539 名前: シィキャビク(hGnt/ICE) 投稿日: 2003/03/17(月) 21:07 [ J1IsyRuU ] 「カワイイ ベビシィチャンノ ダッコハ イカガデスカー?」 けばけばしぃ蒼穹に、しぃのあっけらかんとした声が響き渡る。 辺りを流れるドブ川の水音では、それを中和することも叶わない。 サイタマ顔の太陽が、いささか不機嫌そうだ。 声の主は、一匹のしぃ。手には鎖が握られており、その先には ベビしぃがつながれていた。 異様なのは、そのベビは本来手足があるべきところに、赤黒い 血肉が剥き出しになっていることだ。 青ざめた顔でか細く鳴くと、バランスを崩して地面に倒れこんだ。 「キタ━━!」 母しぃの視線は、我が子と思しきベビではなく、前方のモナーに 注がれている。 手に持った鎖をぐいっと引っ張ると、倒れたベビの体が起き上が る。首に鎖がめり込む。 「イイ? オシエラレタ トオリニ シナサイヨ」 鬼のような形相でベビに釘を刺すと(本当に釘を刺したこともある のだろうか)、また先ほどのあっけらかんとした声をあげる。 「カワイイ ベビシィチャンノ ダッコハ イカガデスカー?」 「ナッコ! ナッコ!」 540 名前: シィキャビク(hGnt/ICE) 投稿日: 2003/03/17(月) 21:08 [ J1IsyRuU ] あ~あ、この暑い中またやかましぃのが騒いでらぁ、と、眉をひそ める前に、モナーは背筋に悪寒が走った。 ―て、手足がもがれてるモナ…キモッ 「ダッコシヤスイ ダルマタイプト ナッテオリマス! イマナラ タッタノ 100ペリカデスヨー!」 母しぃの甲高く、聞く者によっては楽しげにさえ感じさせる声とは対 照的に、ベビは暴れまわった。 ∧ ∧ ∧_∧ (ヽ*゚ワ゚) ハ,ハ 三(´Д`;,) 「ナッゴォ!ナッゴォォォォォ!!!」 〉 つ∞o。o゚∞(*>0) 三(つ つ ~( | (;;';';) 三/ /) ) U"U Y ⌒Y 三(_) (_) 幼子のそれとは思えない、濁りきった絶叫。 手足の無い身体で必死にピョンピョンと跳ね回り、必死にダッコを求 める。 モナーは、足早にその場を去ったことは言うまでも無い。 しぃ族の―あまつさえ肥溜めもかくやと思われるほどに蝿にまみれた ベビの―ダッコなど、例え料金が-1000ペリカであっても容易に成立する 商売ではあるまい。 541 名前: シィキャビク(hGnt/ICE) 投稿日: 2003/03/17(月) 21:08 [ J1IsyRuU ] ところが、母しぃは納得しない。 「アレホド イッタデショウ? 『アイソヨクシナサイ』ッテ。ナンカイ イッタラ ワカルノヨ?」 母しぃの語勢に比例して、ベビの震えが激化する。 「エー!!? ナンカイイッタラワカルノヨ!!!! ソンナニマデシテオカアサンヲウエジニサセタイッテイ ウノ!?!! ドウナノヨーーーーーーー!!!!」 頬をつねり、引きちぎれんばかりに引っ張った。 皮膚が破れる音を指先に感じながら、母しぃは余った手でベビの 耳を掴む。そして頭蓋を砕かんばかりの勢いで灼熱のアスファルト に叩き付けた。 ゴスッ ドガッ 骨が悲鳴を上げる音さえ、アスファルトがベビの身を案じているか のように。 虐殺モララーならば畏敬の眼差しを送るであろう暴力を続け、憂さ を晴らした母しぃは、優しい母親ではなく命令者として、ベビに語りか ける。 「ホラ、マタ キャクガ クルワヨ。コンドコソ チャント ヤリナサイ」 542 名前: シィキャビク(hGnt/ICE) 投稿日: 2003/03/17(月) 21:08 [ J1IsyRuU ] その夜。 「1ニチハタライテ、タッタノ 200ペリカ? ナサケナイワネ」 夜風と罵倒を愉しむかのように、母しぃは言い放った。 猛暑、暴力、空腹、疲労…考えられる限りの悪夢に打ちひしがれ、 死体と称しても何ら差し支えないほどに弱りきったベビに。 「アシタハ 2バイ カセギナサイヨ!」 邪魔者を煙たがるように短く言葉を切ると、嬉々として魚を手に取っ た。 「ハニャーン♪ オサカナサン ダヨゥ♪」 それは言うまでもなく、『今日の稼ぎ』で買ったものである。 母しぃは銀色に光る魚に舌なめずりをして、頭からかぶりついた。 すると、でぃが必死にしぃの声まねをするかのようにしゃがれた鳴き 声が、彼女の食事の邪魔をした。 _ ∧ ∧ 「チィ゙…アニ゙ャーン…」 | |。o∞o∞。ハ,,ハ (*゚ 0゚)。 。 「ダメヨ、コレハ シィノ ナンダカラ」 . | | (;;'(*゙;o゚) |つ|;|'0゚ ~O―つ 四肢の切断面と地面が擦れ合うことも厭わず、ずりずりと母しぃに擦 り寄ろうとする。 腐ったトマトのような顔を精一杯引きつらせ、必死に魚をねだる。 しかし、ベビを縛る鎖は看板にくくり付けられており、母のもとまで届か ない。母しぃは、その悲痛な声を無視して魚をペロリと平らげてしまった。 「アニ゙ャーン!!!!!アニ゙ャーン!!!!!アニ゙ャーン!!!!!アニ゙ャーン!!!!!アニ゙ャーン!!!!!アニ゙ャーン!!!!!アニ゙ャーン!!!!!アニ゙ャーン!!!!!アニ゙ャーン!!!!!ア゙ニ゙ャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!」 魚を丸呑みしたしぃはすくっと立ち上がり、ベビに向き直る。 そして夜空に怒号を轟かせ、サッカーボールのごとく蹴っ飛ばす! ベ ビの軽い身体は、鎖がなければかなり遠くまで吹き飛んでいただろう。 「オヤスミ ベビチャン♪」 鳴き声も発せず、断末魔の痙攣に侵されるベビに、さも楽しげに挨拶を した。 543 名前: シィキャビク(hGnt/ICE) 投稿日: 2003/03/17(月) 21:09 [ J1IsyRuU ] 生まれて間もない身体が、生き地獄に耐えうるはずも無い。次の 朝、『仕事場』に転がっていたのは、満身創痍の腐肉だった。 もはや、日に焼けようと、虫に喰われようと、母しぃの蛮行を被ろ うと、何の反応も示すことは無い。 「ウワッ! キモーイ シンデルワ!! セッカク サワヤカナ アサナノニ…!!!!」 彼女に、もはや理屈などというものは無い。ただ、何処までも純粋な 慢心に突き動かされ、ベビだったものを蹴り上げた。 首と胴が引きちぎれ、どす黒い血を撒き散らす。相変わらずの快晴 に対して、対照的な赤さだった。 二つの肉片はぬらぬらした藻の上をバウンドして、臭い水の中に転 げ落ちる。 『ボチャーーーン…』 混濁した水が、ベビの残骸を受け入れて鳴いた。 「マタ ギコクント コウビシテ コドモ ツクロット」 母しぃは、神への挑戦とも取れる暴言を呟くと、何事も無かったかの ように踵を返した。 544 名前: シィキャビク(hGnt/ICE) 投稿日: 2003/03/17(月) 21:09 [ J1IsyRuU ] 「キョウモゲンキニシィ~シィ~シィ~♪ ミンナナカヨク ハニャニャニャ~ン♪」 けばけばしぃ蒼穹に、しぃのあっけらかんとした声が響き渡る。 謀らずして鎮魂歌となったマヌケな歌は、一瞬だけ赤く曇ったドブ川に流れていった。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/二二/ ̄ ̄ ̄ ̄"" ̄ ̄ ̄ ̄''' ̄/二二/ ̄ "" "" /l ̄ ̄/ ,,, ゙゙゙゙゙゙ ,,, ゙゙゙゙゙゙ /l ̄ ̄/ '''' /l ̄ ̄/ vv"゙"゙" /l ̄ ̄/ /l ̄ ̄/ ,,, 、、、/l ̄ ̄/ "" """  ̄ ̄ ̄"""" """" """  ̄ ̄ ̄ 糸冬 '''' 、、、 vv ゙゙゙゙゙゙ """ '''''' ,,,, ───────────────────── ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
元ネタと思われる作品→ダッコさせます