バニカ＝コンチータ

史実

　食道楽で知られ、ベルゼニア食文化の発展に多大な貢献をしたことで知られる。現代でも人気の高い最高級ワイン「ブラッド・グレイヴ」はバニカと地元農民の協力によって生まれたと言われている。童話『吸血娘ヴァニカ』の主人公、ヴァニカのモデルとなった人物でもある。
　325年に人食いを行っているという噂が生じ、エルルカ＝クロックワーカーに調査が依頼されるが、直後にバニカが行方不明になったことにより中止される。

人物・略歴

　【悪食】の大罪人。ベルゼニア帝国コンチータ領主。サテリアジス＝ヴェノマニアとメイリス＝ベルゼニアの間にできた子供の子孫である。

契約前

　ムズーリ＝コンチータ?の長女として生まれたが、その直後に自分以外の両親や屋敷の者がグーラ病を発症する。そのため幼い頃から自由な食事ができず、その反動でグーラ病の騒動が終息した後も食に対して貪欲になる。体型は肥満型になり、食べる量もすでに成人の三倍になっていた。
　14歳でカルロス＝マーロンとの縁談が持ち上がり、マーロン国を訪れる。しかし翌年、会食の席であるワイングラス?を目撃したことが原因で、マーロン国に来て以来我慢し続けていた食欲が暴走し、問題行動を起こして婚約は破談となった。
　19歳で食の追求のため諸国漫遊の旅に出て、帰国後はその知識を生かしベルゼニア帝国の食文化の発展に寄与する。25歳の時にムズーリが逝去し、その二か月後に彼の起こした問題により取り上げられていたコンチータ領を下賜され、領主に任命される。しかし家族を失ったことによりますます食に情熱を傾けるようになり、内臓異常で倒れてしまう。その夜、彼女の寝室に現れた【悪食】の悪魔に死の宣告を受け、食へのさらなる探求のため契約を結ぶ。

契約後

　契約前とは見違えるようなスリムな美人になったが、悪魔の力でどんなものでも食べられるようになった彼女は、ゲテモノ料理や毒など異質なものを好んで食べるようになる。翌年には病気を理由に外部からの接触を断って屋敷にこもり、公務への指示はアルテ?とポロ?を通して行われるようになる。
　15人目に雇ったコックであるヨーゼフの正体がカルロスであることに気づき、13年越しの想いを実らせ、彼と一夜を過ごす。それから数か月後、彼女が庭で飼っていた異形の家畜たちが脱走し領民に危害を加えた件について皇家から召集されるが、使者を殺害し、屋敷を囲む兵も屍兵を使い殲滅してしまう。その一連の事件を見て決心したカルロスに心中を企てられるが、猛毒も彼女には効果がなく、一人残されてしまう。翌日、彼女は彼の全身を余すことなく使った料理を涙を流しながら食した。
　晩年、彼女は屋敷中の食材、そしてアルテとポロまでも食べ尽くしてしまう。さらに、黄金の粉末が蓄積したカルロスの身体を食べたことにより、悪魔の力までも弱っていた。悪魔からは力を取り戻すために彼女とカルロスの間にできた赤ん坊を食べるよう唆されるが、彼女はそれを拒否し、悪魔ごと自分自身を食い尽くした。

墓場の主

　悪魔を食したことで、グラスに宿る悪魔自身に成り代わる。その後、この世の全てを食らい尽くすため、【傲慢】時代でグレーテル＝ムーンリット、【怠惰】時代でヘンゼル＝ムーンリットをグラスの中に取り込んで力を蓄え、【映画館】時代では映画館の住人の一人として、自らを墓場の主と名乗り、映画館を訪れる者たちを食らっている。

噂

　カルロスとの間に生まれた赤ん坊はエルルカとプラトニックに発見されジュノ皇帝の使用人の養子として引き取られており、その子孫がジェルメイヌ＝アヴァドニアであるという説がある。アビスI．R.もそれを裏付けるようにジェルメイヌの「怪我なんて食べたら治る」という言葉に意味深な反応をしている。
　悪ノP曰く、彼女が食した数々の異色料理の中で一番気に入ったのは、涙を流すほど喜んだあの料理である。

関連

考察

(公式)『バニカ』という名前は、英語で食人行為を意味する『カニバリズム』が由来である。