幸福なハルヒ (121-230)

Last-modified: 2009-12-06 (日) 01:28:00

概要

作品名作者発表日保管日
幸福なハルヒ121-230氏09/12/0509/12/06

作品

オスカーワイルドの『幸福な王子』を元にSSを書くことにしたハルキョン
 
 
ある街の高台の柱の上に幸福なハルヒの像が立っていました。幸福なハルヒの像の両目には青いサファイア、頭のリボンには真っ赤なルビーが輝き、体は金箔に包まれていて、心臓は鉛で作られていました。
この美しいハルヒの像は街の人々の自慢でした。でもハルヒ自身は毎日憂鬱な日々をおくっていました。
「なんでこんなことになってるの、辛気臭いし、歩いてる人も殆ど下を向いてるわ、この街がこんなになるなんてどうしてなの。まったく許せない」
そんなことを考えていたらハルヒの肩に間抜け面の燕が止まりました。
 
 
「あぁ~すっかり寝過ごしちまったな、あいつら随分先に行っちまいやがって、俺も急がねえとな、冬が着ちまうぜ、」
燕は寒い冬を越すために、気候が暖かい南の国に急いでいました。
「しかし、疲れた。そろそろ、何処か休める場所を探すか」
燕が休む場所を探していると、少し先に街が見えてきました。燕は今日はそこで休むことにしました。
「良い寝床はないかね~」燕が寝床を探していると、街の高台にあるとても美しい銅像を見つけました。
「随分と綺麗な銅像だな、よし今日はあそこで休ませて貰うことにするか、良い夢が見れそうだ。」
燕は銅像の肩に止まりました。すると……
「ちょっとあんた、誰の許可を取ってあたしの肩に乗ってんのよ」
ハルヒは見た目とは裏腹に口の悪い銅像でした。
「悪いな、寝坊して仲間に置いてかれてな、急いでたんだがちょっと疲れて、そしたらお前が見えて、肩を借りたわけだ。良いだろ別に、減るもんじゃないし」
若干機嫌の悪いハルヒは
「減るわよ、あんた見たいな下等生物が乗るとね、さっさとどっか行きなさい」
「悪かったな、下等生物で、なんて口の悪い奴だ。じゃあな」
そういって燕が飛び立とうとしたとき
「ちょっと待ちなさい、間抜け面」
何かを思い付いたハルヒは燕を呼び止めました。
 
「どっちだよ、それに俺は間抜け面じゃないぞキョンだ」
「そう、あたしはハルヒよそれよりキョン、あんたを特別にあたしの肩に止まらせてあげるわ。」
「いきなりどういう心境の変化だ」
「あんたをあたしの家来にしてあげるって言ってんのよ」
「なんでそうなる」
「乙女の肩に乗って置いて、ちょっと休んでハイさよなら、なんて許されないのよエロキョン」
キョンは今更、何を言ってるんだこいつはと思い
「あほらしいな」
そう言い放って飛び立とうとしました。すると、
「待ちなさいよ、あんたこの町を見てなんとも思わないの」
「どういうことだ?」
「良いから答えなさい」
キョンは少し考えて
「そうだな~金持ちが二割、貧しい人達が八割の決して良い街とは言えないところだな」
「解ってんじゃない」
「だからなんなんだ?」
「あたしが王政をはってったころはもっと活気のある良い町だったのよ、でもあたしが死んでからは最悪ねクソみたいな王様が自分のことしか考えない政治をしてたから、国全体が貧しくなっちゃったのよ、
そんな奴ら全員死刑にすれば良いのよ死刑に、でもあたしは銅像だから何も出来ないの、そこであんたの出番よ」
なんと、ハルヒは元王様だったのです。
「まさか、今の王様を暗殺してこいとか言うんじゃないだろうな」
「バカじゃないの」
「あたしわねこの高い場所から街を見ていて、ずっと考えていたの、あたしに出来ることを、あたしは此処から動けない、でもあんたがいれば・・少しわ」
キョンは少しだけハルヒを見て
「・・しょうがねえな、肩借りちまったし、手伝ってやるよハルヒを」
「キョン・・当たり前よあんたはあたしの家来なんだからしっかり働いて貰うわよ、キョン」
「了解」
………
………
………
………
「やめた」
「え?まだ途中だぞ」
「……良いのよ別に」
「未完は駄目だって、お前が言ったんだろ」
「うるさいわね~あたしが終わりって言ったんだから、終わりなの」
「……そんなの、ハルヒらしくないぜ」
「……あんたこれの原作、読んだ事ある?」
「確か、オスカーワイルドの『幸福な王子』だろ」
「続きも知ってるでしょ」
「あ~確かこの後、燕が王子の身体の金になりそうな物を剥がして、貧しい人に配って行くんじゃなかったか?」
「……変態、不潔、エロキョン」
「なんで、エロキョンなんだよ?」
「それは……あたしが王子であんたが燕だからよ」
「ますます解らんぞ」
「エロい燕のあんたはきっとあたしが動けないのを良いことに変な部分ばっかり、あんなとことか、こんなとこばっかり剥がしていくのよ……この変態燕」
「おいおい、どんな?妄想してんだよお前は、やれやれ」
「悪かったわね、フン」
「お前まさか、そんなことで書くの止めたんじゃないだろうな」
「違うわよ、もっと先の部分よ」
「もっと先?燕が死ぬ直前にキスして、王子の心臓が割れて、天使がきて、天国で幸せになって、終わりだろ、ハッピーエンドだ」
「…燕は死んじゃうのよ」
「しょうがないだろ、王子の頼みを聞いてたら、温かい地方へ行く時間がなくなっちまったんだから。」
「王子のせいで燕が死んじゃうなんて、……あたしのせいでキョンが死んじゃうなんてイヤ」
ギュ~
「ハァ、感情移入しすぎたろ、よしよし」
「キョン」
「可愛いな、お前」
「うるさい」
「やれやれだな、燕は知らんぷりして飛んで行くこともできたんだ。でもしなかった、燕は王子の事が好きだった。だからずっと傍に居たかったし、どんな頼み事も聞いてやりたかったんだ」
「王子もきっと燕が好きだったのよ、だからずっと傍に居てほしかったの、それが燕を失うことになるのに……」
「最後は天国で幸せになったろ」
「イヤ、あたしはそんなのイヤなの、生きていてほしいのキョンに」
「いや、俺は死んでないだろ」
「燕のほうよ、燕」
「ハァ~燕は死んじまったが、俺はそう簡単には死なんぞ、ハルヒにこの先どんなに振り回されてもな」
「キョン……当たり前よキョンはずっとあたしと一緒よ、ずっと……」
ギュ~
「プロポーズか?」
「うるさい」
 
おしまい……………………………………………………
外野
「出番がない……」
「そんな~うぅ~」
「にょろ~ん」
「ちゃんと我々も書くつもりだったみたいですよ」
「WAWAWA忘れさられた~」
「五月蝿いよ谷口」
「久々の出番が………」
 
配役一覧
ハルヒ→幸福の像
キョン→燕
長門→神様
みくる→マッチ売りの少女
鶴屋さん→少女のお母さん
古泉→売れない劇作家
谷口→像を破壊する町人その1
国木田→像を破壊する町人その2
朝倉→天使
 
本当におしまい

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