありがとな。 |
…あのさ、俺、これからもリーダーとして頑張るから…みんな、よろしくな! | |
冬美 旬 | …当然です。僕たちのリーダーは、今までもこれからも、ハヤトだけですから。 |
秋山 隼人 | …っ!やっぱり…High×Jokerは最高のユニットだ! |
やっぱり泣いてるよね? | |
秋山 隼人 | だから泣いてないって!!…もう!みんなでニヤニヤしながら見るな! |
冬美 旬
第1話 代表として | |
---|---|
High×Jokerのメンバーたちに、旬へ仕事に依頼があったことを伝えた。 | |
冬美 旬 | 各界の著名人が集まって、得意の楽器でコンサートをする企画ですか。 |
若里 春名 | おお、ジュンにぴったりの仕事じゃん♪へぇ、学生アイドル代表なんだな。 |
榊 夏来 | キーボードじゃなくて…ピアノ、弾いてほしいって…書いてある… |
ジュン…ピアノ、弾くの…? | |
冬美 旬 | ピアノを弾くのはいいけど… |
秋山 隼人 | ジュン?どうかした? |
冬美 旬 | 他の出演者がそうそうたる顔ぶれなので、 |
僕がこの中で演奏するのかと思うと、気が引けてしまって。 | |
若里 春名 | 大丈夫、ジュンなら問題ないって! |
伊勢谷 四季 | そうっすよ!ジュンっちのピアノの腕を見込んでのオファーなんすから! |
榊 夏来 | 俺もそう、思う…それに、ジュンのピアノが聞けるなら…嬉しい、な。 |
冬美 旬 | …そうですかね。こんな機会そうないでしょうから。やってみます。 |
プロデューサーさん、そちらのお仕事の話、進めていただけますか? | |
第2話 責務を果たす | |
伊勢谷 四季 | はー、今日のレッスンもキツかったっすね~! |
若里 春名 | ああ。でもレッスンの後に食べるドーナツって最高だよな! |
秋山 隼人 | わかる!俺お腹ペコペコだよ~…なんか食べて帰らない? |
榊 夏来 | ふふ…いいね。ジュンは、何…食べたい? |
冬美 旬 | ごめん。今日はもう少し残って練習していくよ。 |
今度のコンサート企画のために、自主練しておきたくて… | |
伊勢谷 四季 | あのキツいレッスンの後で…!?あんまり頑張りすぎちゃダメっすよ~!? |
冬美 旬 | 四季くんはもっと頑張ってください。また同じ歌詞を間違えてましたよ。 |
伊勢谷 四季 | ウッ…!つ、次は頑張るっす…!! |
秋山 隼人 | でも本当に大丈夫か?変に気負いすぎてないか、みんな心配してるんだ。 |
冬美 旬 | …ありがとうございます。 |
みんなが心配してくれているのは、わかっています。 | |
ただ…学生アイドルの代表として選ばれた以上、 | |
みっともない姿は見せられませんから。 | |
榊 夏来 | そっか…わかった。あまり…無理、しないようにね。 |
自分も一緒に残ると伝える | |
冬美 旬 | プロデューサーさん、ありがとうございます。 |
では、気になったところがあれば教えてください。 | |
えーと、コンサートで演奏する曲目の確認ですが… | |
第3話 よい演奏のために | |
どこか落ち着かない様子の旬に、緊張しているかと尋ねた。 | |
冬美 旬 | それは緊張しますよ。初めての合同レッスンですし… |
いろんな業界の有名人が集まってるんですから。年齢もバラバラですし。 | |
旬なら大丈夫だよ | |
冬美 旬 | ありがとうございます…任された以上は、やるべきことをやるだけです。 |
冬美 旬 | 315プロダクションからきました、High×Jokerの冬美旬です。 |
ピアノを担当します。学生アイドル代表の名に恥じない演奏をしたいです。 | |
コンサート当日まで、よろしくお願いします。 | |
冬美 旬 | (やっぱり慣れた相手と演奏するのとは勝手が違うな…) |
(指揮をちゃんと見て…落ち着いて…落ち着いて…) | |
(…っダメだ、焦るほど演奏が走って…このままじゃダメだ…) | |
冬美 旬 | …お疲れ様です、プロデューサーさん。) |
合同レッスンそうだった? | |
冬美 旬 | 全然ダメでした。みなさん合わせてくれていましたけど… |
1人の仕事は初めてじゃないのに、まさかここまでうまくいかないとは。 | |
まだ初日なので、これから練習を重ねていけば変わるとは思いますが… | |
他の参加者とコミュニケーションをとってみるのはどうかと提案した。 | |
冬美 旬 | コミュニケーション、ですか…なるほど。次回から、話してみます。 |
第4話 自分が持たないもの | |
冬美 旬 | おはようございます!今日も練習、よろしくお願いします。 |
旬は他の参加者と話しに行っているが、うまくいっていないようだ… | |
冬美 旬 | (うーん、なかなか打ち解けられないな。年齢が幅広いせいかな…) |
(こんな時、春名さんや四季くんならすぐに仲良くなれるんだろうな…) | |
(ハヤトも最初は緊張しそうだけど、人を引っ張ていくタイプだし…) | |
…はぁ。弱気になっちゃダメだ。いい演奏のために、頑張らないと。 | |
(あれ?あの人…僕と同じくらいの年齢かな) | |
(たしか、最近人気の歌手だったはずだ。話しかけてみようかな) | |
あの…こんにちは。初めまして。315プロダクションの冬美旬と… | |
若手歌手 | …初めましてだって?ふん、今さら挨拶なんて、さすがは神童サマだな。 |
冬美 旬 | えっ、神童って… |
第5話 神童・フユミジュン | |
若手歌手 | やっぱりな。神童サマは僕ごときのことなんて覚えてないよなぁ。 |
冬美 旬 | あの…すみません、どこかで会ったことがあったでしょうか? |
若手歌手 | じゃあ教えてやる。僕もあんたと同じ、ナナシ中だったんだよ。 |
冬美 旬 | えっ…!? |
若手歌手 | 僕のことはともかく、合唱コンクールのことは忘れたとは言わせないからな。 |
冬美 旬 | 合唱コンクール…それって、僕が先生に代理を頼まれてピアノを弾いた時の… |
若手歌手 | そう。僕たちはいい賞をとれたけど、話題になるのは『神童・フユミジュン』が、 |
久しぶりにピアノの腕前を披露ってことばっかりだった。 | |
それをあんたは喜びも謙遜もしないで、澄ましやがってさ。 | |
コンクールまで必死で練習してきた合唱部の立場なんてなかったよ。 | |
冬美 旬 | それは、その…当時の僕は… |
若手歌手 | それが今はアイドルか。どうせ神童サマは、他人なんか見下してるんだろ。 |
冬美 旬 | 見下してるなんて、まさか!そんなことは…! |
…行ってしまいましたか。 | |
第6話 面白みのない後悔 | |
冬美 旬 | (はぁ…あの頃の僕の態度で、知らないうちに人を傷つけていたなんて…) |
榊 夏来 | …ジュン。大きなため息、ついて…大丈夫? |
冬美 旬 | うわっナツキ!?いつからそこに!? |
榊 夏来 | ジュンが頑張りすぎてないか…心配で、事務所で、待ってたんだ。 |
それで…ジュン、どうしたの?コンサートの練習で、何かあった…? | |
冬美 旬 | 中学の頃に一度だけ、代理で合唱コンクールの伴奏をしたことがあっただろ。 |
実は…現場で当時のことを知ってる人に会った。あの頃のことでさ… | |
…当時はまともに話せる友達なんてナツキしかいなかったし、 | |
昔から弾いてたピアノ以外、何も興味はなかった。毎日がつまらなかった。 | |
…そのピアノも、母さんが亡くなってからは弾く機会もあんまりなかったし。 | |
合唱コンクールのピアノも、人から褒められたところで何も感じなかったんだ。 | |
このままじゃダメだと思ったけど…どうしようもないって諦めてもいた。 | |
榊 夏来 | ジュン… |
冬美 旬 | こうして考えると僕って本当につまらない人間だし、 |
他人を見下してるように見られても仕方がないのかもしれないな。 | |
榊 夏来 | っ…そんなこと、ないよ…! |
冬美 旬 | ナツキ? |
榊 夏来 | ジュンが人を見下す…なんて絶対…ないし、それに…ジュンは変わった、よ。 |
第7話 普通の高校生 | |
冬美 旬 | 僕が変わった…? |
榊 夏来 | うん。今のジュンは…毎日楽しそうで、見ていて…俺も、嬉しい。 |
冬美 旬 | 僕が、毎日楽しそう…か。どうなんだろうな。自覚はそんなにないけど… |
もし本当に僕が変わったんだとしたら、原因はハヤトかもしれない。 | |
あの勢いに流されて軽音部に入ってなかったら今はないだろうから。 | |
最初はハヤトも「神童・フユミジュン」に声をかけたのかもしれないけど… | |
軽音部では、冬美家のお坊ちゃんでも、パイノの上手い神童でもなく、 | |
ただの高校生の「冬美旬」でいられたから。 | |
ハヤトも、四季くんも、春名さんも… | |
榊 夏来 | ふふ…ジュン、また楽しそうな顔…してる。 |
冬美 旬 | …っ! |
そ、そういうナツキだって昔と比べたらだいぶ変わっただろ。 | |
榊 夏来 | そう…かな。ふふ、そうかも…しれないね。 |
冬美 旬 | はは、なんだよそれ。 |
(そうか…僕はもう、あの時の僕とは違うんだな) | |
第8話 変化の理由 | |
榊 夏来 | それじゃあ、俺…先に帰るけど、あんまり…考えすぎないでね。 |
冬美 旬 | うん。もう大丈夫だから。ありがとう、ナツキ。 |
…あ、プロデューサーさん。外回りから戻ったんですね。お疲れ様です。 | |
僕ですか?僕は、少し1人で考えたいことがあって、残っていました。 | |
あの…プロデューサーさんから見ても、僕って以前と変わりましたか? | |
変わったと感じる | |
冬美 旬 | ナツキもプロデューサーさんも同じことを言うってことは、そうなんでしょうね。 |
なりゆきで軽音部に入って、そのままアイドルになって… | |
周囲の環境が変わったことで、僕も昔とは変わったのかもしれません。 | |
それだけじゃないと伝える | |
冬美 旬 | え?どういうことですか? |
倉庫から大きな箱を持ってきて旬の前に置いた。 | |
冬美 旬 | これは…僕あてに届いた、今までのファンレター…ですよね。 |
改めてこれを読んでみると?…わかりました。 | |
ふふ…何度読んでも、ファンからの言葉って、嬉しいものですね。 | |
(…そうか、こんな僕にもこれだけ応援してくれる人がいるんだな…) | |
ファンや周りの期待に応えるために頑張る姿は変わっていないと伝えた。 | |
冬美 旬 | …そうですね。いただいた応援には応えたいと思っていました。 |
変わったのは、旬自身が頑張ったからだろう | |
冬美 旬 | 変わったのは、僕が頑張ったから… |
プロデューサーさんはいつも僕たちのことを本当によく見てくれていますよね。 | |
今なら、自信をもってあの頃の自分とは違うと言い切れそうです。 | |
ありがとうございます。後悔より、これからのことを考えてみます! | |
第9話 あの日より良き旋律を | |
ついにコンサートの本番を迎えた。 | |
冬美 旬 | (気持ちいいな…メンバーが一体となって、音楽と調和してる気がする…) |
(胸を張って言える…今が今までで一番上手くピアノが弾けているって) | |
プロデューサーさん、お疲れ様です。コンサート、どうでしたか? | |
最高のコンサートだった! | |
冬美 旬 | ふふ…ありがとうございます。僕も弾いていて気持ちよかったです。 |
若手歌手 | お疲れ。 |
冬美 旬 | あっ…お疲れ様です。 |
若手歌手 | 今日の演奏は良かったな。僕も今までで一番気持ちよく歌えたし。 |
認めたくねーけど…あんたのピアノ、悪くなかったよ。 | |
冬美 旬 | …そうですか。ありがとうございます。 |
今日の演奏は、あの時の演奏とはまるで違っていました。 | |
あの時よりずっと大きく、視野が広がったからかもしれないですね。 | |
最終話 これからもみんなと | |
秋山 隼人 | シキたち遅いね。ジュンのコンサート一緒に見ようって約束したのに… |
冬美 旬 | …仕方ないですね…来ないようなら、先に始めましょう。 |
伊勢谷 四季 | ちょーっとまったー!!ギリギリセーフっす! |
榊 夏来 | 約束の時間…5分前…本当に、ギリギリ、だったね。 |
若里 春名 | 仕方ないだろー!小テストで赤点取っちゃったんだから! |
冬美 旬 | まったく…まさか2人とも約束した日に補修なんて… |
若里 春名 | ゴメンゴメン!お詫びに飲み物とかドーナツ買ってきたからさ、許してくれって! |
伊勢谷 四季 | ジュンっちのピアノ聞きながらドーナツ食べられるなんてメガメガサイコーっすよ! |
冬美 旬 | …2人とも、反省してますか? |
伊勢谷 四季&若里 春名 | してます! |
秋山 隼人 | まぁまぁ…俺も今回の小テストは赤点ギイギリだったし、 |
またみんなでジュンの家にでも集まって、勉強会とかしようよ。 | |
冬美 旬 | えっ、勉強会はともかく、どうしてまた僕の家なんですか。 |
伊勢谷 四季 | ジュンっちの家広いっすもんね~!オレもまた行きたいっす!! |
榊 夏来 | みんなで勉強したほうが…楽しいし、教えあえる、から…ね? |
若里 春名 | そうそう!勉強が終わったら、そのままみんなで遊べるしな! |
冬美 旬 | はぁ…まぁ、いいですけど。ほら、それよりコンサートの映像見るんですよね? |
秋山 隼人 | あっそうだった!じゃあ再生開始するよ! |
冬美 旬 | (こんな騒がしい毎日が、嫌いじゃないと思ってる僕がいる) |
(あの頃の僕に今の状態を見せたら、顔をしかめられるだろうな) | |
(この先もますます変わっていくのかもしれない) | |
(でも、このメンバーとプロデューサーさん、315プロダクションのみんなとなら) | |
(いい方向に進めるって信じられる) | |
(僕に起こる変化が今後も良いものになるよう…これからも、頑張ろう) |
榊 夏来
第1話 新たな仕事と、迷い | |
---|---|
High×Jolerメンバーと共に事務所に来ていた夏来へ、仕事の話をした。 | |
榊 夏来 | 男性向けファッション誌に…モデルとして、オファー? |
冬美 旬 | へえ…新しい雑誌なんですね。聞いたことがない名前です。 |
伊勢谷 四季 | えぇーっ!?ジュンっち、この雑誌知らないんっすか!? |
最近男子高校生の間でブレイクし始めた、メガイケてる雑誌っすよ!? | |
秋山 隼人 | そうそう!どのグラビアもすっごくレベルが高くてカッコいいんだ! |
表紙に起用されるモデルなんか、全男子の憧れとも言われてるんだよ! | |
若里 春名 | ナツキはカッコいいし、こんなオファーがくるのもわかるな。 |
榊 夏来 | …でも、俺1人で仕事…は、ちょっと不安…かも。ジュン、どう思う? |
冬美 旬 | うーん、雑誌に単独で載るなんてあまりない機会だし… |
受けてみたらどうだ?いい経験になると思うぞ。 | |
榊 夏来 | …わかった。ジュンが、そう言うなら…プロデューサーさん、俺…やってみる。 |
第2話 魅せるのは、大変 | |
数日後… | |
榊 夏来 | 今日の、撮影…よろしくお願いします。 |
カメラマン | はーい、よろしくね。じゃあさっそく撮っていこうか。 |
15度くらい首を傾げて、そのまま右足を半歩前に出して。 | |
榊 夏来 | え…15度…こう、ですか? |
カメラマン | うーん、もう気持ち首を傾けてみて!あと、左足は右斜に出して。 |
榊 夏来 | え…左なのに…右? |
カメラマン | その角度を保ったまま、どこか憂いを帯びた視線をちょうだい! |
榊 夏来 | …えっと…え、っと… |
カメラマン | 緊張してる?まあまだ時間あるし、一度休憩しようか。 |
榊 夏来 | …俺のせい…で、撮影…止めちゃった。どうしよう。 |
大丈夫? | |
榊 夏来 | 俺…1人きりの仕事…って、あまりなかったから…緊張してるかも。 |
自分がついてる | |
榊 夏来 | プロデューサーさん…ありがとう。そうだ…俺は、1人じゃない。 |
俺…自分なりに、頑張る…から、プロデューサーさん、見守ってて。 | |
第3話 新たなチャンスと、覚悟 | |
榊 夏来 | プロデューサーさん、俺が載った…ファッション誌、結構評判が良いって…本当? |
嬉しい…けど、ちょっとだけ、照れくさいね。 | |
…え。来月号と再来月号にも、俺を起用したい…って、オファーがきたんだ。 | |
特集が上手くいけば…差来月号の表紙に、俺が…? | |
すごい話、だけど…プロデューサーさん、さっきから…難しい顔してる… | |
突発過ぎて、受けるとスケジュールに無理が出そうなことを伝えた。 | |
榊 夏来 | …そっか。撮影も、結構時間かかるし。大変かも… |
(前にハヤトが…この雑誌の表紙になるの…男子の憧れって、言ってた…) | |
(俺1人に…そんな大役、できるのかな。わからないけど…) | |
…プロデューサーさん、俺…スケジュールさえ合えば…その仕事、やってみたい。 | |
…でも、今からスケジュールの、調整は…難しい、かな…? | |
夏来がそう言うなら、なんとかする | |
榊 夏来 | …スケジュール、調整してくれるの?…ありがとう。 |
(もし、俺が、あの雑誌の表紙に…なったら) | |
(ジュンも…みんなも、きっと喜んでくれる、よね…頑張らなくちゃ) | |
第4話 やり遂げたい、想い | |
それからまたしばらく経ち、夏来の顔色には少し疲れが見え始めていた。 | |
榊 夏来 | …お疲れ様、プロデューサーさん…えっと…次、テレビの収録…だっけ。 |
その後が、打ち合わせで…あれ?それ、明日だった…かも。 | |
…そうだ、今日はレッスンだ。それで…夕方に、雑誌の撮影…ふぅ… | |
大丈夫? | |
榊 夏来 | 心配してくれて…ありがとう。でも…俺は、大丈夫だから。 |
あ…そろそろ、時間だ…仕事、行ってくるね。 | |
(この仕事は、やり遂げなきゃ…もっと、頑張ろう…) | |
翌日…旬に声をかけ、夏来についての相談を持ち掛けた。 | |
冬美 旬 | やはり、プロデューサーさんも気づいてましたか。ナツキが無理してることに。 |
学校でもぼんやりしていて、明らかに疲れてるのに大丈夫の一点張り。 | |
僕たちに隠していますが、撮影のために自主練もしてるみたいなんです。 | |
無理しないよう伝えてほしい | |
冬美 旬 | わかりました。今度、2人で話す時間を作ってみます。 |
第5話 蓄積する、疲労 | |
榊 夏来 | お疲れ様です…あれ、事務所、誰もいないのかな。 |
(雑誌の撮影…順調に進んで…よかった。自主練のおかげ…だね) | |
(でも…さすがに、ちょっときつい、かも…) | |
(…ここ数日、疲れがなかなか取れないし、集中力も…散漫になってる…) | |
…これ以上、頑張るのは、無理…なのかな。 | |
俺、なに言ってるんだろう。せっかくここまで、頑張ってきたのに… | |
この仕事…成功させれば、きっと、みんなに喜んでもらえるんだ… | |
こんなところで…音を上げちゃ…ダメだ。もっと、頑張らないと… | |
??? | はあ、やっぱりな。そんなことだろうと思った。 |
榊 夏来 | え…ジュ、ジュン!?なんで…いつ、来たの…? |
冬美 旬 | 最初から、ずっといたよ。思ってた以上に疲れてるみたいだな。 |
第6話 大事な人と、心配 | |
榊 夏来 | なんで…ジュンが、ここに? |
冬美 旬 | 最近ナツキが無理してるから、様子を見に来たんだよ。 |
榊 夏来 | 心配させて…ごめん。でも…俺は、大丈夫… |
冬美 旬 | 大丈夫じゃないだろ、バカ!またそうやって勝手に思い詰めて… |
何かあってからじゃ遅いんだぞ。小さい時にも同じようなことがあった。 | |
体調が悪いのを隠そうとして、風邪が悪化したことがあっただろ。 | |
あの時は、僕も榊さんも、すごく心配してたんだぞ。 | |
榊 夏来 | …あの時も…今も、ジュンやみんなに…迷惑、かけたくなくて。 |
でも…結果的に、それでジュンに…余計心配かけちゃった…ごめん。 | |
冬美 旬 | 気持ち話わかるけど、だからってあまり抱え込まないでくれ。 |
きついのを隠されたら余計に心配になるんだ…僕も、プロデューサーさんも。 | |
榊 夏来 | …え、プロデューサーさん…も? |
冬美 旬 | あ、噂をすれば…だな。外回りから戻ってきたみたいだ。 |
第7話 無茶の、理由 | |
冬美 旬 | 僕は言いたいことを伝えたので…プロデューサーさん、あとはお願いします。 |
榊 夏来 | …プロデューサーさん、今、仕事から戻ってきたんだね…お疲れ様。 |
さっき…ジュンから、聞いた。俺のせいで…心配かけて、ごめんなさい。 | |
頑張ること…と、無理するのは…違うってわかってた…つもりだった。 | |
どうしてそんなに無理したの? | |
榊 夏来 | …ジュンが、今回の仕事…いいんじゃないかって…言ってくれた、から。 |
…いや、ジュンだけじゃない。ハルナも、ハヤトも、シキも… | |
俺なら、絶対できるって…応援してくれたんだ。 | |
プロデューサーさんも…俺のために、スケジュール調整…頑張ってくれた。 | |
だから…俺が、すごいと思っているみんなに、喜んでほしくて… | |
雑誌の、撮影…頑張りたい…頑張ろう…って、思ったんだ。 | |
第8話 大切な、仲間 | |
榊 夏来 | 俺はジュンを…すべてにおいて…心から、尊敬してる。今も昔も、変わらない。 |
最初…俺はジュンの付き添いで、軽音部に入ったんだ。 | |
…これでまた、ジュンのピアノが聞けるなら、それでいい。そう思ってた。 | |
…でも、軽音部で過ごしていくうちに…それだけじゃなくなった。 | |
…ハヤトは、ひたむきで…すごい頑張り屋で… | |
シキは…いつも元気で、笑顔いっぱいの…ムードメーカー。 | |
ハルナは…頼れるし…話してて、面白い、よね。 | |
ジュン以外のみんなもすごい人ばかりで…俺にとって、大切な人になった。 | |
…俺は、演技やポーズを見せるのが…みんなよりも、得意じゃ、ない。 | |
だから…この仕事を通して、少しでも早く、みんなに追いつきたかった。 | |
みんなの憧れって、言われてるような雑誌で…表紙に載れたら… | |
俺も…もっと前に進めるかな、って…思ったから。 | |
でも…それで余計に心配かけちゃうのも…良くない、よね | |
夏来には夏来のいい所がある。焦る必要はない、と伝えた。 | |
榊 夏来 | 俺には、俺の…そっか。ありがとう…プロデューサーさん。 |
俺…もう少しだけ、頑張りたい。あ…でももう、無理はしない。約束する… | |
第9話 穏やかな、時間 | |
数か月後… | |
榊 夏来 | 俺が表紙のファッション誌の発売、今日だよね…みんな、どう思うだろう… |
表紙と…関東の長い特集、今までで、1番多いページ数…大丈夫かな… | |
秋山 隼人 | お疲れ様でーす!おっ、ナツキいたいた!早速買ってきたよ!例の雑誌! |
若里 春名 & 伊勢谷 四季 | お疲れ様でーす(っす!)。 |
伊勢谷 四季 | おっ、やっぱりハヤトっちも買ってきてたっすね!オレたちもっすよ! |
冬美 旬 | お疲れ様です。あれ、その雑誌は…みんなも買ってきていたんですね。 |
若里 春名 | ってことは、ジュンの持ってるその紙袋も例の雑誌ってことか。 |
冬美 旬 | そういうことです。ふふ、考えることはみんな同じだったようですね。 |
榊 夏来 | みんな… |
秋山 隼人 | おおーっ!改めてみても、この表紙のナツキ、今までで1番カッコいいかも…! |
若里 春名 | 先月号の特集の時より、ちょっと自然な表情になってるよな! |
伊勢谷 四季 | オレ、もう我慢できないっす!ナツキっちの巻頭特集も早く見たいっす! |
冬美 旬 | …ほら、ナツキも雑誌開いて。撮影の時の話とか、聞かせてよ。 |
榊 夏来 | …う、うん…ちょっと、待ってて…! |
(やっぱり、今は…この5人でいられるのが1番楽しい) | |
(できるならこれからも…こんな日々が、続くといいな…) | |
最終話 これからも、一緒 | |
榊 夏来 | …風、気持ちいいな。 |
あ、プロデューサーさん…来てたんだ。みんなは…まだ、雑誌見てるよ。 | |
…え、俺が表紙の雑誌…もう、ネットで…反響が出てるんだ。 | |
…見てくれる人たちに、喜んでもらえたんだ…よかった。 | |
でも、俺…1人だったら…撮影の途中で…潰れてた、かもしれない。 | |
ジュンと、プロデューサーさんが…無理しないよう…見守って、くれたからだよ。 | |
本当に、ありがとう。 | |
…俺にとって、大切なのはずっと…ジュンとジュンのピアノだけだった。 | |
でも、今は…違う。High×Jolerのメンバー…プロデューサーさん。それと… | |
315プロダクションの仲間に…応援してくれる、ファンのみんな。 | |
…俺、前よりも大切なものが…たくさん、できたんだ。 | |
きっとこれも…軽音部で、ベース始めて…アイドルになったから…だと思う。 | |
…俺、今こうして…ここにいられて、よかった。 | |
だから…これからも、俺…アイドルで、いたいな。 | |
これからもみんなで頑張ろう | |
榊 夏来 | …うん。ジュンと…大事な仲間と、ずっと並んで立てるように…頑張る。 |
プロデューサーさん…これからも、俺のこと、よろしく、ね。 |
若里 春名
第1話 大型特番、来る! | |
---|---|
某日、事務所に集まったHigh×Jolerの5人ーー | |
企画書を渡す | |
若里 春名 | 長期休暇特別企画、『ハイ!Joler』?おい、これってもしかして…! |
秋山 隼人 | 俺たちの冠番組ってことか!?す、すげーっ! |
伊勢谷 四季 | マジっすか!?…ジュンっち、オレのほっぺつねってほしいっす!! |
冬美 旬 | ぎゅー…これでいいですか? |
伊勢谷 四季 | ううっ、この痛さ、夢じゃない…!マジメガハイパー劇アツっす!! |
若里 春名 | ゲストチームとオレたちで色々なゲームに挑むバラエティ番組か。楽しそうだな! |
榊 夏来 | 俺たちが…メインパーソナリティも…やるんだ。うまくできる、かな…? |
冬美 旬 | 番組全体の構成もしっかりと把握しておかないとな… |
番組のテーマソング用に新曲を書き下ろせるかと隼人に尋ねた。 | |
秋山 隼人 | 冠番組だもんな!もちろん、気合入れて書くよ!っていうか、書きたい! |
若里 春名 | はは、すっげー楽しみだな!収録も、ハヤトの新曲も! |
最高の番組になるようにみんなで力を合わせて頑張ろうぜ! | |
第2話 準備スタート | |
若里 春名 | おはよ!…ってジュン、ナツキ、真剣な顔して何読んでるんだ? |
榊 夏来 | …あ、ハルナ…おはよう。これ…『ハイ!Joler』の企画台本… |
若里 春名 | おっ、どんあゲームがあるんだ?体力勝負、頭脳勝負…運任せのもあるな。 |
冬美 旬 | 司会進行しながら、ゲームにも挑戦しなければいけない… |
週力には観客も入りますし、様々なところに気を使わないと。 | |
榊 夏来 | ちゃんと…盛り上げられるかな。ちょっと、心配… |
若里 春名 | なーに、大丈夫だって!オレたち今までいろんな仕事してきただろ。 |
きっと今回もうまくいくって! | |
伊勢谷 四季 | でもゲストチームをおもてなしするトークスキルも超超重要っすよ~! |
若里 春名 | うわっシキ!…なんだよみんな、楽しみのぶんだけ不安になってるのか? |
うーん…そうだ!それじゃ今度、みんなで集まって | |
お笑い番組とかバラエティ番組を見て、トークの勉強しようぜ! | |
榊 夏来 | ふふ…いいかも。それに、楽しそう…だね。 |
若里 春名 | 名案だろ?いわゆるヨシューフクシュー、ってやつだな! |
冬美 旬 | 春名さんから予習復習なんて言葉が出るとは…あ、僕も異存ありません。 |
伊勢谷 四季 | オッケーっす!それじゃオレ、面白い番組をいくつか選んでおくっすね! |
第3話 更なる機会が | |
秋山 隼人 | なぁハルナ、ちょっとこれ聞いてみてくれる? |
若里 春名 | おっ、『ハイ!Joler』用の新曲?いよいよ完成したのか? |
秋山 隼人 | うーん、それがイマイチ『これだ!』ってならなくて… |
よかったら、ハルナの意見も聞かせてほしいんだけど。 | |
若里 春名 | よっしゃ、任せとけ!どれどれ… |
秋山 隼人 | …なるほど!じゃあこっちをもう少しアップテンポにして… |
若里 春名 | ここでギターの音を前に出してもカッコいいよな。 |
秋山 隼人 | それいいかも!じゃあこっちで… |
って、ごめん!こんな時間まで付き合わせちゃったな。 | |
ハルナ、どうしても赤点取れないテストの追試があるって言ってなかったっけ。 | |
若里 春名 | ん?ああ、平気平気。勉強は家でもできるしな! |
っと…でもこの後はジュンたちとバラエティ番組の勉強するんだった。 | |
ハヤトも一緒に行かないか?MCの練習も大事だぞ、なんてな。 | |
秋山 隼人 | たしかに!よし、じゃあここを片付けて…あ、プロデューサーおかえり! |
春名に新しい仕事のオファーがあったことを伝えた。 | |
若里 春名 | オレにドラマの仕事?原作のタイトルは…えっ、これって…! |
スケジュールは大変そうだが、やってみるか尋ねた。 | |
若里 春名 | やる!オレ、やりたい!プロデューサー、OKしといて! |
第4話 多忙の中で | |
収録と収録の間の短い時間を使って、春名が勉強をしている | |
伊勢谷 四季 | 『ハイ!Joler』の、この演奏レースってオレらが有利じゃないっすか? |
秋山 隼人 | それ、俺も思った!ゲストは俳優さんだし楽器に詳しくない人もいるよな。 |
榊 夏来 | 何か…ハンデを用意する、とか? |
伊勢谷 四季 | いいっすね!どうせなら更に盛り上がるハンデを…う~ん… |
ハルナっち、なんか良い案ないっすか!? | |
若里 春名 | …えっ? |
冬美 旬 | 四季くん、春名さんは今テスト勉強中ですよ。僕たちで考えましょう。 |
伊勢谷 四季 | ああっハルナっちごめんなさいっす!勉強のジャマしちゃって… |
若里 春名 | いいよいいよ、ちょうど問題が解けなくて詰まってたとこ! |
ってか、オレも混ぜてくれよ~!ゲームの企画考えるほうが絶対楽しいし! | |
榊 夏来 | でも…今度のテスト、大事なテストだ、って…ハルナ、大丈夫? |
秋山 隼人 | 明日からドラマの撮影もあるんだよな。ますます時間なくなるんじゃ… |
若里 春名 | 何言ってんだ、これくらい全然大丈夫だって! |
むしろ忙しいくらいのほうがテンション上がって集中できるんだぜ! | |
冬美 旬 | そんな適当なことを… |
秋山 隼人 | …プロデューサー、ちょっといい?ハルナ、最近遅くまで勉強してるみたいなんだ。 |
明日の撮影、ハルナ1人だろ?無理しないように様子を見ててほしいんだ。 | |
了解と伝える | |
第5話 思わぬ落とし穴 | |
ドラマ撮影の朝ーー | |
若里 春名 | ………… |
春名は何か考え込んでいる様子で、落ち着かないようだ | |
どうしたのかと声をかける | |
若里 春名 | っ!え、ああ全然大丈夫!心配ないって! |
えっとメイクも終わったし…出番までセリフの確認でもしておくか! | |
…って、あれ!? | |
昨日、鞄の中に確かに… | |
…マジか…台本、家に忘れてきた…… | |
落ち着いてもう一度確認しよう | |
若里 春名 | 鞄の中身を全部出して…これは教科書、ノート…あっ!あった!! |
…ってこれ、『ハイ!Joler』の台本じゃん!やっぱないかも… | |
台本忘れるなんて…嘘だろ…?どうしよう… | |
とりあえずこれをと自分が持っていた台本を渡した。 | |
若里 春名 | ありがとう、プロデューサー…ホントごめん。 |
第6話 続くトラブル | |
撮影スタッフ | はい、オッケーです!本日の撮影、お疲れさまでしたー! |
若里 春名 | あの…今日は本当にすみませんでした。リテリクが多くて… |
撮影スタッフ | え?はは、まあそんな日もあるよ。あれくらい大丈夫大丈夫! |
次の撮影日もよろしくね! | |
若里 春名 | はぁ…… |
気分を切り替えていこうと声をかける | |
若里 春名 | うん… |
最近頑張っていたから疲れているのではと尋ねた。 | |
若里 春名 | オレなんてまだ全然頑張りが足りないよ。こんなんで疲れてられない。 |
…プロデューサー、実は昨日さ… | |
その時、春名のスマホが鳴った。 | |
若里 春名 | …っ!!プロデューサー、ちょっとごめん! |
若里 春名 | プロデューサーごめん、オレ帰らないと。また明日な! |
撮影スタッフ | 春名くん、お疲れさま! |
若里 春名 | すみません、お先に失礼します! |
第7話 積もり積もって | |
翌日、春名に昨日は大丈夫だったかと尋ねた。 | |
若里 春名 | あー…うん。ごめん、帰りバタバタしちゃって。 |
秋山 隼人 | えっ?ハルナ、昨日何かあったのか? |
榊 夏来 | 大丈夫…? |
若里 春名 | なんでもないって!大丈夫大丈夫!『ハイ!Joler』最高に盛り上がろうぜ!! |
冬美 旬 | 盛り上がると言っても、今日はリハーサルだけですけどね。行きましょう。 |
撮影スタッフ | 一旦休憩でーす!セット変更までお待ちください! |
若里 春名 | ふわぁ~… |
秋山 隼人 | うわ、大きいあくびだな。ハルナ大丈夫?やっぱり疲れてるんじゃないか? |
冬美 旬 | 昨日もドラマの撮影があったんでしょう?無理しないでくださいね。 |
若里 春名 | あはは、無理なんてしてないって!大丈夫だよ。 |
それより、冠特番なんだし、オレたちの見せ場はバシッっと決めたいよな~! | |
さっきのゲームもさ、もっと派手に見せられないかな?たとえばシキが… | |
伊勢谷 四季 | …なんで、そんな1人で頑張ろうとしてるんすか。 |
若里 春名 | え?おいおい急になんだよシキ。頑張るってそりゃ、滅多にない機会だし… |
伊勢谷 四季 | ハルナっち、なにを隠してるんすか?オレたちに言えないことっすか? |
若里 春名 | あー…はは。お見通しか。変に心配かけたくなかったんだけど… |
第8話 言わずにおこうとした事実 | |
若里 春名 | 実はさ、少し前から母ちゃんが風邪で寝込んじまっててな。 |
秋山 隼人 | えっ!? |
若里 春名 | だいぶ良くなってきてるんだけど、看病したり家のことしてたら、 |
ちょっと寝不足が続いちゃって。ホントにそれだけ。 | |
秋山 隼人 | ハルナ…そんな状態で俺の曲作り手伝ってくれたり、 |
テスト勉強も頑張ってたんだな。 | |
榊 夏来 | そんな時に、ドラマ撮影なんて…大変だった、ね… |
若里 春名 | 実はそのドラマの原作、母ちゃんが大好きな作品でさ。 |
だから絶対やりたかったんだよな。母ちゃん喜ぶと思ってさ! | |
冬美 旬 | はぁ…そういうことならもっと早く言ってください。 |
バラエティ番組の予習を早めに切り上げてテスト勉強手伝うとかできたのに。 | |
伊勢谷 四季 | そっすよ!オレたちは5人でHigh×Jolerなんすから! |
若里 春名 | …オレたち5人で…そうだな。その通りだ。ごめんな。 |
秋山 隼人 | 俺たちもついついハルナに頼っちゃってたな、ごめん。 |
でも、ハルナだって俺たちのこともっと頼ってくれよ! | |
若里 春名 | ああ…そうするよ。 |
伊勢谷 四季 | それじゃHigh×JolerのメガMAXフルパワーで冠特番も盛り上げるっすよ!! |
5人 | おー! |
第9話 頼り、頼られ | |
それから数日後ーー | |
若里 春名 | じゃーん!無事赤点回避~! |
秋山 隼人 | おお~!おめでとう、ハルナ! |
若里 春名 | へへっギリギリだけど…みんな、ありがとな! |
伊勢谷 四季 | イェーイ!今日はドーナツパーティーっすよー!! |
秋山 隼人 | 『ハイ!Joler』の視聴率もすごく良かったみたいだよな。 |
冬美 旬 | テレビ局にレギュラー化希望の声も届いてるそうですよ。 |
若里 春名 | へぇ、そうなのか!そいつは嬉しいな。 |
榊 夏来 | ハルナ…お母さんの具合は、良くなった…? |
若里 春名 | うん、もうすかっり元気いっぱいだ。心配してくれてありがとな。 |
冬美 旬 | 良かった…まったく、今度からはちゃんと言ってくださいね。 |
若里 春名 | 悪い。今度からはちゃんとみんなに話すよ、約束する。 |
今回は本当にありがとな。これからもみんなのこと、頼りにしてるぜ。 | |
最終話 若里 春名 | |
若里 春名 | プロデューサー。 |
へへ、プロデューサーと話したくて残ってたんだ。 | |
…今回はプロデューサーにも迷惑かけたよな。ホントありがと。 | |
迷惑だとは思っていないが、今後は頑張りすぎないでほしいと伝えた。 | |
若里 春名 | うん、そうするよ…あんな無理はオレ自身こりごりだ。 |
…オレ、バカだから大したことはできないけどさ、 | |
せめてオレにできることだけでも、みんなの役に立ちたかったんだ。 | |
退学阻止のために軽音部に入って、今はこうしてアイドルをしてるけど… | |
High×Jolerや事務所のみんなと過ごす時間は本当に大事で | |
今は、どんな仕事もすっげぇ楽しいんだ。 | |
ファンが喜ぶ顔ももっと見たいし、母親も応援してくれてる。 | |
これからもみんなのためにアイドルを頑張りたいんだ。 | |
その気持ちはきっと届いてる | |
若里 春名 | へへ、そうかな。だったら嬉しいな。 |
オレが無理したらみんなに迷惑かけるんだってことがわかったし。 | |
そんな春名を支えるのが自分の仕事だ | |
若里 春名 | はは…そっか。オレたちにはプロデューサーがついてるもんな。 |
これからもよろしく、プロデューサー! |
伊瀬谷 四季
第1話 ヘッドハンティング!? | |
---|---|
伊瀬谷 四季 | プロデューサーちゃん!凄いっす!ハイパーメガヤバいっすよ!! |
どうしたの? | |
伊瀬谷 四季 | 実はここに来る途中で、知らない人に話しかけられたんすけど… |
なんと! | |
他のアイドル事務所からのスカウトで! | |
ヘッドハンティングってやつっす! | |
それがドラマで見たまんまで! | |
マジメガテンションあがったっすー!! | |
四季の発言で撮影スタッフがどよめき始めた… | |
ちょっと、こっち来て! | |
伊瀬谷 四季 | もっと詳しく? |
もちろん断ったっすけど、スターみたいで興奮したっす! | |
あっ、みんなー! | |
オレが世界的なボーカルとして輝く日も近いっすよー!! | |
若里 春名 | うおっ、せ、世界的ボーカル?なんだよそりゃ? |
冬美 旬 | 急に大声で迫ってこないでください! |
もう…なんなんですか四季くん。 | |
スタッフたちのどよめきが大きくなっていく… | |
第2話 波及する噂 | |
事務所の電話が鳴り止まない… | |
伊瀬谷 四季 | プロデューサーちゃん… |
ご、ごめんなさいっす! | |
オレがヘッドハンティングされてはしゃいでたことに尾ひれがついて… | |
まさか、High×Joker解散の噂になるなんて、思いもしなかったんすよ!! | |
後のことは任せて | |
伊瀬谷 四季 | 今はオレのやるべきことに集中してほしいっすか…ありがとっす。 |
オレ、レッスン行ってくるっす!バリバリ歌って身体動かすっす! | |
伊瀬谷 四季 | (プロデューサーちゃんにもみんなにも迷惑かけてばっかりっすね…) |
(噂をぶっ飛ばすために、もっといっぱい頑張らないと!) | |
第3話 頑張りの向き | |
冬美 旬 | 四季くん、今のステップ、少しタイミングが早かったですよ。力みすぎです。 |
伊瀬谷 四季 | ご、ごめんなさいっす!次はちゃんと合わせるっすから! |
榊 夏来 | シキ…なんか、今日はらしくない…大丈夫? |
伊瀬谷 四季 | そ、そんなことないっす!とにかく、もう絶対に足は引っ張らないようにするっすから! |
秋山 隼人 | なあ、シキ…妙な噂が流れちゃって力が入っちゃうのはわかるけど… |
若里 春名 | そうそう、シキはシキらしく頑張ればいいんだよ。 |
冬美 旬 | …人の噂も七十五日と言いますから。気にしすぎるのも身体に毒ですよ。 |
伊瀬谷 四季 | うう…みんなの優しさが身にしみるっす! |
噂をぶっ飛ばすために、もっともっと頑張るっす!バリバリやるっす!! | |
秋山 隼人 | シキ… |
ちょっといい加減にしろよ!! | |
第4話 思いやりの衝突 | |
秋山 隼人 | シキはもう充分に頑張ってる!今はむしろ空回りしてるぐらいだよ! |
伊瀬谷 四季 | いーや、今までのオレじゃダメダメっす!もっともっと頑張らないとっす! |
若里 春名 | でもな、頑張りすぎて身体を壊したら元も子もないだろ? |
伊瀬谷 四季 | それはそうっすけど… |
でも、オレは噂の責任を取らないといけないっす! | |
榊 夏来 | シキ…レッスンの時も、様子がおかしかった…心配、だよ。 |
冬美 旬 | この口論、堂々巡りですね。責任感じてるのはわかりますが… |
伊瀬谷 四季 | うーっ!! |
仲裁に入る | |
伊瀬谷 四季 | なんすかプロデューサーちゃん!オレは本気っすよ!! |
…え? | |
High×Jokerに新しい仕事のオファー? | |
第5話 歌の力で | |
秋山 隼人 | 音楽番組の特番…「歌の力」をメインテーマに色んなジャンルの歌手が集合か。 |
冬美 旬 | ええと、オペラに演歌、アニソン…僕たちはバンド枠としての参加ですか。 |
若里 春名 | おぉー、随分でかい番組じゃん。かなり目立ちそうだな! |
秋山 隼人 | そうだ!ここで俺たちの力を見せつけようぜ! |
伊瀬谷 四季 | いいっすね!!これなら、噂をぶっとばせそうっす!! |
榊 夏来 | …歌がメインの企画だから、ボーカル…噂の渦中のシキが、1番注目される… |
伊瀬谷 四季 | 絶対ぜったい!ぜーったいに成功させてやるっす!!絶対に…!! |
秋山 隼人 | …なあ、シキ。 |
噂とか責任とかは、いったん置いといてさ… | |
俺はさ、俺たち5人の歌をちゃんとみんなに届けたいって思ってる。 | |
…シキは、どうしたい? | |
伊瀬谷 四季 | …そうっすね… |
オレ、歌いたいっす。 | |
オレたちの歌を、みんなに届けたいっす! | |
秋山 隼人 | よーしよく言った!そうと決まれば、さっそく練習するぞー! |
みんな | おー! |
第6話 先輩たちへの想い | |
伊瀬谷 四季 | あっ、プロデューサーちゃん!迎えに来てくれてサンキューっす。 |
今日のレッスンも失敗ばっかりだったっす…1人で空回りして…反省っす… | |
尊敬する先輩たちに早く追いつきたくて、焦ってたみたいっすね。 | |
優しい先輩達には世話になりっぱなしで… | |
すげー感謝してるっす! | |
でもオレ、迷惑かけてばっかで…今回も先走って迷惑かけちゃって。 | |
ただ騒いでばっかりじゃダメだと思って、色々考えてはみたんすけど… | |
結局、今回もまたみんなに助けてもらうことになって… | |
オレ、今度は先輩たちを助けられるように…早く一人前になりたいんっす! | |
1人で抱え込まないで | |
伊瀬谷 四季 | 1人で…抱え込む… |
あれ?その話、昔どこかで… | |
…思い出した!ちょっと、電話してくるっす! | |
第7話 おばあちゃんとの電話 | |
伊瀬谷 四季 | もしもし、おばあちゃん?オレだよ、四季。急にごめんね…そう、練習の帰り。 |
聞きたいんだけど、昔おばあちゃんに、わや怒られたことあったべ? | |
覚えてる?ほら、1人で抱え込むなって。 | |
いやさ、さっき同じことを言われたんだけど… | |
なんでだが思い出せなくて… | |
そんなこともあったな… | |
うん、ありがとう! | |
うん、わかってる。ずっと友達を大事にするよ!へば! | |
伊瀬谷 四季 | お待たせしたっす!ちょっとおばあちゃんに電話してきたっす! |
小さい頃、おばあちゃんに怒られた経験が、解決のヒントになるかと思って! | |
結局、昔の事はヒントにならなかったっすけど… | |
気づいたことがあるっす! | |
…1人で何でもやらずに、みんなで進んでいくって、こういう事っすよね! | |
うなずく | |
伊瀬谷 四季 | そうっすよね! |
まずは第1歩、どんどん成長するっすよ~! | |
第8話 本番直前! | |
伊瀬谷 四季 | スタッフさんたち、お疲れさまっす!本番もバリバリよろしくお願いするっす! |
伊瀬谷 四季 | はあ…最終リハーサルでも力みすぎて声が裏返っちゃったっす。 |
やっぱあのパートは少し抑え目にして…いや、むしろ声を張った方が… | |
うー、まとまんないっす!まずいっす、もうすぐ本番なのに! | |
また1人で悩んでない? | |
伊瀬谷 四季 | プロデューサーちゃん… |
そっすね。 | |
そうだったっす!!オレ、また1人で… | |
でも、本番前に上手く歌えないのはやっぱり不安っすよー! | |
冬美 旬 | まったく…本当にらしくないですね四季くん。 |
伊瀬谷 四季 | ジュンっち… |
それに、 | |
みんな! | |
第9話 5人だからこそ | |
榊 夏来 | 万一のことがあっても、俺たちが、カバーするから… |
若里 春名 | シキはどーんと構えて、いつも通りアゲアゲで歌えばいいんだよ。 |
冬美 旬 | …迷惑かけられるなんて今更です。 |
だから、自由に歌ってください。 | |
秋山 隼人 | 1人で考えすぎんなよな。 |
だって俺たち5人でHigh×Joker、だろ! | |
伊瀬谷 四季 | …っ!! |
そうっす!オレたちは5人でHigh×Jokerっす! | |
だって、オレは…! | |
…あ、もう本番みたいっすね。 | |
よーし、全力で歌ってくるっすよ! | |
思いっきり楽しんできて | |
伊瀬谷 四季 | 楽しむ… |
そうっすね!アレコレ考えるのは後っす!ハイパー楽しんでくるっす! | |
伊瀬谷 四季 | イェーイ!オレたちHigh×Jokerです!! |
オレたちのハイパーメガMAXアゲアゲな歌、いっくぜー!! | |
最終話 伊瀬谷 四季 | |
伊瀬谷 四季 | 子猫ちゃんアンド野郎ども!もっともっとテンアゲでいこうぜー!! |
(歌える…今までで1番声が出るっす!客席もメガ盛り上がってるっすよ!) | |
ノリノリで次の曲に行く前に!みんなに聞いて欲しいことがあるっす! | |
オレがこうしてサイコーにアゲアゲで歌えてるのは、先輩たちのおかげっす! | |
冬美 旬 | 何かと思えば… |
ようやく調子が戻ってきたみたいですね。遅いですよ。 | |
秋山 隼人 | ああ…!俺もシキには助けられてるよ!助け合ってこその仲間だよな! |
若里 春名 | ははっ、ちょっと照れくさいけど、オレたちも、同じ気持ちだぜ、シキ! |
榊 夏来 | …俺たちもシキと…みんなと一緒だから…頑張れる。 |
伊瀬谷 四季 | それに、オレがオレらしく歌えるのはHigh×Jokerにいるからっす。 |
だから、違う事務所に行く気なんてないし、もちろん解散もしないっす! | |
だって、オレは…! | |
High×Jokerのボーカル担当!!伊瀬谷四季っすから!!!! | |
(凄い盛り上がりっす…!先輩たちと、プロデューサーちゃんのおかげっすね!) | |
(これからも大切なみんなと、ずっと一緒にいたいっす…!!) | |
次の曲行くぜ!子猫ちゃんも野郎どもも、ハイパー盛り上がって行こうぜー! |