| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 彼女が……大預言者クズノハ? |
| ユカリ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| なんだか不思議な場所ですの……それに、こんなに可憐な方がクズノハ様だったのですね……。 |
| クズノハ |
| ふふ、驚くのも無理はないのう。 |
| クズノハ |
| 百花繚乱の初代委員長として、戦術にも精通しておるからのう。これほど才色を兼ね備えている者は、長き百鬼夜行の歴史においてもそうはいないじゃろうて。 |
| [s1] "君が……クズノハ?"[s2] "ちょっと、雰囲気がナグサに似てるね。" |
| クズノハ |
| ほう?悪い気はせぬが、順序が逆というものじゃな。 |
| クズノハ |
| 妾がナグサに似ているのではない。ナグサが妾に似ているのじゃ。 |
| クズノハ |
| こう見えても、数百年以上生きておるからの。 |
| クズノハ |
| ふむ、其方がシャーレの先生か。 |
| クズノハ |
| 積もる話は沢山あるのじゃが……。 |
| クズノハ |
| 遅いわ! |
| クズノハ |
| いつ便りを送ったと思うておる。 |
| クズノハ |
| それとも……妾のような存在にとって、時の流れは他と違うとでも? |
| [s3] "わ、わざと遅れたんじゃないよ!"[s4] "色々あって……ごめんなさい……。" |
| クズノハ |
| ふむ……まあよい。 |
| クズノハ |
| 「助けたい者がいるのなら」と言ったのは妾じゃからな。其方を待つ生徒が沢山いることも、知っておる。 |
| クズノハ |
| それに……どうやら答えは出せたようじゃからのう? |
| [s] "クズノハ、私は――" |
| シュロ 花鳥風月部 |
| はぁい、挨拶はそのへんでぇ。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| 手前さん方お忘れなくぅ。ここまで連れてきたのは手前ですよぉ? |
| シュロ 花鳥風月部 |
| 手前はクズノハと怪書の話がしたいのですけど……席を外してもらえますかぁ? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| シュロ……。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| 何ですぅナグサちゃん?睨んだって怖くないですよぉ? |
| シュロ 花鳥風月部 |
| 百蓮のない手前には、何もできないんですからぁ。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| ま、おかげで黄昏の寺院は見つかりましたしぃ?命だけは助けてあげても―― |
| シュロ 花鳥風月部 |
| ぎゃっ……!い、今のは……? |
| クズノハ |
| 童、話の腰を折るでないわ。 |
| クズノハ |
| 下がらんか。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| う、うそだぁ……百蓮もないのに、怪書を無効化するなんて……! |
| クズノハ |
| やれやれ……。 |
| クズノハ |
| そも、百蓮は妾が編み出したもの。あれにできることが、妾にできぬ道理はなかろうて。 |
| クズノハ |
| まったく、鈍い童じゃ。 |
| クズノハ |
| ここは俗世と異なる「黄昏の寺院」。黄昏では何が起こっても不思議ではない……よい勉強になったの。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| う……ううううっ……。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| こ、コクリコ様に言いつけてやるんだからぁっ!! |
| クズノハ |
| ふふ、泣きつきに行くところも、童じゃの。 |
| クズノハ |
| して、後輩よ。なにゆえここを訪れた? |
| クズノハ |
| シャーレの先生を連れてくるだけが目的ではあるまいて? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……。 |
| クズノハ |
| 妾の存在を否定していた其方が、また寺院に顔を出したということは……少しは信じる気になったのかのう? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……うん。私はもう、あなたの存在を否定しないよ。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| あなたが私を百花繚乱を継ぐ者にふさわしいと認めたことで、百蓮を握る資格を得た……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| でも……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……どうしてアヤメじゃなかったの? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 私よりもずっと優秀で、あなたを待ち続けていたのに……アヤメは会えなかった。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| どうしてあなたは、弱くて未熟な私の前に姿を現したの? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| あなたが彼女を認めて、百蓮を持つ資格を授けてたら……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……アヤメも、百花繚乱のみんなも、誰ひとり傷つかなかった。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……全部、変わらずにいられたのに。 |
| クズノハ |
| ――本当に、誰も傷つかないと思っておるのかえ? |
| クズノハ |
| アヤメが妾と出会い、百蓮を扱えていれば……いつまでも幸せな日々が続く、と? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| それは……。 |
| クズノハ |
| 勘違いしておるようじゃが、妾は「黄昏の寺院」に入る者を選んでおらぬ。 |
| クズノハ |
| 黄昏の寺院は、遙か昔に流れ去った過去の残滓。妾の存在にせよ、この景色にせよ、今や記憶する者はほとんどおらぬ。 |
| クズノハ |
| 過去は、影の中に溶けていくものじゃ。 |
| クズノハ |
| ゆえに、過去の光を追う者は、過ぎし影が目に止まらず。 |
| クズノハ |
| 己の闇を直視できぬ者は、他人の灯火となれぬ。 |
| クズノハ |
| じゃが、光を背にし、前に進める者ならば……己の目の前に落ちる影を追うことができる。 |
| クズノハ |
| ……ゆえに、其方は妾とまみえた。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| でも……このままアヤメを放っておけないよ。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 教えて……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| どうすれば、アヤメを「元」に戻せる? |
| クズノハ |
| ……元に、か。 |
| クズノハ |
| 其方の思う「本当のアヤメ」はどんな姿をしておった? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 本当の、アヤメ……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 彼女は……いつも穏やかな日差しのように温かくて、どんな頼みも断らない、完璧な百花繚乱の委員長……。 |
| クズノハ |
| 誠に、それがアヤメの全てだったのかのう。 |
| クズノハ |
| 本当に表も裏も変わらない……透明な人間であったと? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| それは……。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 今日もありがと、ナグサ!良い試合だったよ。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| でも、幸せな夢から覚めたら、現実と向き合わなきゃいけない。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 友達だと思ったことなんて、ない。 |
| クズノハ |
| 世に生きる者はみな、仮面を被っておる。 |
| クズノハ |
| 嫌われたくない、見捨てられたくない――その一心で、周囲が望む形と色をした、仮面を被るのじゃ。 |
| クズノハ |
| これは生きていく上で、当然のこと。 |
| クズノハ |
| じゃが……ぴったりと張りついた仮面の方こそ、素顔と思われている者もおるかもしれぬ。 |
| クズノハ |
| その者が今、どちらなのかを判断できるのは――本人のみ。 |
| クズノハ |
| もう一度聞こう。其方の望む本当のアヤメは、どんな姿じゃ? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 私が望む、アヤメ……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 私には……分からない。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 私はアヤメじゃないから……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| でも……分からなくても、アヤメが私を求めていなくても―― |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| アヤメのそばに、いたい。 |
| クズノハ |
| 一度起きたことは元には戻らぬ。死者が蘇らないのと同じじゃ。変わってしまった存在を元の姿に戻す方法などありはしない。 |
| クズノハ |
| 花はやがて散り、実をつけ……その実は地に落ち腐りゆく。それが世の理……因果なのじゃ。 |
| クズノハ |
| だがそれでも……助けたい者が居ると申すのなら……。 |
| クズノハ |
| ……ふふ。[USERNAME]先生は、もうわかっているようじゃな。 |
| シロコ |
| でも、私はもう大丈夫。 |
| シロコ |
| ……ホシノ先輩が、どうして反転した状態から戻ってこられたのか。 |
| シロコ |
| たぶん、まだ不完全な状態だったからじゃないかと思う。 |
| シロコ |
| それに、先輩は自身の本質の一部を棄てたから…… |
| シロコ |
| ……だから、前に進めたんだと思う。 |
| クズノハ |
| どんな姿の他者も、己も、否定せずに受け入れ、認める。 |
| クズノハ |
| そうして初めて、明日に向かって踏み出せるのじゃ……。 |
| クズノハ |
| 後輩よ、アヤメを助けたいか? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……どんな手を使ってでも。 |
| クズノハ |
| ならば、うたかたの夢に浸かるのを止め、あやつと向き合うことじゃ。 |
| クズノハ |
| 今の彼女……そして、これまでの自分からも目を逸らしてはならない。 |
| クズノハ |
| さすれば黄昏のなか彷徨っている其方の友も……伸ばしたその手も――旅路の中で再会するじゃろう。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| はい終わりですぅ!やめやめぇ! |
| シュロ 花鳥風月部 |
| そんな説教を聞きに来たんじゃないんですよぉ! |
| シュロ 花鳥風月部 |
| 正直に向き合ったら、誰かとわかり合えるなんて、絶対、ぜーったい、嘘……。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| それが誠であるのなら、誰が噂なんて気にするんですかぁ! |
| シュロ 花鳥風月部 |
| 仮面の下で誰もが薄ら笑いを浮かべてるかもって……不安になりながら、こんなにすごいって証明するんですよぉ!じゃないと、見向きもされなくなっちゃいますぅ……! |
| シュロ 花鳥風月部 |
| だから……怪書も取り戻せない手前はぁ……稲生物怪録を失くしたあの時に、もう……。 |
| クズノハ |
| 「稲生物怪録」? |
| クズノハ |
| あのようなものに一体何の意味があるんじゃ?ただのボロボロの本じゃろうて。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| あ、あのようなものですってぇ……? |
| クズノハ |
| せっかく黄昏の寺院まで来たんじゃ。ひとつ、童にも御言葉をくれてやるかの。 |
| クズノハ |
| 本は装丁や表紙だけではない。それに伴う内容があってこそじゃ。 |
| クズノハ |
| 童にはまだ難しいかの……?これがわかった日にはきっと、其方だけの書を手に入れられるはずじゃ。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| そんなの詭弁ですぅ!!! |
| クズノハ |
| 詭弁……?どんな物語も、詭弁を弄するところからじゃよ。 |
| クズノハ |
| その調子では、優秀な語り手になるのはまだ先じゃな。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| うぅぅぅ……。 |
| シュロ 花鳥風月部 |
| 百花繚乱なんて……本当に本当に大っ嫌いですぅ~! |