Story0774

Last-modified: 2021-07-04 (日) 17:43:24

名前の無い怪物の話
File#0774

Thought:Neutral

EntityClass:Menace

特別対処用プロトコル:#0774は飼い主である■■ ■■氏の自宅で飼育下にあります。週に一度、土曜日と日曜日に、地区担当の保安官と調停官が■■家を訪れ、■■氏と#0774に対しインタビューと周辺調査を行って下さい。

説明:#0774はイエネコに酷似した生命体です。普段はキジトラのイエネコのメスの姿を取りますが、他者から危害を加えられた際にのみ体長三メートルのヤマネコに酷似した生命体に変化します。変身状態にある#0774は、変身前の姿よりも高い身体能力と再生能力をを有することが確認されています。その再生能力により、行動不能になるレベルの重傷を完治させることが可能であり、実質的な殺害はほぼ不可能とされています。非常に高い知能を有していますが、解離性人格症状に似た症状を発症しており、不定期に人格が入れ替わります。現在まで三種類の人格が確認されており、それぞれによって決まった呼称での呼びかけを行うことによって性格と外見を意図的に変化させることが可能です。


※各人格、外見についての詳細は以下を参照してください。
分類:#0774-A
呼称:福天様
外見:猫の耳が頭部に生えた、長い白髪、右目が金、左目が青の少女。年齢は十代中頃と推測、巫女服を着用
説明:飼い主である■■氏以外の人間と対話を行う際の#0774の通常形態です。比較的温和な性格ですが、尊大な態度を取り、他者を見下しています。薬に関する豊富な知識を有し、その知識を用いて人助けを行います。

分類:#0774-B
呼称:たま
外見:キジトラのイエネコ、メス
説明:基本的に友好的であり、過度に干渉しない限り攻撃的にはなりません。また、上記能力を一切行使せず、そのような能力が存在しないかの様に振舞います。軽度の鬱病に似た症状を発症しており、この性格の状態の期間は比較的短時間ですが、飼い主である■■氏の前では常にこの姿です。

分類:#0774-C
呼称:[データ削除済み]
外見:体長三メートルのオオヤマネコ
説明:非常に敵対的であり、人間を嗜好品として好んでいます。かつては保安局のサイト8765に収容されていましたが、施設を半壊させた後脱走し、市街地に逃亡、■■名の負傷者を出したのちに捕獲され、異種間調停理事会の管理下に置かれました(事件記録0774を参照)。

追記1:保安局エージェントによる調査の結果、#0774が捕獲された■■県山間集落に存在する■■神社では、古くから病や怪我を治療する半人半猫の神格存在についての言い伝えが残っており、#0774との関連が囁かれています。


インタビュー記録0774-01
インタビュー対象:■■ ■■氏(以下、飼い主)
インタビュアー:調停官・東雲

調停官・東雲:まあ、気を楽にしてくださいね。たまさんと出会ったのはいつ頃ですか?

飼い主:五か月ぐらい前です。散歩がてら■■神社に立ち寄った時に見かけて。仕事が終わった後によく寄っていたんですよ。そしたらある日突然話しかけてきて。

調停官・東雲:どんな感じでした?

飼い主:えーと、十七歳くらいの女の子が、"わし"という一人称で、古風な口調でしゃべってるような感じでした。
飼い主:話しかけてきたのは気まぐれみたいなものだと言っていました。それからちょくちょく会うようになって、うちで飼うことにしたんです。そのことを話したら、ちょっと驚いたような顔をしてから「わしが何者でもよいのだな?」って言ったんです。回答が予想外だったんでよく覚えていますよ。

調停官・東雲:ほうほう、それからは?

飼い主:三ヶ月ぐらい一緒に暮らしましたね。ある日突然、黒いスーツを着たサングラスの、いかにもな感じの人たちが来て、たまを連れて行っちゃったんです。

調停官・東雲:あの事件の時は?

飼い主:驚きましたね。仕事が終わって駅に向かう途中、たくさんの人の叫び声がしたと思ったら、いきなり大きなヤマネコが僕に覆いかぶさってきて、たまに化けたんです。


インタビュー記録0774-02
インタビュー対象:#0774
インタビュアー:調停官・東雲
(形態変化を抑える目的で"福天様"という呼称を用いています)
調停官・東雲:こんにちは、福天様。
福天様:久しぶりじゃのう、人間。
調停官・東雲:今回は、あなたの変身能力についていくつかお聞きしたいことがあるのですが。
調停官・東雲:よろしいですか?

福天様:わしの実体は、名もない野良猫じゃ。
福天様:じゃが、様々な姿に変化することができる。
福天様:そしてわしの中には、たくさんの者たちの声がある。
福天様:そして名を呼ばれることで、わしは祖奴らの一人に肉体を貸し与える羽目になる。
福天様:名を与える、名を呼ぶという行為は、その相手に"名による束縛"を与える行為じゃ。
福天様:化物としての名を与えられてしまったゆえに、化物として振舞わねばならないのは、とても心苦しいものじゃ。

調停官・東雲:あの事件の時は?どうしてあの事件を起こしたんです?

福天様:わしの中には、たくさんの者たちの声がある。
福天様:あの時はのう、皆が一致団結して、逃げ出すために手を打ったのじゃよ。
福天様:あの若者(■■ ■■氏と思われる)に会うためにな。


追記2:事件後#0774は保安局のサイト8765に戻される予定でしたが、再びこのような事件を起こす可能性と、飼い主である■■ ■■氏と共にいるときは"たま"の状態から形態変化せず、危険な能力も行使しないことを鑑みて、■■氏の元に戻されることが決まりました。