メレラの日記 (BOOK92)
今回の事件に関連の無さそうな記述を飛ばしながら読み進めると、次のような内容が見つかった。
フレイムルール 7日
カーチェがまた遊びに来てくれた。とても愛らしい子で、しきりに私の動物達とのやりとりのことを聞きたがる。
フレイムルール 12日
森に何かがいるようだ。もう何人もの村人が、正体不明の魔物の犠牲になっている。犯人については様々な憶説が飛び交っている。奇怪なことに、犠牲者の遺体が夜のうちに跡形も無く消え去ってしまうのだ。足跡などの手がかりからして、この近辺に昔から住みついている狼の群れの仕業に思えるのだが、狼が遺体を持ち去るとは到底思えない。
フレイムルール 13日
ただの狼ではなさそうだ。夜の見回りの時に何度か例の群れを見かけ、話しかけようと近寄ってみるのだが、何故か反応がない。まるで何者かに操られているかのようだ。何年か前に群れのリーダー達と話をする機会を得た際には友好的であったはずだが、今や私を避け、時には私の後をつけている様子さえうかがえる。
フレイムルール 21日
まだ正午だというのに、小屋の周囲の森に多数の影が見え隠れしているように思える。動物達はとうに逃げ去り、鳥の鳴き声すらほとんど聞こえない。今日中に狼達のねぐらを探し当ててみるつもりだ。だいたいの位置がわかり、地図も作ってある。彼等の仕業としか思えないのだが、果たしてそうなのだろうか。この群れの動きはまるで、人間並みの知恵をもっているかのようなのだ。
もう一つ気になることがある。ここのところ、頭の中で声が聞こえるのだ。今は起きているのでささやき程度にしか思えないが、夜、眠りについた時はその声が毎晩、夢に出てくるのだ。魔物の一件と関係があるのかはわからないが、今夜日が暮れるまでには事の真相が判明していることだろう。