ちびしぃの復讐

Last-modified: 2015-06-04 (木) 02:20:40
413 名前: ナヒャ(yWVxXezQ) 投稿日: 2003/02/18(火) 22:12 [ QLm6zii. ]
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最近のしぃは、口調も雰囲気もうざったいくらい元気だから、ギコはそのしぃに会った時、違和感を感じたくらいだった。
そのしぃは、少しも笑わなかった。しぃと言うより、両耳があるでぃと言った感じだ。
こいつが欲しい。自分だけの物にしたい。ギコの思いは急激に燃え上がった。
だが、何をやってもしぃはギコに振り向かなかった。
このギコ、人相が悪く顔に大きな傷があった。そのためかも知れない。
ギコは苛立った。しぃを手に入れたいと思う気持ちはつのるばかり。
そこで、ギコは強行手段にでることにした。

ギコはしぃを自分の家に連れさらった。自分の一方的な思いのために。
しぃは、ギコの家に監禁された。
「ありがたく思えよ」
ギコはしぃに支配的な目線を向けた。
「被虐生物のお前らしぃを保護してやってんだからなゴルァ」
しぃの表情は、部屋の暗い照明でよく分からなかった。
まぁ、そんなことはどうでもイイ。
ギコにとって大事なのは、この物珍しいしぃが自分の手に入っているということだ。
愛でるなり、いたぶるなり、殺すなりギコの勝手。
今のしぃはあ被虐生物として、しばしば殺人の餌食となる。
その数多くの餌食がたった一匹増えるだけだ。

はっきり言って、このしぃはちっともギコを好いてなかった。
最近のしぃなら、ギコの姿を見るとダッコやコウビをせがむ者が多いのに。
ギコは、鎖で繋がれ動けないしぃを足で軽く蹴った。
「ホラ、ダッコ虫。ダッコって言えよ。それともコウビの方イイのかゴルァ」
しぃは力無く項垂れていた顔を上げた。
「悪魔……!」
今度はギコは、かなり強くしぃの腹を蹴り上げた。
「ウグッ……! カハ、ゲホゲホ」
むせるしぃの頭をギコはグワシと掴んだ。
「おいゴルァ。あんまり調子こんじゃねえよ、雌豚がよぉ」
ギコはしぃの端正な顔に、唾をペッと吐いた。
ギコの唾が、しぃの顔をつつーっと流れた
「散々お前をいたぶったあとに、惨たらしく殺してやるぞゴルァ。まぁ、俺の愛情表現だ」

414 名前: ナヒャ(yWVxXezQ) 投稿日: 2003/02/18(火) 22:12 [ QLm6zii. ]
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ギコの長い舌が、しぃの顔を虫が這いずるように舐め回した。
しぃは、気丈な顔つきでギコを罵る。
「コノ変態……!! 世間デハ シィ族ハ 悪ク言ワレテルガ、アンタヨリ マシダ!!」
少しでも自分を勇ましく見せようと、しぃは力強い口調でギコを罵倒した。
ギコはうっすらと笑うと、しぃの顎を乱暴に掴んだ。
「そのノド、俺は切り裂くこともできるんだぜ? それとも……」
ギコは、ギコハハハと高らかに笑った。唾が辺りに飛んだ。
「俺に虐めて欲しくて、挑発してるとか?」
そう言い終わらぬ内に、ギコはしぃの腹に重たい突きを放った。
ギコの拳が、しぃの柔らかな腹をえぐるようにパンチを浴びせたのだ。
「アウアッ、ガフ……!! ア、ア……」
「言えよゴルァ。『シィィィ イタイヨウ』ってな」
しぃは痛む腹を手でさすろうにも、手は鎖で繋がれていた。
苦痛が、津波のようにしぃの体を襲ったが、しぃは決してシィィィとは鳴かなかった。
ギコは下卑た笑いを口元に浮かべながら、何度も何度もしぃを蹴り飛ばした。
しぃの体は、ギコの蹴りに合わせて跳ね上がった。
「しぶとい。根性あるな、それに表情も乏しい。しぃの珍種か?」
しぃは、ギコをバカにした口調で言った。
「シィ族ヲ バカニシタ 割ニハ アンタモ 昔ハ 被虐生物ノ チビギコ族ダッタノニネ」
ギコは頭が熱くなるのを感じた。激しい怒りをしぃに向けた。
しぃの頭を掴み、堅い壁に額を打ち付けた。
額が割れ、壁にはスプレーで吹き付けたような血痕が付いた。
「何で、そのことを? 俺が子供の頃ちびギコだって、どうして分かった?」
額から滴り落ちる血に顔をしかめながらも、しぃはあくまで気丈に答えた。
「忘レタ? 私ハ、アノ時ノ チビシィダヨ。アンタニ 崖カラ 突キ落トサレタ……」

415 名前: ナヒャ(yWVxXezQ) 投稿日: 2003/02/18(火) 22:13 [ QLm6zii. ]
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このギコがまだちびギコだった頃、一匹のちびしぃを襲った。
ギコは散々ちびしぃで楽しんだ後、用済みになったちびしぃを崖から突き落とそうとした。
「嫌、助ケテ!!」
「とっとと落ちるデチよ。お前はチビタンにとって、用済みデチ。もう処女じゃありマチぇんからね。
 チビタンは処女が好きデチ。次はベビしぃでも襲うとしマチかね」
「悪魔……!」
ちびしぃは最後の抵抗に、ちびギコの顔を爪で引っ掻いた。
その傷はとても深く、おそらく成猫になっても残るだろう。
「何するデチか!! しぃ族みたいな被虐生物が調子に乗るんじゃありマチぇん!!」
怒ったちびギコはちびしぃを崖から突き落とした。
「さぁて、ベビしぃのところに行くデチ。チビタン、張り切りマチよぉ」
一方、ちびしぃは崖の下に生えていた木々に衝撃をやわらげてもらい、何とか一命を取り留めた。
少しばかり、怪我はしているが。
その後、親切なモナーに拾われ、怪我をゆっくりと治していった。

「デモ、体ノ傷ハ 治ッテモ 心ノ傷ハ治ラナカッタ。
 今デモ 私ハ 笑エナイ。アンタノ 顔ノ傷、私ガ ツケタ 顔ノ 傷」
鎖で繋がれた無力なしぃに、ギコは恐怖を感じた。しぃの目には、ハッキリと殺意の色が浮かんでいた。
「お前、雌豚の分際でイイ気になるんじゃんえぇぞゴルァ」
恐怖を悟られまいと、ギコは精一杯ドスのきいた声で言った。
「ゴルァ? マルデ、ホンモノノ ギコミタイナ シャベリ方ヲ スル。
 体ハ ギコデモ 脳味噌ハ チビノ 頃ト 変ワラナイノニネ」
ギコ、いやギコの姿をしたちびギコは、タラリと脂汗を流した。
しぃを睨み付けて言う。
「く、鎖に繋がれたお前に、何ができるってんだよゴルァ!?」
しぃは、不敵な瞳でギコを睨み返した。
「ソノ ノド、私ハ 切リ裂クコトモ デキルンダケド?」
しぃの手首が、派手な音を立てた。間接をはずし、鎖の束縛から逃れる。

416 名前: ナヒャ(yWVxXezQ) 投稿日: 2003/02/18(火) 22:13 [ QLm6zii. ]
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しぃは、慌てふためくギコの顔を目掛けて拳を繰り出した。
ギコの鼻は、鈍い音を立て、鼻血が止めどなく噴き出した。
「ヒギャァァ!!」
ちびギコに戻ったかのように、無様な叫び声をあげて、ギコは床を転げ回った。
「見タ目ハ ギコデモ、中身ハ チビギコダネ。
 普通ノ 男ナラ 私程度ノ パンチ 喰ラウワケナイヨ」
冷淡なしぃの声、これがハニャニャニャーン等とわめく種族の声とは思えない。
「アンタハ 私ノ他ニ 何匹ノ シィ族ヲ 襲イ、殺シテキタ?」
床で腰をぬかし、鼻を押さえながら後ずさりするギコ。
「違う。俺は、違うんだっ。そ、その……これは誰かの陰謀だ!! 俺は悪くない!!」
しぃは、からかうように言った。
「違イマチ。チビタンハ、違ウンデチッ。ソ、ソノ……コレハ誰カノ陰謀デチ!! チビタンハ 悪クアリマチェン!!」
ふざけているしぃとは対照的に、
ギコの顔つきが、まるでちびギコのような情けない物となった。
「サヨウナラ。ギコノ 皮ヲ 被ッタ、チビギコサン」

血が鮮やかに飛び散り、抽象画のような模様が部屋には描かれた。
しぃも額に傷を受けているが、ギコの比ではなかった。
芋虫のように四肢をもぎ取られ、目は潰され、歯はへし折られ、肉を削ぎ落とされたギコの死体。
ギコになりきれなかったちびギコの愚かな末路だった。
血臭漂う中、独りたたずんでいるしぃの姿。
「殺ッタ……。今度 生マレ変ワル時ハ 
 アンナ マガイ物ノ ギコジャナクテ、チャントシタ ギコニ 会ッテミタイ……」
しぃは、歯に力をこめた。
舌は噛み切られ、しぃの口からは大量の血が出た。
やがて、噛み切られた舌で、しぃは窒息死するだろう。

 完