リレー「ハルヒファクトリー ニュー牧場物語」 (125-843)

Last-modified: 2010-04-09 (金) 21:49:49

概要

作品名作者発表日保管日
リレー小説「ハルヒファクトリー ニュー牧場物語」125-843氏、902氏、932氏、945氏、126-31氏、34氏、88氏、227氏10/03/3110/04/16

 
※リレーSSです。現在も進行中……

プロローグ (843氏)

おねえさん「こらこらキミ!ここは先日亡くなった、じいさんの土地なんだよっ。
     勝手に入ってきちゃダメじゃないかっ!」
 
俺が荒れ果てた牧場に入ると、髪の長いおねえさんに叱られてしまった。
 
キョン「ああ、すみません。牧場主のおじいさんを訪ねてきたんですけど、
   亡くなったんですか?」
おねえさん「えっ、じいさんの知り合いかい?
     亡くなったことを知らなかったのかい?」
キョン「あ、はい……」
おねえさん「実は、半年前に亡くなってね。
     あたしがいろいろと整理してたんだけどね。
     本棚からじいさんの遺書が見つかったのさっ。
     遺書には、『キョンに牧場を任せる』と書いてあったんだよ。
     その人が現れるまで、この土地はあたしが管理するように
     父さんに言われてるのさっ」
キョン「あの、多分そのキョンっていうのは俺のことだと思います」
おねえさん「えっ、キミがキョンくんかいっ?」
キョン「本名じゃないんですけど。
   俺はなぜかみんなからキョンって呼ばれてます」
おねえさん「確かに、そういう感じがするねっ」
キョン「どういう感じですか」
おねえさん「よかったら、知り合いになったキッカケを教えてくれるかいっ?」
キョン「俺が小さい頃、両親に連れられてこの街に遊びにきたことが合ったんですよ。
   でも俺、着いてすぐに迷子になっちゃって……」
 
──
 
 じいさん「おや、そこで泣いているのは誰だい?
     なんと、迷子になってしまったのか。かわいそうに…
     おお、連絡先のフダを下げとるな。
     どれ、わしが連絡してきてやろう」
 
 「どうも、お手数をおかけしまして、申し訳ありません」
 「私たちは都会暮らしでして、息子に自然を見せてやりたいと思い、
  今回の旅行を計画したんですよ」
 じいさん「ほほう、なるほど。
     そうだ。よかったら、この牧場で何日か過ごされてはどうですか?」
 「ご迷惑ではないですか?」
 じいさん「わしには身内は一人もおりませんし、気兼ねする必要はないですよ」
 「よかったわね。キョン、思いっきり遊んでらっしゃい」
 
──
 
キョン「そして俺は牧場で動物と遊んだり、釣りしたり、虫取りしたりして
   しばらく遊んだんですよ」
おねえさん「ほほう。なるほどねえ」
 
──
 
 ???「い…
    ~い…
    お~い」
 キョン「!」
 同じくらいの年の女の子「あんまり静かだから、死んでるかと思ったわ」
 キョン「ん、なんだ?」
 女の子「あんたヒマそうね。」
 キョン「勝手に決めるな。」
 女の子「ちょうどいいわ。あたしもヒマなのよ。遊んであげるわ!
    感謝しなさい!」
 キョン(…なんだこいつ)
 女の子「黙っててもつまんないわよ。ほら、さっさと行くわよ!
    あんまり遅かったら罰金だからね!!」
 
──
 
キョン「…てなわけで、変な女の子に捕まって
   森や牧場を引っ張りまわされたのはさすがに疲れました」
おねえさん「へえ~。その女の子は何て言う名前なんだい?」
キョン「それが、覚えてないんですよ」
 
──
 
 じいさん「楽しかったかい?」
 キョン「うんっ!」
 じいさん「そうか、そうか。わしも孫が出来たみたいで楽しかったわい。
     ご両親がもう帰ると言っておるぞ。そろそろお別れじゃな。
     おお、そうだ。ボウズさえよければ文通でもせんか?」
 女の子「あれ?あんたもう行っちゃうの?
    あんたが帰ったら、ヒマになっちゃうじゃないの。
    …まあ、あたしももう少ししたら帰んなくちゃいけないんだけど。
    またどこかで会えるといいわね!」
 
──
おねえさん「じいさんと文通してたんだね。
     そういえば手紙の束を見つけたんだけど、
     プライバシーを詮索するのはさすがに気が引けたから
     中身はまだ見てないんだよねっ。
     そうか、あれは君からの手紙だったわけか」
キョン「それで、返事が来なくなったので心配になって来てみたんですが」
おねえさん「そっか。…キミになったら、この牧場を任せてもいいかもね。
     キミ、牧場をやる気はあるのかい?」
キョン「…そうですね。本当は家業を手伝おうかと思ってたんですが、
   あっちは俺が居なくてもなんとかなりますし。
   じいさんが俺に任せるって言うなら、やります!」
おねえさん「決まりだねっ!じゃあこの牧場はキョンくんに任せるよっ!」
キョン「はい!」
おねえさん「牧場の仕事は大変だけど、しっかりがんばって
     じいさんに負けない立派な牧場主になっとくれよっ!
     そうそう。あたしは町長の娘でツルヤって言うんだ。
     よろしくねっ、キョンくん!」
 
──翌朝
 
ツルヤ「やあやあキョンくん。おはよう」
キョン「ツルヤさん。おはようございます。
   こんなに朝早くどうしたんですか?」
ツルヤ「キョンくんはこの街に来たのは小さいとき以来だよね?
   あの道をまっすぐに行くと街があるから、
   街の人たちに挨拶をしておくといいよ、てことを伝えに来たのさっ!」
キョン「そうですね。わざわざありがとうございます!」
ツルヤ「今日からキョンくんもニシミヤタウンの一員だからねっ!
   みんなと仲良くやるんだよっ!」
キョン「はい」
 
 
クニキダ「いらっしゃいませ!あれ?見かけない顔だね」
キョン「俺、新しく牧場主になったキョンです。よろしく」
クニキダ「ああ、君がキョンくんか。道具屋のクニキダです。よろしく。
    年も同じくらいなんだし、敬語じゃなくてもいいよ」
 
ユキ「……あなたは健康。治療の必要はない」
キョン「あ、いや。具合が悪いわけじゃないんだ。挨拶に来たんです。
   俺、新しく牧場主になったキョンです。よろしく。
   …というか、一目見ただけで健康だと分かるんだ?」
ユキ「……私はどこにでもいるごく普通の
  対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。」
キョン「……はあ?」
ユキ「気にしなくていい。ただの妄言。
  この街の医者、ユキ。よろしく」
 
 
イツキ「教会へようこそ。あなたがキョンくんですね。
   私はこの街で神父を務めます、イツキです」
キョン「どうして知ってるんだ?」
イツキ「失礼ながらあなたのことをいろいろと調べさせてもらいました。
   でもご安心ください。あなたは、普通の人間です」
キョン「そりゃそうだろ」
イツキ「…冗談ですよ。ツルヤさんから新しい牧場主の話を聞いたんですよ」
キョン「冗談にしてももっと気の利いたことが言えないのか?」
 
 
タニグチ「ポケモンセンタータニグチです!
    ここではポケモンの体力を回復します!」
キョン「いや、体力回復じゃなくて、挨拶に来たんです。
   俺は新しく牧場主になったキョンです。よろしく」
タニグチ「…な~んだ、やっとお客第1号かと思ったら挨拶かよ」
キョン「ポケモン?なんだそりゃ」
タニグチ「何だよ!この街じゃどいつもこいつもポケモン知らねえのかよ!」
キョン「???」
タニグチ「ツラも平凡だし、お前とナンパしても成功率上がりそうもねえしなぁ」
キョン「なんだこいつ」
 
 
ミクル「いらっしゃいませぇ~」
キョン「えっと、俺は新しく牧場主になったキョンです」
ミクル「わぁ、あなたがキョンくんね。ツルヤさんから聞いてますよ。
   私はこのレストラン兼宿屋のミクルって言います。よろしくね」
???「ミクルちゃん、誰と話してるの?こんな中途半端な時間に客なんて珍しいわね」
 


リレー小説プロローグ終了。 次の方お願いします。

第1話「やって来るトラブル」 (902氏)

ミクル「あ、スズミヤさん。」
 
声がした方を見ると一人の女性が立っていた。
 
ミクル「今度新しい牧場主になったキョンくんです。わざわざ挨拶にきてくれたんですよ。」
キョン「ども。」
???「ふ~~ん。あんたがアノ牧場の新しい経営者?変な名前ね。」
キョン「名前じゃないんだけどな。『キョン』ってのはあだ名だ。何故か俺の周りの人間は
    本名じゃなくてあだ名で呼ぶんだよな。」
???「変わってるわね。」
キョン「そう言うあんたは?」
???「あたし?あたしの名前は『スズミヤ ハルヒ』。見ての通りよ!」
キョン「見ての通りって・・・外見から何を判断しろと・・・」
ハルヒ「そんなのインスピレーションでどうにかしなさい!!」
キョン「そんな無茶苦茶な。」
 
 
ミクル「ふぇ~~~スズミヤさんが普通にお喋りしてます~~」
 
 
見るとミクルさんが豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。
 
キョン「如何したんですか?ミクルさん。」
ミクル「あ、・・・えっと。スズミヤさんって男の人とあんまりお喋りしないから珍しくて~。」
ハルヒ「そうだったかしら?・・・ふむ。・・・まぁ変に話しやすいのは確かよね。なんでかしら??」
キョン「俺に聞かれても・・・スズミヤさんも此処で働いてるのか?」
ハルヒ「そうよ。」
ミクル「スズミヤさんは半年前から家に泊まりこみで働いてるんです。」
キョン「そうなんですか。・・・?泊りこみってスズミヤさんは自分の家は?」
ハルヒ「あたしはここの町の住人じゃないの。半年前にここに来たのよ。」
キョン「そうなのか?」
ハルヒ「まぁあたしも色々思うことがあってね。ちょっと旅をしてるって訳。」
キョン「しかし半年は長いな。」
ハルヒ「なぁ~んかこの町が妙に気に入っちゃったのよ。此処だったらあたしの探し物が見つかるような気がして・・・」
キョン「探し物?」
ミクル「ところでキョンくん、ご飯済まされました?未だでしたら食べて行きません?」
キョン「え?いいんですか?」
ハルヒ「折角だし食べて行きなさいよ!ミクルちゃんの料理は絶品よ!!」
キョン「じゃぁいただこうかな。」
 
コレが俺とハルヒのこの町での出会いであった。
この時は俺もハルヒも気にも留めていなかったが、この出会いにはちょっとした不思議が隠れていたのだ。
そして俺が牧場主となってから約1ヵ月が過ぎたある日の事。
俺の人生を180度ひっくり返すような事件が転がりこんできたのだ。
 
ピンポ~ン
 
キョン「ん?お客か?」
 
ピンポ~ン  ピンポ~ン
 
キョン「は~い。今出ますよ~っと。」
 
ピンポン ピンポン ピンポン
 
キョン「って、なんだなんだ!!?」
 
ピポピポピポピポピポピポピポピポピポ
 
キョン「だ~~~~!喧しい!!誰だ一体!!!」
ハルヒ「あ!キョン!?ねぇ今日から此処で働かせてくんない?」
 
その日から俺とハルヒの奇妙な同居生活が始まったのだ

第2話「なんやかんやで」 (932氏)

 
ハルヒ「キョンーご飯できたわよ早くしなさい~」
キョン「うぃ~」
 
何故かスズミヤさんと同居することになった訳だが、どうしてこうなったか、と言うとレストラン兼宿屋の経営者であるミクルさんが、とある理
由で一時実家に帰ってしまったわけで、しょうがなく此処に来たらしい…なんでそうなる。スズミヤさんが言うには
『なんとなく』らしい…
やれやれ
ハルヒ「さっさと食べて動物たちのとこに行くわよ」
キョン「へいへい~」
 
スズミヤさんはホントに良く働いてくれる、正直動物の扱いは俺よりはるかに上手であり、もはやどちらが牧場の主かわからない。
 
ハルヒ「こっち終わったわよ」
キョン「ハイよ、こっちももうすぐ終わりますから」
ハルヒ「お昼は買い物に行くからあんたも付き合いなさいよ」
キョン「へいへい」
 
スズミヤさんが此処で暮らすようになって二ヶ月くらいになるが、休みになるとよく二人で出かけることが多い…まあ~俺はただの荷
物持ちなのだが、皆さんが想ってるような甘い関係にはさっぱりならんわけですよ…え?ヘタレ?……正解
 
備考だがミクルさんはとっくの前に町に帰って来ている、なのに…
『此処気に入ったから当分居ることにしたわ、これからも、びしびしーいくからしっかり付いて来なさいよね…キョン』ニコニコ
何処が気に入ったのやら
ハァ~
ハルヒ「キョンー早くしなさい」
これから先、一体どうなるんだ

第3話「正式な雇用願い」 (945氏)

レストランで昼食を食いながら、俺はあることを話そうとした。2ヶ月以上も一緒に暮らしていて流されるまま生活していた
が、ここで整理しておきたいと思ったからだ。
 
「なあ、ちょっと整理したい。勢いに流されてここまできちまったが、何で俺の所に来たんだ?」
「え?だからみくるちゃんが・・・・」
「いや、そうじゃない。他にも行くところはたくさんあるはずだ。ちゃんと理由があるだろ?スズミヤさんが到底考えなしで
俺――男の家に突撃してくるとは思えん」
「まあツルヤさんのところにお世話になってもいいかなって思ったんだけどね。どうせなら働き口があるほうが・・・そんなと
こよ。クニキダの所には最近サカナカさんが入り浸ってるし、タニグチは論外だしコイズミくんの所にいたってはあたしは何
もすることが出来ないわ。あんたの所行く前に病院にも行ったんだけど、ユキは人手が足りてるって。モリさんやアラカワ
さんのベテラン医師が手を貸してるからね。それはキョンも知ってるでしょ?」
「ああ。だからお前はここに来たわけか。確かにお前がここに来てくれたおかげで助かってるがなぁ」
「何渋ってるのよ?今更迷惑だった、とか言わないでよね」
「いやそれは全く、迷惑だなんて全然思ってない。こっちは大助かりだ。俺が言いたいのは、あの・・・あれだ、さすがに2
ヶ月も一緒に働いてるから、正式に雇おうと思ってるんだ。だがアサヒナさんの件がある」
「ああ、みくるちゃんは安心して。なんか今度ここに来るときはもっと活気ある食堂にするから人をいっぱい連れてくるんだ
って。どうしたいかはスズミヤさんに任せますって言われたわ」
「そこは安心か。じゃあ話を戻すぞ。戸籍から言ってお前まだ無職だ。んで、いい年した女が無職で放蕩、しまいにゃ
どこの馬の骨とも知らぬ男と同居してるときた。俺はお前の両親に合わす顔もないぜ」
「そりゃそうね。全然気にしてなかった」
「はあ~これだよ。俺がとんでもない外道な畜生野郎だったらどうすんだ」
「みくびらないでよね。そんなもん一目見ただけで解るわよ」
「そうかい」
温くなったコーヒーを飲み干す。甘ったるい。もっと減糖するべきだったか。ハルヒは冷やし中華大盛りでは飽き足らず
今度はラーメンを頼んでいた。どこまで食うんだ、こいつ。
「で、正式に雇いたいんだが、お前が以前探し物があるっつったろ。その邪魔になるようなら潔く引き下がるぞ」
「ならないわよ。仕事してたって見つけられるもんだし」
「よし、契約成立だな。おめでとう!これでスズミヤさんは従業員だ。ようやく気兼ねなく仕事が頼めるね」
まあ、誰だっていいさ。そんな野郎がこの先登場してくるのだとしても、俺が別に気にすることなどない。・・・・まあハルヒが
そいつにとっかえたのだとしたら、ずいぶんと自分勝手な野郎だと思ってショックのあまり今までの給料を
未払いでクビにするかもしれないが。
「へえ、今まで遠慮してたの?でもあたし、あんたより働いてたって自信あるわよ?」
「俺より仕事が速いのはいいことだが、少しゆっくりやってくれ。俺の立つ瀬がないだろ。・・・・まあそんなことでこれからも
よろしくな、ハルヒ」
「よろしく、キョン。でも主導権はいつもどおりあたしね」
ヘイヘイ。
 
次の日。ハルヒとともに役所に行き、晴れてハルヒはこのニシミヤタウンの住民になり俺の牧場の従業員となったのだが、
住所もここになってるってのは従業員の枠飛び越えて事実上結婚ということになるんじゃないだろうか、世間的に。
・・・・ハルヒは気にしていないらしいが、気にしてくれ。俺の気が狂って手を出しちまったらどうする。
「んんっ、あんたにそんな度胸があるんだ?」
そんな子悪魔みたいな微笑で返さないでくれるか。
「冗談よ、冗談。夜中に襲おうったってあたし敏感だから寝てても反撃するわよ。寝顔に落書きしようとしてもね」
それは考え付かなかった。いつかやってやろう。
「その前にあんたの顔に落書きするわ。ていうか、今までそんなことなかったんだから大丈夫でしょ」
全てお見通しらしい。薄々感づいていたが、俺はこいつには叶わん。
 
それから3ヶ月、特に目立ったことなどなく俺とハルヒは牧場仕事に勤しんだ。鶏や牛や羊はもうLサイズの卵を産むように
なっているのだから驚きである。これもほぼハルヒのお手柄だろう。あいつには牧場が天職にすら思えてくるね。
 
ああ忘れていたことが一つある。別に大したことでもないから地方新聞にしか載らなかったほどの事件だったのだが、
タニグチが経営するポケモンセンターだったか、そのセンターの回復装置が誤作動を起こしたらしく町中の電気が
ストップして一時停電にみまわれた。その日、タニグチは行方不明になり警察が捜索したのだが、
結局その日は見つからず二日後に道端で発見されたのだった。
タニグチの第一声は実に奇妙なもので、2日も足音が途絶えていたにもかかわらず、
「はあ?二日も行方不明だっただと?何で道端に俺が倒れたのか知らねぇが、俺はこの町以外に行った記憶はないぜ」
 
記憶喪失ということで済まされた一件だったが、そうではなかったことを俺は実体験で知らされた。
後日、俺が買い出しで町をふらつき、立ち入り禁止となったポケモンセンターなる廃屋の前を通りかかったときのことだった。
とてつもない眩暈が俺を襲い、その場で倒れてしまった。それだけならいい。起き上がってみると――なんてこった。
牧場の経営を任して亡くなってしまった、あの優しい老人が俺を心配そうに見つめていたのだった。
 
 
どういうことだ、これは?

第4話「爺さんの助言」 (126-34氏)

「おや、君は居候のキョン君ではないか」
 
既になくなった元牧場のオーナー(CV:青野武)だ。耳が遠いのが問題で
苦労したものだって問題はそこではない。
 
「じいさん。生きてたのか?」
 
「はあ、何だって?めしは未だだが作って呉れるのか?」予想通り通じていないが
改めて廻りを見渡すと牧場の老人の家だった。今は誰も住んでいないのが、
今のここはやたらに生活感がある。これは爺さんの見ている夢なのか?
 
生前やっていた通りご飯を作ってやる俺。ほらよ。爺さん
 
「・・・・うまい。どうしたキョン?。料理が上手くなっているじゃないか」
それはそうだ。スズミヤの手料理を毎日食べているし、俺も作らされる。
厳しい採点に涙を流して上達したこの腕前で爺さん味わってくえよ。
 
爺さんがここに居る事にさほど驚かない俺は大物か鈍感なのか対して気に
しないで居た。ふと窓の外を見ると・・・・・・
 
「スズミヤ・・・」
 
スズミヤが外で洗濯物を干していた。ここは爺さんの夢ではないのか?
 
「これがキョンの嫁さんなのか。・・・・うんうん」
 
何かしきりに頷いている。何を納得したのだ。
それはそうとスズミヤがこちらに気づきそうな感じがまるでしない。
至近距離でいつもは空き家のここだ。気づいてよさそうなものだ。
 
「さて。わしはここらで帰るとするか」
 
爺さんが薄く消え始めていた。同時に家の風景も生活感が消え空虚な
ものになろとしていた。あ、まて俺は質問したい事があるんだ。
 
「キョンよ。あれは絶対に美人になる。逃がすなよ?」
 
は?何言ってんだ。ってそうじゃない。爺さん。教えろよ。おい?俺は一体なに・・・・
 
 
瞬間の暗転が終わるとタニグチの家の前に立っていた。
ここは変人(幽霊)を呼ぶパワースポットなのか?
 
 
 
 
「爺さん。ご飯を食べにきたのか?」

第5話「来訪者」 (126-67(◆sKzl81GB1o)氏)

さて・・・季節は夏真っ盛り。
とは言うものの、この地域の気候は季節毎の変動は少なく、年中温暖なのだが。
イメージ的にはフランスの丘陵地帯と言った感じだろうか。 周囲には俺の牧場の他に、小麦畑やブドウ畑が広がる。
今までならば、爺さん一人で牧場の他に農場の管理・収穫も出来たのだが――――――。
「なあ、ハルヒ。」
「何よ、キョン。」
「今年の収穫の時期なのだが・・・ハルヒが農作業頑張ってくれたお陰で収穫が例年の何倍かになりそうなんだ。」
ハルヒが気合いを入れて農場の拡張を行ったせいで、農地が従来の5倍以上になっていたからな。
「そこでだ、収穫の時期に俺の家族を呼ぼうと思うが、良いか?」
「ふーん。 キョンの家族って何人なの。」
「両親と妹と俺の4人だ。」
「良いんじゃない。 人手はあった方が良いからね。」
それじゃ、手紙を書いて呼ぶとするか。
「所で、ハルヒの家族は?」 聞いた事が無かったからな。
「あたし? 両親とあたしの3人よ。」
「連絡は取って無いのか? ハルヒは旅をして回ってるんだから手紙を出しても一方通行だよな。」
「そうね。 でも今は此処にお世話になってるんだから、手紙くらい出しても良いかもね。」
「・・・・・・何なら呼んでも良いぞ。」
「え?」
「あ、いや。 ハルヒには世話になってるし、ご両親にお礼の一つ位は~と思ったのだがな。」
「・・・・・・考えとくわ。」 
今まで元気そうに話してたハルヒが少し俯き加減になった。 この話題はマズかったのか。 話題を変えるか。
ちなみに現在は家畜に餌をやっている所だ。 この作業が終われば夕飯だ。
「あ、ハルヒ、先に帰ってくれ。 夕飯の支度があるだろ。」
「う、うん。」  俺は引き続き作業を続ける。
 
 
夕飯。 パンとハム、コーンスープとあとは乳製品が並ぶ食卓。
「ねえ、キョン。」
「どうしたハルヒ。」
「あたしが旅に出てる理由って知ってる?」
「確か・・・世の中の不思議を求めて~って事だったよな。」
「表向きはね。 確かに不思議を探してたんだけど・・・・・・。」
「何か他に理由がありそうだな。 どうした、言いにくかったら構わないが、聞くぞ。」
「本当はね、自立したかったの、両親から。 両親の事は好きなんだけど、何か、こう、世話になりっぱなしってのが気に入らなくなったのよね。
そりゃあ子供なんだから親に甘えるのは仕方無いってのは判ってる。 だけど『あたしだって何時までも子供じゃない』って。
そして、成長して戻って『あたし、立派になって戻って来た!』って言いたいのよ。 ・・・只の自己満足なんだけどね。」
「・・・・・・そうだったのか。 でも、俺に言わせればハルヒは充分立派だと思うぞ。 正直、羨ましい位だ。
あと、親御さんも心配してるんじゃ無いのか? まあ、何だ、ハルヒが此処に当分住むってなら、手紙出しても返事が来るだろ。
書いてみたらどうだ?」
「そ、そうね。 あんたも書くんでしょ? 食事終わったら早速書くわよ!」
お、心なしか元気になったか。 100ワット~って電気が無いな、ここ。 そう、太陽のような笑顔がハルヒには似合うな、やっぱ。
 
 
一週間後の夕方、農作業を終えた俺は小高い丘から夕日を見つめていた。
ここからの夕日の眺めは最高だ。 俺のお気に入りの景色だ。 そんな時―――。
「キョン君、手紙よ♪」
「ん? ああ、アサクラか。」
「郵便屋さんから預かって来たの。 あれ、スズミヤさんは?」
「先に帰って夕飯の支度だ。 一人の時は夕飯は手抜きだったが、お陰で良い食事にありつけて助かってるよ。」
「ふ~ん、幸せそうね。」 夕日を背に笑顔で話しかけて来る。 「ねえ。」
「何だ?」
「スズミヤさんと結婚するの?」  ぶはっ。 
「な、な・・・何いきなり言ってるんだ!」
「だって、一緒に暮らしてて2人共見てて幸せそうだし。 自然な流れだと思うけどな~。」
この会話の流れの方は不自然この上無いけどな。
「・・・・・・結婚、か。 互いに考えてるならしてもおかしくは無いだろうが、まだ判らん!」
「そうなんだ。 あ、神父さんが『結婚式挙げるなら早めに言って下さい』って言ってたわよ♪」
―――――コイズミの奴か、お節介焼きめ!
 
ウチに戻って手紙を開く。 家族は一週間後に来るらしい。
他の農場は毎年、色々な地方から人手を呼び収穫に対応している。
全国から人が集まって来るのだから、所謂『ゴロツキ』と呼ばれる人間も居そうなのだが、このニシミヤタウンに来る人間は良い人ばかりなのだ。
だから年中平和そのもの。 ろくに事件も発生しない。
よって人手の欲しいこの時期、警察官や神父、病院関係者などは臨時で宿の手伝いや、収穫の手伝いなどをするのが通例らしい。
そんな平和な町に・・・。
 
さて、更に一週間後、俺の家族がやって来た。
「キョンく~ん! 来たよー!!」 お、久し振りの妹の声だ。 ・・・だから『キョン君』って呼ぶなよ、マイシスター。
「あ、初めまして。 世話になってますスズミヤハルヒです。」
「あら、初めまして。 母です。」 「父です、あなたが息子の同居人ですか。 手紙では男性とも女性とも書いて無かったもので・・・。」
―――書かなかったんだよ。 って言うか、書けるか! 恥ずかしい。
「ねえ、キョン。」
「何だ、ハルヒ。」
「あんたって4人家族って言ってたわよね?」
「ああ、間違ってないぞ。」
「・・・・・・じゃあ、あれは誰よ。」
ハルヒの指さした先に居たのは
 
    「やあ、キョン。 久し振りだね。」

第6話「ハルヒの気遣い」 (126-157氏)

「やあ、キョン。久し振りだね」
 
そう言って俺の家族と共に現れたのは…………
「--クニキダじゃないか。随分と長かったな。いや、そんなことよりなぜ俺の家族と?」
「え、クニキダ? ホントだわ。随分真っ黒にやけちゃって別人かと思ったじゃないの!」
ハルヒの指摘ももっともなくらい、クニキダはあの真っ白い肌を黒く焼いていた。
「ははは。スズミヤさんは相変わらずだね。うん、今回は道具の買い付けにちょっと手間取っちゃってさ。キョンの家族とは道中で知り合ったんだよ」
「何かあったのか?」
道具屋であるクニキダは、収穫時に町に人が増えるために農具や食糧、その他の日用品もまとめて大都市まで買い付けに行っていたのだ。
「僕たちには直接関係ないことだけど、ちょっとした事件があってね。おかげで街は大賑わい」
クニキダはオーバーに両手を広げてため息を吐いた。
「その割には楽しそうな顔してるわね」
ハルヒが珍しくクニキダに問いかけた。
「まぁね。人が多いほど商売には困らないから」
クニキダが目を輝かせて言った。そんな顔初めて見たな。それだけ大都市には魅力があるということなんだろう。
クニキダも商売人ってことか。
「でも僕はここが好きだから」
そう言いながら、俺の頼んでおいた食糧や日用品を荷台から下ろしてハルヒに手渡していた。
「いつもすまないな」
「まいどあり、キョン」
 
クニキダに支払いを済ませ家族を部屋に案内しているうちに、ハルヒは挨拶もそこそこに受け取った荷物を片付けていた。
「ハルヒ、ありがとう」
「あたしはこの牧場の従業員だもんね。それに少しはあんたの顔も立ててあげないとかわいそうだし」
「一言よけいだ」
「あら、そうかしら」
くふふ、と手を口に当ててこちらを横目で見つめながらハルヒは小悪魔のような笑顔になる。
「……まぁ、なんだ。そんな遠慮がちにならなくたっていい。いつも通りのお前でいい」
「ふーん?」
「なんだそのにやにや顔は」
「別にっ」
何でもないわ。と言い捨ててハルヒは牧場へと出て行った。
「何がおかしいんだ?」
ハルヒのさっきの奇妙な笑顔を思い出しながら俺も牧場に向かうのだった。

番外編 (126-31氏)

ツルヤ「やっほー。ミクルいるかいっ?」
ミクル「あっ。ツルヤさん」
ツルヤ「ご飯食べにきたよっ。今日もいつものやつもらえるかい?」
ミクル「ふふっ。そろそろ来る頃だと思ってもう作ってありますよ」
ツルヤ「さすがミクル、気が利くねぇ。絶対いいお嫁さんになるっさね!」
ミクル「そんな……」
 
ツルヤ「ハルにゃんが居なくなったら、静かになっちゃったね」
ミクル「そうですね。ちょっと寂しいです。
   でもスズミヤさん、キョンくんと一緒にいると嬉しそうにしてますから。
   そんな姿を見ると、なんだか嬉しくなっちゃいます」
ツルヤ「本人たちに言うと絶対否定すると思うけど、
   あれは誰がどう見たって立派な夫婦だねっ。
   ……んん~、やっぱりスモークチーズは最高っ!」
ミクル「ツルヤさんは本当にスモークチーズが好きなんですね」
 
ツルヤ「ところで、ハルにゃんが居なくなって、
   ミクルにまた悪い虫が付くようになってないかい?」
ミクル「アハハハハ……。悪い虫ってわけじゃないんですけど、
   夜になるとタニグチさんが毎日来るようになったんですよ。
   お客さんとしてお金を払ってご飯を食べてくれるからいいんですけど、
   お話にお付き合いするのはちょっと大変です……」
ツルヤ「ナンパ野郎のタニグチみたいな奴を悪い虫って言うんだよ、ミクル!
   そんなヤツの話なんかに無理して付き合うことないのさっ!!
   そのうち襲われちゃうよ、ミクル!」
ミクル「ふぇぇ、そうなんですかぁ?」
ツルヤ「ミクルを狙う悪い虫は、さっそく退治しなくっちゃね。
   ミクル、ごちそうさま。今日もおいしかったよっ!
   お代はここに置いとくから。じゃねっ!」
ミクル「あっ、ツルヤさん!」
 
 
ニシミヤタウンのレストラン兼宿屋の、平和なある日の一コマでした。

 

番外編2 (48氏)

アサクラ「こんにちは、神父さん」
イツキ「おや?アサクラ巡査長。教会にお越しになるなんて珍しいですね」
アサクラ「巡回のついでに寄ってみたの」
イツキ「町の平和を守るお仕事は大変ですね」
アサクラ「今のところそうでもないのよ。
    タニグチくんみたいな問題児もいるけど、
    今のところ町の平和を揺るがすような重大な事件なんて起きそうもないわ」
イツキ「アサクラさんのような美人が町を巡回していたら、
   男性に取ってはそれだけで重大な事件かもしれませんけどね」
アサクラ「あら、お上手だこと。褒めても何も出ないわよ」
 
イツキ「オカベ部長は今日もハンドボールですか?」
アサクラ「まだ交番に居るけど、私が交番に戻ったら
    すぐに子供たちのところにハンドボールを教えに行っちゃうわね」
イツキ「良いことです。交番のトップが毎日ハンドボール教室を開けるのは、
   この町が平和な証拠じゃないですか」
アサクラ「そうかもね。この町が平和だからこそよね。
    もし仮に、この町に世界の存亡に関わるような物事があったりしたら、
    ハンドボールなんてのんきなことしていられる訳がないもの」
イツキ「……ははは。これは、何ともスケールの大きなことをおっしゃる」
アサクラ「ふふふ。もしも、もしもの話よ。
    それより、どうしたの?神父さん、顔色が悪いわよ」
イツキ「そうですか?いや、実はちょっと風邪気味でして」
アサクラ「それはいけないわ。神父さんは人の幸せのために働くのが仕事よ。
    風邪を移すのが仕事じゃないんだから、無理しちゃだめよ」
イツキ「お気遣いありがとうございます。養生します」
アサクラ「じゃ、そろそろ巡回に戻らなくちゃ。お邪魔しました」
イツキ「こちらこそ、楽しかったですよ。では、お気をつけて」
アサクラ「ふふっ、あなたこそ」
イツキ「……」

ニシミヤタウンの教会の、平和なある日の一コマでした。

番外編3 (126-88氏)

…そういえば、牧場から一番近い医療機関はここか。
 
『ニシミヤクリニック』
 
小規模の医院に見えるんだが、
町の医療はほぼ100%ここで足りてるそうだ。
怪我とか病気でお世話になるかもしれないので、
ここのパンフレットをもらっておこう。
 
なになに?診療科は……
 
○歯科・眼科・耳鼻咽喉科・脳神経外科:アラカワ
○内科・神経内科・心療内科・精神科・小児科:モリ
○外科・整形外科・形成外科・産婦人科・皮膚科・鍼灸科・リハビリテーション科:ナガト
 
……なんだ?!この人達バケモノか?!
つーか、モリさんとアラカワさんもすごいが
ナガトのカバー範囲広すぎないか?!
 
○2F:病室
○1F:受付、診察室、処置室、売店、…
○B1:薬剤室、X線室、CT検査室、MRI検査室、音響検査室、…
○B2:手術室、レーザー治療室、放射線治療室、…

○B11:臨時病室
○B12:隔離病室、霊安室
 
……地下の階数多いな!!
実は総合病院並みに大規模じゃないのか?!
 
○漢方薬、整体、鍼灸などの東洋医学をご希望の方はお気軽にナガト医師にご相談ください。
○当クリニックの治療内容のご相談、医師への健康相談などはメールでも受け付けています。
 
……至れり尽くせりだな。
普通の病室が少ないのは、みんな入院するまでもなくほぼ完治するからかもしれない。

番外編4 (227氏)

ハルヒ「みんな!集まってるわね!!」
キョン「すみません、アサヒナさん。店をお借りしてしまって」
ミクル「いいんですよ。はい、お茶ですぅ」
ユキ「…これは、梅こぶ茶」
イツキ「いつもお元気ですね。さすがはスズミヤさんです」
ツルヤ「明後日の予定が空いている知り合いを集めたみたいだけど、
   このメンバーでパーティーでもやるのかい?ハルにゃん」
 
ハルヒ「今日みんなにここに来てもらったのは他でもないわ。
   明後日、みんなで海水浴に行きましょう!」
ミクル「海ですかぁ?」
ツルヤ「海水浴かい?いいねえ!」
イツキ「最近泳いでないですが、まあ構いませんよ」
ユキ「…私も構わない」
キョン「ナガト、診療の方はいいのか?」
ユキ「明日と明後日は休診日。急患がいてもすぐに連絡が来る」
ハルヒ「みんな、異論はないわね?じゃあ、決まりね!
   問題は場所なんだけど…」
ツルヤ「それなら、いいとこ知ってるっさ!
   毎年夏にミクルと一緒に行ってる穴場があるんだよっ!」
ハルヒ「さっすがツルヤさん!そこもツルヤさんちの土地なの?」
ツルヤ「ご名答っ!ツルヤ家専用、第64番私有海水浴場っさ!」
キョン「すごい。何だよ第64番って……」
 
ハルヒ「毎年行ってるってことは、
   ミクルちゃんとツルヤさんはもう水着持ってるの?」
ミクル「え、ええ。一応持ってるんですけど……」
ツルヤ「でも、ミクルの水着は毎年ちっちゃくて着れなくなるんだから、
   また買い換えなくちゃだめっさ!」
キョン「……」
ハルヒ「キョン!!なにニヤニヤしてんのよ!!」
キョン「え?!ああ、いや。その。すまん」
イツキ「ふふ。あなたも大変ですね」
キョン「うるせえ」
 
''ハルヒ「ユキは水着持ってるの?」
''ユキ「…持ってない」
''ツルヤ「あたしはもう持ってるよっ」
''ハルヒ「じゃあ、ユキとミクルちゃんは明日、あたしと3人で
   サカナカさんのお店に水着を買いにいきましょ」
 
ミシミヤタウンのレストラン兼宿屋の、平和なある夜の一コマでした。

 

 
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