「竜馬、グノーシスが出現し過ぎていて、ゲッター線の濃度が10%低下している! あまり連発するとエネルギー切れを起こすぞ!」
「なんだと? エネルギー残量なんて月面でだって気にしたことねーんだぞ!?」
『はいはーい! それなら由美子にお任せ~~~!』
真ゲッターの手元に、頼んでもいないのにガトリングガンの様なものが転送されてきた。
「よおし、行くぜ!」
残った半数のグノーシスがゲッターロボに注意を向けた。艦体やファウンデーションに向かっていたものが分かれ、ゲッターに方向転換する。
「喰らいやがれえぇぇぇぇ!!」
向かってきたグノーシスに向けて全弾を景気良くぶっ放す。爆発が花火の様に広がり、火の粉がまた飛び散って新たな爆発を起こす。その小さな爆発に、幾つかの戦艦とA.M.W.Sが巻き込まれた。
「おい、随分爆発の規模がでかくないか?」
『や~ん、さっすが核ミサイルぅ~ん! ス・テ・キ』
「か、核だと!?」
弁慶が由美子に怒鳴った。
『せっかく宇宙空間にいるのに核を使わなくてどうするのぉん?
次は真空中でも燃え燃えできる火炎放射器よぉん♪』
人為的に造られたデブリを乗り越え、グノーシスが殺到する。
「ぼやっとしてる暇なんてねーぜ!
ゲッタートマホーク!!」
竜馬は転送された火炎放射器をゲッターの左手に握らせると、右手でトマホークを持ち、次々とグノーシスを掻っ捌き、焼いて行った。
「あ、あの宙域で何が起きてるんだ!?」
「わかりません! 大質量は検出されていません!」
「戦艦の主砲だって一度にあんなにグノーシスを倒せないんだぞ!?」
「っ…… KOS-MOS!!」
シオンが叫んだ。ファウンデーションの真上、ホオズキの先端に立ったKOS-MOSが背中のショックアブゾーバーユニットを開いている。
瞬きもしない間に腹部から発せられた光線が次々とグノーシスを砕き、その腹に収めた。
「またあの兵装を……」
「今の攻撃でグノーシスが3万体消滅!」
「残りはもう1/4かよ……嬉しいが、一体どういうことなんだ?」
Jr.は背筋に冷たい汗が流れるのを感じながらモニターに見入っている。
「……? ねえ、誰か音楽でもかけているの?」
「音楽? いいえ」
周囲を見渡すシオンに、シェリィは冷静な表情のままで返事をした。しかし、Jr.とガイナンは視線を合わせる。
明確なメロディを持たない、ただ発声されただけの高低する音波。
(ネピリムの歌声が聞こえる。やっぱり彼女はマリアの因子を受け継いで……)
「大質量体、更にゲートアウト!」
「なんだと?」
オペーレーターの百式レアリエンの声に、ジギーがあまり表情の変わらないまま驚いた。
それは竜馬達も同じだった。
「ざっと10万体の増援か」
「くそっ、減った以上に増えやがった!」
今度はニードルガンでグノーシスを穴だらけにしながら竜馬が悪態をつく。
「由美子! こいつらどっから出てきやがる!?」
『ん~、グノーシスが出てくるってことはぁ、どこかにゾハルがあるんじゃないのぉん?』
「……!
そうか、デュランダルのエミュレーター!」
「今からファウンデーションごと壊すか?」
隼人の提案に、弁慶と竜馬は渋面を作った。
『あらん? 妙な波形が来てるわねぇん。
隼人ちゃん、戦局はグノーシスが増えた以外には変わってなぁい?』
「妙な波形だと?」
隼人は計器を素早くチェックしつつ、外の景色も見た。
艦砲とA.M.W.Sの攻撃、そしてめまぐるしく動くゲッターの手によって、グノーシスが次々と爆発している。
「……いや、A.M.W.Sが戦艦を攻撃している!」
「なんだと!?」
竜馬と弁慶もグノーシス以外に目を向ける。
艦体の一部分、一部分が確かに同志討ちを始めている。そしてまた更にグノーシスが追加で転移してきた。
「どうなってんだこりゃ!?」
『竜馬ちゃん、ちょっと止まって観測させてぇん。代わりに機雷転送するからぁん』
竜馬がゲッターを一旦静止させると、すぐにゲッターの周囲に大量の機雷が転送されてきた。グノーシスが迫ってくると、勝手に飛び出していって自爆する。
由美子は流石に真剣な眼つきになって、真ゲッター1から送られてくる情報に目を通す。
その間にも、同志討ちの規模は徐々に大きくなっていくのがわかった。
『わかったわぁん!
これは14年前に使用された”ネピリムの歌声”と同じ波形よぉん! 同志討ちを始めたのは、多分レアリレン部隊からじゃないかしらぁん?』
「”ネピリム”だと!?」
『ミズラヒ博士が造った、人間の脳を攻撃できるステキウエポンよぉん。竜馬ちゃん達も気を付けてねぇん。今は影響が出ているのがレアリエンだけだけどぉん、そのうち人間の脳にも影響が出てくるわぁん』
「発生源を一気に叩くしかないな」
「由美子、特定を急げ!」
竜馬はそういうと、機雷をつったぎってグノーシスの群れに突撃していった。タイミングが遅れて、機雷が連鎖的に爆発し、周囲のグノーシスを巻き込んだ。
「もう5発なら撃っても影響はねぇな」
ゲッタービームのスイッチに指先が触れる、その直前。
太い波形が飛んできて、真ゲッターの前の巨大グノーシスが粉砕された。
「!?」
衛星クラスの大きさの超振動波を直接叩きつけられたグノーシス群は、扇状に殲滅された。
「何かがゲートアウトしてくる……!
竜馬、空間歪曲の間はゲッタービームを撃つな!」
宇宙空間に眩く輝く境界面が出現し、そこから鋭角的な船首がゆっくりと姿を現す。その最も細い部分が通常の戦艦の胴体ほどもあった。
「おいおい、随分とでかいじゃねーか」
超巨大な質量を持った物体は、まだその全貌を現さない。だが、周囲に一緒に転移してきた、豆粒みたいに小さな戦艦の艦影は見憶えがあった。
「あれは、ヴォークリンデじゃないか!」
「しかも他に同型艦が2艦もある!」
「3艦のヴォークリンデ……なるほど、ラインの乙女というわけか」
超大型艦はまだその全容を現さないまま、艦体各所の艦砲で、次々とグノーシスを攻撃する。
デュランダルのブリッジからその姿を見たアレンは一気に表情を明るくした。
「主任! 助かりましたよ! 本社が来てくれました!!」
「し、曙光が……?」
「曙光?」
「うちの本社です!
ヴェクター・インダストリー本社兼自由軌道型コロニー『曙光』!」
アレンがJr.に説明しているうちに、ようやく曙光はゲートアウトを終えた。
全長約1,000キロメートル。ゲッター艦体に連ねてもおかしくない規模の大きさだった。
ケイオスはその巨体を見上げ、臍を噛んだ。
(アニマの器が起動している……。しかも同調率があんなに高い……!)
「ヴォークリンデⅡ、ヴェルグンデ、フロースヒルデ、共に異常なし。『ラインの乙女』、良好です。
第二射まで後30秒」
「ヴェルグンデ、座標修正完了」
「フロースヒルデ完了」
曙光のブリッジでは、オペレーター達が次々と報告をあげていく。彼らは全員、人間だった。本社のブリッジにレアリエンはいない。
ラインの乙女と呼ばれる3艦は、曙光を守るように三角形の陣形を組み、横向きの艦体を垂直に動かし、十字架のような形に展開する。
ヴィルヘルムが社長室で報告を聞く。室内にはワーグナーが流れていた。
「第二射、斉射準備良し。各艦配置につきました」
ヴィルヘルムは指揮者の様に手を振った。
先程同様、ラインの乙女を頂点として、曙光から衛星並みの大きさの超振動波が発射され、転移完了したばかりのグノーシスの群れをまた5万体程粉砕した。
「やるじゃねえか」
曙光の反対側からその光景を眺めた竜馬は、軽く口笛でも吹きたい気分だった。透明度の高い水の波高の様に、グノーシスの破片がキラキラと宇宙空間に散っていく。それは思いのほか美しい光景だった。
それと同時に、頭の内側からツキンと針で刺されるような痛みが走る。
(これがネピリムの歌声か……!)
頼もしいはずの援軍を、シオンは不安げに見上げていた。
そこへ能天気な少女っぽい声が飛び込んでくる。
『せんぱーい!』
「ミユキ!? あなた何処から……」
『へっへ~。どう? スゴイでしょ?見ました!? 『ラインの乙女』!
二局に転属願出してた甲斐がありましたよ! でなきゃ、目の当たりになんてできないですからね!』
「二局って、あなた……!」
『話はあとあと!
KOS-MOS、そこにいます?』
「今、ファウンデーションのてっぺんよ。あの子、勝手に動いてるんだから」
『わっかりました! 今、転送しますね』
「転送!? 一体何を送ったっていうの!?」
KOS-MOSの足元に、小さなアタッシュケースが転送された。中身を開けると、拳銃の様なものが一丁と、そのシリンダーが一つ。リボルバーのようなものではなく、単一乾電池ぐらいの物だった。
『シオン、PTカートリッジが転送されてきました』
「PTカートリッジって……。
ミユキ! あなた、それが何なのか解っているの?」
『もっちろん! と言いたいところですけど、転属したてなもので、良く解んないです』
「もう……。
これはね、Phase Transitions cartridgeと言って、空間に局所相転移を起こして、周辺の全てを破壊する兵器なのよ。
局所と言っても、使い方次第では、恒星を丸ごと消し去るだけの破壊力を持っているの。
それをこんな密集した場所で使えだなんて無茶だわ! 一体どういうつもり!?」
『ま、待ってくださいよ、先輩~。
うちの観測室からの報告だと、この宙域の何処かを中心として、力場のようなものが形成されているんです。それがグノーシスを呼び寄せている公算が大きいんですよ』
「力場ですって?」
『そう。明らかに人為的なものだって、言ってました。
で、KOS-MOSのD.S.S.Sセンサーと曙光のメインフレームをリンクさせて、その力場の発生源を見つけるんです。
相手は潜宙艦のシステムに酷似した方法で潜伏しているものと思われます。
空間に歪みがあるはずですから、それを広げられれば、そこに潜んでいるものがなんであるか判るんじゃないかって』
「だからってこんな……・」
戸惑うシオンに向け、KOS-MOSから通信が入る。
『シオン』
「何? KOS-MOS」
『相転移させる質量を限定すれば、連邦艦体にもクーカイ・ファウンデーションにも影響を及ぼすことなく実行することが可能です』
「出来るの?」
『お任せください。私は、その為に造られています』
KOS-MOSからのフォローに、ミユキはホッと胸なで下ろした。
『ラインの乙女と言っても斉射限界があります。出現しているグノーシスに対処している内に、早く大元を』
「わかったわ。
いいこと? KOS-MOS。相転移質量は可能な限り押さえてね。力場の発生源がわかれば、それでいいんだから」
『了解しました』
KOS-MOSは足元のファウンデーションを蹴って真空中に泳ぎ出た。
『これよりPTカートリッジを使用します。
対電磁波ショック防御を』
隼人のコネクションギアに、一方的にKOS-MOSから通信が入る。
「PTカートリッジだと?」
『はい。グノーシスを呼び寄せている物体を表出させます』
「わかった。そいつが出現次第、攻撃する」
「どうやらグノーシスを呼んでいる大元がわかりそうだ。
由美子、検索は終わらせていいぞ」
時間がかからないに越したことはない。微かに頭痛を感じながら、隼人がそっけなく由美子に伝える。自分が頭痛を感じるのならば相当なことだ。星団連邦の艦体は、人間の方も狂い始めているに違いなかった。
先程KOS-MOSが腹部のバスターでグノーシスを一掃した空間は静かだった。その真空を漂い、KOS-MOSは体を捻って全方位に持っているセンサーの全てを解放した。グノーシスを検索する為ではない。最も効率的な質量を選択するためだった。
『相転移質量調整。0.11MPT、転移時間4.8、10のマイナス38乗にセット。
カートリッジ装填します』
拳銃型のPTカートリッジに弾丸を詰めると、拳銃は6連装リボルバーを同時にセットしたような形になる。
それはKOS-MOSの手の内でたちまち本来の姿を現し、7、8メートル程の巨大な機銃の様になった。
『D.S.S.Sメインフレームバイパス確保。全方位で走査開始します』
KOS-MOSのD.S.S.Sセンサーがフル稼働する。曙光のメインフレームはU.M.Nを介してリアルタイムで送られてくる情報を蓄積し、KOS-MOSに返した。
『方位8018のU.M.N構造体に歪み発見。微弱ですが、歪みからコラムパルスが発せられています』
「それよ! 射線軸は?」
『軸線クリア。射撃命令を』
「シェリィさん、全艦の対電磁波防御は?」
「準備完了です。いつでもどうぞ」
「了解。
KOS-MOS、相転移砲発射!」
KOS-MOSはトリガーを引いた。
弾道は天頂へ向けたカーブを描き、空間の一点を刺激する。空間が切り裂かれ、中から四角柱の構造体が出現した。
垂直部分の全長80キロメートルの『天の車』である。
「っ……なんだありゃ?」
『あらん? あれは14年前にアビスに落とした『天の車』じゃないのぉん?』
「『天の車』?」
『ネピリムの歌声の動力プラントよぉん。大きすぎて壊すのが面倒だからぁ、ブラックホールに投げ捨てちゃったのぉん。
でもここにあるってことはぁ、両方とも誰かが途中で拾い上げたのねぇん』
「確かにA.M.W.Sで壊すには面倒だろうよ」
竜馬は鼻で笑って、そして叫んだ。
「ゲッタァーーーービィーーーーム!!!!」
ドワオ!
真ゲッター1の腹部から放たれた太い光線が、天の車を直撃した。稼働していた動力プラントは、一つの大きな風穴から連鎖的に爆発を起こし、次々と外壁、内部資材を熱と圧力によって細かなデブリへと姿を変えていく。
「よし、これで後はグノーシスを片付ければおしまいだな」
「ついでにこのまま第二ミルチアに降りるか」
「いや、待て!」
天の車のあった場所からの電光石火。
真ゲッターの真正面から、白いA.M.W.Sが体当たりしてきた。
「何っ!?」
吹っ飛ばされた真ゲッターは咄嗟にゲッターウイングを広げ、慣性を殺す。
追って接近してくる白いA.M.W.Sは、真ゲッターとほぼ同じ大きさで、背中のノズルが羽のように伸びていた。
「何モンだ、てめえ!?」
トマホークを構えて竜馬が怒鳴った。
「せっかくの見世物を簡単に壊してくれたんだ。楽しませてもらおうじゃないか!」
「見世物だぁ?」
「そうだ。どいつもこいつも脆すぎるのさ。儚く壊れて同情を引くぐらいしかできない。
花火のようにな!」
白いA.M.W.Sは脚部の後ろから小さなデバイス――エアッド――を射出すると、四方八方に向けてビームを放った。
「!?」
それはゲッターに向けてではなく、近寄ってきたグノーシスと、こちらに気づいたA.M.W.Sに向けてだった。
「さあ、おまえはどうだ? この俺に、終わりのない充足感をもたらしてくれるのか?」
「ふざけんなあああああ!!」
曙光を見つめ続けていたケイオスは、今度は真ゲッターが戦闘をしている宙域へと視線を向けた。
(こっちでもアニマの器が起動している……! しかも戦闘状態で……。
これは、E.Sシメオン! 誰がシメオンを動かしているの!?)
竜馬はトマホークを振りかぶり、シメオンに斬りかかった。
だが、避けられる。
「何っ!?」
戻ってきたエアッドが、真ゲッターに四方からビームを浴びせた。ゲッター線シールドに覆われている真ゲッターはこの程度ではびくともしない。
竜馬はビームに当たるのも気にせず、真っ直ぐシメオンに突っ込む。
シメオンは手首から取り出したビームサーベルで、振りおろされたトマホークの刃を受け止めた。
「ビームで止めた!?」
「ただのビームじゃなさそうだ」
「くるぞ!」
シメオンの背中のスラスターが一層強く輝く。竜馬はトマホークを引かせると、左腕のゲッターレザーでシメオンの胴体を薙ぎ払う。
「っく、思った以上に硬い!」
「いや、硬いんじゃない。通じてないんだ!」
『どうやらU.M.Nに干渉している見たいねぇん』
「U.M.Nに干渉だと?」
『つまりぃ、U.M.Nはこの星団の空間そのものであると共にデータベースでもあるからぁん、データベースにアクセスして、今の打撃を改竄しちゃって、なかったことにしてるのよぉん』
「なんてやっかいな奴だ……」
舌打ちする弁慶に竜馬が怒鳴る。
「ンなカンニングみてーな手ぇ使うやつに、ゲッターが負けるわけねーだろ!!」
振りかぶられたビームサーベルに、真正面からトマホークをぶち当てる。緑と黄色の光が飛び散る。
「うう……おりゃあああああ!!!」
真ゲッターが押し切った。ビームサーベルの中をトマホークの刃が突き進み、シメオンの胴体にぶち当たる。裂けた装甲のエネルギーシールドの中、水色の髪のモモと白髪のガイナンの姿が見えた。
「モモ!?」
「いや、量産型の百式だ」
思わず目を見張る竜馬の目の前で、恐怖で固まった表情の百式観測レアリエンが、きゅぽんと、A.M.W.Sのモニターに吸い込まれた。
「!?」
驚く竜馬達の目の前で、裂けた装甲の内側から、モニターの光だけで浮かび上がるガイナンが嗤う。
「ふ、ふはははは……うひゃははははは……!
知っているのか、ペシェを! あの花一輪に、最後の養分が捧げられた! あひゃははははは……!」
「この笑い方、エンセフェロンで見たあの子供か!?」
「おまえ、モモちゃんに何をする気だ!?」
「罪<ペシェ>は償うためにあるのさ。何、大して罪じゃない。
何しろ、女の胎すら経ていない身軽な魂なんだからな!
あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ……!!!」
背中のスラスターを全開にし、蝶のようにエネルギーの残像を広げながら、シメオンは第二ミルチアへと方向転換する。
「逃がすか!
オープンゲット!」
「チェンジ! ゲッター2!!」
周囲で戦うA.M.W.Sも戦艦もグノーシスも関係なく体当たりで破壊していくシメオンを、ゲッター2が追う。
シメオンの肩をゲッター2の左手のアームが掴んでひしゃげさせるのに、5秒もかからなかった。
「E.Sに追いつくだと? アニマの器もないくせにか!」
「何の容器だか知らんが、こっちの邪魔をするなら叩き潰すまでだ!」
ゲッター2がシメオンの腹にドリルを突き立てる。
「くくっ、掴んでからの攻撃に時間がかかりすぎているぞ?」
白いガイナンが嗤う。確かにドリルの先端は一向に金属を突き破らない。
「また物理事象面に干渉したか!」
「いくらエネルギーがあろうとも、法則を手に入れられなければ意味がない!
上の次元に行くのは俺だ! あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ……!!」
「ンな法則なんざ知ったことか!」
シメオンがエアッドを射出する。
「オープンゲット!」
四方八方から放たれたレーザーを分離して避け、竜馬は再び合体レバーを押し込んだ。
「チェーーーンジ!! ゲッターーーーーァゥワン!!」