カヴェルナ 洞窟の農夫たち

Last-modified: 2015-12-04 (金) 09:10:11

1. カヴェルナ:洞窟の農夫たちとは

  1~7人 人数×30分
   独特の重厚ゲームで有名なウヴェ・ローゼンベルクの収穫系ボードゲームといわれた、「祈り、働け」、「アグリコラ」、「洛陽の門にて」、「ル・アーブル」の四作の後継作品です。これまでの四作と比べても圧倒的なコンポーネントの量で(配送時重量は3.8kg)、このゲームを初めて開けた人には若干疎く思われる作品かもしれません。

2. 「アグリコラ」との差

  本作「カヴェルナ」は、BGGのランキングで発売以来常に高順位を維持してきた「アグリコラ」の本質的なルールを継承しており、説明書でも「アグリコラ」のルールを知っている人は読まなくて良い部分がルール全体の半分を占めるほど、両者には多くの共通点があります。
  しかしながら、アグリコラでは地上15マスだった各自に渡されるボードが、カヴェルナでは地上12マス、地下12マスの24マスとなり、また新たに人員を「武装」させ「探索」というアクションが追加されたことにより、アグリコラの「全プレイヤーがとりあえず人を5人まで増やす」という流れが変わり、よりプレイヤー毎に自由な展開を楽しむことが出来るなど、アグリコラよりも進化した点も多く見られます。
  そのなかでも両者の最大の違いは、アグリコラに160枚以上あったカードが全て全プレイヤーに公開の約50ほどの「部屋」として集約された事です。これによって、ある程度カード内容を把握していなければゲームを形にすることが難しかった点が解消され、開始時から終了時までの見通しを立てやすくなり、結果としてより収穫系ボードゲーム初心者にとって優しいものとなったように思われます。

3.基本的なルール

  場の中央に置かれた全員共通のアクション(一度置かれたものはそのラウンドは他のプレイヤーは置けない)を各自の手持ちの人(ドワーフ)の数だけ行う→畑から野菜・小麦を収穫する→各自ドワーフの数に応じた食料を払う→2頭以上いる種類の家畜を繁殖させる を12ラウンド(1・2人の場合は11ラウンド)繰り返す

4. 戦略概観

  アグリコラのように全員が同じような戦略を取るのではなく、それぞれの考えに応じた幅広い戦略を取ることの出来るゲームです。大きく分けて2つの戦略が考えられます。

  • 非武装戦略
     人員(ドワーフ)を全く武装させず、人数自体を増やすことで発展を目指す戦略。
     発展ペースが基本的に開始から終了まで一貫して安定していることが特徴で、基本的には地上部分の開墾と畑に小麦・野菜を撒くことによる食料確保が前半の課題で洞窟の開発は後になりがちになります。目に見えて手持ちの食料が増え、見通しも立ちやすいので初心者にとって挑みやすい戦略と考えられます。
  • 武装戦略
     資材(鉄鉱石)を集め、「鍛冶工」アクションによって武器を作りそれを人員に装備させることで、「探索」を行い戦利品として資材、動物などを直接手に入れることで、少ない人員で行動を圧縮する戦略。
     発展ペースについては、前半は余剰の品など全くなくそのラウンド食いつなぐことが精一杯のジリ貧状態ですが、後半は信じられない速度で発展することが可能です。(ちなみに筆者は武装戦略で挑んだ時、最終1ラウンドのだけで動物を13匹殖やしたこともあります)
     基本的に序盤に武器を作るために、鉄鉱石の回収→鍛冶工で少なくとも2アクション消費するので、武装した人員が探索をせず通常アクション(戦利品のつかないアクション:人を増やす、地上・洞窟の開発など基本アクション)をしてしまうと最初に2アクション消費した分普通の人以下の働きになってしまいます。しかし、そもそも序盤はこのような基本アクションをいかに効率的に行うかが勝敗の分かれ目となることが多く、このようなアクションを行いにくい武装戦略には、極めて高い技術性と練りこまれた計画とが必要となります。
     しかし、一度形として完成させてしまえば持続性が極めて強いため、特に派手な戦い方を好む人に向いている戦略と考えられます。

5. その他

  前述のようにコンポーネントが異常に多いゲームのため、毎回セットアップが大変ですが、釣具ケースなどに収めることで、きれいに収納し簡単にゲームを開始することができます。個人的には、「カインズホーム」のセパレートケース(大)がおすすめです。