Amelia

Last-modified: 2009-07-30 (木) 18:06:06

SD16少女 アメリア

2006年12月24日(日) ドールズ・パーティー16 発売

第一章「カエルの王様 または 鉄のハインリッヒ」
ヤーコプ グリム、ヴィルヘルム グリム 著「グリム童話」より



皆の衆、ようおいでなされた。


今宵は夢夜話にひとつ、わしのとっておきの話をしようかいの。


これを聞いて、つまらぬ争いや心配ごとから一時も早くおのれの心を解放をするのじゃぞ。



それは 昔 むかし、
人々の願い事がまだ本当に叶っていたころの
神秘の物語りじゃ。


それは遥か東方のその向こう、
黒い森のまだその先に
森の民を治めておったある王の、
それはそれは美しい3人の姫君のお話じゃ。


美しい姫君の、その中にあっても
さらに底知れぬほどの美しさを秘めた
末姫のアメリアさまのお話じゃ。


なにしろこの末姫さまの美しさときたら、
太陽でさえ、その光の木漏れ日の中の輝くお姿に、
あわてて隠れてしまうほどのものじゃったそうおな。


そんなある日のこと、お城の中のお庭の泉の側に
姫さまがとおりかかったのじゃ。


そして姫さまがふと水面を覗き込んだそのとき、
なんと大切な「まぁり」をその泉の中に
落としてしまわれたのじゃ。


あまりのことに動転してしまった姫さまは、
大粒の涙をぽろぽろとこぼしながら
その場でただ嘆き悲しんでおったのじゃ。


すると、そこへ突然泉の中からカエルが現れたのじゃ。



唖然と見つめ続ける姫様に向かってそのカエルが
なんと声を出して話かけて来たのじゃ。


「どうなさいましたか?アメリアさま」


なんと、そのカエルは姫様のお名前まで口にするではないか。
あまりのことにアメリアさまは、始め、
これは夢ではないのかとお疑いになったのじゃが、
そこは奇跡の森の中の出来事じゃ、すぐに気を取り直して、
そのカエルにこう話されたのじゃ。


「実は大切なまぁりが泉の中に・・・・・・。」


「なぁ~んだ、そんな事か。なら私が取ってきてあげましょう。」


「え?本当に?」


「はい!でもそれには私の方にも望みがございます。」


「え?どのような?」



「はい、それは私をあなたのお部屋に入れていただいて、
姫様のお皿からあなたの食べ物を
あなたが私に食べさせてくれ、
そしてあなたの寝床にも
一緒に入れてくださるというなら
そのまぁりを拾ってきてさしあげましょう。」


「え?それは・・・・・・。」


またまた、あまりのことに姫様は、もうただ呆然と
立ちすくんでしまうしかなくなってしまったのじゃ。



今夜のところはここまでとしておこうかいの。
このあとはまた夢夜話として
たっぷりと皆の衆にきかせようぞ。



こうして神秘の森の奇跡の物語「カエルのクルト」のお話が始まりました。


美しい姫と、奇妙なカエルの化身。


あなたの心の中に、ほらほらもう「アメリア姫」と「クルト」の姿が見えますよ。


抱きしめてあげたい衝動が創りだす、神秘の物語。
つづきをどうぞお楽しみに。

シリーズ名

同シリーズ

序章「異次元からの小さな訪問者達」

第一章「カエルの王様 または 鉄のハインリッヒ」

第二章「長靴をはいた猫」

第三章「雪白姫」