工具の表面の状態の一つ。梨地肌、梨地仕上げなどとも呼ばれる。
鏡面仕上げとは異なり、ザラザラとした表面が特徴。ヨーロッパ工具に多いとされる。
表面がザラザラしている工具全てが「梨地仕上げ」という特別な仕上げ工程を施されたものであると思われている節があるが、誤解である。詳細は以下に述べる。工具の製造工程?と合わせて参照されたし。
製造工程
工具の表面を梨地に仕上げるには、次のような方法がある。
- 材料表面にショットブラストを入念にあて、ザラザラの表面を形成した後にめっきを施す。
- 材料表面の磨き工程を省略し、鍛造後の表面状態を残したままめっきを施す。
- 特殊な電解液を使用し、めっき時にザラザラの表面を形成する。
工具は一般に以下の工程により製造される。
- 材料切断
- 鍛造
- 機械加工
- 熱処理
- 表面処理
鍛造(熱間鍛造)を行うと、材料の表面にスケールが付着する。スケールが付いたままでは後の工程に不具合が生じるため、材料をショットブラストにかけ、スケールを除去する。
この際、材料の表面にショットブラストの跡が付き、梨地より荒いザラザラとした表面になる。このときの表面の状態を鍛造肌と呼ぶ。
また、熱処理を行った後にも材料表面にスケールが付着する場合があるため、ショットブラストにかける。
このとき、通常のスケール除去作業としてではなく、表面処理の一工程として念入りに行うと、ザラザラの度合いが細かい美しい表面に仕上がる。
メーカー、製品によっては、鍛造肌からさほど表面状態の改善をせず、鍛造肌に近い状態のままめっきを行い、商品として完成・出荷されるものもある。
この場合、ヨーロッパ工具のような、きめ細かい梨地肌とは大きく異なる仕上がりとなる。