“アリス 僕らのアリス あなたの腕を 足を 首を 声を 僕らに下さい
あなたを傷つけるだけの世界なら捨ててしまって
ちぎれた体は狂気に包まれて 穏やかに眠る
さあ 覚めることのない 悪夢をあなたに……”
………あの忌まわしき事件から13年後。世界は荒廃し、謎の巨大生命体『インベーダー』が地球上のあらゆる所に蔓延り、人類との互いの存亡をかけた戦いがいつ終わるとも知らない日々であった――。
……ここは人類最後の砦である地上戦艦『タワー』のとある個室。
そこのベッドで一人の女性が寝ていた。
「……あれ?あたし、なんでねてんの?」
彼女の名はケイ。日本軍、車少佐の娘。ボーイッシュで可憐とも言える外見だが、性格は親に似たのか男勝りでがさつである。
何故かは知らないが、彼女は小さい頃の記憶が全くないのである。
――これは彼女の奇妙で残酷、そして妖艶で美しき物語である。