38-64

Last-modified: 2014-02-01 (土) 18:10:15

それでは『ママチャリの系譜』38-10の続きです。

 

フュンフ 「さて、今回で2周目も終わりだ。1周目と比べるとえっらい短かったが、決して作者の怠慢ではないっ!
      いよいよラストの3周目。ハンドル片手に、誇りを胸に、いざ走れっ!!」

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現在の状況
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←   ラ      シ    アル    ディア  フ
←      ディム              キュ リ
─────────────────────

ノイン  「さあ、レースの方は8台全てに全く動きがなく、体育館裏に入っています。
      手元の最新データによりますと、折り返し地点での各マシンのタイム差と現在のタイム差が
      殆ど変わっておりません」
ドロシー 「ディアドラさんが追いつかれただけですからね」
ノイン  「お前ら、怠慢すぎです! 【本気出せ】500ギル【いたわる】!
      各マシン、完全に巡航モードに入っております! これではスプリントではなく持久走だ!」
エルフ  「この気温(34度)にこの日差しですからね……熱中症などでリタイアするよりは懸命な判断でしょう」
セーラ  「確かに。この実況席ですら死ぬほど暑いってのに…」
ドロシー 「ここが暑いのはノインさん達の影響もあると思いますが…」
ノイン  「さあ、体育館裏ストレートを抜けて灼熱のグラウンド前を通過した各チーム、ピットクルーが
      準備バンターン3で待ち構えます。このニチレンの萩焼を恐れぬのなら、かかって来いっ!!」
エルフ  「ニチレンはお坊様で陶芸家じゃありませんよ」
ノイン  「ええいっ、こんな出来で萩焼を語れるかぁ、ガシャーン、ガシャーンッ!!
      そして、ニチレンは萩の月を考案したのであった!!」
セリス  「ニチレンさんは凄いんだねっ」
ユリウス 「信じるなよ!」
ノイン  「信じる者はスクワット(ヒンズー)!! ヒンズー教典第1条より!!
      インド人をビックリさせつつ、首位ワルキューレがピットロードに入る!」
ラケシス 「……」
ナンナ  「お姉様、どうかなさいましたか?」
エルフ  「あとピットに入る義務を背負っているのは、5位乙女デスサイズと8位青色申告ですね」
ノイン  「おっ? しかし、アルテナ&マナチーム以外のピットクルーは全部戻って来いと手を振っていますね。
      これはやはり、前回エルフさんが言っていた…」
エルフ  「おそらくそうですね。ダブル・エルダーを除いた4チームは泉に落ちましたから、
      チェーンに油を注ぎたいのでしょう」
ノイン  「チェーンに油を注ぐ!! チェーンオイルかチェーンメイル、不幸の手紙経由水没行きマシンが
      ピットに入ります。無論、アルテナ機ダブル・エルダーはスルーする!」
マナ   「ここで飛ばすと、後が危険だと思います」
アルテナ 「そうね、ここは温存と行きましょうか」
ノイン  「次々にピットになだれ込んでくる各マシン、オイルをスプレーし、ドライバーの水分を補給し、
      一部のチームはドライバー交代だ! コウターイ・ゾルタン!!」
リン   「誰?」
ミカヤ  「え~っと、確か…」
エイリーク「100年程前のクリミアの音楽家です」
エルフ  「その通りですわ」
ユリウス 「ホントにどうでもいい事は詳しいな」
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ラケシス 「さて、エルト兄様。覚えていますよね、私との約束」
エルト  「……どうしてもやると言うのか」
キュアン 「ラケシス…本気なんだな?」
ナンナ  「あの…勝負って何の事ですか?」
ラケシス 「このレース…私はエルト兄様とチームを組んで出場するつもりでした…」
      (そして、あわよくばエルト兄様と……)
エルト  「俺はシグルドやベオウルフを薦めたんだが、一向に聞く耳持たなくてな…」
キュアン 「私もフィンを薦めてみたが、結果は同じだった」
ラケシス 「そう、そして、いつの間にかエルト兄様はキュアン様とチームを組んでしまいました。
      そこで私は他の方と組んで優勝し、エルト兄様と結ばれるよう、
      ナーガ神にお願いしようと考えたのです!」
エルト  「…だが、そんな事に神の力を使うのもどうかと思うのでな。ラケシスと賭けをしたんだ」
ナンナ  「賭け……ですか?」
キュアン 「ああ、エルトが勝てば彼の事を諦め、AKJを解体する事になる」
プリシラ 「ッ!?」
キュアン 「だが、ラケシスが勝てばエルトはグラーニェ殿と離婚し、ラケシスと結婚するという
      とんでもない賭けだ……私は止めたんだがな」
グラーニェ「…私は、主人を信じています」
ラケシス 「そう、だからこの最後の1周、正々堂々と、全力をもってエルト兄様を倒しますっ!!」
エルト  「…いいだろう、俺も本気で行く。だが、我がドライビング・テクニックはそう簡単には破れんぞ!」
ナンナ  「お姉様、私達、あと1回交代しないといけませんから、覚えておいて下さいよ」
ラケシス 「わかってるわ、行きましょう、ナンナ」

シグルド 「…………」
アルヴィス「おいシグルド。何をしている? 早く後ろに乗れ」
シグルド 「あ…ああ(そうだな、エルトが負けるはずがない……ここはあいつを信じよう)」
プリシラ 「会長…」
レイヴァン(頼む、エルトシャンとやら…プリシラの為にも、勝ってくれ)
セーラ  「急展開ね」
ドロシー 「燃ゑますね」
搭乗者交代 ディムナ→オイフェ、シグルド→アルヴィス、キュアン→エルトシャン、ディアドラ→エスリン

ノイン  「……」
エルフ  「……ノインさん? ノインさん? ……ノインさん!」
ノイン  「え、あ、はい。あ。あーあーあー。えー、実況の続きをですね。しましょうかね。
      した方がいいですか? いいですか、はい」
セーラ  「あんだけ公然とKINSHIN発言されたら無理も無いわね…ほら実況! しっかりしなさい!」
ドロシー 「ノインさん、ファイトです!」
エルフ  「ガンバレーガンバレー! ノインさーん!」
ノイン  「ありがとう、私応援団! 銀の女神ワルキューレ、乙女の意地を載せて、今、ピットを後にします!」
セーラ  「よくよく考えるとAKJ存亡の危機なのよね」
ドロシー 「潰したら潰したで新たな組織ができそうですけど…」
ノイン  「そして、他チームピットもタイヤ交換は無し、最後の一勝負に出遅れまいと、
      スピーディーに手塩にかけたマシンを送り出します。決まり手は送り出し!!」
セーラ  「相撲だっ!!」
ノイン  「泣いても笑っても残り1周! 泣きながら笑った場合はあと10周!!
      運命のラストバトルに向けて今、全車がピットロードを出て行きます!!」
ドロシー 「ノインさん、復活したみたいですね」
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ノイン  「さあ、全車揃って運命のファイナルラップ! チェッカーまでの一里塚っ、
      まずは最終ラウンド第1戦グラウンド1周勝負っ! 夢を乗せて行けっ!!」
ラケシス 「……!!(ギュイーーーン!!)」
ナンナ  「お姉様…」
ノイン  「威風堂々、堂々巡り。3度目のグラウンド巡りに向かうワルキューレ、
      ラケシス選手の心中や如何に!? さあ、違う意味で盛り上がってきた観客スタンド!」
シグルド 「KINSHINは許さんぞぉっ!!」
アルヴィス「うるさい! 黙っていろ!」
ノイン  「そのスタンドの目の前、グラウンドオーバルコースを超速スピードで駆ける
      マッハの女神ワルキューレ! オーバルコース第2コーナー手前で早くもトップ、
      ダブル・エルダーを射程圏に収めたっ!!」


  .\
.    .\_______
        アル←ラ

マナ   「こ、後方に敵機確認!」
アルテナ 「速っ!?」
ノイン  「まるで、今レースが始まったかのような気迫とスピード! チェーンが唸るぞ、空飛ぶぞ!
      ワルキューレを操るノディオンの女神、ラケシス選手!」
ラケシス 「ッ!!(キッ!!)」
マナ   「あぅぅ……」
アルテナ 「うぐっ……」
ノイン  「凄まじい士気の高さに鋼鉄の姉妹も思わず怯む! あの水と汗に濡れたTシャツを纏った
      超存在『妹』に怖い物はない! ただ、アナタの優しさが怖かった!!」
エルト  「そう簡単に負けんぞっ!」
アルヴィス「この私を忘れてもらっては困る!」
ノイン  「そして、ピットから一気に飛び出し、同じくオーバルコースを尋常ならざる速度で飛ばしている
      エルトシャン選手とアルヴィス選手、ここで上体を前傾姿勢にしてスーパーチャージャー始動だぁ!」
エルフ  「スーパーチャージャーは、まあ……加速装置だと思って下さい」
セーラ  「本気で勝負するみたいよ、何か相手違うけど」
ドロシー 「アルヴィスさんも復活しましたね」
ノイン  「前傾スーパーチャージャー同士の熱い対決に観客スタンドからも大歓声です!
      両者横並びのまま、たんぽぽ小道に差しかかり、前方には紅と白、2人のエルダー!!」
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──────────────

         エルト──→アルテ
           アルヴ──→
 ┌────────────

マナ   「また来ました、今度は2台ですっ!!」
アルテナ 「勝負の邪魔はしたくない、エルトシャン殿を先に行かせる!」
ガガガガガッ
アルヴィス「くっ!」
エルト  「すまない!」
キュアン 「アルテナ、感謝する!」
ノイン  「右から迫るスターダスト・フェアリーズに幅寄せを敢行するダブル・エルダー!!
      この間にSTEガンマが完全に前に出た!! そして、遥か先には最強の『妹』が待っている!!」
エルト  「これで邪魔者はいない。ラケシス、待ってろ!」
キュアン 「シグルド達には悪いが、こっちはそれどころじゃないからな」
ナンナ  「お姉様、エルトお兄様が単独2位に上がりました!」
ラケシス 「ここからが本番ね、行くわよっ!!」
ノイン  「1位ワルキューレと2位STEガンマの差は約10秒!
      エルトシャン選手のドラテクを考えるとセーフティリードと言うには短すぎる!」
セーラ  「このスピードだと、気を抜いたらあっという間に追いつかれちゃうわよ」
ノイン  「セーフティシャッターが無ければ即死だった! ルールに即しますとワルキューレは
      まだ1回しか交代していないので、このままゴールすれば失格負けになります!」
ドロシー 「確かにそうでしたね」
エルフ  「果たしてどこで交代するのでしょうね?」
ノイン  「しっか~し、そんなルールは『妹』の前には無意味っ!
      この2人の中では、先にゴールに辿り着いた方が勝ち!」
セーラ  「いや、ソレやっちゃダメでしょっ!」
エルフ  「それだと勝負に勝って試合で負けますわね」
ノイン  「はにゅふの宿は我が宿り! ミャンマーディーゼル機関列車STEガンマが
      チェーンの竪琴を奏でながら、たんぽぽ小道を侵攻ッ、迫撃戦を展開するぞ!」
ナンナ  「お姉様! エルトお兄様が来てます!!」
ラケシス 「(ハァ…ハァ)流石はエルト兄様です。ですが、負けるわけには参りませんっ!!(スッ!!)」
ノイン  「しかし、ラケシスマシン、ここで禁断の立ち漕ぎ! 最も体力を消耗するが、最も速い!
      ここで勝負を賭けるか! 更に差がひらーくケント!!」
ケント  「呼んだか?」
エルフ  「呼んでません」
ノイン  「獅子王エルトシャンも、これには為す術無し! ヴァナディース・ラケシス、
      そのままロングストレートを時速119kmで走る!!」
エルフ  「スピード違反ではありませんよ」
セーラ  「いやいや、そんな速い訳ないでしょ?」
ノイン  「もちろんです。ラケシス選手、サドルに腰を落とし、たんぽぽカーブも難なくクリア!
      集中している時のこの人は本当に凄いぞッ! そのまま勇者の泉ウォーターバンクへ突貫だ!!」
エルト  「ここで離される訳にはいかん!」
ノイン  「後方、追うSTEガンマのエルトシャン選手は、しかし、
      それでも決定的なアドバンテージを奪われる事はない! アドバンテージチルドレン!」
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リ     アルテ                             エル
          アルヴ
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アルヴィス「フン、この程度で!」
アルテナ 「くっ、逃さないわ!」
リーフ  「アルテナさ~ん、待ってよ~!」
ノイン  「そして、後続も負けてはいない! アルヴィス選手がアルテナ選手を追い抜き、
      エルトシャン選手を猛追! アルテナ選手も流石にここを逃してはなるまいと、
      かなり飛ばしてついて来る! 更にその後ろ、リーフ選手も来ているぞっ!!」
セーラ  「2周目後半がウソみたいなスピード勝負ね」
ドロシー 「持久走からスプリントへ、流石に脱落者が出そうな勢いですね」
エルト  「ここからが勝負だ! キュアン、振り落とされるなよ!!」
キュアン 「ああ、行け!」
ズザザザザザザザッ!!
ノイン  「カーブでドリフトをかけ、タイムを2秒縮め、自らもウォーターバンクへ!
      さあ、ここでも差を詰めるか!?」
エルト  「見えた! このコースなら…」
ノイン  「獅子王の心眼が開かれたっ!! きらめく光がエルトシャン選手を打つ!!
      勝利への道標が黒金の城・STEガンマ城主の目には見えていると言うのかっ!?」
エルフ  「このラインとスピードは良いですよ。絶妙です」

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ノイン  「黒き密林大帝が最後のウォーターバンクの魔物を平らげる!
      かなりインを攻めていますが、今までにないコースライン!
      2WDのグリップ力とエルトシャン選手のドライビング技術が冴え渡るっ!!」
セーラ  「縮まってる、差が縮まってるわよっ!!」
ドロシー 「セ、セーラさん。落ち着いて…」
ノイン  「そして、レースは最後の最難関、山岳コースへと舞台を移します!
      さよなら山岳またきて山岳! 山岳に始まり山岳に終わるのか、
      いよいよ物語は佳境に入ります、FE聖戦の系譜15周年記念杯予選第1レース!」
セーラ  「いや、まだ予選だから全然佳境じゃないでしょ!」
ドロシー 「第1レースは佳境に入ってきましたけどね」

続く