643 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/12/09(金) 19:19:11 [ QIWcwkt. ] 「~~、~~~♪ 」 あるギコが鼻歌交じりに街を歩いている。最近人気の可愛い女の子が率いるとあるバンドの曲だった。 このギコはギコには少し珍しい、俗に言う“雌ギコ”だった。これからギコと同じく、少し珍しい“雄しぃ”とのデートだった。 ギコはふと思い出したように腕時計で時刻を確認する。 (一時十分か。いくらなんでも早く来すぎたかな?待ち合わせ場所に着くのは多分五分後ぐらいだから…、十五分も待つのか) ため息を吐きながら、ギコはしぃとのこの前の約束の事を考える。 一週間前、同じ時刻にギコとしぃは出会う約束をしていたのだが、忘れてしまってしぃをほったらかして友人と遊びまわっていた。夕方、偶然待ち合わせの場所を友人と通ると、「あ、ギコ君」しぃが居た。話によるとしぃはギコをずっと待っていたらしい。もちろんギコは嬉しかった。しぃがこんなにも自分を思っていてくれているとは思っていなかったからだ。が、「阿呆か。普通帰るだろ。しぃもある意味アフォしぃだなw 」思っていた事と全然関係無い言葉が口から漏れた。しぃはその後「ハハハ、そうかも」と言っていたし、別に気にしている様子も無いが、やはりギコは思う。 (今日、謝らなきゃなあ…) しばらく歩いていると、半角の耳障りな声が聞こえてきた。 「……」 関わらないように静かに歩くように勤めたが無駄だった。 「ギコクゥーーーン ダッコ♪ 」 本物の“アフォしぃ”が何処からかギコの前に飛び込んできた。 「…、一応確認するけど、俺、め―――」 「ダッコ!! コウビデモイイヨ。 ハヤク シィト マターリシヨ♪ 」 これで確認する必要は無くなった。このアフォしぃもギコを雄だと思い込んでいるのだ。 元々雌ギコは少ないし、アフォしぃがそんな事を理解するのは到底無理だ。 「ハヤク シナサイヨ! シィヲ ダッコシナイノハ ギャクサツチュウナンダヨ! 」 「虐殺厨でも何でも良いし、俺雌だし」 「ハニャ!? 」 アフォしぃはギコを舐めるように見る。そしてしばらく考えて、結論を出した。 「メスノ ギコクン ナンテ ギコクン ジャナイワ! ギャクサツチュウヨ! 」 「だから、虐殺厨でも何でも良いって。俺急いでるからさっさと行かせて」 「ギャクサツチュウノ クセニ シィチャンニ イケン スルキ? コノ マナイタガ! 」 「まな板? 」 今度はギコが考える番だった。元々ギコはその言葉の意味を知っていたのかもしれない。考えるというよりもそれを認めるのにかなり時間を要した。 「ま、まさかまな板って…」 「マナイタ! コノ マナイタ! ムネナシ! マギラワシイノヨ! マァ ショセン ギコクンノニセモノダシ シカタナイカナ? カワイソウニ。 シィチャンミタイニ カワイクウマレレバ ヨカッタノニネ。 ホラ ダッコ! アンタデ ガマンシテ アゲル」 644 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/12/09(金) 19:22:41 [ QIWcwkt. ] 「あんた、人が気にしている事を、よくも―――!」 「ドウデモイイカラ サッサト ダッ、 シィィィィィィィィィィ!? 」 しぃが悲鳴をあげるのとほぼ同時にギコの体が返り血で汚れた。彼女の手には血塗れの耳があった。 「シィノ カワイイ ミミガ! ミミガアァァ!」 「喧しい! 」 「シィィィィィィィィィィィィィ!! 」 今度は左腕に手をかけた。しかし彼女は普段から虐殺をしている訳では無い。捥ぐのに時間が掛かり、余計しぃを苦しめた。 「イヤアァァァ! シィノオテテガ! 」 「だから喧しいって言ってるでしょ! 」 捥いだ腕を勢い良く口に突っ込んだ。 「ンー! ンーンーンー!」 しぃが何かを必死に伝えようとしているが、ギコには伝わらなかった。 一息ついてギコは時計を見る。 「!? もうこんな時間! 」 針は二時を指していた。約束の時間を三十分も過ぎていた。 「しぃ…、悪い…」 「ん? 」 後から返事が聞こえた。ギコは物凄い勢いで後を向く。 「しぃ…! 何で此処に? 」 「さあ。」 しぃは笑いながら首を傾げた。 「で、どうするの? アレ」 しぃは未だにンー、ンー、騒いでるアフォしぃを指差す。 「え…と、許せないけど、しぃをこれ以上待たせる訳には…」 「じゃあ僕が殺せば良いね」 しぃは楽しそうに笑いながら、アフォしぃの傍まで行って視線を合わせる為にしゃがんだ。 「ンー、ンー! 」 「はいはい。何? 」 しぃは丁寧にアフォしぃの口から腕を取り出す。アフォしぃはそれを待っていたかのように、 「キイテヨ! アノニセギコクンガ シィヲイジメルノ! カタキヲ ウッテキテ! ギャクサツチュウヲ アボーンシテ マターリヨ! サア ハヤク!! 」 「言い残す事はそれだけかい? 」 「ハニャ? 」 しぃはアフォしぃの頭に手を乗せる。そのまま力を入れて、しぃを簡単に潰してしまった。 「成功、成功。 半角の叫び声はどうも苦手で…」 返り血だらけの手を振りながら、しぃはギコに笑いかける。 「お前…、本当にアフォだな」 「わあ、また言われちゃった」 「でも」 「でも? 」 「こういうアフォしぃは結構いいかもな」 「ハハハ」 しぃは調子に乗ってギコを抱きしめようとする。ギコはそれをなんとか制した。 「抱っこ」 「やだ」 「じゃあ交尾」 「一回死んで来い」 ぎゃあぎゃあ騒ぎながら二人は仲良く歩いてゆく。 二人がやったアフォしぃの虐殺した後を見たとあるモララーが「なんだかもったいないな」と呟いた事を二人が知る事は無いだろう。 完