TALE-「音の罪滅ぼし」

Last-modified: 2024-10-20 (日) 23:25:16

始まるよ。

...まただ。
また一つ世界が消えた。
いつも間に合わない。
   の奏でる音はいつも。
壊れる。
途切れてしまう。
ノイズが起きる。
そのせいで、世界は壊れる。
ノイズで乱れ、最後にはプツッと途切れる。
何度経験してきただろう。
ノイズのように世界の音が途切れる。
そのたびに憤り、悲しくなる。
なぜなのだろう?
...
分かった。
私は甘かった。
音で世界を作れると思っていた。
ただの、いい音だけで。
必要なのはノイズだった。
ノイズ、騒音、邪音、不協和音。ノイズ、騒音、邪音、不協和音。
それらが必要だった。
崩れてしまうのなら、最初から崩せばいい。
崩れてしまえ。
































































私は全てを破壊した。
...
何も残っていない。
空っぽな世界。
音も空間も文字も音符も何もない。
暗い世界。
暗い。くらい。クライ。
...
これが   の望んだことか?
これが...   がやりたかったことか?
ノイズ...
   がすがれるものは、これだけだった。
今や、それすらない。
独りぼっちだ。
   に仲間はいない。
   を受け入れる世界はない。
そこが開いている空っぽの器のようなものだ。
受け入れようとする存在も、受け入れたいと願う気持ちも。
全てすっと通り抜けて消えていく。
すがれるものはない。
...
ただ一つ。
新たにすべてを作り出す以外には。
罪を受け入れ、全てを戻せば。
私は元の世界に戻れる。
...
本当にそうか?
罪は罪。
そこに何の虚偽もない。
罪滅ぼしなどと言う戯言を吐き散らして、ただ全て戻して。
それでいいはずがない。
また、あの世界に逆戻りだ。
そんな結末、もうたくさんだ。
「よくぞ言った。」
...
誰かの声が聞こえた。
誰もいないはずなのに。
もう、全て壊してしまったはずなのに。
「...話でもしようか。」
ああ、そうだった。
一人だけ、そんな破壊というレベルじゃない奴がいたな。
ENTITY-TIMES「ミュージシャン君よ。」