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Last-modified: 2007-06-15 (金) 22:42:16

紋章大宴会~プロローグ~

 

~とある平日~

シグルド  「あ、そうだ皆、来週の週末、ちょっと友人達が遊びに来るから」
ミカヤ   「え、本当? わたしもサザとニケさんたち呼んでるんだけど」
エリンシア 「あら、私もジョフレとルキノを招待していて……」
アイク   「……工務店の皆が来ると言っていたんだが……」
ヘクトル  「マジか? セーラやマシューたちが来るとか言ってたぜ」
エフラム  「……実はフォルデにカイルにデュッセルに……他にも何人か……」
エイリーク 「あの、私もターナとラーチェルとリオンを誘っていまして……」
エリウッド 「困ったな、ニニアンにニルス、フィオーラやロウエン……皆に日頃のお礼をしようと思って誘ってたのに」
リン    「あー、実はキアラン家のハウゼンさんにケントとかセインとか、あとフロリーナも来るって……」
マルス   「おや、実は僕もシーダとマリク相手に王様ゲームでもしようと思っていたところで……」
リーフ   「……誘ってもいないのにナンナとミランダとサラが僕を笑いに来るんだよ……」
セリカ   「困ったわアルム、実は教会の友達が遊びに来たいって言ってて」
アルム   「うん、僕も農家の友達が皆で騒ぎたいって言うから、家なら大丈夫って言っちゃったんだけど」
セリス   「わあ、大変だ。僕もね、友達の女の子達と一緒に料理作って、友達の男の子達に食べてもらおうかなって」
ロイ    「うーん、リリーナやシャニーたちが僕の家を見たいって言うから、皆まとめて誘ってたんだけど……」
全員    「……」
ミカヤ   「……まずいわね、これは」
リン    「まさか、こうも予定が重なるだなんて……」
エリンシア 「我が家の交友関係の広さが窺い知れますわ……」
エフラム  「仇敵も多いが友人も多いからな」
マルス   「おそらく、呼んでいない人たちも面白半分についてくるだろうし」
エリウッド 「……あんな濃い面子が一同に介したら、一体どんな騒ぎになるか……ああ、胃が痛い」
リーフ   「……あのさ、皆で一緒に逃げない?」
シグルド  「いや、それはいかん。せっかくきてくれた友人をもてなさないなど、道義に反する」
セリス   「そうだよね。それに、僕も皆が来てくれるの楽しみだったし」
エイリーク 「でも、このままでは明らかに家に入りきらないのも事実です」
ロイ    「困ったなあ、どうしたらいいんだろう」
全員    「うーむ」
ミカヤ?  「そんなときは、このわたしにお任せよっ!」
ロイ    「うわ、ビックリした!」
リーフ   「どうしたのミカヤ姉さん……じゃないか、この雰囲気は」
セリカ   「……出たわね、邪神!」
アルム   「セ、セリカ、落ち着いて」
ユンヌ   「ぶーっ! セリカちゃん、その反応ひどーい!
       せっかく、わたしが皆のお友達を招待できるようにしてあげようと思ってたのに!」
アイク   「……つまり、全員は入れるようにするということか?」
ヘクトル  「おいおい、そりゃ無理だろ。いくらなんでも、こんな狭い土地に百人も二百人も入る訳が」
ユンヌ   「ふふん、それなら広くすればいいだけじゃない?」
リーフ   「……って、まさかご近所さんを消し飛ばして広い土地確保! とか言わないよね?」
ユンヌ   「……いや、それはさすがに……っていうか、皆わたしを何だと思ってるの?」
セリカ   「邪神でしょ」
アルム   「いや、だからセリカ……」
ユンヌ   「あー、もう! だったら見てなさいよ、わたしがどうするか!」

 叫びながら庭に駆け下りたユンヌが、長い魔法を詠唱して解き放つ。
 するとまあ、なんということでしょう。今まで狭苦しかった兄弟一家の庭が、ちょっとした公園ほどの広さになったではありませんか!

リーフ   「劇的すぎるよ!」
エリウッド 「ああ、我が家の塀があんなに遠く……!」
ロイ    「い、一体どうなってるの!?」
ユンヌ   「簡単なことよ。世界中のあちこちの空間をちょっとずつ切り取って集めて、この家に集めたの」
アイク   「……どういうことだ?」
ユンヌ   「んー、まあ要するに、この家の庭はやたらと広くなったけど、
       他の場所には何の影響も出てないから心配しないでねってこと」
リン    「相変わらず無茶するわね……」
ユンヌ   「これでお友達皆呼べるでしょ?」
セリス   「凄いよユンヌさん、これならもっと人数増やしても大丈夫だね」
ロイ    「もういっそのこと、パーティにでもしちゃった方がいいのかもね」
ヘクトル  「お、そりゃいいな。いっちょ馬鹿騒ぎといくか」
マルス   「ふむ。それじゃ、友人に頼んで大々的に宣伝してもらうとしましょうか」
セリス   「あ、じゃあ僕ポスターとか書くよ! 名前は『紋章大宴会』とかでどうかな」
エリンシア 「そんなに人が集まるのなら、今の内に料理の支度をしておかないと」
リン    「家の中も片付けておかなくちゃね……」
ロイ    「トイレとかどうしよう? ベンチとか椅子とかテーブルとかも必要だよね」
アイク   「任せろ、必要な分だけ増設してみせる」
マルス   「いろいろと連絡もしておかないと」
シグルド  「よし、では各自役割分担を決めて迅速に動くとしようか」
エリウッド 「皆、適応能力高すぎだよ……」
ユンヌ   「まあまあ、エリウッドちゃんも、心配ばっかりしてないで状況を楽しみましょうよ。
       アスタルテ姉さんに頼んでこの家の周りに結界張っておいてもらうから、魔法乱れ飛ぶ騒ぎになっても近所には被害が出ないわよ」
エリウッド 「いや、どっちかと言うと結界が必要になる時点でもう胃が痛くなってくるんですが……」
ユンヌ   「細かいことは気にしない。うふふ、ああ、どれほど混沌としたパーティになるか。もう楽しみで楽しみでしょうがないわ……!」
エリウッド 「……」
ロイ    「エリウッド兄さん、胃薬はいつもより多目に用意しておくからね」
エリウッド 「……すまないね、ロイ」
ユンヌ   (ふふっ、このユンヌにかかれば、天候も季節感も思いのまま!
       晴天荒天春夏秋冬、ありとあらゆる環境を取り揃え、最高に盛り上がるパーティにしてみせるわ!)
ミカヤ   (なかなか大変な騒ぎになりそうね、これは。
       特にユンヌが暴走しないように、目を光らせておかないと……)
シグルド  (ふむ……これだけ広いところを準備するのも大変だな。
       どれ、知り合いに声をかけて、手伝ってもらえないか頼んでみようか)
エリンシア (せっかくのパーティだから、飾りつけも華やかにしておかないといけないわね)
エイリーク (たくさんの人が来るのなら、料理の品目も多くしておかないと。
       ラーチェルやターナに相談すれば、食材の手配を手伝ってもらえるかしら)
アイク   (庭が広くなったのなら、ステージでも増設しておいた方が面白いかもしれんな。
       週末までまだ何日かある。セネリオや工務店のみんなに、いろいろと相談してみるか)
エリウッド (とりあえず、安全対策だけはしっかりしておかないと……
       いっそ、友達に頼んでガードマンでもやってもらった方がいいかもしれないな)
リン    (馬や竜で来る人たちもいるだろうから、厩も作っておいた方がいいかも……)
ロイ    (他にもいろいろ必要なものはありそうだなあ。
       今の内に、シャニーやスーに頼んで買出し手伝ってもらおうかな)
セリカ   (気分が悪くなる人も出るかもしれないから、その辺りの対策もしっかりしておかないと)
アルム   (あんまり関係ない人たちも集まってくるかもしれないけど、
       その辺りはこっちで気をつけるしかないかな。あんまり堅苦しいのも嫌だし)
リーフ   (これだけ人が集まるパーティだ、うまくやれば大儲けの道が開けなくもないな……
       そうだ、いっそ会場の隅っこでバザーでもやってみるのはどうだろう?
       これだけ広いんだから、そういうことしてもきっと大丈夫だよね)
マルス   (各界にパイプを作るのには好都合な状況かもね)
エフラム  (新たな強者をめぐり合えるかもしれんな)
ヘクトル  (いっそのこと格闘大会とか、イベントも企画してみるか。
       なにせこれだけの規模の祭りだ、パーッとやらねえとな)
セリス   (楽しみだなあ、新しい友達もできるかもしれないし)

 とまあ、このように様々な思いが渦巻く中、兄弟一家の家からはしばらくの間、絶えることなく騒がしい声が響いていたのでありました。
 
 そして日々は過ぎ、次の週の土曜日。空は晴れ上がり、遠くの方から続々と人々の声が聞こえ始めます。
 楽しく賑やかでありながら混沌とした狂乱の祭典、「紋章大宴会」の幕が上がったのでありました――。

便乗ネタ2-287