850 名前: 年表 投稿日: 2003/09/07(日) 09:51 [ kU7HA2GM ] しぃ族が利用される存在となった世界。 何故そうなったのか知らなかったサラリーマンのモラ太は 友達のモナ郎に聞いてみることにした。 「モナ郎、なんでしぃ族は利用される存在になったんだ?」 「あれ、知らなかったモナ?たしか年表を配ったはずだけど…。」 「年表?そこのダンボールに入っているやつか?」 「そうそれモナ。ちょうど休憩時間だし、見ておくといいモナ。」 そういってモナ郎に手渡された年表は軽く、しぃ族に興味が無いかのような感じがした。 俺は社内のカフェでホットコーヒーを飲みながらその年表を食い入るように眺めた。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <しぃ族に関する年表> 2000年2月 :しぃ族の生息数を調査。調査報告によると、生息数はわずか1万と判明。 原因は虐殺による著しい生態系の破壊と断定し、虐殺派を非難。 2000年3月 :しぃ族を絶滅危惧種に認定。 2000年4月 :しぃ族を平等に扱う法律を制定。 これにより、しぃ族を殺害した場合は最も厳しい処罰、死刑も宣告されることとなる。 同月、ギッコード博士は「しぃ族を生かすことはゴミを野ざらしにするのと同じ」と発言。 2000年5月 :しぃ族保護委員会設立。各地に「しぃハウス」の建設着手。 2000年6月 :窃盗や強盗と言った犯罪が増加。原因はしぃ虐殺による ストレス解消が出来なくなった虐殺派によるものと断定。 2000年10月 :各地の「しぃハウス」の完成。2度目のしぃ族の生息数調査を行ったところ、 幼児~成体の合計数が30万と判明。今後さらに増えると推測。 2001年1月 :しぃ族の中から全角で喋る貴重なしぃを発見。 歌手としてデビューさせたところ、デビューシングルCDの売上総数が140万を突破。 2001年3月 :しぃ族の生息数調査により、100万を超えたことを発表。 絶滅危惧種から解除。 2001年7月 :ギコ族の変死体が各地で発見される。解剖の結果、生殖器の多用が死因と報告。 CMでギコ族に外出を避けるよう注意を促す事態になる。 2001年9月 :歌手としてデビューさせた全角で喋るしぃが、でぃとなって発見される。 原因は集団による暴行。数匹のしぃ族が周辺から走り去る姿が目撃された。 全角で喋るしぃは脊髄損傷により、左半身麻痺と診断。歌手復帰は絶望視される。 851 名前: 年表(終) 投稿日: 2003/09/07(日) 09:52 [ kU7HA2GM ] 2001年12月 :しぃ族の生息数が800万まで増加。「ネズミ野郎」という言葉が流行する。 2002年2月 :ギコ族の変死体の原因が写真撮影により判明。 しぃハウス内でギコ族の者が交尾を強制させられていた。 撮影者によりこのギコは助けられたが、しぃ恐怖症に陥っていた。 2002年4月 :妊娠中の女性が川原のそばで死体となって発見される。 たまたま近くを散歩していた者が一部始終を携帯電話のムービーで撮影。 犯人であるしぃ族を警察が逮捕。動機を追求したところ、 「カイモノブクロノ タベモノヲ ワタサナカッタカラヨ!」と逆切れ気味に証言。 また、殺人については食べ物を渡さなかった妊婦が悪いと罪を逃れる発言を繰り返している。 2002年5月 :しぃ族による暴行、農作物被害、窃盗、強盗といった犯罪が急増。 しぃ族に対する批判が集中する。 2002年8月 :しぃ族の生息数が1500万まで増加。しぃ族に不満を爆発させた民間人は しぃ対策委員会を発足。政府にしぃ族を平等に扱う法律の破棄を出願する。 2002年9月 :政府は法律の破棄を決定。しぃ族保護委員会消滅。しぃハウス撤去。 実験のための利用や、虐殺を始める。 2003年8月 しぃ族の生息数が激減。残ったしぃ族は山奥に逃亡するが、 同月に観測史上2番目に大きい山火事が発生。 わずかに生き残ったしぃを捕獲。 繁殖させて、実験・虐殺用として利用することにした。 ________________________ しぃ族は一度、保護された。だがそれは愚かな行為で、 しぃ族の横行を許す結果となってしまったのだ。 最終的には保護を指摘した政府が保護の破棄を決定。 現在に至る。というわけだ。 年表を一通り見て生温かくなったコーヒーを飲み、モラ太は思った。 「この年表、虐殺に関する内容が少ないな。ツマンネ」 そう言うと彼は近くにあったゴミ箱に年表を捨て、仕事場へと戻った。 わずかに温もりを感じるコーヒーカップを残して。 駄文スマソ