カメラ!カメラ!カメラ! (52-28)

Last-modified: 2007-06-26 (火) 22:27:04

概要

作品名作者発表日保管日
カメラ!カメラ!カメラ!52-28氏、33氏、35氏07/06/2607/06/26

作品

梅雨の晴れ間、ある日のこと。
放課後、俺は掃除当番を適当にやっつけ、文芸部室に向かっていた。
気温も湿度も高く、不快指数はうなぎの滝登りのように上昇しているが、
まだ衣替えではないので、ジャケットを着なくてはならん。
古臭いドアをノックする。
この時間なら朝比奈さんの着替えも終わっているはずだし、
少なくとも先に行ったハルヒはいるだろうが、
なんとなく習慣になっているんだな。
「ど、どうぞ~」
ちょっと慌てた朝比奈ボイス。なんだろうと思いつつドアを開ける。
すると突然、パシャっ!という音とともに視界がホワイトアウトした。
なんだ!?
・・・目を開くと、カメラを腰だめに装備したハルヒが立っていた。
鬼の首をカメラで撮ったかのような得意満面の笑み。
「遅いわよ、キョン!」
今のはフラッシュか。子供みたいないたずらをするなよ。
しかし、いつからここは光画部になったんだ?
「家にあったのを借りてきたのよ。どう、かっこいいでしょ!」
そういって、アイドルのデート現場を押さえた
パパラッチのごとく構えてみせる。
それはコンパクトデジカメなどではなく、
ごついレンズのついた本格的な一眼レフだ。
カメラにはまったく造詣のない俺だが、
最近流行りのデジタル一眼というやつだろうことがわかった。
なんだ、心霊写真でも撮りに行くのか?
「それもいいわね!
でも今回は違うの。団員のみんなを撮ってあげるわ!」
ほう、今回は珍しく不思議系は無しか。
もっともこいつだったら撮った写真すべてに
幽霊さんがコンニチハしている可能性も否定できないが、
心霊写真くらいだったら実害があるわけでもないし、まあいいか。
 
「いい!いいわよ、みくるちゃん!かわいいわ!食べちゃいたいくらいよ!」
文芸部室で朝比奈さんの撮影会が始まった。
撮影会といっても撮っているのはハルヒ一人だが。
俺はハルヒの言いつけでレフ板係をやらされている。
いつだったかのエロ画像撮影とは異なり、
今回はグラビアとか宣材撮影とかといった感じだ。
これなら黙って見ていられる。
レフ板を掲げつつも、朝比奈さんの御姿を
網膜に焼き付ける作業に没頭するとしよう。
「こ、こうですかぁ?」
朝比奈さんはメイド姿で立ちポーズ。
大きく膨らんだスカートの端っこをちょんとつまんで、
かわいらしく首をかしげる。
植えたばかりのヘチマの種でさえ
すぐに葉っぱを出して実を成してしまいそうな、
暖かな笑顔を振りまいてらっしゃる。
うん、いいね。この写真は隙があれば例のフォルダに写すとしよう。
 
「有希は普通に本を読んでいてくれれば良いからね!」
「・・・そう」
好きにしてくれとばかりにまったくマイペースの長門。
それとも役割を心得ているのか。
いつも通りに高速でページをめくっていく。
・・・何と言うか、インターハイ文芸部員選手権があったら
ダントツ優勝間違いなしの読書っぷりだ。
朝比奈さんとはまた違った趣があって、これはこれで良い。
 
古泉については省略だ。誰も聞きたかないだろう。
ただハルヒ、古泉をあんまり褒めるなよな。調子に乗るぞ。
「おや、やきもちですか?」
ふん、くだらん。
 
「次はキョン!あんたよ!」
・・・俺も撮るのか。仕方がないな。
ワイシャツのボタンを外し始める。
「ちょっ・・・ちょっと待って、なに脱いでんのよ!このエロキョン!!」
真っ赤な顔でわたわたするハルヒ。
そんなに興奮するなよ、冗談に決まっているだろう。
「・・・興奮って、馬鹿!興奮なんかしてないわよ!
さっさとポーズ取りなさい!」
へいへい。
 
何枚か撮ったところで、ハルヒが妙に芝居がかった口調で言った。
「どーーーぉもつまらないのよね~!なんなのかしら。
華がないって言うの?
ファインダーから”やれやれ”ってせりふが聞こえてきそうよ!」
人のこと捕まえて、えらい言い様である。
俺でなかったらキレてるかも知れず、
もしキレても止むを得ない言い草だが、それがハルヒというものだ。
あきらめもついてるさ。
それに他の4人の団員に比べたら、
超常的プロフィールにおいてだけでなく、
ルックスにおいても俺は全く平凡であることは自覚しているつもりだ。
「そうだ!古泉君、カメラお願い!」
何をするつもりかと思ったらハルヒは撮影側から被写体側に転身した。
要するに俺の隣に来た。
顔は怒りながら口だけ笑った、いつもの器用な表情だ。
「団長たるあたしも一緒に映ってあげるわ!」
体をくの字にして、声をあげずに笑う古泉。何がおかしい。
「ほら、キョン!そんなしかめっ面してないで、笑いなさいよ!」
ハルヒと俺はカメラに向かってさまざまなポーズを決め、
カメラを持つとなんか胡散臭さ倍増の古泉は
軽快にシャッターを切っていった。
 
そのうち、古泉が調子に乗ってこんな指示をしてきやがった。
「涼宮さん、腕組んでみましょうか!」
「そ、そう?仕方がないわね!
キョン、勘違いするんじゃないわよ。撮影のためにするんだからね!」
その写真だってお前が言い出したんだろうが。
俺の腕に嬉々として飛びついてくるハルヒ。
何でそんなにノリノリなんだ?
それはともかく、むにゅりと。
ハルヒがしがみついてきた腕にビミョーに非日常系な感触がある。
改めて指摘するとまたエロキョン呼ばわりされること必至なので、
何とか身をよじってハルヒを遠ざけようとするが、
あのでたらめな怪力でがっちりとロックされているためそれもできず、
その間も古泉はシャッターを切りまくり、
俺とハルヒはお互い真っ赤になりながら、
わけのわからないハイテンションに支配されていた。
 
「キョンは写真をパソコンにコピーしといて。
メモリーカードは消去しちゃだめよ!家にも持って帰るんだから!」
ハルヒは予備のメモリーカードをデジカメに挿入すると、
朝比奈さんと長門をつれて部屋を飛び出していった。ロケハンだろうか。
俺も追いかけようかとも思ったが、精神的に疲れたからやめておこう。
メモリーカードをカードリーダーに挿し、パソコンに転送する。
ざっと見た限りでは、幸いにも心霊写真はないようだ。
先ほどまでの熱が冷め、部屋はすっかり静かになった。
古泉がパイプいすを俺の座っている団長いすの隣に持ってきて、
腰を下ろした。一緒に見るか?
「さて、涼宮さんはあなたの写真を持って帰って
どこに飾るのでしょうかね?」
持って帰るのは俺の写真だけじゃない。お前のだってあるんだぜ?
古泉はアメリカの学園ドラマを真似する若手芸人のような仕草で
大げさに首を振ると、続けた。
「涼宮さんがカメラを持ってきたのは、
あなたと二人きりの写真を撮るためかもしれませんよ。
霊魂の写っている写真は一枚もないようですし・・・
なにしろほら、こんなにいい顔をされているんですよ?」
俺とハルヒが写った写真をプレビューすると、
ハルヒは確かに良い顔をしていた。
クラスで見せる笑顔に比べ、
火薬の量50%アップは間違いないダイナマイトスマイルだ。
だが、俺とツーショットを取りたいなんて、そりゃないね。
単なる気まぐれだろ。
古泉はまたも微苦笑しながら首を振った。
「涼宮さんが一番の笑顔を見せるのは、あなたの隣にいるときだけですよ。
彼女一人では、こんな顔はできません。・・・それに、あなたもね。」
何か言い返してやろうかと思ったが、まぁ、いい。
写真の中の俺はというと・・・
ハルヒと二人のときの俺はこんな顔をしているのか。
思ったより悪くない、
というか俺一人の写真より明らかにいい顔をしていると言える。
「案外、枕元にでも飾ってくれるかもしれませんよ?」
言ってろ。ハルヒがそんな乙女ちっくなことをするものか。
せいぜいが落書きをする程度だろうさ。
 
・・・しかし、あいつだけが俺の写真を持っている
というのも釈然としないし、
俺もいくつか持って帰ってやるか。
ただなんとなく、なんだ。
なんだか不公平な感じがするから持って帰るだけ。
他意はないんだぞ?
俺はディスプレイの中の、笑顔のハルヒに言い訳をした。

スレの流れ

実はその写真はハルにゃんの家の神棚とかご先祖たちの写真の横に並べられてるかも試練ぞ
するとしばらく経ったら写真にご先祖達の影がハルキョンの後ろで集合してピース

 

眺め続けてしばらくしたら
ハルヒ「動きだしたりしないかしら」
とか思いだして夜中ハルヒが寝た後に写真内でいちゃつくんだな

 

その後ハルヒは2人で写ってる写真をキョンに渡し、「部屋に飾るか、定期にでも入れておきなさい」
と言うんだろうな。

派生作品