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メイの過去編です
「え?某国軍事基地跡地が謎の腐食を遂げてる?」
「うん。そこで君に調査を依頼したいのだが…」
ある国の調査科の人物が「彼」…朝水 エルへと話しかける。
「ちょうど新型化学防護服が完成したところだ。性能テストを兼ねていかせてもらうよ」
「ありがとう。…もしモンスター類だったら遠慮なしに討伐して構わない」
「了解。」
-某国軍事基地 跡地―
「ここは昔化学兵器を作っていた工場らしいな…」
そう言いながら、彼はサビまくった工場を見つめる。
「先週までの写真とは大違いだ。もし化学兵器の流出だったら氷漬けにしたあと然るべき処置をするか…」
エルはその錆びた化学兵器工場の先へと進んでいった。
「ん?」
ふと目を横にやると、薄闇の中でモニターが光り輝いていた。
そこには、謎の少女(?)が一人いた。
「君、ここは危険だぞ。早く避難したほうが…」
「…」
エルは少女が弄っているコンピューターの内容を見る。
そこには「Taget:某国」と書かれていた。
「お前!何をしているんだ!今すぐやめろっ!」
エルはその少女に掴みかかった…が…
「うるさい。手を離せ。」
少女はエルを振り払って手袋を脱ぎ捨てると、手を振るった。
その手から遅れて刃状の液体が飛び出す。
「うわっ!?」
エルは素早く飛び退き、液体を躱す。
その刃状の液体は地面に着弾した。
…その後、地面が更に腐食し、砕け散った。
「…酸か!?まさか、急激な腐食とは…」
すると、少女は乾いた笑いを上げたあと
「…ああ、この腐食か。私がやった。ここに置いてある毒を詰められるミサイルを探す際にな」
と言った。
「…なぜこんなことを?」
「復讐だ。…私の人生を破壊した、な」
「なんだと?」
「私の住んでいた町はヤツらに破壊され、その上私は奴らに改造されて毒物を摂取しなくては生きられず、その上手で触れたものを溶かすようにされてしまった。…だからこそ!私は奴らに復讐する権利がある…いや、しなければならない義務がある!人生を無茶苦茶にされたからには相手にも同じ痛みを与えなくては気が収まらない!」
エルは拳を握り締めて、こう言った。
「お前のやることは間違っている!…同じ国の人間だからって、皆殺しにするのは間違いだ!」
「うるさい!見て見ぬふりをした国民どもも同罪だ!」
そう言いながら、彼女は再び手を振るった。
再び毒の刃がエルに迫る。
「…!」
エルは空気中の水を凍らせて多重の防壁を作り、毒を防ぐ。
(…話し合っても無理そうだな…さらに言えば彼女の目とクマ…ならば…)「…疲れるまでかかってこい!」
「お前もやはり奴らに味方するか!ならば死ね!」
彼女の指先から毒液の弾丸が放たれる!
「!」
エルは飛び退くと水の壁を張り、毒弾をブロック。
しかし彼女は飛びかかると、叩き潰すような動きで手を振るう。
「うぉおぉぉぉぉ!」
「っ!」
エルは氷の壁で手をブロックする…が、氷にでかい切り傷が入ってしまった。
(…この鋭さ…防護スーツに当たったら引き裂かれるな…なんとかして彼女のスタミナを消耗させなければ…あ!)
「…!」
エルは手に力を溜めながら走り出した。
「どこへ行く気だ!」
彼女は駆け回りながらエルを追いかけ、指先を構えて毒弾の準備をする。
「…!」
エルは遮蔽物に隠れて毒弾を防ごうとする。
「クソッ!」
彼女は指の構えを解いて手を振るった。
毒の刃が再びエルへと飛ぶ。
「…!はっ!」
エルは毒刃を躱して急接近し、彼女の死角に潜り込む。
そしてそのまま、水の竜巻を巻き起こした。
轟音とともに水の竜巻が起こり、彼女を巻き込む。
「!?」
「はっ!」
そのままエルは手から冷気を放ち、水の竜巻を凍らせた。
「くっ…うぉおおぉぉぉお!」
彼女は最後の力を振り絞り、氷をかち割った!
…しかし、疲労からかそのまま倒れ、動かなくなった。
「…今のうちに…」
エルは彼女の手に近くに落ちていた手袋を被せ、そのままコンピューターへと向かった。
(緊急停止っと…)
コンピューターは電源を落とされ、そのまま機能停止した。
「さて、彼女を連れて帰るか…調査科に関しては「保護観察」などをうまく使って交渉しよう」
その後…
-エルの家―
「…?…!?お前は!?」
彼女が目を開けると、目の前にはエルがいた。
「くっ…!」
彼女は腕を振ろうとするも、上手く持ち上がらない。
「腹ぺこで力も入らないのか?よかったら食べさせて…」
そう言いながら彼は、山椒をかけた生タマネギのサラダを取り出した。
「!よこせっ!」
「あ…」
彼女はそれをエルから奪い取ると、ガツガツと貪った。
「ふう。さて、次はお前を…」
「まあまあ、これを読みなよ。」
そう言いながらエルは彼女に新聞の切り抜きを見せた。
「えーっと…「戦争犯罪者****、****、****、チェーンソーで公開処刑」…?」
「この3人は生体兵器の研究の主導チームで2人は助手だったらしい。心当たりないか?」
「間違いない…こいつらは私を改造した張本人だ」
「このとおり張本人は今はもうスライスされてこの世にいない。今では残った国民もキッチリ悔い改めてるし、君の復讐はもう終わってたのさ」
「…だがこの体だ。私が出来るのは人殺しぐらい…」
「指から毒の弾丸を放つ技があったじゃないか。あれの成分を調べたところアセトンだったんだ」
「アセトン?」
「プラスチックを溶かして再度固めるのに使う薬さ。つまり…」
「こんな私でも人の役に立てると?」
「まあな」
「…まあ、努力はしよう」
その後…
(ってこともあったな…)
ジュースを片手に、彼女…メイは思い出に浸っていた。
「メイさん、そのジュース美味しいの?」
隣にいるトオルからの質問に、彼女はこう答えた。
「まあな」
完
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