YOU
私は世界に絶望した。
宇宙は裂け、時間は機能せず。
愚かな生物は等しく穢れた世界を捨て去った。
この世に生ける生命は私を除いて消え去った。
もうよい。
くだらないこの世界に、詩をもって終わりをもたらそう。
4の詩を用いた儀式にて、その王を表そう*1。
この砕けた世界を読む詩とともに。
1の詩
ある時世界は無限に増加した。
一つ一つは裂け目を作り、一つの並行世界を作り出した。
それらは木の枝のように分かれ、1から10へ、10から100へ、100から1000へ...そして無限へと世界が分岐した。
無限の並行世界が生み出され、それらには等しく力がもたらされた。
それらの並行世界は、上へ上へと続いていた。
例えば、一つの世界を覗いてみよう。
我々の住む世界は、基本的に3つの軸から構成された3次元の空間である。
1次元は点~線、2次元は面、3次元は立体。
そのようになっている。
4次元は3次元とその下の次元を等しく0と同列に扱える。
それは、人々がパソコンや画面を操作し、自由にプログラミングを行い、シュミレーションをするように。
4次元もまた、3次元をただのゲームやデータ情報の一つと見れる。
4次元の存在Aがいる。
その存在は、矛盾について実際に立証するため、究極の矛と盾を3次元でぶつけ合わせた。
それらは究極の矛盾による反応を起こし、理解不能なエネルギーを起こし。
新たな世界を作り出した。
それを面白がった存在Aは、その世界を「宇宙」と名付け、自らの手でシュミレーション、「進化」をさせた。
多数の物理法則を生み出し、宇宙の存在を持続させることに成功した。
それだけで飽き足らなかった存在Aは、知能のある生命を誕生させた。
...今いる宇宙が、我々が壮大だと思っている宇宙があるのは。ただの4次元の、特別でもない一体のナニカが気まぐれで作り出した実験的宇宙の一つだった。それだけである。
宇宙の誕生も、上のものからすれば「ゲームでまぁまぁ大きなイベントが起こった」というレベルの認識なのである。
上の存在からしたら、下の次元の世界など「ただのシュミレーションされたゲームワールド」にすぎない。ただ、そこにまるでサンドボックスゲームかのごとく、自由に事象を書き足せる。
存在Aは昔、人類で言う6600万年前に、間違えて隕石を地球におとしてしまった。それが恐竜の大絶滅につながった。
そう、この宇宙なんて、存在Aの気まぐれやちょびっとなミスで滅びる。
滅びたらまた作ればいい、という、本当の意味で「使い捨ての世界」。それが、上の存在から見た、我々の世界なのである。
だが、我々を作り出した上の存在もまた、誰かに作られたものだとしたら?
これこそ「箱の外の箱構造」。またの名を「アウトボックス」
我々の宇宙を作った物が上、上位次元にいて、それらを作った物がまたさらに上の次元にいる。
これが無限に繰り返される。
箱の外の箱の外の箱の外の...という、無限の重ね掛け構造になっている。
それらの構造の繰り返しは決して、ℵ数やβ数、巨大基数を含めたいかなる数でも表現することはできぬほど繰り返されている。
そして、それらの箱の構造の外にいるのが「モジュール」と呼ばれる存在群。
モジュールは、世界の規則を正す存在であり、無数のアウトボックスにより構成された星屑の庭に定在している。
星屑の座はアウトボックスそのものを完全に超越している。
アウトボックス自体が「無限の次元の集合体」であるために、星屑の座は、実質「次元と言う概念そのものを超えた場所」とされている。
アウトボックスは稀に「崩壊の兆候」を見せる。
これは、内部での限界を超えた生成、それこそ存在Aが行っていた「宇宙の生成」などの過度な生成を大量に行った結果、アウトボックスが容量を内包しきれずに崩れてしまうという事象。
これは、その周囲のアウトボックスにも影響を及ぼしてしまう。崩れるときに発生する爆発エネルギーが、付近のアウトボックス数百個を吹き飛ばすほどの火力を秘めているからである。
モジュールはエネルギーを抑えるために、定期的にそのアウトボックスのエネルギーを「捕食」し、崩壊を抑えている。
ただ、モジュールも時たま暴走し、そのたびに強力なエネルギーを吐き散らす。
例えばモジュールの一体である「ヴィトウィーン」は、過去にオールスターエネルギーと呼ばれるエネルギーを吐き出し、数億のアウトボックスを消し去った。これは、その時に起きた強力な光から「極光消滅事変」と呼ばれている。
ただし、他のモジュールたちもそれらと等しい力を持っていることを、忘れてはならない。
「アルマダ」「ロザリス」「アルヴェ―テ」は時空改変と呼ばれる事象を発生させ、それぞれが100億以上のアウトボックスを消滅させた。
「インヴィゲート」「エンストラッパー」「シリウス」は3体がぶつかり合ったときに500億のアウトボックスが余波に巻き込まれ修復不可能の大損害を負い。
「オブリグレステート」に至っては、無限のアウトボックスに対して超重子エネルギーと呼ばれるものを利用して全て破壊したという過去がある。
つまり、モジュールたちもかなりやらかしている。
この1の詩はこれらをせつめいしたが、これで全てではない。
詩は後3つある。
世界はまだ終わっていない。