~これまでの経緯~
色々あって、アメノミハシラに呼び出されたよ!
依頼があるからとアメノミハシラに呼び出されたシン。
シンが客室に案内され、30分程待たされ、痺れを切れ始めた頃。人形の様な、能面のような表情の男、ソキウスは現われた。
「……こちらです」
案内された先は執務室。
部屋の前まで来るとソキウスは自分の役目は終わったと言わんばかりに去っていった。
「……ようやくか」
唾を飲み込み、喉を潤わせる。
シンはロンド・ミナ・サハクという人間に興味があった。
かつて憎しみを抱いていたアスハと違うオーブの五大氏族。
似た生まれながらアスハと違う道を行くひと。
一度会って話してみたかったのだ。
聞いた話ではロンド・ミナ・サハクは190cm越えの大女で、あのサーペントテールの劾を片手で持ち上げ倒したらしい。
最も、本人は黙して語らないが、それが逆に噂の信憑性を高めていた。
「失礼します」
両手を強く握り締め、開いた扉の中へと入る。
部屋の中、その正面には、執務用の机であろう大きな机と、高そうな椅子が鎮座していた。
「呼び出しておいて待たせてすまない、プラントとの折衝が長引いてしまったものでな」
「?」
机がある、椅子もある、声もする、なのに姿が見えない。
一瞬自分の頭か、目がおかしくなった物かと自問するがそんな訳はない。
……ならば答えは?
簡単だ、舐められてるか、馬鹿にされているか、虚仮にされているのだ。
「……薄汚い傭兵には姿を見せる必要さえないってか?」
体が熱を帯びる、怒りが憎悪が体を支配する。
「何を言っている?」
その声は明らかに困惑していた。
天空の宣言とかご大層なことを言って置いていて、その本質はアスハと何ら変わらないのだ。
「わざわざ人を呼びつけて……、五大氏族って奴は大層偉いのかよ、人を見下すのは五大氏族のお家芸だなッ!」
「貴様、何言っているか分かっているのか?」
声から感じられるほどの怒り、だがシンに後悔は無い、だが姿の見えない相手に空き放題言われるのは腹がたった。
「だったら姿を見せたらどうだ?……それとも姿を見せられないほど不細工なのか?」
今のシンにいえる精一杯の皮肉を込める。
「…………えっと、馬鹿なの? さっきからずっといるよ?」
馬鹿にしている様な、哀れんでいるような、心配しているような、ぶっちゃけて言えば可哀相な人を見たときの言い方。
「だ、だからどこにいるんだよ!」
そんな言い方をされ、一寸だけ動揺したシンは声を上げる。
「上、うえじゃなくて、しただよ、しーた!」
「下?(ってか声が変わってないか?)」
ふと視線を下に向けると確かにいた、身長120cmほどの幼女が。
「ここにいるでしょ!」
人形のような長い黒髪、黒いコートのような外套を引きずり、手足をバタつかせ必死に自分がいることをアピールしている。
シンの身長が168cmはっきり言えば小さい。 それはシンも自覚していて、結構気にしている。
知り合いに何で両親は身長もコーディネートしてくれなかったのかと愚痴るほどに。
だが目の前の幼女?は更に……
「ちっ……」
「ち?」
みなは小動物のように首を傾げる。 正直可愛らしい事この上ない。
「………………小せえ!?」
思わず思っていた事を口に出し、みなを指差した。
「ちっ、ちっちゃいっていうなーーー!」
小さいという言葉を聞いた瞬間、みなは顔を真っ赤にして、怒り出し、男のウィークポイント、ポイントK、股間または金的を蹴り上げた。
「どぅぶれぁ!」
(……そうか、劾もこれで)
劾が決して他人にアメノミハシラでの出来事を話さない理由を悟り、股間にどこか懐かしい痛みを覚えつつ、シンはその意識を手放した。