MONSTER_HUNTER_SEED_DESTINY_G-00

Last-modified: 2011-12-14 (水) 12:30:56
 

ユクモ村

 

「あら、ワタルさん。今日はどちらへ?」
「こんちは、村長。ジンオウSシリーズが揃ったんで腕鳴らしにナルガの亜種でも狩ろうかと」
「ワタルさんが来てからはこの村はいつも平和です。感謝しています。でも、よく狩れますね・・・」
「この前ので百を超えたかな?碧玉がでないのなんの・・・」
「そういって、本当はあの子と闘うのが楽しいのでしょう?」
「ははは、さすがにバレバレか・・・」
ワタル。かつて、雷狼竜ジンオウガ撃退のためにこの村に来たハンターで見事撃退に成功した。
だが、彼はジンオウガとの闘いに心の内から湧き上がる高揚感に魅入られ、自ら進んでジンオウガ関連の依頼を受けては闘い続けた。そのためか「雷狼殺しのワタル」の異名をとるようになった。そのおかげかこの所、
周辺の村々でもジンオウガによる被害が減り、人里に出てくる事も少なくなったという。
「ただ、いつも帰ってくるたびに傷が痛々しくて直視できませんよ。」
「な~に。あいつと闘ったという証拠が体全身に染み込んでいますよ。それが俺が生きているという証になる」
そう、いつも余裕で勝てているわけではない。闘うたびに傷が残り、鎧で外見では見えないが全身に無数の生々しい傷跡が残っている。その度に村長や村人達、アイルー達にも心配をかけている。
・・・当の本人はあまり気にはしてないが。
「さて、カイトとスコットがそろそろ来るころなんだが・・・」
「旦那~!」
「大変ニャ!大変ニャ!」
修理・改造を済ませた王牙刀【伏雷】を背負って走ってきたのはワタルがこの村に来てからのパートナーで、
20近くいるオトモアイルー達の頭領でもある古参、カイトとスコットである。
(装備はもちろんジンオウSシリーズ)何やら相当慌てているようだが、息の荒いままワタルに武器を渡した。
「なんだ?そこまで慌てて、どうした?」
「はぁはぁ、ニャン次郎から旦那がこれから行く所で女の子がナルガ亜種に襲われているのを見たから急いでほしいとの事ニャ!」
「!!」
「見たのが10分近く前らしいニャ!急がないとマズイニャ!」
「当たり前だ!!亜種のスピードは通常種とは桁違いだ!それにあの体色だと森の中なら見えないのと同義語だ!!」

 

渓流・とある巨木付近

 

「こわい・・・こわい・・・」
巨木の隙間に隠れる少女、金色の髪でこの辺りでは見かけないボロボロの戦闘服のようなものを着ている。その眼の色は恐怖に染まっている。体全身は震え、傷だらけだった。
「やだ・・・死にたくない・・・ステラ、死にたくない!!」
だが、ここ数分は物静かだ。緑色の獣みたいな化け物が消えたとステラは思った。
「・・・帰ったのかな?」
一安心し、呼吸を整え、巨木の隙間から出た次の瞬間、
「シャアアアアアアアアアア」
「きゃあああああああああ!!!」
巨木の上に待っていたとのばかりに緑迅竜ナルガクルガ亜種が声高らかに叫び、逃げようとしたステラの前に飛び降り、立ち塞がった。
「あ・・・ああああ」
もうステラの頭の中は混乱していた。彼女はベルリンで生体CPUとしてデストロイガンダムを駆り、ミネルバ隊との激戦の中で乱入したフリーダムガンダムに撃破され、愛するシン・アスカの腕で海に葬られたはずだった。だが、目覚めると河の近くに倒れててナルガ亜種に襲われる羽目になった。ここは天国なのか地獄なのか。もう何がなんだか分からくなっていた。
「い、いやああああああああああああ!!」
この叫びがもうあきらめたのかと判断させたのか、ナルガ亜種は自慢の尾でとどめを刺そうとしたその時、
「ちえええええすとおおおおおおおお!!!!」
「キシャアアアアアアアア!?!?!?」
奇声と共にハンター4人がかりでも破壊が困難な硬い尾の先端が宙を舞い、ナルガ亜種は突然の激痛に耐えきれず、転倒し悶絶していた。
「だ、旦那!こ、これはチートてやつニャか!?」
「ナルガの尾がこうも簡単に・・・」
「おお、さすがにジエンとイビルの龍玉を混ぜ合わせた事はある」
「「えっ?」」
「んなことより、シビレ罠の準備!早いとこあの子を保護せんと!」
「「は、はいニャ!!」」
テキパキとアイルー達が罠の準備に急ぐ中、ワタルはナルガ亜種をステラから離すように挑発していた。
「ほいほい、緑蝙蝠!とっときんしゃい!」
挑発の性か、一瞬で尾を斬られた怒りか、ナルガ亜種は目の敵のようにワタルにターゲットを絞った。
「シャアアアアアア!!」
「ようし、そのままそのまま・・・」
太刀をズルズルと引きずったまま、罠の近くに寄った瞬間!
「シャアアアアアアアアアアア!!!」
ナルガ亜種が高く飛び上がり、刃翼でワタルを切り裂かんとした!
「「旦那!間に合ったニャ!!」」
「よし!総員散開!!」
ワタル、アイルー共々緊急回避し、ナルガ亜種は見事に罠にはまった。ワタルは急いで麻酔玉を投げつけ、ナルガ亜種は眠りについた。
「ふぅ・・・」
「ま、間に合ったニャ~」
「結構ギリギリだったニャ~」
「あとはギルドの輸送担当に任せるとして・・・あの子は?」
「あそこで寝ちゃっているニャ」
危機が去って安心したのだろう、ステラはすっかり夢の中だ。
「・・・この服は・・・」
「旦那、この子知っているのかニャ?」
「・・・前に話したよな、例の事」
「ま、まさかニャ・・・」
「おそらく、十中八九間違えないだろうな・・・」

 

ユクモ村・集会浴場ギルド出張所

 

「・・・それはホントかね?」
「俺の経験上間違いない・・・」
いつもはほろ酔い気分のギルドマネージャーも酔いが覚め、真顔でワタルの話を聞いていた。
「村長にも言っておいたが、これは俺と同じケースの可能性が高い、用心にこした事はない」
「ふむ・・・ではまた「放浪者」が来ると」
「・・・・・・・・・」
ワタルは静かにだが力強くうなずいた。
「・・・分かった。ではチミの資料を元に本部に申告書と要望書を送ろう。後、この事は出来るだけ内密にな」
「承知。ではあの子は俺が預かります。」
「うむ、そうした方があの子のためにもなる・・・」
ワタルはマネージャーに一礼するときびすを返し、マイハウスに戻った。

 
 

それから数週間後、予測通りに「放浪者」が流れ着く・・・

 

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