このページは移転しました。 移転先→ いつか、届く、あの空に。 * 気まぐれなレビュー |
分類 | Windows版エロゲ / ノベル式天体観測シネマNVL |
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発売日 | 2007年1月26日 |
メーカー・ブランド | Lump of Sugar(Google) 「Lump of Sugar Official WebSite」から移動。*1 |
製品リンク | いつか、届く、あの空に。(Google) 「Lump of Sugar Official WebSite」から移動。 |
Wikipedia | いつか、届く、あの空に。 |
購入店 | Sofmap.com |
概要&たぶんネタバレしてない感想
シナリオ | ★★★★☆ | 意外性もあって感動した。作中の謎が完結しないところが-1。 |
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OP/ED歌 脳内ループ | ★★☆☆☆ | 1st.OP, 2nd.OP, EDともに悪くないと思うけど、あまり脳内ループしてない。印象が少し弱い感じ。 |
BGM シーン印象 | ★★★★★ | BGMそのものもいいですが、シーンと合わせた時のインパクトがすごくいい。BGMを聞くだけでシーンが浮かんでくる。 |
CG シーン印象 | ★★★☆☆ | 女性キャラは印象に残る1枚絵が多い。ただ、テキストではかなりいいシーンでも、サブキャラに1枚絵が少ないのが残念。 |
エチシーン 完読率 | 2.5 / 3 回 | テキストが多くて長いけど、会話が楽しくて深い。スキップするのはもったいない。-0.5は、途中だれ気味になってしまうのが1つあるので。 |
総合 | ★★★★☆ | 表現がわかりにくくて考えないといけない部分も多かったりするけど、個人的にはかなりの良作。でも、好き嫌いは別れそうな気はする。 |
最近のエロゲは、なにやら独自のジャンルを名乗るのがはやっているのか、「ノベル式天体観測シネマNVL」というものになっている。
「Fate」「痕」などのようなビジュアルノベル型のゲーム。テキストは画面全体に表示され、CGはテキストの背景として置かれる。
メーカーの作品紹介や「ノベル式天体観測シネマNVL」という表現、パッケージイラストから、キャラ萌え重視の学園モノ恋愛物語のように思えますが……大違い。
北欧神話をベースに和洋のファンタジー要素でアレンジした「伝奇バトル物」と言った方が正しい。
そもそも、ただの純愛萌えゲーなら、ビジュアルノベル形式はあまり使われないものだし。
シナリオ全体は2部構成。それぞれにOPムービーがあるという力の入りよう。
そして、それぞれにOPがあることが、1部と2部でまるで違うゲームになっていることを象徴している。
第1部は、学園を舞台にした萌えゲー。
町で行われる「照陽菜」という、今では祭りとなった儀式を成功させるため、主人公とヒロインたちが力を合わせてがんばる。
その中で、特定の一人との関係が深まっていき――
という、展開。
はじめからヨメ(と言い張る少女)が世話を焼いてくること以外は、良くある設定。
ここまで萌えゲー。
第2部。ここから燃えゲー。
展開とか設定とか、とにかくいろいろ燃えます。
突然飛び込む、神と魔物の神話。
空明市で繰り広げられた、そして現在まで続いている戦い。
CHANGING ENCOUNTERS
変化する出会い
TWISTING FATE
変わる運命
AN UNCHANGEABLE WORLD
変われない世界
TOLD FROM THE HEART OF A FLAME
彼らが語る――
THE LIFE OF A FLAME
人間の生き様
THERE IS ONLY ONE ULTIMATE RULE IN BLAZE――
交戦規定は唯一つ
SURVIVE
“生き残れ”
いやこれは「ACE COMBAT ZERO」の改変ですが。
でも、これがぴったり当てはまるような展開。
北欧神話をベースとした、熱い伝奇バトル物。キーワードは「ラグナロク」。
ただし、戦闘のグラフィックや音響エフェクトはかなりしょぼい。*2
セカンドOPデモとして、第2部のOPムービーが公開されているので、買う前に見るのは必須。すべてではないけど、若干は2部の雰囲気が出ています。
Web公開の体験版は第1部のラストまで収録されていて、急転直下で第2部に突入する間際まで見ることができるので、買う前に最後までやって、自分に合うかどうか確かめておくことを強くお勧め。
バトル物だけあって人死にはけっこうあるけど、グロ表現はなし。むしろ、死に際が熱い物がほとんどでかっこいい。
萌えゲーとして買った人には地雷だったかもしれないけど、個人的には良作。かなり面白かった。
ストーリー
主人公「策」は、“芸術一家”として知られる巽家の生まれ。しかし、才能を開花させることができず、一族の落ちこぼれだった。
ある日、「巽の者を代表して、誰かがあの街に行かなければならない」と聞いた策は、“巽の家”から出る理由ができたと立候補。そして、ろくに内容を確認しないまま、逃げるように空明市にやってくる。
策は巽家の祖先が使っていた空明市の屋敷で、「オマエのヨメだ」だという唯井ふたみと出会い、どこか不思議な空明市での生活をはじめる。
ゲームシステム
Windows Vista:対象外。ただし、動作には問題なし。
テキストが画面全体に表示される、ビジュアルノベルタイプのシステム。
動作は安定していてCPU負荷も少なく、不具合もない。
かわりに、これといった特徴もない。シンプルなシステム。
戦闘シーンなどで表示されるエフェクトはカット可能。
キャラ音声のON/OFFは切り替えられるけど、キャラ個別の選択はできない。まとめて全キャラON/OFF。
スキップは、既読スキップと未読スキップを選択可能。
直前の選択肢まで戻る機能があるけど、データをロードすると戻れない。
ゲーム画面を最小化してもサウンドは再生され続ける。
キーボード操作について、一部マニュアルに載っていないものがある。
- Enter:次の文章を表示(マニュアルに記載)。
- Ctrl:押している間、メッセージをスキップ(マニュアルに記載)。
- スペース:メッセージを消去して背景の画像を表示(マニュアルに記載)。
メッセージを表示するには、再度スペースを押す。
メッセージ履歴を表示している時に押すと、元の画面に戻る。
そのほか、セーブ/ロード画面,環境設定,確認メッセージを閉じる時もスペース。 - ↑キー:メッセージ履歴を表示(マニュアルに記載)。
- ↓キー:次の文章を表示(マニュアルに記載)。
- F1:セーブ画面を表示。
- F2:ロード画面を表示。
- F3:環境設定画面を開く。
- F5:オートモード。
- F6:スキップモード。Ctrlキーは押している間だけスキップするけど、F6は1度押すと解除されるまでずっとスキップ。スキップの解除はスペースキーで可能。
- F7:前の選択肢に戻る。
- Esc:ゲーム終了の確認メッセージを開く。終了するわけではない。
- バックスペース:スペースキーと同じ動作。
- Alt+Enter:フルスクリーンとウィンドウ表示の切り替え。
1キャラクリア後に表示されるおまけは、「ビジュアルモード」と「サウンドモード」。
シーン回想は独立してなくて、ビジュアルモードに含まれる。
サウンドモードは1曲のみループ再生。全曲通した再生はできない。
全キャラクリアすると、おまけシナリオが表示される。
インストール後はDVDメディアは必要なく、ディスクレス起動が可能。
ディスク上のサイズは約1.8GB。
レジストリにインストール場所を格納。レジストリ情報はゲームの起動時には必要ない。
ただし、修正ファイル内のアップデートプログラムは、レジストリ内のインストール場所を見ているため、インストールした環境以外でアップデートしようとするとエラーになる。レジストリキーが作られるのは、HKLUではなくHKLMの方。ドライブ構成が変わった場合などは、手動で修正することでアップデートを実行することが可能。
システム雑感
メインのゲーム中は、すべてキーボードで操作可能。
ただ、設定画面やセーブ/ロード画面、終了確認などのシステムメッセージは、キーボードでは操作できない。
この辺、ちょっと中途半端で残念。
ゲームの負荷は高くはないけど、ディスクの読み書き頻度は多め。
そのため、外付けUSB HDDにインストールした場合は、データの読み込みが遅れたり、音飛びが起きたりする。*3
内蔵HDDにインストールした場合は、問題なし。
その他は、特に不満のない、プレイしやすいシステム。
ゲームの感想(ネタバレあり)
はっきり言って、長くて難しい。
とにかく、テキストの量が莫大。
ノベル形式なので、アドベンチャー形式よりテキストが多いのは当然だけど。
とはいえ、プレイにかかる時間は、実質はあまり長くはなかったと思う。
難点は、文章表現。
多少遠まわしな表現に加えて、倒置的な表現も多用されている。
それが1ページのテキスト内で完結していれば、まだ読みやすかったかもしれない。
ところが、2~3ページ後にならないと内容がわからないことが多かった。
そして、主人公の「策」が、“物事の本質を見抜く才能がある”とはいえ、ときどき超人的な理解力を見せる。
おかげで、プレイヤーが置いてきぼり。
ある展開が起きる。
↓
しかし策はいきなり状況を理解。(プレイヤー:……はぃ?)
↓
やたらと行動力のある策。(プレイヤー:マテマテ何でそうなる!?)
↓
回想風味に解説。(プレイヤー:な、なんだってー!! ってか、それでもワカラン)
↓
このことは終わったとばかりに次の展開。
ここで、バックログを見返して状況を確認したりすることになる。
1つのイベントの解説が、数ページにわたって大量のテキストで展開されることも多い。
これを理解するのがけっこう疲れる。
伏線の表現が多いのも、混乱させる。
たいていは、わかりやすく“これは伏線だ”という感じに示されているけど、中には2周目にならないとわからないものもあったりする。
たとえば、策が学園に初登校する日。一緒にいるふたみは、周囲の人気と尊敬を集める。
そして、挨拶をしてくる学生の中の一人、やたらとキザっぽいしゃべり方をする学生が、こういう台詞を言う。
男子生徒D
「ふっ――唯井さんの輝きの前には太陽とて道を譲るさ。おっと、これは失敬。太陽は頭上ではなく、僕の目の前におられましたな」
もろにふたみルート第2部の本筋デスヨ。
そして、突如現れる北欧神話。
そもそも、ヒロイン全員が持つ箒や、此芽のお姫様風の和装、傘姉が持つ和傘――こういった和風の小物を見てどうすれば北欧神話に繋がるのか。
ファイナルファンタジーでもこれほどのギャップはない。
使われているエピソードは、北欧神話の中でも比較的有名なもの。オーディン、グングニル、ワルキューレ、ラグナロクといった、ファンタジーRPGなどではよく見かける設定が出てくる。
とはいえ、ただでさえわかりにくいテキストなのに、北欧神話周りは特に説明が足りない。
それまで前情報もなく、いきなり「狼が太陽を飲み込もうとしている」とか出てきても混乱するだけ。
さらに「いつ空」独自のアレンジが加えられている。
全キャラクリア後にメニューに出てくる「異ならぬ世の終わりより」で補足解説されてるけど、十分とはいえない。
一方で、いきなり放棄される設定もあったりする。
空明市の夜は、必ず空を雲で覆われてしまい、決して星空を見ることができない。そこで、星空を見たいという町の人々の願いから、100年に一度「照陽菜」という儀式――お祭りが行われる。
「照陽菜」を執り行うのは、黄道十二星座を代表して選ばれた12人の天文委員。
天文委員は、その証としていつも箒を身につけている。
第1部はこの設定に沿って進む。第1部の重要要素で、「照陽菜」は何度も出てくるキーワード。
牡牛座の天文委員である「透舞のん」は一生懸命に「照陽菜」に挑み、しかし失敗。
続く双子座の天文委員の「唯井ふたみ」も、主人公「策」と一緒に真剣に「照陽菜」に取り組む。
いくつかの困難を乗り越え、最終日に起きたトラブルが元でふたみは倒れてしまうが、策の力でなんとか解決。
そして、双子座の「照陽菜」は完成した――。
これが、第2部にはいると、いきなり消し飛ぶ。
「照陽菜」は、空明市を支配する雲戌亥家が、対立する桜守姫家の目をそらすための偽りだと断言。
そして、天文委員が身に着けている箒は、結局何の役にも立っていない。
第2部以降は星や「照陽菜」に関することは、ふたみルートと傘ルートですべてが終わったエピローグでちょこっと出てくるくらい。此芽ルートではまったく出ない。
どの辺が「ノベル式天体観測シネマNVL」なのかと。
やや難解なテキスト、大量の設定が各ルートに分散していることで見えにくい背景、北欧神話を知らなければ分からないあまりに唐突過ぎるクライマックスの展開。
そういった難点はあるものの、それを補って余りある魅力があるのも確か。
メインキャラはもちろん、サブキャラも含めてみなそれぞれに信念を持って行動している。
第2部では、お互いの信念と生き方をぶつけ合う。
その様子は、熱く激しくかっこいい。
もはや、第1部で何があったかなんてどうでもいいくらい。
サブキャラも1人1人それぞれに魅せ場があるのもよかった。
キャラ個別ルートの感想
攻略対象なのは、「唯井ふたみ」「桜守姫此芽」「明日宿傘」の3人だけ。
公式ページの登場人物紹介には6人いるけど、「未寅愛々々」「透舞のん」「桜守姫みどの」は攻略対象外。
唯井 ふたみ
他のシナリオとの関係を見ると、おそらく主軸となっているシナリオ。
空明市を支配する一族、雲戌亥家のストーリー。
第1部は、ギャグや小ネタを織り交ぜながら進む、学園と屋敷での温かい生活。
それが第2部に入ると、とにかく衝撃の連続。
まず最初の衝撃は、ふたみの策の呼び方が変わることだったりしますが。
それまで「お主人ちゃん」という謎呼称だったのが、いきなり普通の「策さん」に。
たったそれだけなのに、ものすごい違和感と喪失感が……orz
そして、空明市に君臨する王者として現れる「雲戌亥家」。
どんな犠牲を払おうとも空明市を守るという、王だからこその悲壮な決意と気迫に感動。
もし、物語が「蛙蟆龍」の儀式の成功で終わっていたら、シナリオ中に出てきた主要な登場人物は、誰も幸せになれない。
しかしそれでも、雲戌亥家当主の静は“皆が救われるのならそれでいい”という。
ふたみルートのシナリオは泣けるシナリオです。
でも、いわゆる泣きゲーのものとは違います。
登場人物の悲しさに泣けるわけでも、訪れた幸せの安堵感に泣けるわけでもない。
雲戌亥家一族の者の、鮮烈で穢れのない炎のような気高さに泣けるシナリオでした。
個人的には、そこで終わっていても、シナリオとしては良かった気もしますが、その後にお主人ちゃんが大活躍。
ちょっと策が暴走気味な感じはするものの、言うべきことを言う主人公には好感。
そして、巽家が持っていた異能と揺るぎない想いでふたみを救う。
正直なところ、ラストの超展開連打はどうかという気もする。
いきなり違和感満載で突入する北欧神話。
ふたみルートで北欧神話ネタが出てくるのが、テキストが多く尺が長いとはいえ、シナリオ中最終日の6月29日たった1日だけ。あまりにも唐突すぎ。
雲戌亥家の展開でそれまで感動していたのに、一気に吹き飛んでしまった印象。
でもエピローグで、嬉しさと幸せのあまりはっちゃけるふたみは激しくカワイイ。
ふたみの「亭主関白でいこうっ」は、このシナリオ中一番の名台詞だと思う。
ちなみに、桜守姫家のことは、ふたみルートに突入した後は完全に放置されてしまい、まったくでてこなくなってしまいます。
エチシーンは、3シナリオ中ではふたみルートだけが、本編中で真っ当に扱われている。そして、それなりに意味のあるイベントにもなっている。
シーンは1回だけ。でも、流れはかなり長い。
ノベル形式でテキストが多いのに、他のエロゲにあるような無駄なテキストがほとんどないので、内容の密度が濃い。
そして、気を置かずに甘えてくるふたみがすごく可愛い。
たいていのエロゲでは、エチシーンは飽きてスキップする事が多いのですが、これをスキップするなんてとんでもない!
第2部にはいると、ふたみが“ヨメの戦闘服”を着ているシーンが1つもないのが残念。
(Ver.2.0 Update追記)
CGの変更は細かい修正だけ。
おまけモードのふたみCG、3ページ 3列目中央。草の上に座るふたみの制服のスカートに白線が入った。
テキストも気になるような差分はなかった。
共通ルートの修正になるけど、メメのパジャマがふさふさになっていた(Extra CGの2ページ 3列目中央)。
桜守姫 此芽
空明市のもうひとつの名家、桜守姫家のストーリー。
ただ、シナリオの規模が小さくて、ふたみルートの壮大さに比べると、どうしてもサイドストーリー的な位置づけに思えてしまう。
むしろ、策の過去の説明や、桜守姫家の視点から見た空明市の結界の解説など、設定の補足をする部分が多い。
第2部のはじめに策がふたみやメメと別れてからは、ひたすら策と此芽の関係を描く展開。
そういう意味では、キャラ萌えゲー風のシナリオ。
つまり――
深い関係にはなれないと分かっていても、策のそばにいたくてどうしようもない此芽
本当は嬉しくてたまらないのに、つらく当たらなければならない此芽
時々抑えていた気持ちが、どうにもできなくてあふれ出してしまう此芽
策のために文字通り命を懸けて尽くす此芽
何があっても自分はどうなっても、策だけは守ろうとする此芽
でも、料理はまるでダメな此芽
すべての束縛がなくなって策と結ばれると、ちょっといじわるっ娘風味になる此芽
此芽かわいいよ此芽
――というシナリオ。
ちなみに、気持ちを抑えきれなくなって泣きながら策に詰め寄る少し子供っぽい此芽のCGは、「いつ空」の中で一番好きです。
此芽復活→クライマックスのバトルのシーンは、かなりカッコイイ。
BGMにボーカル曲まで流れて、シーンを盛り上げる。
それまで、まるでかなわない脅威と思われていた相手に、最強の魔女として君臨した此芽が圧倒的な逆転劇を演じるのは爽快。
シーンはかっこいい分、バトルエフェクトがしょぼいのが残念。
とにかく、ひたすら此芽のためのシナリオでした。
エチシーンは本編中にはなし。これは設定上、エチシーンは無理だろうと思っていたら、エピローグで後付け。
シーンそのものはあっさり風味。
というかこのシーンは、エロさはどうでもよくて、「お姫様」を演じる必要のなくなった此芽が、子供っぽくてちょっといじわるっ娘風の性格になるところが重要。
「……ろりこん宣言というやつでしょうか」と
「成長してやっと逢えたのに、成長する前の方がよかったってオチ?」は
インパクト最強。
エピローグは、此芽がのんやみどのと言葉を交わすシーンがまったくないのが残念。エピローグ中に此芽の口調が大きく変わっているので、それを聞いたのんやみどのの描写まで含めると、長くなりすぎてしまうからかもしれない。
ふたみルートと同じように、此芽ルートでは雲戌亥家側の描写はまったくなし。
いちおう、此芽ルートでも北欧神話ネタは出てくるけど、シナリオ中では名前の繋がりがあるくらいで、扱いはかなり小さい。
(Ver.2.0 Update追記)
Updateでの変更が一番多い。
CGモードの此芽ページでの追加は3枚。
3ページ3列目右。策が過去を思い出すシーンで入る1枚。水中に重なる此芽らしき姿。幽霊のようでちょっと怖い。
4ページ1列目左。昔の策が、此芽を殺しに来た術者の持つ“武器”を見たシーン。
4ページ1列目中央。此芽の力を目にして、地面にへたり込むみどの。
カットインの追加も多く、策が桜守姫家で初めて見たグングニル,魔眼を使うみどの,子供の頃の策と此芽が手を繋いでいる絵が追加。
グングニルの絵は、クライマックスで策が解対したときの物より破損が激しい。共通ルートから此芽ルートクライマックスの間までに、相当な人数の桜守姫家の者が死んでいる様子。
手を繋いでる絵は、共通ルートで策が桜守姫家に行った時、此芽に手を引かれて案内される時に入るカットと対応している。
此芽がZauber Walkureを使うシーンの演出も変更されていた。Ver.1.xでは「骸を貪り喰うもの」の真名が浮かぶたびにスクロールしていたのが、スクロールせずに真名が増えていくようになった。これは以前のままでも良かったような気もする。
エフェクトも変わった所があったけど、ビミョーなのは変わっていない。追加のエフェクトもビミョーだった。
明日宿 傘
あえていうなら、設定補完シナリオ。
ふたみルートというか雲戌亥シナリオで「もしも、ふたみを選ばなかったら」という、ifストーリーな感じ。
まぁ、此芽ルートでも、雲戌亥側は同じ展開になってるはずですが。
最初からは攻略できず、ふたみ・此芽どちらかをクリアしてからでないと選択できない。
内容はふたみルート補完なので、先にふたみルートをクリアするのをお勧め。
いちおう形としては1本のシナリオになってはいますが、展開はぶつ切り。
主にふたみルートを中心に、設定の補完・補足を別視点からイベントにして並べた感じ。そのため、かなり展開に違和感がある上に、前後の繋がりが混乱気味。
対立する2者が互いの主張をぶつけ合うような流れなのに、圧倒的な火力を手にしている傘姉側がまるで聞く耳を持たないという、どうしようもないグダグダな展開。設定補足のシナリオと割り切ればいいわけだけど、傘シナリオ自体が新たな謎を生み出してしまっていたりする。
雲戌亥・明日宿側のキャラに、サブキャラを含めてほぼ全員に魅せ場があるのは良かった。
特に株を大きく上げたのが、「透舞のん」と「申子菊乃丸」。
透舞のんはこれからの空明市を語り、申子菊乃丸はこれまでの雲戌亥を語る。
これまでほとんど出番のなかった透舞のんの意外な一面。
飄々とした掴みどころのない申子菊乃丸は、実はその内に、雲戌亥らしい熱い想いを持っていた。
テキスト量が多い、長い台詞が続くシーンですが、それだけ印象も深い。
傘姉自身はというと、びみょー。
雲戌亥家に感動したあとでは感情移入しにくいというのもあるけど、他のキャラと違って内面描写がまったくないのが大きいかもしれない。
本格的な戦闘に入ると、露出度が高くて胸を強調したキャミソール風の戦闘服になるところは、スバラシイ。これしかないともいう。
エチシーンはあまりに唐突過ぎて、むしろ違和感のほうが大きい。シナリオの展開上、どうしてもエチシーンを入れるなら他に入れようがなかったというのは、分からなくはないけど。
BGMが、ふたみ・此芽で使われてる「ぬくもりのありか」じゃなくて、戦闘シーンで流れる「熱に溶ける激情」なのは笑えてしまう。
(Ver.2.0 Update追記)
Ver.2.0で、傘姉エチシーンのBGMがかなり“ヘン”だったのが修正されていた。
- Ver.1.x
- 「もう一歩を踏み出せば届くのに」→「六月の雨に打たれて」→「遠吠えは彼方に吸い込まれて」→「熱に溶ける激情」→「静寂に沈みながら」
- Ver.2.0
- 「もう一歩を踏み出せば届くのに」→「静寂に沈みながら」→「六月の雨に打たれて」→「ぬくもりのありか」→「遠吠えは彼方に吸い込まれて」→「常ならざる法と術」→「静寂に沈みながら」
Ver.1.xのBGMは、曲のタイトルで選択されていた印象。タイトルだけ見れば、確かに展開に合ってる気がする。
Ver.2.0では、タイトルは考えずに、場面の印象に合う曲を改めて選びなおした感じ。「ぬくもりのありか」は強引に絡めたような気はしなくはないけど。
その他に気づいたところとしては、エチシーン後の傘姉が改めて自害しようとしてできないシーン。背景CGなしだったのが、月が浮かぶ空のCGに変更されていた。
考察と資料
→いつか、届く、あの空に。【考察と資料】
(長くなったので、ページを分割しました)