日本の地形/2

Last-modified: 2022-06-05 (日) 15:18:55

山地

日本列島は山地の集合体。形態・高さから山地を区分すると、大まかに3つに区分できる。①満壮年期・②幼年期・③中間や、①急・②緩やか・③それ以外など。デーヴィスの侵食輪廻説は日本に適用不可。

日本列島全体を日本山脈と言うことがあり、世界の大山脈に比べると低く幅の狭い山脈である。日本山脈は、尾根と谷の構成がきめ細かく、谷密度が大きい。また、切載峰が少ないため稜線の凹凸が小さく、山腹斜面の縦断形が直線的。頂上付近に丸い緩斜面があり、一方で谷底は河川の下刻でV字状になる。谷奥の斜面には急なものが多い。→故に3つに区分できる。筆者は7つに区分。

これらの山地のうち、中起伏~なだらかな山地または丘陵地帯には種々の成因をもつ複数段の侵食小起伏面が発達する。日本の非火山地域の山地には侵食小起伏面が広く分布する。特に広く分布する北上・阿武隈山地や中国山地などは高原状の地形を示し、隆起準平原と呼ばれる。なお、侵食小起伏面の分布特性から日本の山地を3つに分類できる。

氷河地形は小規模で認定しにくい。圏谷は浅く、底の傾斜が急なものが多く、続く氷食谷もU字断面はきれいでない。尖峰・鋸歯状山陵・大きな岩壁も少ない。堆石堤の不明なものが多く、堆石堤が下流の段丘に連続していない。山麓氷河は皆無。氷河の規模が小さく、もろい地質が急な氷食壁を形成しにくい→アルプス型氷食地形の発達は悪い。また、氷河後退後の地形変化が多雪・多雨で大きく、認定を困難にしている。

日本列島に現成の氷河は存在しないが、森林限界以上には砂礫斜面が広がり、機械的風化・削剝・積雪作用が卓越する周氷河地形が分布する。周氷河地域は、地面が凍結融解を繰り返し、冬では凍結したままで融解しない。永久凍土は高山帯の一部で確認されている。日本の高山で最も広い面積を占める周氷河地形は周氷河砂礫斜面であり、この面には様々な形態の構造土が形成される。構造土は中部地方以北の多くの山で分布が確認されている。火山では構造土の発達がよく、高度も低い。砂礫地以外の微地形にはパルサ・アースハンモックなどがある。

火山

世界有数の火山地域で、80の活火山、200の第四紀火山が分布。基本的に太平洋プレートの沈み込みと、東アジア地塊の東進→縁海・島弧の形成という大陸側の変動がからんで繰り広げられる。日本列島には、溶岩原・楯状火山は小型のものを除いて存在せず、成層火山・カルデラ火山・小型単成火山のみが存在する。

火山は海溝の内側200~300kmの距離にある火山フロント上で最も密に分布し、内弧側にいくにしたがって火山の密度は減少する。マグマの生成深度によって内弧側ほど火山岩中のナトリウム・カリウムが(シリカに対して)多くなる。島弧の会合部では後期まで発達した成層火山が多いが、間の弧状部では前期までしか発達していない成層火山が多い。カルデラ火山は本州中央部には存在しないが、第四紀前半~第三紀末まで遡れば、本州中央部にも存在していた。

成層火山は山体中央部が放射谷で刻まれ、岩屑が土石流となって流下し火山麓扇状地をつくる。基盤地形の起伏の違いは、形成される火山体の地形・規模を大きく変える。平野・海岸→広い裾野をもつ大規模な火山体だが急峻な山岳地帯→小規模な火山体しか残らない。気候差による火山解体営力の違いで、北海道・東北日本は地すべり、関東以西→斜面崩壊による侵食作用が卓越。

平野

日本の平野は、臨海平野と山間盆地に大別される。両者とも堆積平野が主体。規模が小さく、山地と山地の間にモザイク状に平野が分布する。臨海平野も山地に隣接するのが特徴。砂礫は山間盆地に堆積したり、海岸に堆積して沖積平野を形成したりする。海岸沿いは海の侵食・堆積作用によって海岸平野も分布。砂礫の埋め立てが不十分な盆地・内湾→湖沼・潟湖として残る。

一般的に、低地が卓越する平野→第四紀における沈降運動が著しい地域に多いが、台地・丘陵が卓越する平野→第四紀の沈降地域でないところが多い。

山麓に沖積扇状地を形成。沖積扇状地は、せばまる変動帯・半乾燥地域に広く分布し日本の代表的な河川地形である。下流で蛇行帯・自然堤防をつくり、水域に注ぐところでは三角州ができる。急流河川では三角州をもたないこともある。扇状地は隆起速度・削剝量の大きな中央日本の山地を流れる河川でよく発達し、規模が大きい。波が穏やか→鳥趾状三角州(日本は小規模)、内湾で河川の運搬土砂が多い→円弧状三角州、波が強い→尖状三角州、さらに波が強い→直線状の海岸。

更新世後期の寒冷期には沢山の扇状地ができたが、完新世には開析扇状地となった扇状地も多い。完新世において新たに形成された扇状地は、土砂供給量の多い一部の扇状地に限られる。

丘陵地形は、台地・低地からなる狭義の平野の周囲、山地の前縁に、高度急変帯を隔てて位置することが多い。

日本の台地は河成・海成のものが多いが、溶岩台地(規模は小さく、僅か)・火砕流台地(大規模カルデラの周囲に普通にある。)・石灰岩台地・サンゴ礁段丘(以下詳細)も見られる。

河成段丘の成因は、地殻変動・気候変化・海面変化・火山活動など様々要因があげられる。

海成段丘は一般的に、山地を縁取る岩石海岸地域では段丘の幅が狭く、堆積物の薄い侵食性の段丘をなす。一方で内湾に面する地域または基盤が新第三紀層のような岩石からなる地域では広い堆積性の段丘が発達する。著名な岬の多くは海成段丘の分布地域に見られる。リアス式海岸にも海成段丘が見られ、リアス式海岸は単純な沈降を示すとは限らない。Ota(1975)は、海成段丘の旧汀線高度分布に基づいて、海岸地域の変形様式を4タイプに分類している。サンゴ礁段丘も海成段丘の一種。段丘外縁にサンゴ礁の礁嶺がある、背後に礁池か礁湖由来の凹地がある、段丘崖が礁斜面である、カルスト地形が発達するなど。サンゴ礁段丘の分布は北緯30°の種子島以南に限られる。サンゴ礁段丘の形態は様々。現在の海岸線に沿っては主に裾礁が発達する。世界的に見て、完新世海成段丘の存在はかなり特徴的。完新世段丘は一般に、幅は狭く河川沿いに入り組んだ分布を示し、厚い堆積物を伴って、海進の痕跡を示す。

河川下流部・海岸地域に発達する現成の平野→沖積低地。沖積平野(扇状地・氾濫原・三角州・臨海部には溺れ谷低地)と海岸平野(浜堤が何列も発達。砂州の発達で海域が閉塞されて形成された低地もある。)に分けられる。

海岸は岩石海岸(切り立った海食崖)と砂浜海岸(砂嘴・砂州・干潟、海面下にはバーという高まりが形成される)に分類される。5分の4ほどは岩石海岸で、砂浜海岸は崖の基部や入江奥に発達するにすぎない。南の島々の海岸はサンゴ礁・マングローブ林で縁どられる。山地が沈水する→リアス式海岸が形成される。

海底