Azrail_If_604

Last-modified: 2007-11-09 (金) 21:57:58

「生体CPU計画?」
「ハッ、簡単に言いますと、ナチュラルにコーディネータ並みの反射神経や機動兵器の操縦技術を付与させる計画です。」
「ふーん、つまりは目には目を、歯には歯をってわけかい?」
「そういうことになります。」
「馬鹿馬鹿しい。」
「とおっしゃいますと?」
「そんなことをしなくても、単純なマンパワーではうちが連中を圧倒しているし、
生産力も効率面では向こうが上かもしれないが、総合的にはこちらもうちと連中の差は隔絶している。
そもそも連中が反乱を起したところで、奴らの民兵上がりの軍では世界樹や月に駐留している各国の宇宙軍にかなうはずもないじゃないか。」
「確かにその通りです、正攻法では我々に一矢報いることすらできないことぐらいのことは連中も承知しているかと。」
「・・・・サザーランド大佐、もったいぶらずに話してくれたまえ。」
「はい、ではこちらの写真をご覧下さい。」
「MSじゃないか。連中の作業用機械だろ?それとも他に意味があるのかい?」
「はい、実はザフトはこのMSを作業機械ではなくて、軍事兵器として活用使用としているとの報告が入っています。」
「作業機械で、戦争?あっはっはっは、あいつ等、自分たちが優秀と思いこみすぎて、とうとう頭にきたのか。」
アズラエルはそう笑いつつも、一筋の不安がよぎる。もしも、このMSが作業機械というふれこみで作られた純粋な軍事兵器だったら?
旧世紀のWW2の前、ドイツが戦車や爆撃機をトラクターや旅客機と偽って量産配備していた故事もある。
もしもこの人型の作業機械が道の可能性を秘めており、既存の兵器と五分以上に渡れる可能性を秘めているのだとしたら?
連中はその可能性にかけ、技術的な習熟を促すために作業機械として大量生産配備をおこなっているのだとしたら?
ふと、サザーランドの方を見ると、かれも真剣な目をし、笑い飛ばそうとするアズラエルに何か言い足そうな顔をしている。
「サザーランド大佐、君はこの作業機械が、宇宙軍のメビウスを圧倒する兵器だとおもうのかい?」
「そこまでは。ただ、連中は馬鹿ですが決して侮れる馬鹿ではありません。警戒していてそんではないかと。」
「なるほど。これまで、君の判断はそう間違ったことはなかった。僕自身も先ほどは笑い飛ばそうとしたが、心配になってきた。
君はどうすればいいと思う?」
「とりあえずアズラエルさま。大西洋連邦軍統合参謀本部内に、このMs対策の戦術研究チームを設置するべきでしょう。
ですので、アズラエルさまにはそのための根回しを要路に働きかけて頂きたいと。」
「こっちでも独自のMSの開発はしなくてもいいのかい?」
「はい、実際、連中がそれを自分たちの切り札として使うかどうかも未定なわけですし、今は現行兵器での対策が大事かと。」
「ふむ・・・・・・いや、それでは手遅れになる可能性もある。特にMSなんてのは地球のどの国もほとんど手をつけていない分野だからね。
とりあえずは、国防委員会や国防産業委員会に提議して、こちらも特設の研究会を作るべきだな。
できれば開発そのものもおこないたいが、そこまでは無理でしょうが。一応、地球でMSに携わってるところのとのコンタクトはしておくけどね。」
「アズラエルさま、そこでなのですが。」
「ん?なんだい?」
「MSは、操作がひどく面倒だと言います。これはハード的な面よりもソフトの面ですが。」
「もともとコーディネーター用のものだからソフト開発がコーディネーター用。ナチュラルでは対応しきれないってことかい?」
「はい、簡単に言うとそうなります。ですので、MSの独自開発にしろ、MSの対策の戦術研究にしろMSを操縦できる人間が大量に必要になります。」
「・・・・・なるほど。つまり、そのために最初に言っていた生体CPU計画を採用したいと?
なるほどね。君が、話が逸れていってもまったく指摘しないと思っていたらそういうことだったのか。
あ、それに、さっき君がMSの対応策を、現行兵器での戦術のみといったのは、僕に『Msの独自開発をすべき』と言わせるためだったんだね。
これは一本取られたかな。」
「恐れ入ります。」
「まったく、君にはかなわないなぁ。わかった、政府関係者、軍上層部には僕の方で根回しをしておく。君は実務面での手続きを頼んだよ。」
「了解いたしました。」

時にCE.78年7月、開戦まで後・・・7ヶ月。