むかしむかし、大きな猿と10人の嫁がいました。猿たちは、賢い蟹たちによってその居場所を奪われていきました。それでも大きな猿は10人の嫁を守らなくてはいけませんでした。
その猿はさほど賢くはありませんでしたが、努力の末に「4元素説」を発案、研究し、その情報を蟹たちに与えることで収益を得ていました。しかし、蟹たちにとって「4元素説」は単なる娯楽のようなものでした。大きな猿は自分の研究を蟹に笑われていました。大きな猿は気にすることもなく、研究を続けました。
ある時、蟹たちは「4元素説」の娯楽に飽き、情報を買わなくなりました。そして、猿たちは十分な食料を得られず、どんどん衰弱していきました。嫁たちは皆、お腹に赤ちゃんがいます。なので、早急に食料を用意する必要がありました。大きな猿は蟹に食料の援助を求めますが、誰も聞く耳を持ちませんでした。
そこに、おにぎりを持った蟹が現れました。
「これで少しでも助けになれば...」
大きな猿は喜びます。
「本当ですか...!感謝します。しかし俺たちが食べてしまえばそれっきり...ただもらうのは悪いので、こちらの柿の種をどうぞ。私達は育てる体力も残ってはいません。」
蟹は答えます。
「それでは、柿の木は私達が育てます。実が成ったら私達の家へお越しください。一緒に柿を食べましょう。」
「感謝します。」
柿の木が成るまでの間は猿たちは僅かな木の実で飢えをしのぎました。
そして柿の木が成ったとき。
「猿さん!柿が成りましたよ!!」
痩せ細っても相変わらず大きい猿は成っている柿すべてを採ろうと腕いっぱいに柿をあつめました。
そのとき。まだ青い柿のひとつが腕から、木から落ち、親切な蟹に当たり、蟹は潰れて死んでしまいました。
大きな猿はショックと罪悪感でどうにかなってしまいそうでした。蟹の子の悲鳴が聞こえました。でも猿は守るべき家族のため、柿を持ち帰りました。
猿の家族はみな無事でした。猿は心身ともに限界に近い状態だったので、休んでいました。
そして、蟹の子は猿に復讐を誓いました。
蟹の子は、臼を持って猿たちの住む茂みに突っ込んでいき、大きい猿の頭を潰し、その死体を持ち去ってしまいました。
嫁たちは目の前でそれを目撃し、ショックで心を病んでしまいました。
そして蟹の子は自分の住む水場に戻っては、猿を解体し闇市に売って大金を得ました。
それを見られた蟹の子は仲間の蟹に潰され、仲間の蟹は蟹の子が得た大金を猿の家族の住んでいるところに置いておきました。そして、いつの間にか置いてあった大金により猿の家族は生活に困ることはなくなりました。そして猿たちの心は徐々に回復していき、同時に蟹に対して復讐をしようとしました。