勘違い (65-313)

Last-modified: 2007-10-22 (月) 00:46:09

概要

作品名作者発表日保管日
勘違い65-313氏07/10/2107/10/22

作品

今日も可愛い子を見つけて、気分上々、意気揚々な俺。
その通り!今朝の占いもトップだったさ!
帰りの準備を済まそうと、俺が教室に入った瞬間
聞いてはいけない事が耳に飛び込んできた
 
「…んだ。だからハルヒ、今日俺んちに来てくれないかな?親がいないんだよ」
 
大切な友人がひとり、遠くに行ってしまった気がした
その話までのいきさつはしらないが、学校の教室でそんな事言わなくてもいいだろう!
しかも涼宮も涼宮でだった
 
「いいわよ。アノ日が今日ってのもなんだけど」
 
どうなったらアノ日に両親のいない男の家に赴くのか!
俺にその思想理念頭脳を教えてくれないだろうか
呆然と立っていると、俺の存在に気づいたキョンが話しかけてきた
 
「よお谷口。今日は新しい命が誕生する日だぞ!」
 
そんな事自慢すんじゃねえ!
うら若き高校生がそんな事していいと思ってんのか!
力がこもってしまったが、そんな事は関係無い、と言わんばかりに続ける
 
「いい事じゃないか。どうせ生きてる間に何度か体験することだぞ」
 
ハッ…!
いいよいいよ、俺はお邪魔なようだ。
席を外させてくれ。
2人は、理解できない、といった表情で、俺の背中を見た。
俺の方が訳わかんねえよ
 
そして、次の日。
冗談交じりにキョンに聞いてみた。
どうだったよ、様子は
すると、驚くほど自然に教えてくれた
 
「そうだなぁ…初めての事だったから、俺も一緒に力んじまってたよ」
 
俺が石化していると、すぐに涼宮が駆けてきて、付け加えた
 
「以外と血がでるのよね~…わかってはいたけど、びっくりしたわ」
 
こいつらはやっぱりおかしいなと再認識した
そういう事をペラペラと喋る神経が、俺には信じられない
聞いてもいないのに、ツルツルだったなーとか、産まれたときの姿はーとか。
 
「あれが命の営みっていうんだな。感動しちゃったよ」
 
なんで笑って言えるんだよ…
涼宮も一緒に照れたように笑ってる。
こんな良い笑顔ができるんだな、あの涼宮でも…
いい男を捕まえたんだな、ごゆっくりぃぃぃ!
 


 
俺は椅子の向きを反対にして、ハルヒと雑談に興じていた。
シャミセン、シャミⅡと、我が家の猫密度が上がってきた中、また猫を拾ってしまったのだ。
そいつは、雨の日に、たった一匹でブルブルと震えていた。
ペットを飼っている身としては、黙って見ておれず、拾ってきてしまったのだ。
そいつの腹が、通常の猫では考えられんほどに膨れていたので、病院に連れて行った所、
臨月であることが発覚した。俺は生物の知識をもっていないので、万能頭脳の団長殿に
ヘルプを頼んでいる。
「出産日が近いんだ。だがあいにく、今日は家に誰もいないんだ。
 だから今日は俺ん家に来てくれないか?」
みたいな話の途中で、谷口が教室に入ってきた。顔色、悪いぞ?
意外にも、谷口は話に乗ってきたので、話してやった。
生まれたての姿って、毛がほとんど無くて、ツルツルだぞ、とか
新しい命が誕生したんだとか。
谷口にしては、口数が妙に少なかったのが気にかかったのだが。