ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は歯に「ブラケット」という装置を取り付け、そこにワイヤーを通して少しずつ
歯を動かしていく最もスタンダードな矯正法です。ブラケットには金属の物以外にも、透明の
プラスチックやセラミックで出来たものもあり、それらの材質を使用することで、かなり目立
ちにくくなります。
ワイヤー矯正の長所
- 最も多く行われている矯正法なので、十分な実績がある。
- 治療期間が比較的短くなる。
ワイヤー矯正の短所
- 見た目が気になる。(金属以外の材質を使用することにより、目立ちにくくすることは出来る)
- 矯正中は虫歯が出来やすくなるため、注意深く歯のケアを行う必要がある。
- 歯根吸収(歯の根っこが溶けること)が起こる場合があり、重度の場合は矯正治療の中止や、
歯の連結・固定が必要になる場合がある。
舌側矯正
舌側矯正とは、矯正装置をワイヤー矯正の場合とは異なり全て歯の裏側に取り付けます。
舌側矯正の長所
- 装置を全て歯の裏側につけるので、表からは装着していることがほとんど分からない。
舌側矯正の短所
- 歯の裏側にあるので、違和感が強い。
- 治療期間が比較的長くなる傾向にある。
- 歯をきれいに並べることが、技術的に難しくなる。
- 治療費が高い(通常矯正の約1.5倍の約100~150万円)
- 矯正中は虫歯ができやすくなるため、注意深く歯のケアを行う必要がある。
- 歯根吸収(歯の根っこが溶けること)が起こる場合があり、重度の場合は
矯正治療の中止や、歯の連結・固定が必要になる場合がある。
インプラント矯正
インプラント矯正とは、まだ新しい方法ですが、インプラント(またはミニインプラント)を
固定源として使用することによって歯を確実に移動させて行う矯正方法です。インプラント
矯正は、舌側矯正と同時に行われる場合もあります。
インプラント矯正の長所
- 治療期間が大幅に短縮出来る。(ケースによっては、通常の半分程度になることがある)
- インプラントを固定源とするので、良い治療結果が得られやすい。
インプラント矯正の短所
- インプラントの為の手術が必要。(但しミニインプラントの場合は5分程度)
- 治療費が高くなる。
- インプラント治療はまだ新しい方法のため、行っている歯科医院が少ない。
- 矯正中は虫歯が出できやすくなるため、注意深く歯のケアを行う必要がある。
- 歯根吸収(歯の根っこが溶けること)が起こる場合があり、重度の場合は
矯正治療の中止や、歯の連結・固定が必要になる場合がある。
クイック矯正(補てつ矯正)
クイック矯正(補てつ矯正)とは、ラミネートベニアやクラウンなどの人工の歯(補てつ物)を
使用することによって、2週間程度で歯並びを良くする方法です。「矯正」の名は付いてい
ますが、実際に歯を動かすわけではないので、厳密には矯正法とは呼べないかも知れません。
クイック矯正の長所
- 通常何年もかかる矯正が、2週間から1ヶ月程度で終わる。
- 歯を白くすることもできる。
クイック矯正の短所
- 歯の位置や形を変えられる量には限界がある。
- クラウン(かぶせ物)を使用する場合には、健康な歯髄を取ってしまうことがある。
- ラミネートベニアがはがれたり、クラウンが割れたりするようなトラブルが起こることがある。
- 全体的なかみ合わせの改善はできない。
- 虫歯、根の病気などによりトラブルが出てきた場合には、作り直しが必要になる。
- 将来的に歯茎が下がり、人工の歯と天然の歯の境目が目立ってきて見た目が悪くなって
しまうことがある。
ダイレクトボンディング法
ダイレクトボンディング法とは、お口の中で歯科用レジン(プラスチック)を直接歯に
盛り足して、歯の形態や色を回復させる治療法です。主に歯が欠けてしまった場合や、
すきっ歯を治す場合に適用されます。
ダイレクトボンディング法の長所
- ほとんどの場合、健康な歯を削らない。
- 1~2日で治療が終わる。
- 硬すぎないため、周囲の歯を痛めにくい。
- 欠けたり割れたりした場合でも、修理が比較的簡単。
- 他のセラミック治療(セラミッククラウン、ラミネートベニア)などに比べて安価。
ダイレクトボンディング法の短所
- 仕上がりが歯科医師のテクニックによって大きく左右される。
- プラスチックの為、将来的には変色する可能性もある。(但し修理は可能)
- かみ合わせが強い時などには、欠けたり割れたりすることがある。
外科矯正
外科矯正とは、通常の矯正だけでは充分な治療結果が期待できない場合にあご骨を
外科的に手術で切って動かす矯正方法です。
外科矯正の長所
- 通常の矯正では治療できないような難しいケースの場合でも治療が可能。
- 通常の矯正よりも大きな治療効果が期待できる。
- 治療期間が短縮できる場合がある。
- 保険が適用可能になる場合がある。
外科矯正の短所
- 本格的な手術が必要。(手術は全身麻酔、入院期間は多くの場合2週間~3週間程度)
- 手術後に腫れや麻痺が出たり、鼻の変形などが起こる可能性がある。
- 手術後、顔が腫れる。(術後3~5日後がピークで、完全に引くまで1ヶ月から半年程)
- 大学病院や、一部の専門的な歯科医院でしか行われていない。
小児矯正(子供の歯列矯正)
小児矯正とは、子供の時期に行う矯正治療のことです。
歯列矯正は大人になってからでも可能ですが、子供のあご骨はまだ成長段階にあるので、
ある程度あごの成長をコントロールしながら矯正を行うことが出来るので、理想的な治療
を行うことが出来る場合があります。子供の矯正は、あごの骨が成長する6歳~14歳までの
間に行うと有効だと言われています。
小児矯正の長所
- 大人になってから矯正を行う必要がなくなる場合がある。(大人になってから再度矯正
治療が必要となる場合でも、治療期間が短くなる) - あごの成長をある程度コントロールできるので、良い治療結果が得られやすい。
- 矯正で歯を抜く確率が低くなる。
- 矯正期間中に歯医者に通う回数が多くなり、その間に効率的な虫歯予防を行える。
小児矯正の短所
- あご骨の成長が終わる15歳前後まで経過観察の必要があるので、矯正期間が長くなる。
- 矯正期間中、一時的に見た目が悪くなる。
- 大人になってから再度矯正が必要になる場合がある。
- 小児の患者本人が協力的でない場合には、良い治療結果がでにくくなる
- 矯正中は虫歯ができやすくなるため、注意深く歯のケアを行う必要がある。
- 歯根吸収(歯の根っこが溶けること)が起こる場合があり、重度の場合は
矯正治療の中止や、歯の連結・固定が必要になる場合がある。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、「アライナー」という透明のマウスピースを使用する方法で、
約2週間毎に新しいアライナーに交換しながら一日20時間以上装着し、歯を徐々に移動
させます。また、ワイヤー矯正と併用する場合もあります。
マウスピース矯正の長所
- あらゆる矯正法の中でも最も目立たない。
- マウスピースは取り外し式なので清潔。
マウスピース矯正の短所
- 歯を抜かなくて済むような、比較的簡単な矯正にしか使用できない。
- ほとんど1日中マウスピースを装着している必要がある。
- 歯根吸収(歯の根っこが溶けること)が起こる場合があり、重度の場合は
矯正治療の中止や、歯の連結・固定が必要になる場合がある。