某ゲームのパロディネタ

Last-modified: 2015-06-03 (水) 01:19:00
420 名前: ナヒャ(yWVxXezQ) 投稿日: 2003/02/20(木) 00:24 [ LuJUMkW2 ]
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ここの村はずれには、薄暗い屋敷がある。
村の人々は、この屋敷を神羅屋敷と呼び、近寄らなかった。
さて、そんな不気味な屋敷に近づく者が一人。
「キョウモ ゲンキニ シィシィシィ。ミンナ ナカヨク ハニャニャニャーン」
元気に歌を歌いながらスキップしているしぃだ。屋敷にズカズカと入り込む。
重たいドアをギィィと音をたてながら開ける。
「コンニチハ。カワイイ シィチャンガ ヤッテキタヨ。
 マッドサイエンティストノ ビブジョウハカセ、イルゥ?」
やがて、屋敷の奥からノッソリと、頭の禿げたびぶ郎がやってきた。
ちびギコ族のくせに、かなり老けている。
「びぶ条ですが、何か?」
「アノネ、アノネ。イジワルナ、ギャクサツチュウガ シィヲ イジメルノ。
 ダカラ フジミノ カラダニ シテホシイノ」
びぶ条博士は、瓶底眼鏡を白衣のスソで拭きながら答えた。
「お代は高くつくが、それでもイイかね?」
「ハイ! オカネガ ナイノデ ダッコデ シハライマス」
「……ノミを移さないでもらいたい。もうイイ、お代は結構だ」
しぃは、自分の頬を指でプニッと押しながら言った。
「ハニャ! シィノ カワイサニ メンジテ オダイハ ナシッテコトダネ。
 ア、デモ シィハ オッサンニハ キョウミナイヨ。シィハ ギコクンガ スキナノ」

びぶ条博士の手術で、しぃは不死身の体となった。
びぶ条博士は、ジェノ場細胞がどうとか難しい話をしぃに聞かせたが、しぃにはマッタク理解できなかった。
しぃは、こうして不死身の体を手に入れたが、体調が整うまで、屋敷の地下室に閉じこめられた。
「ナニスルノヨォ!! シィガ カワイイカラ ジブンヒトリノ モノニ シヨウト シテルノネ!?
 ココカラ ダシナサイヨ。ヘンタイハゲオヤジ!!」
「うるさいぞ小娘が。手術をしたばかりだから、体調を整えなくてはならないと、何度言ったらわかるんだ」
びぶ条博士は立ち去ろうとした。
「マ、マッテ。ヒトリニ シナイデ。シィハ サビシイト シンジャウノ!!」
びぶ条博士は、クワックワックワと笑うと、しぃに言った。
「なら、そこの棺桶の中の香具師らに、ダッコでもねだればイイだろう」
地下室には、無数の棺桶が無造作に置かれていた。
びぶ条博士は、地下室のドアを閉め、外側から鍵をかけた。

421 名前: ナヒャ(yWVxXezQ) 投稿日: 2003/02/20(木) 00:24 [ LuJUMkW2 ]
2/4
取り残されたしぃは、恐る恐る蓋の開いている棺桶をのぞき込む。
中には、白骨化した死体があった。
「ハニャ? コレ イヌノ エサダネ」
しぃは、死者の骨を手に取った。
「シィハ コンナノ タベラレナイヨ」
そう言うと、飼い犬に取ってこさせるように、骨を投げた。
骨はカツーンと澄んだ音をたてて、別の棺桶に当たった。
と、その棺桶から声が聞こえてきた。
「私ノ 眠リヲ サマスノハ……」
「ハ、ハニャ?」
「誰ダッ!?」
誰だと叫ぶ声と共に、棺桶の蓋が勢い良く吹っ飛び、
「シィィィ!! イッターイ!!」
しぃの顔面を直撃した。
不死身になったはずなのに、しぃは泣き叫んだ。
棺桶から現れたのは、赤い布を頭にまき、赤いマントをつけたでぃだった。
でぃは、しぃが泣いているのを見ると、しぃのそばに駆け寄った。
「アウ……スマソ。蓋、当タタノカ?」
しぃは、そのでぃに言った。
「キガルニ ハナシカケルンジャナイワヨ!!
 ナニヨ アナタ! ヘーンナ カッコ。オマケニ カビクサイシ」
「私ノ 名前ハ でぃンセント……ダタ気ガ スル」
しぃはでぃンセントを無視して、ドアの方にダッシュした。
「ハニャーン。ココカラ ダシテヨォ!! ヘンナ キモイ ディガ イルノ!!」
「ア……ココカラ 出タイノナラ、私 出セル」
そう言うと、でぃンセントはドアのサムターンを回して鍵開けをした。
ドアはいとも簡単に開いた。しぃはポカーンと突っ立っていた。
「……出ナイノカ? ソレトモ サムターン回シ ヨリ、ピッキングノ 方ガ ヨカタノカ?」
「アナタ イガイト ベンリネ」
でぃンセントは、自分の左手のガントレットを見つめた。
「ウ……ァ。私ノ 左手ハ 十得ナイフニ ナテル。コルク抜キモ 爪切リモ ツイテイル」
「フーン。ツイテキナサイヨ。ドウグノ カワリニ チョウドイイワ」
そうして、二人はびぶ条博士のスキをつき、屋敷から抜け出した。

422 名前: ナヒャ(yWVxXezQ) 投稿日: 2003/02/20(木) 00:25 [ LuJUMkW2 ]
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道すがら、しぃはでぃンセントに自慢した。
「アノネ、シィハ フジミ ナノヨ。スゴイデショ。モララーモ コワクナイシ、クックルニモ カテルンダヨ!」
「マサカ……ジェノ場細胞……? アウアウァ……私ノ 罪 マタ増エタ」
しぃは、口をへの字に曲げた。
「ジェノバ? ツミ? バッカジャナイノ、シィノ コト スゴイッテ イッテヨ!!」
しぃがヒステリーを起こし、でぃンセントの頭の布を引ったくった時、道の向こうからモララーがやって来た。
でぃンセントは普通にモララーとすれ違った。
が、しぃはモララーに淡を吐きつけた。
「ヘヘン。フジミノ シィダヨ。カカッテキナサイ」
怒ったモララーが、しぃの腕を掴み、顔を平手でぶった。
「シィィィッ!? イタイ イタイ!! フジミニ ナッテナイヨォ!!
 ゴカイナノ モララーサン。アノ ディガ シィヲ オドシテ タンヲ カケサセタノ!!」
モララーは掴んでいたしぃの腕を放すと、でぃンセントの襟首を鷲掴みにした。
「ほんとは、でぃって嫌いじゃないけど……。淡をかけさせたなら、話は別だからな」
モララーは、でぃンセントの体を地面に叩き付けた。
無防備な、でぃンセントの腹に足を乗せ、少しずつ体重をかけていく。
「キィィィィッ!!」
「まぁ、このへんで勘弁してやるからな」
モララーは、でぃンセントに唾を吐きかけ去っていった。
しぃは、なかなか起きあがらないでぃンセントを足で思いっきり蹴飛ばした。
でぃンセントの体が震え、起きあがると激しく嘔吐した。
おそらく、腹に体重を乗せられたためだろう。
でぃンセントは屈んで、水っぽいオレンジ色の吐瀉物を地面にぶちまけた。
しぃは鼻をつまみ眉間にシワをよせて、でぃンセントを見ていた。
額からは汗が滴り、頬は苦しみで赤くなっていた。
「キィィ……。ゲホッ!グァウ……ガハッ」
「キッタナーイ。クサイシ。モウ サイテイ、ナニ ゲロッテンノヨ、ダサイワネ。
 ホォウラ、シィヲ ミテヨ。アナタト チガッテ カッコイイシ カワイインダカラ。ウンドウ ダッテ デキルンダヨ」
しぃは、嘔吐しているでぃンセントを尻目に、バック転をしようとした。
もちろん、しぃはさほど運動神経は良くなかった。
頭を地面から出っ張った石にぶつけ、しぃはそのまま二度と起きあがらなかった。
吐き気のおさまったでぃンセントが声をかけても、しぃは反応しなかった。

不死身になっても、強くなるわけではないし、痛みも感じる。
肉体が滅んでも、意識のみが永遠に彷徨い続ける。
それが、びぶ条博士がしぃに言った不死身のことだった。
しぃは、もう動くこともしゃべることもできなかったが、意識だけはハッキリとしていた。
でぃンセントは、倒れたしぃのかたわらにちょこんと座り込んだ。
いつか、自分が倒れた時には意識を持ったまましぃと同じ運命をたどるのだろう。
それをシッカリと見定めるために、でぃンセントはしぃを見ていた。

423 名前: ナヒャ(yWVxXezQ) 投稿日: 2003/02/20(木) 00:25 [ LuJUMkW2 ]
4/4
まず、しぃの体からダニ達が這い出してきた。
しぃの体からは、わずかにガスの臭いが漂ってくる。
(ナンナノ? シィハ フジミナンダヨ!?)

蝿が、しぃの目元や口元に集り始めた。
払いのけようにも、しぃの手は動かなかった。が、蝿に肉を喰われ、卵を産み付けられる痛みだけは伝わってくる。
でぃンセントは、しぃから少し離れた。しぃを食べに、スズメバチが飛んできたからだ。
スズメバチの強靱な顎が、しぃの肉を噛みちぎる。
(イタイヨォ。シィハ ムシ キライダヨォ)

2週間もすれば、しぃの体は膨らんできた。
そして、ウジ虫がしぃの毛皮を食い破ってしぃの体を覆い尽くした。
しぃの内臓は柔らかく腐り、ウジ虫の良いゴチソウとなった。
腐臭が辺りに漂い、鼻が曲がるほどだった。
でぃンセントは、跳ね回るウジ虫を泉のように澄んだ目で見つめていた。
(シィノ カラダ、カユイヨォ!! キモイ ムシガ イッパイダヨォ!!)

しぃの体は、無惨に食い荒らされた。
骨が見えるまでに、肉も毛皮もなくなった。
時々、ウジ虫を食べに動物がやって来た。
でぃンセントは赤く染まったその両目で、その光景を静かに眺めていた。
(ムシガ ヘッテ ヨカッタ。デモ ホネニ カゼガ アタッテ サムイヨォ……)

2ヶ月たった。ウジ虫はサナギとなり、しぃの毛皮は地面に広がり、骨はむき出しになった。
腐りきってしまったので、もう腐臭はしなくなっていた。
残った骨も、いずれはバクテリアに分解されていくのであろう。
でぃンセントは、しぃの体を一瞥した。
そして、しぃの体は土となり草木を育て、生き物を育んでいくことだろう。
どこまで意識が残るのかは分からないが、いずれにせよ、かなりの苦しみを味わうことになるだろう。
でぃンセントは、その場を後にした。
しぃの墓標代わりに、一本の木の苗を植えて。

 完

昔、従兄がやってたFF7で、ビンセントを見ました。
見た目と一人称の私で、勝手に女だと思ってハァハァしました。
男だと従兄に言われて、鬱になりました。