桜餅のconte (128-505)

Last-modified: 2010-08-03 (火) 09:32:09

概要

作品名作者発表日保管日
桜餅のconte128-505氏10/05/3110/06/03

作品

-放課後 部室-
 
コトッ
 
古泉 「おや両取りですか、参りましたね」
キョン「お前はクイーンを大事にしすぎなんだよ」
古泉 「はあ」
キョン「…ん」ゴソゴソ
古泉 「何かお探しで?」
キョン「いやポケットにな、確かガムがあったと…」
 
ハルヒ「あ! 思い出した!」ゴソゴソ
 
キョン「なんだ?」
ハルヒ「じゃん! これ!」サッ
キョン「お、ガムか?」
ハルヒ「こないだの不思議探索の時に雑貨屋で買ってたのよねー。すっかり忘れてたわ」
   「はい!みんな1枚づつね!」
キョン「おう、ありがとよ」スッ
古泉 「どうも涼宮さん(……雑貨屋でガム?)」スッ
みくる「ありがとうございます」スッ
長門 「……」スッ
ハルヒ「変わった味らしいのよ。あたしも食べるからみんなも今食べちゃって!」
   「で、感想聞かせてねっ!」
古泉 「頂きます」カサカサ モグモグ
みくる「(モグモグ)普通のミント味みたいですけど…」
長門 「(モグモグ)……」
ハルヒ「(モグモグ)うーん普通ね」
キョン「(クチャクチャ)そうだな、普通の……ん?」
ハルヒ「 ♪ 」
 
キョン「…ッッ!!ボヘッ!!ゲホッゴホッ!!ゴホッ!」
 
みくる「ど! どうしたんですか? キョン君!」
キョン「ハ、ハルヒ! な…何だこれは! ゲホッ」
ハルヒ「えーとねぇ『ロシアンルーレットガム -カプサイシンZ- 10枚に1枚濃縮ハバネロエキス入り』だって」
キョン「『だって』じゃねえ! こんにゃろ、ンなもん喰わせやがって!」ガタン
ハルヒ「あはは、あたしも食べたのよ! キョンの運が悪いのよー!」タタタタ
キョン「逃げんな!待ちやがれ!」ドタタタ バタン
 
古泉 「……高校生にもなった男女が廊下で追いかけっこですか」
みくる「ふふ、仲がいいのは良い事ですよ」
古泉 「やれやれですねぇ」
長門 「(モグモグ)」
 
-翌日 部室-
 
キョン「昨日は酷い目にあった。まったくなんでいつも俺がこんな目に」
古泉 「やはりそれは涼宮さんが望ん」
キョン「やかましい!」
ハルヒ「何興奮してんのよ、キョン」
キョン「誰のせいだ、誰の」
古泉 「まあまあ。今日は僕から差し入れがありますので、皆さんで如何でしょう」ゴソゴソ パタン
    
キョン(冷蔵庫?)
古泉 「バイト先で戴いたものです。プリンがひい、ふう…10個ですね」
ハルヒ「あ! それで朝、合鍵を取りに来たのね!」
古泉 「はい、そういうわけです。1人2個づつですね」
みくる「あーGLOVERのカラメルプリンですねぇ」
ハルヒ「有名なとこ?」
みくる「隠れた名店みたいですよー。鶴屋さんに教えてもらったんです」
キョン「美味そうだな。すまんな、わざわざ」
ハルヒ「ありがとう! 古泉君!」
古泉 「いえいえお気になさらず」
 
ハルヒ「では! いただきまーす(パクパク)」
長門 「(パクパク)」
みくる「あ、美味しいです」
キョン「甘さ控えめだな…大人の味って感じだ。美味いな」
古泉 「カラメルの苦味を強くしてあるんでしょうか」

ハルヒ「(パクパク)」
長門 「(パクパク)」
みくる「キョン君は甘いものは好きですか?」
キョン「嫌いじゃないんですが、多くは食わないッすね」
古泉 「僕も似たような感じですね。生クリームをたくさん食べるとちょっと…」
キョン「胸焼けするなぁ」
みくる「ああ、男性ってそんな方多いですねぇ」

ハルヒ「(パクパク)」
長門 「(パクパク)」
キョン「妹がパフェとか食ってるのを見ると『よくこんな量食えるな』って思うよ」
古泉 「ははは」
みくる「でも美味しいんですよー」

ハルヒ「(パクパク)」
長門 「(パクパク)」
キョン「そういえば最近美味しかったデザートが…」
ハルヒ「ご馳走様」
長門 「美味」
キョン「 早! 」
 
古泉 「…ところで先ほど言われてたデザートというのは?」
キョン「ん、ああなんかな、バニラアイスの上から熱いエスプレッソかけたヤツだ」
   「家族でパスタ食いに行った時に出たんだが」
古泉 「ありますね、そんなデザート。いやイタリア料理ならドルチェですか」
みくる「んーわかりますけど……名前が出てきませんねー」
ハルヒ「あたしもそれ知ってるわね。……なんかキョンを連想させる名前だった気がするけど」
キョン「俺を? なんだそりゃ……長門、わかるか?」
 
長門 「アホガート、affogato al caffe」
 
ハルヒ「それだ」
キョン「まてい」
 
-翌日 部室-
 
ハルヒ「今日のお茶菓子は団長自ら用意しました!」
古泉  パチパチパチ
キョン「激しく嫌な予感しかしないのは俺だけか?」
みくる(私もですよ……キョンくん……)
ハルヒ「じゃーん! 虫入りキャンディー『ざ・ぐろてすく』。バッタから蜂の子まで選り取り見取りぃ!」
古泉 「……」
キョン「拍手がとまってるぞ古泉」
みくる「ひい……」
 
古泉 「……」コリコリ
キョン「いつもの笑顔はどうした? それでも食うのは感心するが」
ハルヒ「まあまあ、みくるちゃん。騙されたと思って」ドタバタ
みくる「ひっ……ゆ、許して…くだ…」パク
   「んんんーーー!」
キョン「こら」ポコン
ハルヒ「痛っ」ムー
キョン「嫌がる人間に無理強いするな。こんなゲテモノお前が一人で……」
 
長門 「(ボリボリゴリゴリゴリ、パクパク、ボリボリボリボリゴリゴリ)」
キ古み「「「…………」」」
 
ハルヒ「流石よ! 有希! やっぱSOS団は他人と違ったことをしないと駄目なのよ!」
    「でないとこの世の不思議にはいつまでたっても手が届かないわ!!」
みくる「お…おいしいですか?長門さん」
長門 「さほどにおいしくは無い」
ハルヒ「ま、そんなもんよねぇ」
キョン「解ってて買ったのか、お前は」
 
長門 「涼宮ハルヒ」
ハルヒ「何ー?」
長門 「昆虫に興味が?」
ハルヒ「んー、単に面白そうだったから」
長門 「……では明日は私の秘蔵の缶詰コレクションの中より、長野から直送の……」
キ・古「「!!!」」
みくる「あ!明日は!私が何か作って持ってきますね!!」
キョン「ぜ、ぜひお願いします!!(ナイス!朝比奈さん!)」
古泉 「それは楽しみですね!!!(GJ!!)」
ハルヒ「あらそう?じゃあみくるちゃんヨロシクね」
みくる「は、はい!」
ハルヒ「男どもはよく味わって食べるのよ!みくるちゃんの手作りなんて、オークションに出したら天井知らずなんだから!」
キョン「おう! 勿論だ!」
古泉 「光栄ですよ!」
 
 
長門 「(´・ω・`) 」
 
-次の日 部室-
 
みくる「昨日お約束したお菓子です」
ハルヒ「待ってたわ! みくるちゃん!!」
キ・古 パチパチパチ
 
みくる「昨晩焼きました」コトッ
キョン「おお、朝比奈さんの手作りクッキーが皿いっぱいに!」
古泉 「これは美味しそうですね」
 
ハルヒ「いただきっ!」パクパクポリポリ
キョン「ハルヒ、ペースが早い! もっと味わって食え!」ボリボリ
ハルヒ「はひゃいもんかひよ! ヒョン!」モシャモシャ
みくる「ま、まだありますから……」
長門 「(ポリポリパクパクモシャモシャ、サッサッポリポリパクパク)」
古泉 (は、早い……!)
 
・・・・・
・・・

 
みくる「おそまつさまでした」
古泉 「御馳走様です。大変だったでしょう」
みくる「うふふ、そうでもないですよ」
キョン「SOS団に入って心から良かったと思いますよ」
ハルヒ「感謝なさい! キョン」
キョン「何故おまえが言うか」

長門 「……美味」
キョン「そうだな美味かった。ハルヒの用意したゲテモノとは比べ物にならん」
ハルヒ「ぬ」
古泉 (あーまた余計な事を…)
ハルヒ「あたしだって手作りお菓子の一つや二つ作れるわよ」
キョン「作れるかもしれんが、朝比奈さんのお菓子には愛情が詰まってる。お前とはそこが違う」
ハルヒ「あたしだって団員への愛情を込めるわよ」
キョン「お前は愛情より先に、地雷を埋め込もうとする」
みくる「ぷっ」
古泉 「ふふ」
ハルヒ( キッ )
古・み( ビクッ )
 
ハルヒ「そこまで言われちゃ黙ってるわけにはいかないわ。見てなさいキョン!」
   「土日を挟んで来週の月曜日! とびっきりの手作りお菓子を振舞ってあげるわ!!」
 
キョン「ほう」
みくる「わあ涼宮さんの手作りお菓子ですかぁ」
古泉 「楽しみですよ、団長」
ハルヒ「あまりの美味しさに、キョンは涙をこぼしてあたしに土下座する羽目になるのよ!」
キョン「ははは期待してるよ」
ハルヒ「フン!」
 
-月曜日 部室-
 
カチャ
 
キョン「ちぃーす」
ハルヒ「皆、揃ったわね。今日の団活を始めるわよっ!」
古・み パチパチパチ
ハルヒ「みくるちゃん」パチン
   「冷蔵庫から例のものを出して頂戴!」
みくる「はぁい」トコトコトコ パタン

ハルヒ「さあ! キョンは特にその目をかっぽじってよく見なさい!」
キョン「このタッパーをか? 大体かっぽじるのは耳だろ」
ハルヒ「中身よ。それからかっぽじるのはウロコがたっくさん詰まったその目!」
キョン「ひでえ」
ハルヒ「じゃん!」パカ
キョン「ほーう」
みくる「わあー桜餅ですねぇ」
ハルヒ「みくるちゃんが洋風のクッキーなら、こっちは和菓子で勝負!」
   「もちろんすべて手作りよ。桜葉の塩漬けもね」
古泉 「これはこれは」

ハルヒ「鶴屋さんトコの庭の桜の葉を、こないだ採らせて貰って自宅で漬けたの」
キョン「こりゃ予想外に手間隙かけたやつもってきたな」
ハルヒ「皮も餡子も自信作よ」
みくる「この生地も、もち米から作ったんですかぁ?」
ハルヒ「これは道明寺粉をこねたものよ」
キョン「料理の腕がいいのは知ってたが……お菓子作りもやるもんだな」
   「……そういやバレンタインのチョコケーキも手作りだっけ」
ハルヒ「どう? キョン」フフーン
キョン「いや参ったよ。すげー美味そうだ。有難く戴くぜ」
ハルヒ「そ! じゃあ皆!」
 
 
ハルヒ「好 き な の を 取って頂戴」ニタリ
 
 
古泉 (う、あの笑顔は……)
みくる(間違いなく何か入れてますぅ……)
長門 (……アリルイソチオシアネートを感知。山葵の辛味成分……)
キョン「………」

ハルヒ(チラッ)
古泉 (!! あの目の動き! おそらく右端……)
みくる(たぶんあの辺りですね)
 
キョン「……じゃあ1つ貰うぜ」スッ
ハルヒ「 ! 」ニマ
古泉 (!! それは!)
みくる(キョン君気づいてない?!)
長門 (……ビンゴ)

キョン 「(パクリッ ムグムグ)」
古泉 (う、断面が緑色…)
みくる(山葵の香りがここまで…)
ハルヒ「 ♪ 」

キョン「(ムグムグ ムシャムシャ)」
ハルヒ「………あ…あれ?」
古泉 「……?」
みくる「キョン君?」
キョン「(モグムグ)」

ハルヒ「………あ、あんた…辛いの平気…だっけ?」
キョン「いや、さすがにこれはキツイな(モグモグゴクン)」
ハルヒ「?! なら…どうして…こないだの唐辛子ガムの時みたいに」
 
キョン「あっちと違ってこっちはお前の手作りだろ」
   「吐き出すなんてできねぇよ」パク モグモグ
ハルヒ「………………」
 
みくる「…う…わ……」
古泉 (……これは…キツイ…)

ハルヒ「………………」
長門 (……涼宮ハルヒの絶句。貴重な光景)
古泉 (茫然…です…ね)
みくる(こんな無表情な涼宮さん、初めて見ました…)

ハルヒ「……あたし……」
古・み「「!」」
ハルヒ「……トイレ…行ってくる」フラフラ パタン
 
古泉 「……なんだか足取りが夢遊病者みたいでしたが…」
みくる「はっ!キョン君!だいじょ…」
キョン「ブホッッッッ!!!!」
古泉 「うわ!」
キョン「ゲホッずまん! ごいずうぃ! ゲホッ!!」
長門 「やはり痩せ我慢…」
みくる「み、水を」ドタバタ
 
キョン「(ゴクゴク)有難うございます、朝比奈さん、ゲフッ」
   「あの野郎どんだけ山葵入れやがったんだ。入れすぎだろ」
長門 「16.52g。市販のチューブ約3分の1」
キョン「……くっそ……古泉も制服汚しちまってすまんかったな」
古泉 「いえお気になさらず。一つお聞きしても?」
キョン「なんだ」
古泉 「あのセリフは涼宮さんをたしなめる為に?それとも本心からですか?」
キョン「……謝って損した」プイ
みくる「うふっ」
 
-下校中 駅前-
 
古泉 「では僕はここで」
長門 「……」
みくる「さよなら涼宮さん、キョン君」
キョン「じゃまた明日」
ハルヒ「バイバーイ!」ブンブン
  
キョン「……」テクテク
ハルヒ「……」テクテク

キョン「……」テクテク
ハルヒ「……」テクテク

キョン「……お前んち、こっちじゃないだろ? なんでついて来るんだ」テクテク
ハルヒ「……キョン、喉乾いてない?」テクテク
キョン「いや別に……」
ハルヒ「乾いてるでしょ!」
キョン「…は?」
ハルヒ「……奢るから……」
キョン「……解った……」
   (……そういうことかよ)
ハルヒ「そこの自販機でいいわよね」
キョン「ああ」
   (ったく素直にゴメンといえんのかね)
 
ピーガシャンピーガシャン
 
ハルヒ「ほいっ」ヒョイ
キョン「うわ!危ねえ!投げんなアホ!」
   「……なんだこれ新製品か?」

ハルヒ (プシッ)
キョン「……お前、またこんな…なんだよ抹茶バナナセーキって」
ハルヒ「新製品とか変わってるやつとかさ、とりあえず試しておきたいじゃない」ゴクゴク
   「うーんやっぱ不味いわね」
キョン「ったく…そういうのもうヤメにしようぜ」
   「なんでこんなワザワザ地雷踏みに行くんだよ」

ハルヒ「何でって云われてもねぇ…うーん」チラ
キョン「……」

ハルヒ「……」ジー
キョン「……」

ハルヒ「……」ジー
キョン「……」

ハルヒ「……」ジー
キョン(なんだ?人の顔をジロジロと…)

ハルヒ(ニヤリ)
キョン「 ? 」
ハルヒ「……やっぱりあたしってさ」
キョン「ん?」
 
 
ハルヒ「悪趣味みたい!」ニッ
 
 
おしまい