短編.
>I CAN’T SEE IT.<
いつだってそれはいた。
いつだってそれは見ていた。
いつだってそれはいなかった。
いつだってそれは見ていなかった。
究極の点は私を見ていた。
螺旋の様に連なる幾何学的模様一つ一つが、連なる世界を形作っている。
それらは、人々の思考から吐き捨てられた構造体。
次元のはざま。
基底世界から連なっていく、永遠の構造。
それらは「フィルターフィズム」と呼称されている。
フィルターフィズムは無限に存在し、それぞれがより高い世界へと昇るように形を作り上げている。
もっとも基底のフィルターフィズムすらも、のぞいてみればそこにあるのは現実と何ら変わりない巨大で不可思議な宇宙。
ただ一つ違うのは、それらは上位のフィルターフィズムの単なる「妄想」でしかないこと。
原点である人間はよく「妄想」を行うが、それと同義である。
一つ上のフィルターフィズムは、一つ下のフィルターフィズムに対して、ただ画面に書き連ねられた文章のように見ることができるだろう。
我々が文を書くように、それらを自由に消去し、破壊し、作ることができるだろう。
下のフィルターフィズムにいる生命からすれば、ある日突然世界の法則が変わり、風船が破裂するかの如く消えてしまうようなものだ。
何を起こすかすら操作された、巨大なサンドボックスゲームのようなものなのだ。