87 名前: ナヒャ(yWVxXezQ) 投稿日: 2003/03/29(土) 16:21 [ .socj8mo ] 1/2 ここは、虐殺会社。殺し屋のような物だ。 依頼されたターゲットを無惨に殺す、即死なんて許されない。 今回の獲物は、モララーだ。依頼主はちびギコ。友人を殺したモララーに復讐したいらしい。 虐殺者を虐殺するのか、皮肉な物だ。俺もいつか、恨みを買って殺されるのだろうか。 俺もモララー族の虐殺者だからな。 「アイツは、チビタンの目の前でフサタンを殺したんデチ」 俺はタバコをふかしながら、ちびギコの話を聞き流していた。 「全身の毛を肉ごとむしり取り、血塗れのフサタンに糞尿をすりこんだんデチ」 俺はタバコの煙を吐き出しながら、答える。 「ま、よくあることだな。で、どうやって、そのモララーを殺す? モララー殺しは珍しいからな」 話の途中にも関わらず、ちびギコが重たい声で言った。 「そう、よくあることデチ。ちびギコはいつも死と隣り合わせ。 一方、モララーやモナーなんて、平和の恩恵を独り占めしたように幸せで。不公平デチ」 「そんなこと、俺に言われてもね。で、そのモララーをどうやって殺したいんだ?」 「とにかく、出来るだけ苦しませて殺してほしいデチ。 フサタンが、想像を絶するような苦しみを味わって死んでいったように」 灰皿にタバコをグリグリと押しつけながら、俺が答える。 「分かった」 88 名前: ナヒャ(yWVxXezQ) 投稿日: 2003/03/29(土) 16:22 [ .socj8mo ] 2/2 さて、上手いこと獲物を捕まえた。縄で縛った獲物を俺の地下室に連れ込む。地下室には、ちびギコもいる。 「いいか。その目でシッカリと見ていろ。惨たらしく殺してやるからな」 ちびギコは無言で頷いた。俺は気絶している獲物をうつ伏せに押さえ付ける。 革手袋を付けた手で、獲物の舌を引っぱり出す。獲物が目を覚ます。 獲物の抵抗。体をくねらせ、舌をガムシャラに動かす。そんなことをしても、俺に敵うわけはないのだが。 舌を押さえ付け、錐で穴を開ける。獲物のモララーが、痛みに体を跳ねさせる。 「動くと、よけい痛くなるからな」 ちびギコは、自分が頼んだにも関わらず、血塗れのモララーから目をそらしてしまった。血の臭いが狭い地下室に充満する。 フサギコの毛から作った縄を手に取り、穴に通そうとする。 獲物は必死に暴れている。白目をむきながら、体を激しく動かし、口から血をまき散らしている。 俺の手に噛みつこうとするが、革の手袋をしているので痛みはあまり感じない。 穴に縄を通し終わると、天井から下がっている鎖に縄を結びつける。 丁度、普通に立っている状態で、縄が少したるむくらいの位置に鎖を垂らす。 「さて、楽しみはこれからだ。あ、このちびギコは、お前が殺したちびフサの友人だそうだ」 モララーは憎しみを凝縮した瞳で、ちびギコを見た。眉間のシワが深くなる。 俺は、天井の鎖を巻き上げた。獲物の舌の縄が引っ張られる。 「顎を上げないと、縄が引っ張られるぞ。顎を精一杯上げろ」 獲物は顎を上げた。首が痛いのだろうか、かすかに首が痙攣している。 「さて、これはどうかな」 鎖はさらに巻き上げられた。獲物が叫び声を上げる。ちびギコは目をつぶり、耳もふさいだ。 「バカ。叫ぶと舌が動いて、よけいに痛みが増すぞ。ほら、今度は爪先立ちだ」 バレリーナのように、爪先で立たせる。獲物はバレリーナではないから、かなり辛い体勢のはずだ。 獲物の脚が震えている。バランスを崩し、普通に立ってしまった。舌の縄がグインッと引っ張られる。 「グギャァァッ! ウゲウッグッアァァァッ!!」 「だぁかぁらぁ、叫ぶと痛いんだってば。鼻を使ってすすり泣けば、少しは楽になるだろう」 獲物は、何度も爪先立ちをした。そして何度もバランスを崩し、舌の縄が引っ張られた。 すすり泣く獲物。無様だな。これまでに何回も虐殺を繰り返してきたのにな。虐殺回数は、俺よりも少ないだろうが。 「満足か」 俺はちびギコの方に振り返った。あーあ、吐いてやがる。まぁ、無理もないか。 ちびギコは、口の周りの吐瀉物をぬぐうと、悲しそうに笑った。 「これで、フサタンの恨みも晴らせたデチ」 「虐殺する者が、虐殺されたか。俺もいつかは殺されるんだろうな」 ちびギコが首を振った。 「そんなことないデチ! これは悪い虐殺じゃないデチから」 俺はタバコに火を付ける。 「虐殺は、どんな理由があろうとも悪だ。虐殺の対象になりやすいちびギコなら分かるだろ」 タバコの灰が、地下室の湿った床に落ちた。 完