Story0112

Last-modified: 2021-06-30 (水) 23:23:07

 ・・・・・・。
 何百年もの間、彼は家族たちを見守り続けていた。
 彼は生きていた頃、地底世界に住む蛇人たちの科学者だった。

 彼の霊魂は昇天してマスターになった。
 今でも彼は地底世界に住む仲間達を見守り続けている。


最後のアンダーテール
File#0112

Thought:Neutral

EntityClass:Normal

特別対処用プロトコル:#0112に分類される実体と遭遇した際は相手を刺激しないようにその場から離れてください。

説明:#0112は地底世界に生息する三種の爬虫類種族です。上半身がヒト型、下半身が蛇の"王族種"、大柄で筋肉質な"戦闘種"、小柄で細身な"一般種"に分類されます。ある種の恐竜の子孫であり、一般的にレプティリアンと呼称される実体と酷似していますが、三種とも羽毛を基とした頭髪を有しています。
1998/05/07、一ヶ月程前から行方不明だったネル市在住の少女フレッカ・マクスウェルを捜索中だったレンジャー二名とネル市調停官・カナヘビによって発見されました。少女フレッカは二名の#0112とともに異種間調停理事会ネル市支局に現れました。行方不明となっていた一か月間の間#0112と寝食を共にしていたと推測されましたが、精神的にも肉体的にも目立った外傷はありませんでした。この事から、#0112は平和的な種族である可能性があります。


インタビュー記録0112-01(1998/05/12)
インタビュー対象:#0112-0001(以下、マヤ)
インタビュアー:調停官・カナヘビ

調停官・カナヘビ:こんちは、#0112-001。
マヤ:おう。カナヘビ、今日は何だ?
調停官・カナヘビ:あんたが見つかった時連れていた人間フレッカはんについて、いくつか答えてほしいんやけど。
調停官・カナヘビ:あん子は、どこでどんな風に見つけたん?

マヤ:あいつはな、アタシが見つけたんだ。
マヤ:あいつは初めて会った時、洞窟の中で不安そうにきょろきょろしてた。
マヤ:それであたしはあいつをあたしンちに連れてった。
マヤ:あたしの姉ちゃんは人間を連れてくんな、帰せって怒ったけど、帰り道が分かんないもんで、あんたたちのとこに相談したわけ。まだ、なんかあるか?


インタビュー記録0112-02(1998/05/18)
インタビュー対象:フレッカ・マクスウェル(以下、フレッカ)
インタビュアー:調停官・カナヘビ

調停官・カナヘビ:こんちは、フレッカはん。
フレッカ:今日は何?カナヘビさん。
調停官・カナヘビ:今日は、あんたが何であの山――あんたが発見されたあの山に、登ろうと思たんか聞きたいんや。

フレッカ:あたしは人間の世界が嫌になってたの。
フレッカ:学校でいじめられてたんだ。毎晩消えたい、って泣いてた。
フレッカ:そしたら夢に私と同じくらいの年頃の女の子(後の調査によってフレッカの過去世と判明、以下キアラ)が出てきて、それならいいとこあるよ、ってあの山の、あの洞窟を紹介されたの。
フレッカ:行ってみたらエリクス鉱石がいっぱいで、地底湖もある綺麗なとこだった。
フレッカ:何回か行ったら、あの赤毛の、トカゲ人間の女の子が私に見つかって、あなたのとこに連れてこられたの。

調停官・カナヘビ:こっちに出てきたら一ヶ月経ってたんで、びっくりしたやろ。
フレッカ:ええ、あそこにいて、あの子と会って、地上に出て、一時間位しかたってないと思ったのに、一ヶ月なんて。


インタビュー記録0112-03(1998/05/20)
インタビュー対象:#0112-0002(以下、スザット)
インタビュアー:調停官・カナヘビ

調停官・カナヘビ:こんちは、スザットはん。
スザット:ああ。で、今日は何だ?
調停官・カナヘビ:あんたがたの国の成り立ちについて、訊きたいんやけど。

スザット:俺たち蛇人族は、昔は地上で暮らしてたんだ。
スザット:だがある時、他の星の連中が地球の資源を取り合って小競り合いを始めてな。
スザット:船の残骸が地上に降り注ぐようになって、それで地下に移住した。
調停官・カナヘビ:さいでっか。フレッカはんを地上に返そう、って言い出したのはあんたはんやと聞いてるんやけど?
スザット:そうだ。私の妹が地上人を連れてきたときは、私は驚いた。
スザット:私たち蛇人は地上人とはあまり仲良くなかったから、他人に見つかったらどうするんだ、って叱り飛ばした。
スザット:前に地上に行ったことのある友人から、あんたたち調停官の事は聞いてた。
スザット:だから、他人に見つかる前に、あんたたちの所に行ったんだ。


注意:以下のインタビュー記録は少女フレッカの過去世キアラを対象として行われました
インタビュー記録0112-04(1998/06/01)
インタビュー対象:キアラ·リーフ(以下、キアラ)
インタビュアー:調停官·カナヘビ

調停官·カナヘビ:初めましてやな、キアラはん。
キアラ:誰?
調停官·カナヘビ:カナヘビと申します。よろしゅーに。
キアラ:······。
調停官·カナヘビ:まず、あんたはんがフレッカはんに、地底の国の事を教えたんは何でか、聞きたいんやけど。

キアラ:私は、あの人達に会ったことがある。
キアラ:もう何百年も昔のこと、世界中でおかしな病気が流行ったことがあった。
キアラ:私の住んでた村でも、同じように病気で沢山の人が死んでった。
キアラ:私の母さんは薬草師で、その病気を治す方法を知っていた。
キアラ:母さんはその知識を使って、沢山の人の病気を治した。
キアラ:でも、母さんはそれで魔女扱いされて、私の見てる目の前で火炙りにされた。
キアラ:私は村から離れて、山に逃げた。
キアラ:山の洞窟の中で全身真っ白な、蛇人の男の子に助けられた。
キアラ:私はその子と一緒に地底の、蛇人たちの国に行った。
キアラ:蛇人さんたちは私の事を大切にしてくれた。
キアラ:種族の違いなんて些細なことだ、って。


追記:2009/07/08、調停官・Fの主導の下、現在#0112との公的な交流プロジェクトが進行中です。